もともと、オーストラリアではボクシングはあまりメジャーとは言えない競技のはずです。
しかし、レジェンド、コスタヤ・チューの息子であるティム・チューの台頭とともに盛り上がった感のあるオーストラリアボクシング界は、近年、ジョージ・カンボソスJr、ジェイソン、アンドリューのモロニー兄弟、リアム・パロ、そしてジャイ・オペタイアといった世界王者を次々と輩出しています。
そしてそれらのボクサーよりも人気を博すのが、ティム・チューです。ニキータ・チューもかもしれません。
3年ぶりのファイトとなるエロール・スペンスJr.を迎え、絶対に負けられない戦いに挑むオージー・ヒーローは、どのような戦いを見せるのか。
ということで今回のブログは、スペンスvsチューのプレビュー記事。

7/26(日本時間7/26)オーストラリア
エロール・スペンスJr.(アメリカ)28勝(22KO)1敗
vs
ティム・チュー(オーストラリア)27勝(18KO)3敗
この試合がオーストラリアで開催される、というのは、チューにとっては朗報でしょう。
試合をしていないとはいえかつての統一王者は、アメリカでは大いに期待されていたボクサーですから、「大物」を迎えるという状態です。
エロール・スペンスJr.はかつてはPFPランキングにもしっかりと入っていたボクサーで、2017年、敵地英国に乗り込んでケル・ブルックを撃破、IBF世界ウェルター級タイトルを獲得します。
当時36勝1敗という戦績だったブルックですが、唯一の敗戦は無謀な挑戦と言われたミドル級でのゲンナディ・ゴロフキンへの挑戦で喫したものでしたから、当然そんなウェルター級最強の一角に敵地で勝つ、しかもストップ勝ちというのは本当に価値のある勝利でしたね。
誰もが、アメリカン・ニュースターの誕生を予感したものでした。
果たしてその後もスペンスは評価を上げ続け、マイキー・ガルシア、ショーン・ポーター、ダニー・ガルシア、そしてヨルデニス・ウガスを連破、3団体の統一を成し遂げます。
3つの王座を伴って、いよいよ頂点へと挑むスペンスの対戦相手は、最強と謳われながらも統一戦に進めなかったテレンス・クロフォードでした。
この戦いが、クロフォードにとっても、スペンスにとっても、転機となったことは偽らざる事実。
この戦いに圧勝したクロフォードは、すでに認められていた実力の、その上のボクサーだということが明らかとなり、その後のキャリアはそれ以前と比べて明らかに注目度が上がり、幾度もビッグマッチに呼ばれる事になりました。
一方で、初黒星を喫したスペンスは、その後幾度も復帰のニュースが流れるも、約3年にわたりリングに上がる事はありませんでした。
そしてティム・チューは、というと、破格のフィジカルを武器にしてオーストラリアを主戦場としてキャリアを積み、2023年3月、WBO世界スーパーウェルター級暫定王座を獲得。
その後正規王者に格上げされ、セバスチャン・フンドラにアップセット勝利をしたブライアン・メンドサに勝利しています。
しかしその次戦、フンドラに敗北。フンドラの肘だったか?で額を切るというアクシデントもあったので、この敗戦は同情できるものでした。
ここで潔く敗北を受け入れたチューは、復帰戦でIBF世界スーパーウェルター級タイトルへ挑戦。当時の王者はバフラム・ムルタザリエフ、当時はまだ名のある王者ではありませんでした。
しかしながら、この戦いでチューはまさかの3RTKO負け。
初黒星が響いていたのか、それともムルタザリエフの強さが怪物クラスだったのか、もしくは、チューの実力はそんなものだったのか、当時は様々な話が飛び交っていたと思います。
チューはその後、ジョセフ・スペンサーとの復帰戦を挟んでフンドラへ挑戦、しかしこの試合で7R棄権負け。
言い方は良くないですが、一気に弱くなってしまった感じのあるティム・チュー。
そこから復帰して2戦を戦い、こちらは完勝のようです。試合を見ていないのでわかりませんが、今は調子を取り戻してきている時期なのかもしれませんね。
さて、この試合のオッズは、ほんの若干、スペンス優位と出ているようです。
しかし、ほぼ差のない、ほとんど50-50の戦いです。
