信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【プレビュー】テレンス・クロフォードが挑む4階級目。vsイズライル・マドリモフ、カリフォルニアのリヤド・シーズン!!

あっという間に、あと10日。

7月の後半は、世界的に言えばビッグマッチと呼ばれるものはないから、この時期すでに注目を集めているのは8/3(日本時間8/4)のリヤドシーズンin USAの興行です。

7/27、7/28は出張ですが、一周ずれていたらえらい騒ぎになっていました。仕事が入ってしまうと、おそらくそこそこの長時間興行となってしまうこの興行を見るのに多くの犠牲を払わなければならないからです。

この興行は、イズライル・マドリモフvsテレンス・クロフォードという注目試合を始め、イサック・クルスvsホセ・バレンズエラ、デビッド・モレルvsラディボジェ・カラジッチというトリプルヘッダー。

 

 

 

そこにアンディ・クルスやジャレッド・アンダーソン、アンディ・ルイスvsジャレル・ミラーまでもが組み込まれる超豪華興行です。まさにP4Pファイターをメインに据えた興行に相応しく、トゥルキ・アラルシクがアメリカ大陸進出第一弾として仕掛けるにふさわしい興行です。

1日で視聴するのは勿体無いと感じるほどの大規模興行ですね。(きっと私は1日じゃ見終わりませんけど)

ということで今回のブログは、その大規模興行のメインイベント、マドリモフvsクロフォードについて。

 

 

 

8/3(日本時間8/4)アメリカ・カリフォルニア

WBA世界スーパーウェルター級タイトルマッチ

イズライル・マドリモフ(ウズベキスタン)10勝(7KO)無敗1分

vs

テレンス・クロフォード(アメリカ)40勝(31KO)無敗

P4Pキング、テレンス・クロフォード。

現在の肩書きとしてはWBAスーパー王座、WBOスーパー王座を保持する統一王者、となっています。階級はウェルター級です。

WBCは休養王座を設けてこのクロフォードに当てがい、IBFのみがその王座を剥奪、暫定王者だったジャロン・エニス(アメリカ)に与えています。

辛抱強い(笑)WBAが王座に据え置くのはまだわかりますが、WBOまでその座を確保していますね。ただ、WBAは以前からレギュラー王者としてエイマンタス・スタニオニス(リトアニア)がいるし、WBOも暫定王者ブライアン・ノーマンJr(アメリカ)を配置しています。

さて、統一王者という肩書きを持ちつつも、足元の定まらないクロフォードは、4階級目をかけてイズライル・マドリモフに挑戦します。これはWBA世界スーパーウェルター級タイトルマッチなわけですが、何故だかWBO世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦も兼ねるようですね。WBO世界スーパーウェルター級の正規王者はセバスチャン・フンドラであり、本来的にはクロフォードはWBOの特権(王者が階級変更をした場合は指名挑戦者となれる)を行使してフンドラに挑戦というのが筋なのでしょうが、今回その試合は成りませんでした。

 

 

 

マドリモフ戦よりもフンドラ戦の方が客を呼べそうなものですが、フンドラはティム・チュー(オーストラリア)との戦いで鼻骨骨折、完治してからのトレーニング期間を考えると致し方のない措置です。

さて、王者イズライル・マドリモフ。

前戦でマゴメド・クルバノフ(ロシア)との無敗対決を制してWBA世界スーパーウェルター級タイトルを獲得しています。この試合は本来暫定王座決定戦でしたが、ジャーメル・チャーロの休養王者認定を受けて正規王座戦に格上げされています。

↓観戦記

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この戦いは直前にマドリモフがメディカルチェックに引っかかって中止と報じられました。なのでポスターに名前が入っていない、という事態になっています。

しかしその後の再検査でクリア、無事に挙行されています。

プロデビューからわずか11戦目、この階級でたった11戦での世界戴冠というのは非常に早い。当然、元トップアマであり、アジア選手権での優勝経験を持っています。

だからこそ技術もあり、スピードもある。そして非常に身体能力が高い上、中央アジアのボクサーらしくフィジカルも持っています。非常に安定感のある王者です。

実力は折り紙つき、前戦でもマゴメド・クルバノフを5Rでストップ。

しかし相手がクロフォードとなれば、不利予想は免れません。

ただ、当然の如くこの王者は穴王者などではありません。

 

 

 

クロフォードがもし圧倒的に勝利するようなら、P4P返り咲きもあり得るのではないか、とも思うのですが、それを可能にするにはまだマドリモフ側が実績不足との見方もあるでしょう。このイズライル・マドリモフは、非常に強い王者ながらも未だたったの11戦しかしていません。

この辺りは歯痒いところですね。クロフォードは圧倒的に勝利したとしても、あまり評価を上げられないかもしれません。

ただ、クロフォードの目的としては4階級制覇であり、この試合に勝利したのち、フンドラとの団体内王座統一戦もあれば、ティム・チューとの戦いも期待できるもの。さらにはバージル・オルティスJrも。

ウェルター級から階級を上げて、テストマッチを挟まず初戦で強敵です。

クロフォードにとって、ここは階級の壁を感じるところではないでしょうし、例えばパワーにおいてマドリモフが上回ったとしても、そのリングIQ、多彩さ、コンビネーション等々、クロフォードが上回る部分が多すぎてBudが負ける要素が見当たりません。

 

 

 

例えばマドリモフがフィジカルゴリ押しできたとして、それに対応できないクロフォードではないはずです。

ともあれ、1年ぶりとなるテレンス・クロフォード。

エロール・スペンスJr(アメリカ)戦ほどの注目度こそないものの、ここまで試合枯れが多かったクロフォードにとっては、リヤド・シーズンへの参戦は願ったり叶ったりでしょう。ファイトマネーとしても、ビッグマッチを実現できるパワーとしても。

この興行に名を連ねるのは、トップランクのボブ・アラム、TGBプロモーションのトム・ブラウン、マッチルームのエディ・ハーンとウォリアーズボクシングのレオン・マグレス。錚々たる顔ぶれが一堂に介す(かどうかは知らないが)とてつもないビッグイベント。まるで、ボクシング界は一つになったような錯覚を覚えます。実際は、殿下の前でのみ、ボクシング界は一つです。

アンダーカードも含めて超楽しみなアメリカ、カリフォルニアのリヤド・シーズン。(もはや字面が意味不明)待ち遠しいですね。

 

 

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【プレビュー】7/20(土)アマプラ興行!那須川天心の対戦相手、世界ランカーのジョナサン・ロドリゲスとは!?

国内はボクシングウィーク。

フェニックスバトル→ダイナミックグローブ→アマプラ興行と全てを現地観戦される方もいるのでしょうね。

私は平日は厳しいのでなんとか土曜日だけ滑り込み、現地観戦です。

こういう大規模興行しか行けなくなってしまうのは地方民あるあるなのではないでしょうか。

ともあれ、今回のブログは目前に迫ったAmazon Prime ビデオ presents LIVE BOXING、最後のプレビュー記事。那須川天心vsジョナサン・ロドリゲスについて。

 

 

 

7/20(土)両国国技館

那須川天心(帝拳)3勝(1KO)無敗

vs

ジョナサン・ロドリゲス(アメリカ)17勝(7KO)2敗1分

この試合はセミファイナルにセット。予想としては当たりましたね。是非那須川目当てで行くファンの方々は、他の試合もしっかりと見てほしいと願います。

さて、那須川天心、ボクシング転向の4戦目は、ジョナサン・ロドリゲス。田中恒成の相手のジョナタン・ロドリゲスとはスペルも一緒ですね。日本語表記をジョナサンとジョナタンに変えたのは良い判断だったと思います。

さて、このジョナサン・ロドリゲス、プエルトリコ生まれのボクサーのようです。

アマ経験を経て2018年にプロデビュー、9戦目でマヌエル・フローレス(アメリカ)と戦い5RTKO負け。

10戦目で4回戦で勝利して、11戦目で当時10勝20敗2分の選手とドローを演じているようですね。

 

 

 

その後は連勝していくのですが、6回戦の試合がほとんどであり、8回戦を戦ったのは2度、その中で1度だけ判定までもつれ込んでいます。初の10回戦は元王者カリド・ヤファイ(イギリス)戦であり、これを初回KO勝利。このヤファイ戦こそがロドリゲスにとってのキャリア最大の勝利であり、これにより、おそらく世界ランクに入ったのでしょう。

この勝利を得て一気に駆け上がれればよかったのですが、その次の一戦でアントニオ・バルガス(アメリカ)に7R終了TKO負け。この試合は初回にダウンを奪うも2Rに倒し返され、7R終了とともに棄権していました。

初回にダウンを奪ったのは右のオーバーハンドであり、バルガスはちょっと距離感を見誤った感じ。これは結構伸びて来るのでしょう。どちらかというと速いステップワークで翻弄するタイプのボクサーファイターであり、攻める時は一気に攻める苛烈さを持っていますね。

ただ、打ち終わりのケアはかなり甘く、すぐにガードポジションに戻すことを心がけている、という雰囲気なのですが、強振した時にはかなり疎か。ここは那須川としては狙わない手はないでしょう。

バチバチの打ち合いになったりはしないでしょうし、比較的駆け引きができそうな相手でもあります。

 

 

 

那須川としては先に攻めることで相手を前に出させ、カウンターを狙うという戦い方は非常に良さそうで、このカウンターによるノックアウトは期待できそうですね。

今までの相手よりもワンランク上のボクシングを持っていると思われるロドリゲスですが、そのキャリアにおいて10R戦った経験がないこともあり、同じく長いラウンドの経験のない那須川にとってはうってつけの対戦相手とも言えます。

那須川は躱して終わりだった初戦からグングンと成長を遂げ、前戦では重心を下げたスタイルでよりアグレッシブになっています。左のボディストレートなんかは、今回も非常に効果的に使えるでしょう。

那須川のハンドスピードを持ってのコンビネーションでロドリゲスが固まれば、比較的イージーになりそうです。これを見て対戦相手の質がーとかいう人も現れそうではありますが。

おそらく前戦よりもさらに成長するであろう那須川にとって、ここはまだまだ試練とは言えない一戦。ただ、間違いなくこのロドリゲスは強敵です。

それを分かった上で、やはりこのロドリゲスを倒す姿を見たいもの。ボクシングファンの那須川天心への期待は、まだまだこの先にあります。

 

 

 

今回もおそらく両国国技館には、那須川天心に憧れる子どもたちの声がこだまするのでしょう。ボクシング界の未来にとって、なくてはならない那須川天心。まだまだここで苦戦をしてもらうわけにはいきません。是非良い勝ち方でアンチを黙らせてもらいたいですね。(きっとアンチはどんな勝ち方をしても黙らないのでしょうが。。。)

配信情報

さて、概ね予想通りだった試合順。

第一試合は荒本一成(帝拳)のデビュー戦。

第二試合はWBO世界フライ級王座決定戦、加納陸(大成)vsアンソニー・オラスクアガ(アメリカ)。

第三試合はWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ、田中恒成(畑中)vsジョナタン・ロドリゲス(メキシコ)。

 

 

 

セミファイナルに那須川天心vsジョナサン・ロドリゲスときて、メインイベントにWBC世界バンタム級タイトルマッチ、中谷潤人(M.T)vsビンセント・アストロラビオ(フィリピン)です。

開場は16:30、第一試合の開始が17:20。

配信開始は18:00からで、荒本の試合は中継なしのようですね。

配信はAmazon Prime Videoで、プライム会員になれば追加料金なしで見られます。

いよいよ明日。

会場で、配信で、アマプラ興行をお見逃しなく!

