カリフォルニアでコロナ後初のボクシング興行となったDAZN興行、バージル・オルティスJrが登場、その強さを存分に発揮し、ベテランのサミュエル・ガルシアを打ち据え、7RTKO勝利。
その数日前の7/22(水)ダイヤモンドグローブでチャンピオン・カーニバル日本スーパーフライ級タイトルマッチと、木村蓮太郎のデビュー戦。
今回のブログでは、注目試合が並んだ今週のボクシングを振り返っていきます。
↓矢吹vs佐藤、堀川vs冨田戦は次回書きます。
7/22(水)ダイヤモンドグローブ
60kg契約 6回戦
東祐也(畠山)9戦5勝(1KO)3敗1分
vs
木村蓮太朗(駿河男児)デビュー戦
デビュー戦、テレビ中継に恵まれた木村。アマ3冠のエリートは、期待度の高さを伺えます。対する東もプロで9戦、ここは侮れません。
薄い8オンスのグローブ(アマチュアは10オンスのグローブですがプロ練習用の10オンスよりも厚く、ダメージが軽減される作りになっています)の影響が如何程か。
まずは様子見のジャブを放つ木村、中に入りたい東。木村のワンツーが入ったあと、強引に入った東の足がからまり木村がスリップ。木村、内側からよくみてジャブを入れます。そしてそこから左ストレート、左アッパーへとつなげます。本当によく見てます。
東はガードをしっかりして、打ち終わりに思い切り打ち返します。
距離が近くなったらボディ連打、フックを振り回す。東にはアップセットを起こそうという気持ちが強く感じられます。
2R1分程、木村のローブローで一時中断。その後、軽いワンツーで距離を測ったあと、狙いすました左ストレートがクリーンヒット!この一発で勝負は決まりました。
ぐらついた東にパンチをまとめ、ダウンを奪うとそのままレフェリーは試合をストップ。
木村蓮太朗の2RTKO勝利
見事な左ストレートでした。空いているところに叩き込みました。それまでも非常に観察眼にすぐれており、難なくデビュー戦を白星で飾った木村。これからも楽しみです。
東もこの試合を受けた勇気は賞賛に値すると思います。地方ジムのハンデはありますが、是非また上がってきてほしいですね。
チャンピオン・カーニバル 日本スーパーフライ級タイトルマッチ
王者 中川健太(三迫)22戦18勝(12KO)3敗1分
vs
挑戦者 ユータ松尾(ワールドスポーツ)21戦15勝(8KO)4敗2分
中川は前回日本王者となった時は、決定戦→初防衛失敗という流れだったので、自分の中でも王者と認められない気持ちがあったのではないか、と思います。今回は王者に勝っての戴冠、そして初防衛戦を勝てば立派に誰もが認める王者となれるでしょう。
そしてユータ松尾は3度目の正直を狙います。実力差はほぼない、と思われる両者、真っ向のぶつかり合いに期待です。
サークリングする中川、プレッシャーをかける松尾。松尾の気持ちを感じます。中川は若干固いようにも見えます。
2R目も同じ展開ではありますが、中川がまっすぐの左ストレートとオーバーハンドを使い分け、松尾が若干入りにくくなったかもしれません。右フックをひっかけてまわるのも巧い。
入ってきた松尾に対し、クリンチが多くなる中川。3R序盤のボディが効いたようにも見えましたが。。。松尾の入り際、左を伸ばすか低い姿勢で受け止め→クリンチして松尾の攻撃を分断します。
気持ちで前進はするものの、パンチを繰り出せない松尾。押されているように見えても、中川の闘い方が巧いです。
5Rは松尾もパンチを繰り出す機会が増えてきます。中川の打ち終わりにまとめたり、入り方を変えてみたり。ここまではクロスゲームのように感じます。
途中採点は3-0で中川。(49-46,48-47×2)
まだ挽回可能な松尾、更に攻めてきます。中川もショートのストレート、手数を先程より多くだし、対応。このラウンドは中川のジャブ、左ストレートが良いように見えます。