スペンスは才能豊かなボクサーではありますが、3年ぶりのリングというのは不安要素のほうが大きい。
そして、チューはコンスタントに試合をこなしていますが、抜群のパフォーマンスというのは見せられていないでしょう。
スペンスのブランクの影響が如何ほどか、を考えても仕方がないですから、それを一端抜きにして考えたとすれば、中間距離ではスペンスが上回る可能性が大きい。
なのでチューは得意のブロッキング、フィジカルで如何に近づいて、如何に殴るか、が勝負。
チューというボクサーは、村田諒太の上位互換だと思っています。
あの鉄壁のブロッキングと、強靭なフィジカルで、スペンスを詰める事ができれば、十分に勝機はあるでしょう。
しかしスペンスは、今がどうかはわからないまでも、速く、巧いボクサーです。そしてパンチャーでもあります。
ここはチューに頑張ってほしいところですが、両者がどのようなパフォーマンスを見せるかは興味深いところですね。
スティーブン・フルトン(アメリカ)23勝(8KO)2敗
vs
リアム・ウィルソン(オーストラリア)18勝(10KO)3敗
規律のないボクサーは、嫌いです。
なのでこのスティーブン・フルトンはもう好きにはなれません。
この試合はもともとスーパーフェザー級、130lbsで組まれていた試合でしたが、試合直前に133lbsのキャッチウェイトに変更。これはフルトン陣営からの要望で、ウィルソンはそれを飲んだ、とのことです。
前戦でもフルトンは世界タイトルマッチにも関わらず130lbsを作れず、さらにその試合が何故かライト級のタイトルマッチとなったことで非難轟々。
これまでの輝かしい経歴を全て失ってしまうような愚行を繰り返してしまうのは、井上尚弥戦で掴んだ大金、そしてあの1敗が彼の人生に大きく影響しているのかもしれません。
つい先日まで、苦しいとはいえども122lbsで戦っていたボクサーが、130lbsを作れないというのはどういう事でしょうか。
ということで、がんばれ、リアム・ウィルソン。
ウィルソンはこれまで2度、世界タイトル戦を戦ってきたボクサーですが、そのどちらももちろんBサイドとしてのリング登場。
初の世界タイトルショットとなったエマニュエル・ナバレッテ戦ではダウンを奪ってあわや、という戦いを見せましたが、世界王座には届かず。そしてその翌年、オスカル・バルデスに挑むもこちらもストップ負けを喫し、一端世界戦線からは外れてしまいました。
その後5連勝、ハラはタプついているとしても元世界王者を破るインパクトは大きいでしょうから、ここは良い勝ち方をしてほしいところです。
体格の利はウィルソンにあり、フルトンはこの階級(プラス3ポンド)では明らかにパワーレス。そして、この2-3年で増えた10ポンド(4.5kgぐらい)というのは使える筋肉ではなくただの重りのはずですから、足も重くなっているはずです。
「スクーター」と呼ばれたのは過去のこと、今は一輪車ぐらいのものです。しらんけど。
ということでフルトンを潰すのは、ウィルソンのプレッシャーです。
がんばれ、ウィルソンでいきましょう。
配信情報
このオーストラリアで行われる興行は、アメリカのプライムタイムで行われます。
なので日本でもいつものアメリカ興行と同じぐらいの時間で、昼過ぎぐらいにメインイベントが始まると思われます。
アメリカではAmazon Prime VideoのPPVファイトであり、さらにこれが独占中継ではなく、DAZN PPVでも放映されます。これはPBCがDAZNをプラットフォームにした、ということに由来しています。
日本でも、DAZNでのPPV購入はできるようで、価格は3,500円。
WOWOWは2,500円ぐらいでしたっけ、WOWOWの方が安い計算になりますね。
WOWOWはお布施的に入りっぱなしなのでWOWOWでみますが、DAZNでやるならDAZNの方が(実況解説が英語だと思うので)良いかもしれません。
いつか、というか技術的には可能でしょうから、実況解説は副音声にでもしてもらいたいものです。
ということでWOWOWはこちらから
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