↓田中恒成vsジョナサン・ロドリゲスのプレビュー記事

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↓中谷潤人vsビンセント・アストロラビオ、加納陸vsアンソニー・オラスクアガのプレビュー記事

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【プレビュー】7/18(木)富施郁哉vs増田陸!7/19(金)鈴木雅弘vs宇津木秀!ウィークデイは大注目の2つのリマッチ!!

さて、始まりましたボクシングウィーク。

7/16(火)に9月のLemino興行、井上尚弥vs TJドヘニーが発表され、1日おいて7/18(木)のフェニックスバトル。そして翌日7/19(金)には大注目のダイナミックグローブがあってからの7/20(土)のアマプラLIVE BOXING興行です。

休む日がありませんね。

ということで今回のブログは、7/18のフェニックスバトル、そして7/19のダイナミックグローブのプレビュー記事です。

7/18(木)フェニックスバトル

日本バンタム級タイトルマッチ

富施郁哉(ワタナベ)14勝(3KO)3敗

vs

増田陸(帝拳)4勝(4KO)1敗

 

増田陸、2度目のタイトルチャレンジ。

そもそもこの興行は、「Lemino放映のフェニックスバトル」らしくW日本タイトルマッチという豪華興行でした。それでもホールが満員にならない、というのがここ最近における大配信時代のジレンマですが、この興行は人気ボクサーである高山涼深も登場するとあって比較的客入りが見込めた興行ではなかったか、とも思いますね。

それでもこの興行の1週間ほど前、高山が急性胃腸炎のために試合をキャンセル、メインイベントに繰り上がったのがこの日本バンタム級タイトルマッチです。

高山はちょっと体調不良系で試合を流すことが多いですね。ここは何とも言い難いところですが、私のような老害に片足突っ込んだファンは調子悪くてもお前が王者だろ、くらいに思ってしまうわけで。防衛戦のキャンセルは返上も考えた方が良い、とも思ってしまいます。

さて、話を戻して日本バンタム級タイトルマッチです。

王者、富施郁哉は前戦、日本バンタム級王座決定戦でタイトル初戴冠。ただこのタイトルは、王者であった堤聖也(角海老宝石)が返上したことにより開催された決定戦であって、タナボタのイメージを覆すことはできません。

なので今回が王者の証明、というか本来の王座決定戦、というほどのイメージ。それにしたって、増田陸はかなり大きなハードルではあります。

増田と富施は2023年5月、バンタム級モンスタートーナメントで一度決着を見ています。

結果は増田の7RTKO勝利であり、富施も意地を見せて戦いましたが結局はワンパンチフィニッシャーである増田の左を浴びてダウン、その後の追撃を受けてのTKO負けを喫しています。

 

増田はその後、トーナメントの準決勝で堤の日本タイトルに挑戦、やはりその強打をヒットするものの、テクニシャンでかつ試合巧者の堤を崩すことはできず、ポイント差以上の完敗でした。

しかしおそらくこの戦いで増田の得たものは非常に大きいでしょう。

堤はその後穴口一輝との激闘を経て日本タイトルを返上、増田は再起戦の相手に強豪、ジョナス・スルタン(フィリピン)をセレクトしてこれをなんと初回KOに切って落として再起を飾っています。

再戦、というのはポイントになり得ます。

富施が増田との第一戦でいかに学び、いかに攻略法を見つけ出せているのか。そして、それが増田の成長も含めて考えられており、それが想像の範囲内であるのであれば富施にも勝機が見えて来るかもしれません。

ただおそらくは、プロにおいての増田の伸び代はそれを凌駕するように思えてなりません。

もちろん、一度は勝利している相手に対して、どこまでモチベーションを保てるのか、というのが増田にとっての一番の大敵ともなり得ますが、増田にとってもここは絶対にクリアしなければいけない試合。初のタイトル戴冠がかかっています。

この短期間でタイトルショットが回ってくる、というのは千載一遇のチャンスでしょうし、このタイトルを獲れば今現在日本に集まっている世界タイトルへの挑戦も近い。

富施もリベンジを目指すわけですから、両者共に絶対に負けられない戦い。

意地と意地がぶつかり合う戦いとなりそうです。

↓富施vs増田の初戦の観戦記はこちら

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アンダーカードと配信情報

アンダーカードはアジア最強ライト級トーナメントの準決勝。

そういえばそういうトーナメントもやってましたね、ということで、覚えている人も少ないかもしれません。

トーナメントは盛り上がる、が通説なのですが、やはりタレントが揃ってからやらなければいけませんね。そういう意味ではバンタム級のモンスタートーナメントは素晴らしかったし、PrizeFighterのトーナメントはなんじゃこりゃ、というものです。

ともあれ、このライト級トーナメントは今永虎雅(大橋)を押し上げるもの、ということで良いと思います。そういうトーナメントの使い方で良いのです。

初戦でマ・チョン(中国)に初回TKOで勝利した今永は、準決勝でマービン・エスクエルド(フィリピン)を相手にします。

そしてもう一つの準決勝では、初戦で齋藤眞之助(石川)を2RでKOした齊藤陽二(角海老宝石)がウー・ハンユン(中国)を迎えます。

他にも日本ユース・バンタム級王座決定戦、平井乃智(石田)vs金城隼平(RE:BOOT)と盛りだくさんの興行は、Leminoで無料生配信。

日時は7/18(木)17:45配信開始とのことで、4回戦が3試合、8回戦が3試合の後メインイベントなので、結構遅くなる興行ですね。

↓Leminoはこちらから

 

7/19(金)ダイナミックグローブ

OPBF東洋太平洋ライト級タイトルマッチ

鈴木雅弘(角海老宝石)10勝(7KO)1敗1分

vs

宇津木秀(ワタナベ)13勝(11KO)1敗

前日のフェニックスバトルのメインイベントは再戦ですが、このダイナミックグローブのメインも再戦です。

2022年2月、日本ライト級王座決定戦で戦った両者。

この試合の2戦前、すでに日本スーパーライト級王者永田大士(三迫)に挑み、素晴らしい才能を見せつけてこれを強奪していたのが鈴木雅弘。その後ライト級に落としての挑戦者決定戦は利川聖隆に大苦戦の薄氷勝利も、やはり鈴木優位は動きませんでした。

しかしこの王座決定戦は、いよいよ回ってきたチャンスに宇津木が浮き足立つこともなく、淡々と自分のボクシングを展開。かつて内山2世とも呼ばれたジャブからしっかりと組み立てるボクシングで鈴木をインサイドから崩し、見事見事な9RTKO勝利を挙げています。

↓観戦記

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どちらかというと感覚派に見える鈴木のボクシングと、理詰めに見える宇津木のボクシング。

両者は正反対の才能と正反対の個性を持っているように見え、前戦からすると相性的には宇津木に軍配が上がりそうにも見えます。

ただ、一度敗北している相手だからこそ、モチベーションが上がるのも事実であり、このモチベーションというものが感覚派であろう鈴木のボクシングにとっては大きな燃料となり得ます。

実際に鈴木はOPBF東洋太平洋王座決定戦において、初戦に12R戦って引き分けたロルダン・アルデア(フィリピン)との再戦を初回TKOで片付けています。

鈴木のことを感覚派だと思う、とも書きましたが、もちろんただただ感覚だけであのボクシングはできません。カネロだって他のボクサーよりもより強いボクシングへの献身、恒久的なトレーニングにこそあのヘッドムーブ、パワーパンチは成り立つものです。

前戦の反省を活かし、どのように鈴木がボクシングを仕上げて来るのか。今回は自分のボクシングを貫くというだけではなく、対宇津木という何か秘策めいたものが必要そうな気がします。

さて、初戦を勝利している宇津木としては、再戦は逆にやりづらいかもしれません。比較的スロースターターに見える宇津木は仲里戦では序盤から大きなパンチを喰ってしまい、KO負けを喫しています。

この辺りは内山2世に通じるところがあり、序盤に相手を見る癖というか戦略というかが徹底しているイメージ。この序盤でビッグパンチを喰わないように細心の注意をしなければなりませんが、鈴木もここを狙って来る可能性があります。

 

上手く乗り切るだけでなく、前戦のようにポイントをピックアップできれば後半にかけて宇津木にKOチャンスが訪れるでしょう。

まず最初の見どころは前半、そこでどちらが抜け出すのか。それにより、後半の戦い方は大きく変わってきそうです。

アンダーカードと配信情報!

アンダーカードには福井勝也(帝拳)がベン・マナンクィル(フィリピン)戦。これは調整試合として、現在WBOアジアパシフィックで1位という福井は、TJドヘニーが王座を返上したならば決定戦のチャンスが訪れるでしょうし、もししなければ井上戦後にドヘニーに挑戦、という青写真が描けそうです。

他にも辻本純兵(帝拳)vs長濱陸(石田)のほか、6回戦が1試合と4回戦が2試合予定されています。

ダイナミックグローブは帝拳仕切りの場合早めに進行しすぎるきらいがあります(これは日テレG+時代の名残)が、今回はどのマッチアップもガッツリ系なので、進行はさほど早くはないはずです。

配信はU-NEXT、開始は7/19(金)17:45〜となっています。

↓U-NEXTはこちらから

 

 

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【プレビュー】アマプラ興行!中谷潤人vsアストロラビオ、加納陸vsオラスクアガ!ルディ傘下の共演!!