後半に入っても松尾はプレッシャーをかけ続けます。中川は距離が開けばジャブを放ち隙あれば左ストレートを打ちます。松尾もがんばりますが、中川の方が的確に当てているイメージ。
中川はこのままの闘い方でいいのですが、松尾は何か変えたいですね。。。
9R、おそらくポイント劣勢の松尾はここで勝負をかけます。しかし序盤、中川の左ストレートがカウンターとなってヒット。ここで偶然のバッティングにより中川の左目上をカット。松尾は額から出血。
2度目のドクターチェックのあと、続行不能ということで負傷判定に。
中川健太の負傷判定勝利。(88-83、88-84×2)
終わり方は残念でしたが、両者の持ち味を充分に発揮した一戦だったと思います。3年前に越えられなかった初防衛という壁を越えた事が自信につながるであろう中川。船井龍一氏の分も、がんばってほしいですね。
一方ユータ松尾は充分にチャンスがありましたが、活かせず、残念な結果に。捲土重来を期待しています。
7/24(日本時間7/25)DAZN
バージル・オルティスJr(アメリカ)15戦全勝全KO
vs
サミュエル・バルガス(コロンビア)38戦31勝(14KO)5敗2分
世界を伺うプロスペクト、オルティス。対するはベテラン、バルガス。
オルティスの強さは見るからに硬質なパンチ、そしてそれが連打できるところです。怪物揃いのウェルター級において、そのボクシングで旋風を巻き起こせるか。この試合の勝ち方はどの王者に挑戦するのか、という試金石になりそうな1戦。
対するバルガスは、トップには及ばないものの、中堅どころのボクサー。5敗のうちストップ敗けはエロール・スペンスJr、ダニー・ガルシアとトップオブトップのボクサーにのみ喫しています。
1R目からオルティスは的確な強打を連続で繰り出します。1R終了後、既に顔が紅潮しているようにみえるバルガス。
バルガスもやられてばかりではありません。ボディを中心に繰り出すパンチは、オルティスを捉える場面もしばしば。しかしオルティスの身体は強く、ダメージを与えるまでには至りません。
4Rには連打の中で効かせたオルティス、そのままラッシュ。バルガスは攻められながらもガードを固め、上体の動きを使って何とかディフェンス。時折打ち返すので、レフェリーもストップのタイミングを逸したような雰囲気です。
明らかにギアを上げ、決めにいくオルティス。ほぼワンサイドになってきましたが、耐えに耐えるバルガス。さすがベテランは一筋縄ではいきません。
しかし7R、連打の中で防戦の時間が遅くなってきたバルガス。ロープからロープへと詰められ、ついにはレフェリーストップ。
バージル・オルティスJrの7RTKO勝利
残り時間数秒というところでストップされたバルガス。内容的にはオルティスの圧勝でした。オルティスの持つパンチの強さ、強いパンチの連打、そしておそらくタフネスに直結するであろう身体の強さ。固まった相手へのサイドステップを多用した攻撃も、バリエーションに富んだものでした。
しかしバルガス相手に被弾もあり、これがスペンスやクロフォードという一流どころのボクサーだったら・・?という不安もあります。
ゴールド王者なので、レギュラー王者に挑むとすればアレクサンダー・ベスプーチン(ロシア)。訂正。ベスプーチンは王座剥奪済でした。現在レギュラー王者は空位。(これはヘタしたらオルティスが繰り上げになる可能性があります。WBAはとにかく王座を空位にさせたくないので。。。)いずれにしろ、ウェルターの王者は怪物揃いの中、誰をターゲットにするのか。
どの王者とやっても、楽しみな試合になりますね。
↓ウェルター級王者をまとめたブログです。
カリフォルニアでも再開されたボクシング興行。
まだまだ感染者が増える中でどこまでできるのでしょう。
しかし、先日もたくさんのビッグマッチが発表されたばかり。
一刻も早いコロナの収束を願い、「本当に開催されるの?」という不安から抜け出したいものです。
とにかく動き出した世界のボクシング界。
これからも楽しみです。