今週は怒涛です。

7/16(火)井上尚弥・武居由樹の次戦正式発表

7/18(木)フェニックスバトル

7/19(金)ダイナミックグローブ

7/20(土)LIVE BOXING

目まぐるしい。7月もあっという間に過ぎそうです。

さてさて、いよいよ週末に迫ったLIVE BOXINGのプレビュー記事を書きましょう。

今回のブログは、中谷潤人vsビンセント・アストロラビオ、そして加納陸vsアンソニー・オラスクアガ、二つのタイトルマッチについてです。

↓田中恒成vsロドリゲスのプレビュー

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7/20(土)両国国技館

WBC世界バンタム級タイトルマッチ

中谷潤人(M.T)27勝(20KO)無敗

vs

ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)19勝(14KO)4敗

26歳で27戦、というのは、日本のボクサーとしてはかなり多い試合数です。

それもそのはず、中谷は戦績だけ見ればプロ叩き上げであり、4回戦からスタート、新人王トーナメントを制してのち、新設された日本ユースタイトルを獲得、そして日本タイトルを獲得して日本最強を証明、その称号を提げて世界タイトルマッチへと進んでいます。

今思えばデビューがミニマム級というのは驚きですが、2〜4戦目をライトフライ級で戦い、5戦目からはフライ級で新人王トーナメントに参戦していますね。このデビュー直後というのはまだ私もあまり注目はしていなかったと思います。

必然的に話題となる新人王トーナメントではKOで勝ち上がり、全日本新人王決定戦ではのちの世界王者、矢吹正道に判定勝利。そして2戦挟んだのちのユース王座決定トーナメントで工藤優雅との戦い、この2つの戦いだけが「苦戦」まではいかずとも「中谷が少々困ったように見えた」試合であり、そのほかの25戦に関してはもう全く問題ない、素晴らしいパフォーマンスを見せていると言えます。

 

 

 

中谷が戦い、乗り越えてきた「かつての世界王者」「のちの世界王者」は6人。

矢吹正道、ユーリ阿久井、ミラン・メリンド、アンヘル・アコスタ、アンドリュー・マロニー、そしてアレハンドロ・サンティアゴ。

階級を上げていくことでより良いパフォーマンスを見せられている、という点において井上尚弥と被るところがあり、これは複数階級を制すために階級アップすることを主目的とせず、より良いパフォーマンスを出すために階級を上げる、ということが考えられているためだと思っています。

特に世界王者となってからのパフォーマンスは圧巻で、KOオブザイヤーを獲得したマロニー戦、エストラーダを存分に苦しめたコルテスを全く寄せ付けなかった試合、そして5ヶ月前、ドネアに勝利したサンティアゴに結局何もさせず6Rで切って落とした試合。

はっきり言ってしまえば、今、中谷潤人に穴は見えないし、底も見えません。

矢吹や工藤というボクサーに若干困らされたことも遠い昔の話のように思え、全く参考にはならない情報です。

さて、ビンセント・アストロラビオはバンタム級において強豪と呼べる部類のボクサーです。

フィリピン人らしいフィリピン人で、攻撃は非常にパワフルであり、ハートが強い。ハンドスピードだってなかなかのもので、この勢いに気圧されてしまうボクサーも多いでしょう。

戦績では4敗してはいるものの、この戦績以上に怖いボクサーであることは言うまでもありません。

 

 

 

前戦ではナワポーン・カイカンハ(タイ)を11RTKOで破り、WBCの指名挑戦権を獲得しての一戦、文句なしの指名挑戦者であるわけです。

ちなみにカイカンハは長くトップコンテンダーの地位をキープしてきたボクサー。もちろんその試合ぶりを見れば強いボクサーであることはわかるのですが、何せアンダードッグとの試合が多く、ジェイソン・マロニーには完封されているし、アストロラビオ戦後には比嘉大吾にも敗れているので、彼を世界レベルと言って良いかどうかは疑わしくなってきてます。

ともあれ、今さら言うまでもなく、このアストロラビオキャリア最大の勝利は2022年2月のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)戦であり、そこで自信をつけたのか次戦ではニコライ・ポタポフ(ロシア)を6RTKO。その勢いを駆ってジェイソン・マロニーとのWBO王座決定戦に臨みますが、ここは判定負けでしたね。

攻撃時の見栄えが良く、結構攻勢点が入っていた印象で、思いの外ポイントは競っていました。マロニーのボクシングはジャッジへのアピールが乏しいという面もあったかもしれませんが、リゴンドー戦も加味して、このアストロラビオの攻撃力というものはジャッジに訴えられるものを持っているのでしょう。

それでも、当然のことながら中谷は盤石です。

 

 

 

たとえアストロラビオが強く出てきたとしても、それを迎え撃つだけのカウンター、距離感を持っています。

ちなみにアストロラビオも非常に良いタイミングを持っているのですが、距離の問題で中谷に届くのかというと疑問。そうなるとやはり、中谷が自分のやりたい距離でのボクシングを敢行できるのではないか、アストロラビオは強い攻めに転じざるを得なくなり、そうなると中谷のカウンターの餌食になるのではないか、というところですね。

怖いところは、アストロラビオが非常に自由に振り回してきた時です。マロニー戦の終盤、もしかするとこれがアストロラビオの本来のボクシングなのかも、と思った振り回す系のボクシングをしてきました。ジャブを打たず、フィリピン人やメキシコ人によくいる自由奔放なボクシング。これは見切られてしまえばそれまでですが、純粋なボクサーである中谷を相手にすればある一定の効果が期待できるかもしれないのと、この他に突破口がないのではないか、と思います。

いずれにしろ、この試合は中谷がまた力を誇示してくれる戦いとなりそうで、この興行のメインイベントをしっかり締めくくってくれるはずです。

 

 

 

WBO世界フライ級タイトルマッチ

加納陸(大成)22勝(11KO)4敗2分

vs

アンソニー・オラスクアガ(アメリカ)6勝(4KO)1敗

意外にも、この試合は非常にオッズが競っています。

オラスクアガが-220、加納が+195とほとんど差がありません。ちなみに中谷vsアストロラビオは中谷が-2000、アストロラビオが+1480というとんでもない大差です。

これはキャリアの違い、ということもあるのかもしれません。何せ加納はオラスクアガの4倍(!!)ものキャリアを戦っています。引き出しは多いでしょう。

中谷同様、加納は27歳で28戦というのはものすごいキャリアです。(この戦績には日本デビュー前のものも含まれています)

日本でデビューする前にフィリピン、タイで戦い、そこで勝ち、すでに12ラウンズを戦って判定勝利を収めたというそのキャリアは凄まじく、このチャレンジは讃えるべきものであることは間違いありません。

 

 

 

やや急いだ感じのあったタイトルショットは、2016年にWBOアジアパシフィック暫定タイトルを獲得したのち、その次戦で高山勝成とのWBO世界ミニマム級王座決定戦でした。

この戦いに負傷判定負け、これはやはり時期尚早と言われてもおかしくはない試合でしたね。

その後もWBOアジア、日本へのタイトルマッチを叶えるも、届かず。2020年にWBOアジアパシフィック・ライトフライ級タイトル、減量苦を理由として返上したのち、2022年にWBOアジアパシフィック・フライ級タイトルを獲得しています。WBOアジアパシフィックタイトルに限って言えば3階級制覇です。

フライ級に上がってからの試合、井上夕雅戦(スプリット判定勝利した王座決定戦)や亀山大輝戦(ドロー防衛)を見る限り、本当にギリギリの試合であり、この井上にしても亀山にしてもこれまでタイトルとの絡みがあったボクサーではないわけですから、なかなか実力を計りかねるのが正直なところです。

さて、対するは我らがアンソニー「トニー」オラスクアガ。

わずか8戦目で2度目のタイトルショットというのは非常に恵まれているわけですが、それだけ期待値が高いということでしょう。

 

 

 

デビュー2戦目で元タイトルチャレンジャーのサウル・フアレス(メキシコ)戦をクリア、4戦目で無敗プロスペクトのグスタボ・ペレス(メキシコ)を撃破していますね。

あとは名のある相手との対戦経験はないですが、このオラスクアガに訪れたのは寺地拳四朗への挑戦話でした。

これは拳四朗が戦う予定だった当時のWBO世界ライトフライ級王者、ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)が直前で病気にかかり欠場のための代役挑戦者であり、オラスクアガを共同プロモートする帝拳プロモーションの勇気ある決断だったと言えます。すでに評価の高かったオラスクアガへの対戦相手への変更を受けた拳四朗サイドも英断だったとも言えますね。

この戦いは恐ろしいほどの大激闘であり、ポイントこそ拳四朗に流れていたものの、オラスクアガは期待以上のファイトを見せました。

これにより日本での知名度は急上昇することになり、オラスクアガは大きなチャンスを掴むことになりました。

↓観戦記

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拳四朗への敗戦後、日本での戦いを継続することができたオラスクアガは前戦でジーメル・マグラモ(フィリピン)を7RTKO、これはかなり危ない試合でしたね。

マグラモは中谷潤人(M.T)に歯が立たなかったこと、桑原拓(大橋)にほぼ完封されたことがあるものの、やはり強かった。特にオラスクアガとは距離が噛み合い、マグラモの強打が活きる距離であっただけにおそらく途中まではマグラモがリードしていたでしょう。

しかし結果的にしっかりと倒しきっているのだから、やはりこのオラスクアガというボクサーは素晴らしいタフネスと素晴らしいパワーを持ったボクサーです。

ひとつ気になることは、やはりこのオラスクアガは最長で9Rまでしか戦ったことがないことです。

拳四朗戦では追い詰めながらもTKO負け、これが9R0:58だそうで、ここまでが最長なのです。実質は8Rです。

ここが一番きついところ、までしか戦ったことがない、というのはかなりのマイナスアドバンテージだと思います。

 

 

 

対して加納は前述の通りプロ7戦目ですでに12Rを経験しており、この辺りのペース配分は間違いなく加納の方に分があります。

なのでほぼ間違いなく、加納は後半勝負であり、前半いくらポイントを取られたとしても最後の最後までチャンスがあります。オラスクアガが突然失速しないとも限りません。

オラスクアガは果たして前半勝負で飛ばすのか、それともマイペースを維持していくのか、作戦に迷うところ。

注目は序盤の4Rくらいまでで、もしここで加納が五分以上に渡り合えるならば、オラスクアガ危うしとみます。この前半ラウンドをオラスクアガがとったとして、そこでペースを落とすのか、そのまま行けるのか、この辺りも加納の後半勝負(たぶん)にかかってくるかもしれませんし、オラスクアガがペースを落としたとして、ポイントを持っていかれてしまうのなら本末転倒になるわけです。

考えていくと、おそらくどちらが優れたボクサーなのか、というとオラスクアガでしょう。しかしまだまだ未知の部分も多いオラスクアガにとって、加納のキャリアは大いなる障壁になりえます。

互いのストラテジーの選択が如何なるものなのか、これにより勝負はまた変わってくるのかもしれません。そういう意味において、50-50に近く、もしかするとオッズは比較的信憑性が高いのかもしれません。

これはある種、この日最も勝敗の読めない試合なのかもしれませんね。

 

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【プレビュー】ジャニベック・アリムハヌリvsアンドレイ・ミハイロビッチ!セミファイナルにL級プロスペクト、レイモンド・ムラタヤ!!

7/10(水)サム・グッドマン(オーストラリア)が世界前哨戦に勝利。

試合の中盤、左手を負傷したと伝えられるグッドマンは、果たして12月の試合に間に合うのでしょうか。これでもし試合をキャンセルしたならば、もはや言い訳にしか聞こえません。そうすれば12月にムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)と戦ってほしいですね。

ところでそろそろ9月の試合は聞こえてきそうですが、もう発表はあったのでしょうか。この記事を書いているのは7/10(水)の深夜なので、この記事がアップされる頃にはもう出ているかもしれませんね。

ともあれ、先の話をしたいのではなく、週末の話をしましょう。

国内興行も多い週末ですが、注目はジャロン・エニス(アメリカ)vsデビッド・アバネシアン(アルメニア)、そしてジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)vsアンドレイ・ミハイロビッチ(ニュージーランド)、この二つです。

エニスvsアバネシアンについてはすでに書きました。

なので今回のブログは、アリムハヌリvsミハイロビッチのプレビュー記事です。

↓エニスvsアバネシアンのプレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

7/13(日本時間7/14)アメリカ・ラスベガス

IBF・WBO世界ミドル級統一タイトルマッチ

ジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)15勝(10KO)無敗

vs

アンドレイ・ミハイロビッチ(ニュージーランド)21勝(13KO)無敗

※このメインイベントは試合中止。

「カザフ・スタイル」ジャニベック・アリムハヌリ。

IBFとWBOの統一ミドル級王者は、「ゴロフキンの後継王者」と呼ばれるのが通例でしょう。カザフスタンのレジェンドであるゲンナディ・ゴロフキン、その落陽とともに現れたカザフスタン人パンチャー、そう考えれば非常にしっくりときます。

ただ本人としてはそれをおそらく好んでおらず、インタビューでも「ゴロフキンはメキシカンスタイル、私はカザフスタイル」とその違いを強調しています。

旧ソ連圏のボクサーたちのフィジカルは恐ろしいほど強く、そのフィジカルとアベル・サンチェスのボクシングと融合させたのがゴロフキンだとすると、フィジカルと技量を融合させたのがアリムハヌリのいうカザフスタイル。このボクシングは中央アジアと東欧のボクシングの融合、とも言えるスタイルであり、それはそれで得心のいく言い方でもあります。

ただ、ゴロフキンとアリムハヌリと、どちらがよりエキサイティングで人気を博すのか、と問われれば間違いなくゲンナディ・ゴロフキン、常にフィニッシュを狙うあのスタイルであることは間違いありません。

 

 

 

そのゴロフキンですら、人気を得るのに随分と時間がかかり、ビッグマッチにたどり着く頃にはすでに全盛期を過ぎようとしていました。

その偉大な先代が作った道のりを歩めば良い、という点において、アリムハヌリは環境的にゴロフキンよりも恵まれています。

それを差し引いてもなお、やはりアリムハヌリはゴロフキンを超えることはできないでしょう。

というのが、私の持論です。

アリムハヌリのボクシングは人種の壁を超えて大きな人気が出るものではなく、よほどの人気ライバルを倒さない限りはボクシング界のメジャーシーンで輝くことはできません。そのためには今、絶妙に盛り上がりを無くしているこの階級では足りず、一つ上、もしくは二つ上の階級で戦わなければなりません。

これは例えばアリムハヌリがこの階級で4団体を統一したとしても変わらない事実でしょう。

 

 

 

今回の対戦相手、無敗で、かつ無名のニュージーランド人、アンドレイ・ミハイロビッチというボクサーに言及しても仕方のない戦いである、と言えます。

オッズはアリムハヌリが-1800、ミハイロビッチが+1080という大きな差を生んでおり、これはエニスvsアバネシアンでエニス勝利のオッズを上回るものです。

無敗とはいえこれまで強豪との対戦経験はなく、アメリカで初戦となるミハイロビッチに期待する声はほぼありません。

ただし、このことがアリムハヌリ絶対勝利と言えないところはボクシングの面白いところで、ミハイロビッチも未だ底を見せていないボクサーだからこそ、アップセットが起こることもあり得るのかもしれません。それはエニスvsアバネシアンよりも可能性としては高いのかもしれません。

私個人としては、アリムハヌリにさほど夢を見ていないのでどちらに転ぼうが良い、と思っています。

 

 

 

ただ、やはりアリムハヌリはこのレベルを相手にしているようでは、いつまで経ってもメジャーシーンに上がることはできないでしょう。ここはトップランクが何とかしてくれないものなのか。

WBA王者はエリスランディ・ララ(キューバ)、WBC王者はカルロス・アダメス(アメリカ)。

どちらも人気とも言えず、メジャーな道を歩んできたボクサーではなく、地味です。

加えてWBAとWBCの王者たちはPBCであり、アリムハヌリがこれ以上の王座統一を望むのならば、トップランクとの契約破棄も考えなければいけません。

こういう状況を考えると、アリムハヌリがスターになれる道は見えないので、やはりどこかで勝負が必要でしょう。

きっと今回も倒して勝つだろうし、それぐらいは統一王者としてやってもらわなければいけないとは思うものの、やはりこのカザフスタン人王者は、先輩カザフスタン人王者と同じく不遇ですね。

 

 

 

セミファイナルには

ローテンションでメインイベントのプレビュー記事を書いたわけですが、どちらかというとメインはこちらになるのでしょう。

何せ激戦区、かつスターボクサーが集うライト級において、世界挑戦一歩手前、しかもアメリカ人ボクサー同士の一戦。さらにはプロスペクトと元世界王者というマッチアップ。興味を惹かれない方がおかしいのです。

レイモンド・ムラタヤ(アメリカ)20勝(16KO)無敗

vs

テビン・ファーマー(アメリカ)33勝(8KO)5敗1分

レイモンド・ムラタヤの台頭をこれまでずっと楽しみにしてきました。

ライト級という激戦区において、もうすでにWBC2位、IBF4位、WBO2位という位置につけており、この試合は最後のテストマッチと言える試合となるでしょう。

何せ相手は元IBF世界スーパーフェザー級王者テビン・ファーマー、非常に負けづらいスタイルの王者です。

キャリア初期に4敗を喫していますが、その後は連戦連勝、2度目のタイトルアタックでIBF世界スーパーフェザー級王者となります。最初の世界タイトル戦は尾川堅一(帝拳)との王座決定戦で、判定負けを喫するもその後尾川のドーピング違反が発覚、ノーコンテストとなっていますね。

 

 

 

ともあれ2度目の王座決定戦で勝利したファーマーは王者となり、ジョセフ・ディアス(アメリカ)に王座を明け渡すまでに4度の防衛を果たしています。

この敗北の後、3年半近くのブランクを作りますが復帰、復帰後は格下相手ながらも3連勝を記録しています。もう、サビは落ちた頃でしょう。

戦績からも分かる通りの判定型のボクサーであり、フィジカルは強いとは言えないし接近戦も強いとは言えないですが、やはりやりづらさのあるボクサーです。

アメリカン・アイドルも33歳、おそらく反応が落ちている等はあるかと思いますが、正攻法で攻める若きムラタヤがはぐらかれないことを祈るのみですね。

ムラタヤは素晴らしい才能の持ち主で、卓越したスピードを持ち、素晴らしいコンビネーションを持ち、さらにパワーもあるというボクサー。やや荒さもあるというところがよく、完全無欠ではない美しさを感じるボクサーです。

彼の本領はおそらくコンビネーションパンチャーというところではありますが、回転力のある速いコンビネーションの中で、軽く打っているように見えつつそれがKOパンチとなり得るパワーの持ち主。

 

 

 

前戦はスリサニ・ンドンゲニ(南アフリカ)を相手に判定勝利ですが、その前はディエゴ・トーレス(メキシコ)という当時18勝(17KO)無敗のプロスペクトを8RTKOで一蹴、その前にはジェレミア・ナカティリャ(ナミビア)に2RKOで圧勝しています。

この素晴らしいパンチャーがライト級にいるのであれば、のちにジャーボンタ・デービス(アメリカ)やシャクール・スティーブンソン(アメリカ)、ウィリアム・セペダ(メキシコ)、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と戦うことになるかもしれないと思うとワクワクが止まりません。

果たしてタンクでも、このムラタヤからカウンターを取るのは一筋縄ではいかないように思います。

ということで、ここでは未だ負けてほしくないプロスペクト、レイモンド・ムラタヤ。階級的に日本人と絡みのありそうな兄、ガブリエル・ムラタヤ(アメリカ)と比べてもその才能は突出しているように思え、是非ともこのボクサーの世界戦を見たい。

ムラタヤはこの曲者、ファーマーを降して世界をアピールできるのか。

とりあえず最初の世界挑戦はデニス・ベリンチク(ウクライナ)で良いので、是非ともここはアピールできるような一戦を期待したいところです。

 

 

 

放送・配信

この興行はアメリカではESPNが中継します。

そしていつも通り、日本でのライブ配信はありません。

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【プレビュー】未来のP4P候補、ジャロン「ブーツ」エニスがDAZNに初登場!vsデビッド・アバネシアン!!

未来のパウンド・フォー・パウンド、ジャロン「ブーツ」エニス(アメリカ)。

これまでPBCで戦ってきたジャロン・エニスはこの程マッチルームと契約、そしてその初戦を迎えます。

この戦いはエニスにとってIBF世界ウェルター級王者となっての最初の試合でもありますね。

テレンス・クロフォード(アメリカ)との戦いは切望されたものであったものの、クロフォードとしては今や何のメリットもなく。クロフォードが見据えるのは先に進んだ4階級制覇であり、おそらくまだその先も見据えているかもしれません。

トップボクサーが去った後のウェルター級。

これからの主役はジャロン・エニス。

注目度の高いウェルター級において、新たな主人公となったエニス、今回のブログは週末に控えるIBF世界ウェルター級タイトルマッチをプレビュー。

 

 

 

7/13(日本時間7/14)アメリカ・フィラデルフィア

IBF世界ウェルター級タイトルマッチ

ジャロン・エニス(アメリカ)31勝(28KO)無敗

vs

デビッド・アバネシアン(アルメニア)30勝(18KO)4敗1分

ペンシルバニア州、フィラデルフィア。

このボクシング界において非常に有名なこの都市は、いうまでもなく「イタリアン・スタリオン」ロッキー・バルボアの出身地です。ちなみに若い人たちはボクシングやっててもロッキー観たことない人多いみたいですね。ア何せもう半世紀ほど前の映画です。

という話は置いておいて、いわゆるL字ガードなんていう呼ばれ方もする「フィリーシェル」というスタイルが生まれたとされるのもこの街で、とにかくボクシングとは関わりが深い。はずである。

 

 

 

そんなフィラデルフィア出身なのです。この未来のP4P、ジャロン・エニスは。

調べてみると、エニスが最後にフィラデルフィアのリングに上がったのは2018年1月のことで、6年半も前のこと。もちろん、世界王者となってからは初めてのことです。

なのでこの試合は凱旋防衛戦であり、凱旋防衛戦というのは悪魔が潜む可能性を孕んでいます。

比較的楽に思える相手を選んでの油断なのか、力みなのか、今までの歴史を鑑みても(これは特に日本人ボクサーに言えることかもしれませんが)凱旋試合というのは良いパフォーマンスを発揮できないことが多いように思います。

その部分が、エニスにとって唯一の懸念事項、ということは申し上げておきましょう。

さて、デビッド・アバネシアン。

このボクサーは2022年12月にクロフォードに挑んで6RKO負け、そして2023年12月に当時11勝55敗3分(!!!)のボクサーを相手に再起戦を飾っています。

↓クロフォードvsアバネシアンの観戦記

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そういえばこの試合はBLKプライムというプラットフォームの第一弾興行として喧伝されていたわけですが、果たして第二弾はあったのでしょうか。

この戦いはクロフォードの地元オマハで行われており、アバネシアンはとにかく王者の裏庭に行かねば世界タイトル戦に出場できないボクサーなのでしょうね。

アバネシアンは過去WBA世界ウェルター級暫定王座を獲得している元世界王者(といって良いものか)ですが、残念ながらこの戦いは興味深い戦い、といえないこともまた事実。

2018年にエギディウス・カバラウスカス(リトアニア)、2022年にクロフォードにストップ負けを喫しているのだから、当然エニスは彼を倒さなければなりません。そしてこのアルメニア人は倒されないように12Rエスケープするような心身の持ち主ではなく、万に一つのアップセットを狙ってくるでしょうから自然とこの戦いは途中で終わることが濃厚です。

エニスがどう倒すのか、が焦点。

 

 

 

オッズもエニスが-1600、アバネシアンが+1200と非常に大差で、もしアバネシアンに100ドル(約16,000円)かけてアバネシアンが勝とうものなら1,200ドル(192,000円)を手にすることができるという夢のようなオッズです。

リングに立てば50-50、ボクシングは何が起こるかわからない。

この言葉は、おそらく何も起こらないからこそ言われる言葉でもあります。

それでもなお、この試合に注目すべきなのは、ジャロン「ブーツ」エニスこそが未来のP4Pの一角である、ということを多くの識者が伝えているからでしょう。

↓2029年のP4Pキングは、ジャロン・エニス?

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

これからプライムタイムに差し掛かっていくであろうエニスには注目しておかなければなりません。ということで現在のジャロン・エニスを堪能しましょう。

アンダーカードと配信情報!

セミファイナルはWBC女子世界フェザー級タイトルマッチ、スカイ・ニコルソン(オーストラリア)vsダイアナ・バルガス(ドミニカ共和国)。

女子ボクシングはやっぱりあんまり見ないので、アンダーカードは弱いかなと思ったのですが、ライトヘビー級のプロスペクトカリー・コー(アメリカ)は注目に値するボクサーかもしれません。

鋭いジャブを持ち、パワーのあるこのボクサーは8勝(6KO)無敗1分という戦績で、前戦はヘラルド・オスナ(メキシコ)という当時20勝18KO無敗のボクサーを2RKO、今回はWBCの地域タイトル戦です。

 

 

 

他にもジャリル「メジャー」ハケットというウェルター級のプロスペクトも登場、この21歳と若いボクサーは8勝(7KO)無敗と素晴らしい戦績を持ち、まだキャリアの形成期ながらも21歳と若く、そのうち台頭してくる可能性があるので見ていて損はないでしょう。

この興行はDAZNで放映され、放送開始は日本時間で7/14(日)9:00からです。メインイベントはお昼過ぎくらいからでしょうね。

↓DAZNはこちらから

 

DAZN

 

 

 

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【プレビュー】7/20アマプラ興行、最注目は田中恒成vsジョナタン・ロドリゲス!田中はスーパーフライ級トップ戦線に切り込むか。

10days to go。

7/20(土)、Amazon Primeビデオプレゼンツ LIVE BOXING 9 まであと10日。

「ビッグマッチしかやらない」というアマプラ興行ももう9回目を数え、今の日本ボクシング界の隆盛を語るには欠かせない興行ですね。どうか100回くらいまで続いて欲しいものです。

さて、この興行も9回目を数える中で私は皆勤賞、当然今回も両国へ行きます。

この弊害は、やはりホールに通う頻度が減った(どころかほぼなくなってしまっている現状)というのは地方民だからというだけでなく、おそらく東京都民や関東近郊のボクシングファンもそうなのでしょう。最近のホールの入りは配信が多いこともあり、寂しいものです。

とまあ、脱線してしまった話を元に戻すと、このアマプラ興行で最も楽しみなマッチアップは何なのか、を考えます。

そうすると、7/9現在の私の気持ちからすれば、田中恒成(畑中)vsジョナタン・ロドリゲス(メキシコ)となりそうです。

ということで今回のブログは、アマプラ興行第9弾のプレビュー記事第1弾、田中恒成vsロドリゲスのプレビューです。

 

 

 

7/20(土)両国国技館

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ

田中恒成(畑中)20勝(11KO)1敗

vs

ジョナタン・ゴンサレス(メキシコ)25勝(17KO)2敗1分

なぜこの試合が楽しみかというと、やはりここ最近、スーパーフライ級の世界タイトルマッチが続いていることが関係してきます。

この階級で最も評価の高いボクサーはファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)をノックアウトしたジェシー「バム」ロドリゲス(アメリカ)であり、おそらくその次は井岡一翔(志成)を破ったフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)となるはずです。

ただし、破れたエストラーダも井岡も未だ階級トップの実力者であることは変わりなく、田中恒成は以前井岡にストップ負けを喫しています。

 

 

 

田中恒成は2013年11月にプロデビューし、1年も経たないうちに4戦目でOPBF東洋太平洋ミニマム級王座を獲得。5戦目、2015年5月にはWBO世界ミニマム級王座決定戦に出場し、見事にこれを獲得しています。

足早にキャリアを進める田中は、2016年12月末、WBOライトフライ級タイトル、2018年9月にWBOフライ級タイトルを獲得しています。

首都圏や近畿圏のジムと違い、注目度が求められる中部地方の雄は、あっという間に3階級を制覇することで大きな注目を集めていました。この頃の田中恒成は、攻撃偏重で怖いもの無し、若さと勢いで敵を薙ぎ倒してきたような雰囲気で、その中にはビック・サルダール(フィリピン)やモイセス・フエンテス(メキシコ)、アンヘル・アコスタ(プエルトリコ)、木村翔や田口良一、そしてジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)といった元王者やその後世界王者となったボクサーたちが含まれています。

 

 

 

時にダウンを奪われたりピンチに陥ることも経験しながら、素晴らしい戦いを繰り広げた田中恒成は、4階級制覇を目指してスーパーフライ級に進出。

そしてこのスーパーフライ級初戦で、今も語り継がれる井岡一翔戦。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

この初黒星の後、田中恒成は自分のボクシングを見つめ直し、迷走した時期もあったようですが見事復活。前戦でクリスチャン・バカセグア(メキシコ)を破って4階級制覇を成し遂げています。

しかし、この戦いは田中を応援しているファンにとって、満足のいくものでなかったのもまた事実。

とにかくこの王座決定戦は「勝利する」ことが最重要事項であり、ディフェンス面での大きな向上は見られたもののスーパーフライ級のトップ戦線に食い込むようなパフォーマンスを見せることはできず。

バカセグアは世界的には無名とも言えるボクサーでしたから、ここは倒して勝ってほしかった、というのが正直な気持ちです。この戦いの何倍も高いパフォーマンスを出せなければ、とてもじゃないですがバムやプーマの対抗馬として名乗りを挙げられません。

 

 

 

勝利することは当然として、その勝ち方、パフォーマンスが重要となる初防衛戦。

しかしジョナタン・ゴンサレスというボクサーは強敵です。

ニックネームはTitan(巨人)ですが別に大きくはない。身長は165cmで田中とほぼ変わらず、リーチは169cmと若干長いですが巨人というほどのものではありません。

このボクサーは見た目には上手いボクサーではありません。腰高で、長めの腕を振り回すタイプのボクサーであり、オーセンティックなボクサーが多い日本のボクシングファンから見れば基本がなっていないように見え、強さを感じにくいボクサーだと思います。

ただ、長めの腕を振り回す独特なリズム、腰高でぎこちないステップワークはおそらく相手のリズムを狂わせるものであり、たとえばエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)のように「整っていないから強い」というタイプのボクサーのように思えます。

世界初挑戦は2021年4月、ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)戦。

 

 

 

絶対不利の予想の中フルラウンド戦い抜き、判定負けを喫しています。

序盤から中盤にかけてアンカハスの勢いに押され、8Rにはダウンを喫して絶体絶命。しかし9Rを生き延びたロドリゲスは息を吹き返し、10〜12Rは逆転の可能性を感じる猛攻に出て評価を高めました。

前戦はちょうど1年前の2023年7月、強豪イスラエル・ゴンサレス(メキシコ)とスプリットドロー、今回の一戦を迎えます。

2度目のタイトルアタック、長らくこの階級で強敵と渡り合ってきたこと、もちろんKO負けはなく、リングマガジンのスーパーフライ級ランキングでは10位に滑り込み。

世界で10本の指に入る強敵であることは間違いありませんが、そうはいっても世界タイトルに届いていないのもまた事実。

前述の通り、田中恒成としてはただ勝利するだけでなく、勝ち方が問われる試合であり、それも多くのファンが望むのは圧倒的なパフォーマンスで倒して勝つことでしょう。このロドリゲスがそう簡単にいく相手ではない、とわかっているからこそ、このボクサーを圧倒して倒すことには大きな意味があります。それはすなわち、バムとプーマの対抗馬として名乗りを上げられることです。

 

 

 

田中恒成としてはここが正念場。

これはかなり厳しいオーダーとなると思いますが、どうかファンの望む結果をもたらしてくれることを願います。

そして願わくば、かつて田中恒成に勝利した井岡一翔が、この試合を見て「自分はまだできる」そう思って再起してくれることを願います。そう思わせるような田中のパフォーマンスに期待し、その時こそ、かつての再戦のしどきなのかもしれません。

 

 

 

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7/6ダイナミックグローブショートレビューと7/7の予定まとめ。メインは井岡一翔、王座統一戦!

7/6、ダイナミックグローブ。

帝拳プロスペクトたちが出場したこの興行は、外国人相手だったのであまり食指は動かず、ながら見でした。

第一試合、第二試合の新人王戦は非常にハイレベルの試合であり、特に第二試合の鈴木丈太朗vs佐野篤希は佐野の大逆転KO勝利に驚きましたね。

続いて登場の高見亨介(帝拳)は元タイトルチャレンジャー、ウラン・トロハツ(中国)に対して素晴らしいパフォーマンス、いよいよ次は日本タイトル戦でしょうか。王者は川満俊樹(三迫)、これは非常に注目度の高い日本タイトルマッチとなりそうです。

続いて登場の村田昴(帝拳)、この対戦相手のフィリピン人ボクサーブライアン・ジェームス・ワイルドというボクサーはかなり危険なボクサーで、ものすごい強振をしてくるボクサーでしたね。

 

 

 

ここは流石の村田、6R TKO勝利を挙げています。本来はもうちょっとちゃんと連打をまとめるとかしないと、止めてくれないかもしれませんね。ワイルドも手を出していたし、ボディは効いていたがまだ怖さがありました。

セミファイナルは衝撃、9勝(9KO)2敗1分のマイケル・カサマ(フィリピン)が帝拳ホープ金子虎旦を初回TKO。左フック1発で効かせ、その後も恐ろしいスイングでストップに持ち込んでいます。

メインイベントは岩田翔吉(帝拳)vsジャージール・トリニダード(フィリピン)。このトリニダードはサイズもパワーもあり、非常に強いボクサーでしたね。

2Rにはトリニダードの左フックを浴びて尻餅をつきかけるピンチを迎えた岩田でしたが、続く3Rにはボディを効かせ多様に見えましたし、飛び込みの左アッパーでダウンを奪取。

その後も強いボディを叩いてトリニダードのライフゲージをどんどん削った岩田は、6Rに左アッパーから左フックのアングルを変えたコンビネーションでこの試合2度目のダウンを奪取。その後もいくつものパンチを着弾させ、レフェリーがストップを宣告、岩田は6RTKO勝利でこの試合を決着させています。

非常に強い勝ち方でしたね、岩田翔吉。次は王座決定戦に出場できるか。非常に楽しみなところですね。

 

 

 

 

こうして土曜日のボクシング興行が終わり、翌7日は日本でビッグマッチ、アメリカでもライト級の注目試合。

<セペダvsカブレラon DAZN

まずは日本でも見られる海外興行としてはウィリアム・セペダvsジョバンニ・カブレラ。

セペダはメジャー4団体でトップコンテンダー、1位というのはなかなか珍しいことですが、流石に次戦では世界タイトルマッチでしょう。それにしてはかなり危険な相手を選んだわけですが、ここはセペダの快勝に期待したいところです。

このセミファイナルはリカルド・サンドバルvsアンヘル・アコスタというもので、これはフライ級のコンテンダーと元世界王者の試合であるから、当然非常に興味深いものですし、今後日本人との絡みも出てきそうです。

この興行にはジャフェスリー・ラミドも出場のようですね。急遽の代役ということなので、パフォーマンスとしてはあまり期待できないかもしれません。

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<ジェイコブスvsモズリーJr.on DAZN

こちらも日本で見られる海外興行。メインイベントはネイト・ディアスvsホルヘ・マスヴィダル。この二人はUFCの元選手なんですね。総合でやれば良いのでは?と思うのですが、なぜボクシングマッチなのでしょうか。

ともあれ、そのセミファイナルがダニエル・ジェイコブスvsシェーン・モズリーJrというもので、すでに落ち目のジェイコブスと不思議なことに復活してきたモズリーJrという対決は、真のサバイバルマッチとなるでしょう。

この戦いの勝利の先に何があるか、というと今のところ何もありません。

しかし、ここで勝たなければ今後のタイトル戦戦への絡みは難しいでしょう。

こちらはDAZN PPV、日本での価格は3,990円です。すでに名前が売れているカーメル・モートンも出場ですので、気になる方はぜひチェックしてください。

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<シャクールvsハルチュニャンは日本での配信なし>

日本で見られない海外戦は、トップランク興行、ESPNで放送されるシャクール・スティーブンソンvsアルテム・ハルチュニャンです。

シャクールは前戦、勝利すれども評価を落とした感があり、この試合ののちにフリーエージェントとなることを考えれば実績として良いパフォーマンスを見せておきたいところ。つまりは、シャクールとしては勝ち方が問われる試合となります。

ここで良い勝ち方をした上で、(本人は統一戦を望んでいますが)ウィリアム・セペダを挑戦者に迎えて欲しいところですね。

 

 

 

そしてセミファイナルはオシャーキー・フォスターvsロブソン・コンセイサン。

普通に考えれば技術戦になりそうな戦いですが、コンセイサンはもう4度目の挑戦、タイトルへの想いは強いはず。そしてフォスターは、そういった相手の熱に当てられて殴り合いをすることを厭わない、気持ちの強いボクサーです。

技術戦でどちらかが上回って終わるのか、それとも後半、打撃戦になっていくのか。

試合展開も、それぞれのパフォーマンスと試合の内容も、そして勝敗の結果も非常に気になる戦い。これが日本で見られないのは非常に残念ですね。

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<井岡一翔vsフェルナンド・マルティエンスon ABEMA

そしてこの日を締めくくるのは、7/7(日)15:45〜放送開始のLife Time Boxing Fight。

WBA・IBF世界スーパーフライ級タイトルマッチ、井岡一翔vsフェルナンド・マルティネスです。

WBC新王者、ジェシー「バム」ロドリゲスも来日し観戦するのでしょうね。そういえばバムはこの試合が終わっても後2週間ほど東京で過ごしてWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチも観戦して帰るんですかね。

7/20は帝拳プロモーションですから、ありそう。

話がそれましたが、この興行は16:20の興行開始とあります。

そこから6回戦が2試合、8回戦が3試合、セミファイナルの10回戦が1試合あってメインイベント。こう考えるとやはりメインイベントのリングウォークが20時頃、もしくはABEMA側が諸々イベントを挟んだとしても20:30頃でしょうか。おそらくメインカードの時間は決まっているので、ここが大きくずれることはあまりないでしょう。(とはいえ、トラブルにより後ろにずれることはあると思います。)

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↓ABEMAはプレミアム(月額960円)がストレスなく最適です。

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【プレビュー】シャクールの裏のライト級戦!大注目、ウィリアム・セペダvsジョバンニ・カブレラ!!

シャクール・スティーブンソン(アメリカ)vsアルテム・ハルチュニャン(ドイツ)。

シャクール・スティーブンソンは3階級制覇のビッグネームであり、アフロ・アメリカンの典型(のうちの一つ)であるボクシングスタイルは、やはり崩しにくい。

ハルチュニャンがこのシャクールに勝てるイメージというのはなかなか湧きません。

別にここでハルチュニャンを応援している、というわけではないので、ここはシャクールにスカッと勝ってもらって、その次の試合を楽しみにしたい、と思います。

シャクールの次、というのは、誰でしょうか。

それは、同じ日にカリフォルニアでリングに立つ、WBA、WBC、IBF、WBO世界ライト級トップコンテンダー、ウィリアム・セペダであるべきです。

ということで今回のブログは、シャクールvsハルチュニャンの裏で行われる、ウィリアム・セペダvsジョバンニ・カブレラのプレビュー記事です。

 

 

 

7/6(日本時間7/7)アメリカ・カルフォルニア

ウィリアム・セペダ(メキシコ)30勝(26KO)無敗

vs

ジョバンニ・カブレラ(アメリカ)22勝(7KO)無敗

この戦いはウィリアム・セペダにとって世界前哨戦とも言える試合。

セペダは前述の通り、WBA、WBC、IBF、そしてWBOのランキングでトップコンテンダー、1位という座にいる、世界が認めるトップコンテンダーです。

WBAとIBFでは指名挑戦資格を得てはいますが、一体どの王者に挑戦するのかはまだわかりません。

ただ、誰が試合を組みやすいのか、というとWBCかWBOになりそうな予感はありますね。

セペダはオスカー・デ・ラ・ホーヤ率いるゴールデンボーイ・プロモーションでプラットフォームはDAZN。タンク・デービス(PBC系/Amazon)、ロマチェンコ(TR/ESPN)は交渉が難しそうで、デニス・ベリンチク(K2/ESPN)はプラットフォームこそ違えど比較的交渉は容易に思え、シャクール・スティーブンソンに至っては今後フリーエージェントとなり、うってつけではないでしょうか。かなりの報酬をせがむでしょうが、そこはDAZNパワーでなんとかしてほしいところですね。

 

 

 

もう長くトップコンテンダーの位置にいるセペダには、この次こそは世界タイトルマッチであってほしいと思いますし、願わくばシャクールに挑戦してほしい。

このような状況のセペダが、「世界前哨戦」として安牌な相手を選び、少なくとも試合勘が鈍らないように試合を組む、これは十二分にわかるムーブメント。

しかし、この「カマロン」(=エビ。どういうニックネーム??)というニックネームのボリュームパンチャーは本当の戦士であり、この段階においても調整試合なんていうものとは全くの無縁であることがわかるマッチアップです。

2015年のプロデビュー以来、メキシカンホープらしく短期間でキャリアを形成してきたセペダは、2020年頃からメキシコを飛び出してアメリカのリングへ。そこでロベルト・ラミレス(メキシコ)やヘクター・タナハラ(アメリカ)といった当時のプロスペクトたちを次々とノックアウト、2022年には元王者のレネ・アルバラード(ニカラグア)をクリア。

続いて同じく元王者のジョセフ・ディアス(アメリカ)を退けると、ハイメ・アルボレダ(パナマ)、メルシト・ゲスタ(フィリピン)をノックアウト、前戦ではジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)と互角の戦いを演じたマキシ・ヒューズ(イギリス)をたった4Rで「ノー・マス」。

 

 

 

前に出て、とにかく旺盛な手数で攻め続ける。そのパンチは見た目にはパワフルには見えませんが、このKO率を見ればそのパワーは一目瞭然、ノックアウトアーティストとは呼べませんがとにかく倒す術を知っている、ノックアウト職人です。

彼を形容する言葉に「ボリュームパンチャー」という言葉がありますが、この言葉はセペダにぴったりの言葉です。

そんなボリュームパンチャー、ウィリアム・セペダから全てを奪わんとするのが、ジョバンニ・カブレラ。

このカブレラは、名前からしてもちろんヒスパニック・アメリカンで、その戦い方はなかなかに独創的です。

真正面に立つことも多いですが、どっしりとした構えでパンチを振り抜くタイプではなく、どちらかというとコンビネーションの部類。

ステップワークが上手いとは言えないドタバタのフットワークですが、リーチがあり、非常に勘が良いのとわかりづらいですがおそらく距離感がよく、相手にとっては非常にやりにくいタイプのボクサーだと思われます。こういうのは実際に向かい合ってみないとわかりづらいものです。

 

 

 

キャリア最大の勝利はガブリエル・フローレスJr(アメリカ)とのプロスペクト対決でしょう。私自身も3度のダウンを奪っての廃帝勝利を挙げたこの戦いでこのカブレラの存在を知りました。

その後、このカブレラはイサック「ピットブル」クルス(メキシコ)と激突。

クルスの強打を浴びながらもコンビネーションで反撃する、という展開で、獰猛なピットブルを相手にフルラウンドを戦い抜きスプリットの判定負けで初黒星。タンク・デービス戦での敗戦後、クルスはこのカブレラだけはノックアウトできませんでした。

先にこのカブレラの特徴を「やりづらい」と挙げましたが、これはメキシコにたまに現れるヘタウマな感じに近く、ただそこまで変則的ではありません。真正面に立つからこそ被弾も多いのですが、何といってもクルスのあの獰猛なパンチをフルラウンド受け続けたにもかかわらず、倒されなかったという無類のタフネスを保持しています。

クルス戦後、復帰戦をクリアして今回のセペダ戦。勝てば、一気に世界挑戦が見えます。ここは気合が入るところでしょう。

ウィリアム・セペダ、なんという強敵を世界一歩手前で選んだのか。

 

 

普通に考えれば待っていれば世界タイトル戦を迎えられるにも関わらず、やはり彼に流れるアステカの血がそうさせるのならば、彼は本物の戦士であり、応援せざるを得ません。

そしてのちにシャクールと戦い、勝利し、メキシカンによく似合うWBCのベルトを巻く姿を見たい。

シャクール・スティーブンソンが故郷のニューアークに登場するその日、裏で行われるこの試合には、そういう意味もあってほしい。

ちなみに気になって調べたら、セペダの「カマロン」(=エビ)というニックネームは、子供の頃すぐに日焼けして、茹でたエビのように見えたかららしい。リングに上がっても子供の頃のニックネームでそのまま呼ばれ続けるのは、カネロらと一緒ですね。

 

 

 

リカルド・サンドバル(アメリカ)24勝(17KO)2敗

vs

アンヘル・アコスタ(プエルトリコ)24勝(22KO)4敗

この素晴らしいメインイベントをサポートするセミファイナルは、これまた非常に興味深い一線です。

非常に珍しいアメリカのフライ級は、もちろんヒスパニック・アメリカン。

リカルド・サンドバルはまだ25歳という若さですが、早くから世界ランクに顔を出しており、きっとそのうちに日本人ボクサーと絡むことがあるのだろう、と思っていたボクサーです。

プロデビュー5戦目で初黒星を喫しますが、その後は連戦して連勝、近場では軽量級の産地であるメキシコでキャリアを積んでいます。

2021年、元タイトルチャレンジャーのジェイ・ハリス(イギリス)を8Rでノックアウトし、次戦では通算6度もタイトルに挑戦したカルロス・ブイトラゴ(ニカラグア)に7RTKO勝利。

その勢いを駆ってWBO世界フライ級の挑戦者決定戦に出場、ここでデビッド・ヒメネス(コスタリカ)に惜敗しています。

 

 

 

このヒメネス戦はどっちが勝ってもおかしくないような試合であり、アメリカ開催の地の利を考えればサンドバル勝利か、と思えた試合でした。このヒメネスが結局WBA王座に挑み、アルテム・ダラキアン(ウクライナ)を相手に好勝負を演じ、さらにのちにはジョン「スクラッピー」ラミレス(アメリカ)を破ってWBA世界スーパーフライ級暫定王座についているから、やはりこのサンドバルは世界トップクラスで間違いがありません。

その後4連勝したサンドバルは、世界王座への最後の資金石とも言えるアンヘル「ティト」アコスタ戦を迎えます。

アコスタについてはもう全く説明が不要で、この階級でとんでもないKO率を誇る怪物パンチャー。

2017年、全勝全KOの戦績を提げての田中恒成(畑中)挑戦は失敗に終わるも、その田中が返上した王座を決定戦で獲得。王座獲得試合も含めて3度の防衛戦はいずれもノックアウト防衛でしたが、4度目の防衛戦でエルウィン・ソト(メキシコ)に敗れます。これはいまだに信じられないことですが。

 

 

 

その後は中谷潤人(M.T)の持つWBO世界フライ級タイトルに挑戦するも4RTKOで敗北、再起戦を挟んでアンジェリーノ・コルドバ(ベネズエラ)にも惜敗。コルドバはその後フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)を相手に善戦したボクサーですね。

コルドバ戦は見ていませんが、ポイント差は2人のジャッジが1ポイント差、ほぼ互角の戦いだったのでしょう。

詰まるところ、まだまだ力を有しているであろう元世界王者、ここをクリアして世界挑戦することがこのサンドバルに課された使命です。

WBAで3位、WBC、WBOで6位、IBFで14位。

すでに上位の世界ランクを持つリカルド・サンドバルは、次戦が世界朝鮮でも全く驚きません。

この戦いには、WBCのシルバータイトルが掛けられるとのことなので、現在空位となっているWBC王座が埋まった後、挑戦できるのかもしれません。

 

 

WBCの空位の王座は、まだ正式発表こそありませんが寺地拳四朗vsフランシスコ・ロドリゲスJrとなる予定。この王座に挑戦するなら、勝者は日本に来る可能性がありますね!

アンダーカード、配信情報!

このアンダーカードで注目に値するボクサーは、マヌエル・フローレス(アメリカ)。25歳、17勝(13KO)1敗という好戦績のプロスペクトの相手は、ノエル・アランブレット(ベネズエラ)というボクサーです。もちろんあのアランブレットとは別人。なんだかやけに懐かしい名前ですね。

そのほかにもゴールデンボーイが力を入れている?「エル・アメリカーノ」というニックネームを持つジョシュア・ガルシア(アメリカ)という21歳のボクサーも登場。日本でもお馴染みのジェイソン・ブエナオブラ(フィリピン)との6回戦ですね。

配信はDAZNで生配信、配信時間は7/7(日)9:00から、メインイベントはお昼頃でしょう。

↓DAZNはこちらから!

DAZN

 

 

 

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【プレビュー】シャクール・スティーブンソン最後のTR興行!本当の注目はセミファイナル、フォスターvsコンセイサン!

週末のビッグファイトは何でしょう。

6月の終わり、ジェシー・ロドリゲスがとてつもないパフォーマンスでファン・フランシス・エストラーダをノックアウト。

ガジョと呼ばれたメキシコの雄鶏は、かつてほどのタフネスを見せられず、ライジングスターに撃沈されました。

クアドラス、シーサケット、そしてエストラーダ。かつてスーパーフライ級を牛耳った4強のうち、残るはローマン・ゴンサレスのみですが、バムがロマゴンと対戦する可能性は高くはないでしょう。

というような記事が出ているわけですが、海の向こうで井岡に言及する記事はほとんど見当たりません。これは思いの外寂しいもので、是非ともマルティネスとの統一戦に勝利し、世界を注目させてほしいものです。

↓井岡vsマルティネスのプレビュー

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そんなわけで国内の注目といえば井岡vsマルティネスですが、海外でもたくさんの興行が行われる7/7(日)。

その中から、「最も楽しみ」というわけではないが、一応注目度としては最も高いであろうシャクールvsハルチュニャンをプレビュー。

7/6(日本時間7/7)アメリカ・ニューアーク

WBC世界ライト級タイトルマッチ

シャクール・スティーブンソン(アメリカ)21勝(10KO)無敗

vs

アルテム・ハルチュニャン(ドイツ)12勝(7KO)1敗

ニュージャージー州、ニューアーク。

この都市は、シャクールの生まれ故郷です。

プルデンシャル・センターというこのニューアークにある会場は、シャクールが吉野修一郎と戦った会場であり、ここでロブソン・コンセイサンとも戦っているので、もはやシャクールのための会場といえます。

たまの凱旋防衛ではなく、ここ4戦中3試合を地元で戦うというのはなかなかすごい。地元以外で人気がないのか何なのか。

あっという間に3階級を制覇したシャクールは、ライト級に上がっての初戦が吉野戦であり、この試合では力強さを見せていました。

 

 

 

3階級目は一味違うのか、とも思いましたが、王座決定戦となったエドウィン・デ・ロス・サントス戦ではいつも以上の塩試合。シャクールはやはりシャクールでした。

今回の対戦相手、アルテム・ハルチュニャンというボクサーは圧倒的なパワーを持っているわけではありませんが、旺盛な手数を持つボクサーです。

この手数というと荒っぽく聞こえるかもしれませんが、ヨーロピアンスタイルともいうべき綺麗なボクシングをするし、流れるようなコンビネーションもいちいち角度が決まっており、非常に質の高いボクサーです。

逆にいうと意外性は少ないように思え、果たしてシャクールを崩せるか、というと難しいような気がします。

この手数が多く、接近戦に強いハルチュニャンに対し、シャクールが接近戦を挑むとは考えづらい。普通に考えれば触れさせないアウトボクシングで塩漬けにするのが最も容易に勝利を収める方法でしょう。

しかし、今戦はシャクールにとっても大きな大きな分岐点となりえます。

もし、シャクールが完全な安全策をとり、サントス戦と同様に36分間に65発しかパンチを当てなかったとするならば(ちなみにサントスのヒットはたった40発、これはCompuBox始まって以来の最低数値)、シャクールにはもはや未来はありません。

 

 

 

シャクールはこの試合を最後にトップランクとの契約を解消、フリーエージェントになります。

そうなると待っているのは試合枯れ、どんなにシャクールが「自分がNo.1」と捲し立てても戦ってくれるボクサーはいなくなってしまうのではないでしょうか。

なのでこの試合、シャクールは「スーパースターだということをわからせる」戦いをしなければなりません。それは、フランク・マーティンが倒せなかったハルチュニャンをノックアウトすることです。

シャクールがどんなパフォーマンスを見せ、どのような未来に繋げるのか。この試合は、このことに注目して見たいと思います。

 

 

 

WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ

オシャーキー・フォスター(アメリカ)22勝(12KO)2敗

vs

ロブソン・コンセイサン(ブラジル)18勝(9KO)2敗1分

とかなんとか言いつつ、実はメインよりも本当に楽しみなのはこのセミファイナル。

憎きレイ・バルガス(メキシコ)をアップセットで降して王者となったフォスターは、初防衛戦で敵地に乗り込み、自分のボクシングをかなぐり捨てて最終回TKOでエドゥアルド「ロッキー」エルナンデス(メキシコ)に大逆転勝利。

2度目の防衛戦ではエイブラハム・ノバ(アメリカ)から最終回にダウンを奪っての判定勝利、スタイル的にはエキサイティングではないはずですが何やらジェットコースター的な面白さを持ったボクサーです。

プロモーターに守られるプロスペクトの道を外れてしまったフォスターですが、自力で見事に復活した様は非常に応援したくなる道程であり、ジョー・コルディナ(イギリス)が負けてしまった今となってはこの階級で一番の推しです。

↓フォスターのキャリアはこちら

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しかし、なんと言っても相手がロブソン・コンセイサン。

ブラジル人として初めてオリンピックのゴールドメダリストとなったロブソン・コンセイサン。日本でいえば桜井孝雄。

そのキャリアは悲劇的で、初のタイトル挑戦ではオスカル・バルデス(メキシコ)を相手に判定勝利、かと思いきやのメキシカン判定による敗北。

2度目の挑戦では、挑んだ王者シャクールがウェイトオーバー、変則タイトル戦となった上に敗北。

3度目の挑戦では、多くのラウンドを支配するも2どのダウンを奪われてのマジョリティドロー、ここでも戴冠はならず。

シャクールに負けたのは仕方がないとしても、バルデス、ナバレッテには勝利していたともみえる戦いだったので、なぜ、このボクサーがまだ戴冠を果たせないでいるのかは非常に不思議なところです。

なので今度こそは、とも願うものの、この戦いはどちらにも勝って欲しい戦いであり、個人的にはやはりどちらも応援できない戦いです。

だからこそ楽しみであり、どちらが勝っても負けても嬉しさも切なさもある、これぞボクシングの奥深さが残る試合になるのでしょう。

 

 

 

両者共に中間距離で戦うボクサーで、高い技術を誇るだけに予想としては技術戦。

ただし、フォスターはここ数戦でその気持ちの強さを存分に見せています。劣勢になっても盛り返す力のあるボクサーは需要があり、つまらなくなってしまうメインイベントを補う形でこの興行に組み込まれたのではないか、と推察しています。

対するコンセイサンも、ナバレッテ戦で勝利への執念をみせ、自分のボクシングをかなぐり捨ててナバレッテへと迫っていました。あの戦いは、3度目の正直、タイトルへの執念を大いに見た気がします。

そこで実らなかったコンセイサンの執念は、4度目のタイトル挑戦となり、もっと燃え上がっているのではないでしょうか。

つまり、この試合は熱くなります。

スタイル・メイクス・ファイト、と言いますが、この戦いはスタイルの外でファイトが作られるかもしれません。

お互いがこれまで培ったものをかなぐり捨てて、勝利への執念を燃やす、そんな戦いが見られるのではないでしょうか。

 

 

 

次期挑戦者は?

この戦いの行方が気になるのは、ただ二人の素晴らしいボクサーが戦うから、というだけではありません。

WBCスーパーフェザー級の次期挑戦者は、力石政法です。

この力石は、このほど大橋ジムへの移籍を発表しています。

これは素晴らしいことだと思います。

3150FIGHTとの契約解消、そしてマッチメイクに定評のある大橋ジムへの移籍。

力石は先日までWBC2位でしたが、最新ランキングでは3位に交代。2位にはエドゥアルド・エルナンデスが入っています。(1位にコンセイサン)

謎すぎるメキシカン贔屓が炸裂しているわけですが、多少強引にでも世界戦を組むことができる大橋ジムのバックアップを受けられるなら安心です。

力石は10月に移籍初戦を戦い、その次が世界戦という予定だそうです。

その相手がフォスターなのか、コンセイサンなのか、はたまた別の団体の王者なのか。

いずれにしろ、日本人としてはこの階級で頭一つ二つ飛び抜けているのは間違いありません。

今後のスーパーフェザー級の動向に注目していきましょう。

 

 

 

アンダーカードと配信情報

この興行はトップランク興行であり、アメリカではESPNが生中継です。

メインカードは3試合で、上記ダブルヘッダーの他、キーショーン・デービス(アメリカ)がミゲル・マドゥエノ(メキシコ)と対戦。

マドゥエノというボクサーは、31勝(28KO)2敗という素晴らしいキャリアを持つボクサーで、2つの敗戦は元王者のジェスレル・コラレス(パナマ/内山高志からタイトルを奪う)、タイトルチャレンジャーのスティーブ・クラゲット(カナダ/つい先日テオフィモに挑戦)の2敗のみ。そして素晴らしいKO率を誇っています。

WBC、IBF、WBOのランキングで3位というキーショーン。ここに勝てばシャクール挑戦もあり得るのでしょうか。ライト級の新星は、遅くとも来年のうちにはタイトルショットを迎えるのでしょう。これもまた楽しみです。

 

 

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【プレビュー】七夕決戦 in 両国国技館!井岡一翔vsフェルナンド・マルティネス、階級最強へ続く一戦!!

素晴らしい試合だった、というよりも素晴らしいパフォーマンスだった。

非常にアクションが多く、ここまで階級最強の評価を得ていたファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)に対し、想像以上に上回ったというイメージのあるニューキング、ジェシー「バム」ロドリゲス(アメリカ)。

エストラーダの優遇ぶりは目に余るものがあったのは事実ではあるものの、長らくこの階級を牽引し、HBOが「SUPERFLY」なる興行を打って軽量級に注目させたことはこのエストラーダあってのこと。ローマン・ゴンサレスだけではそうはいかなかったはずです。

「レジェンドスレイヤー」という新たな称号を得たバムは、クアドラス、シーサケットに続いてエストラーダに完勝、続いての標的はタイトルホルダーではないチョコラティートではなく、井岡一翔でしょう。

▶︎▶︎エストラーダvsロドリゲスの観戦記はこちら

 

 

 

このスーパーフライ級において、今最も評価が高いのは間違いなくこのジェシー・ロドリゲス。もともと評価の高かったロドリゲスは、アメリカ国籍であることも相まって軽量級ながらもP4Pキングになるポテンシャルを秘めていますし、現に2029年のP4Pランキング予想ではジャロン・エニスに次いで2位につけています。

▶︎▶︎2029年のP4Pランキング予想

そしてこのバムの快進撃を阻める者がいるとすれば、井岡一翔(志成)しかいないでしょう。

ということで今回のブログは、いよいよ週末に迫った井岡一翔vsフェルナンド・マルティネスの世界スーパーフライ級王座統一戦のプレビュー記事。

 

 

 


7/7(日)Life Time Boxing Fight

WBA・IBF世界スーパーフライ級王座統一戦

井岡一翔(志成)31勝(16KO)2敗1分

vs

フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)16勝(9KO)無敗

マスター、井岡一翔。

日本の大晦日ボクシングというのは世界的にも非常に有名であり、多くの軽量級ボクサーがその場に立ちたいと願う興行です。

その年を締めくくる興行のメインイベントを長く任されてきた井岡一翔は、まごうことなき日本のトップボクサーです。

長く第一線で活躍してきたそのボクシングは非常に緻密であり、ボクシング競技、体の使い方を本当によく理解しており、マスターと呼ぶに相応しい技巧を持っています。

井上尚弥がプロデビューする1年半以上前にはすでに世界王者となっている、このことを考えればいかに長く、このボクサーがトップ戦線で戦い続けているかを物語りますね。

4階級を制覇し、すでに手に入れられる全てを手にしているかと思う井岡にとって、最後に残るのは「階級最強」という称号であり、それを求めたが故の「エストラーダとやりたい」ということだったのでしょう。

 

 

 

前戦は昨年の大晦日、ホスベル・ペレス(ベネズエラ)を7RでKO。前々戦でジョシュア・フランコ(アメリカ)から奪った王座の初防衛に成功しています。

この勝利は井岡の久々のKO勝利であり、振り返ってみれば2020年の大晦日に田中恒成(畑中)を退けて以来のもので、実に3年ぶり。

格下相手とはいえこの快勝は、未だ力のあるところを見せつけてくれたから非常に心強い。

田中恒成との戦いの後、リアルタイムで見ている時は全くそうは思わなかったですが、比較的後手に回ることが多く、待ちのスタイルとなった井岡。田中戦での快勝がもたらした若干のスタイルチェンジは、おそらく井岡の性に合ったものではあったものの、見栄え的にはポイントを取りづらくし、それによりフランシスコ・ロドリゲスJr(メキシコ)戦での苦戦や、ジョシュア・フランコ第一戦のドローに繋がったと思われます。

このロドリゲスやフランコは、井岡としては相性の良い相手ではありませんでした。

しかしロドリゲスにはしっかりと勝利しているし、フランコにも再戦で完勝、この二人と似たタイプと言って良いマルティネスを相手にすれば、この経験は生きてくるはずです。

そんなマスター井岡の相手は、アルゼンチンの雄、フェルナンド「プーマ」マルティネス。

 

 

 

非常に獰猛なこのファイターは、アルゼンチンボクサーにありがちなタフネスと手数とアグレッシブネスを持つボクサーであり、ノーマークからあのジェルウィン・アンカハス(フィリピン)を2度に渡り破り、さらに2度目の防衛戦では非常に評価の高かった無敗のジェイド・ボルネア(フィリピン)を11RTKOで屠っています。

フィリピンのプロスペクト、ボルネアは世界王者を確実視されていたボクサーです。

タイトルを取っている、というだけでなく、紛れもない実力者であるプーマ・マルティネス。そのボクシングは非常に小気味よく、旺盛な手数とリズムを持っており、かつ、駆け引きがあまり通じないタイプであることから、井岡としては相性は良くない相手といえます。

今回、井岡は打ち合いを辞さず、とのこと。

ずっと打ち合うわけではないはずですが、効果的な打ち合いのポイントは確実に出てくるし、アウトボクシングというわけではない井岡が12Rに渡りプーマのプレッシャーを躱し続けるわけもありませんから、やはり要所では打ち勝たなければいけません。

マルティネスの踏み込みは鋭く、遠くから飛んでくるのは非常に厄介ですから、その強い踏み込みができない微妙な距離で戦いつつ、勢いづかせないところでの打ち合いが必要でしょう。

そして、パワーではなく技術で打ち勝つ、そんな戦いができれば井岡に勝機が見えてきそうですね。

 

 

 

逆にマルティネスの勢いに押されると井岡は危ないし、思いの外パワーに差があればこれまた危ない。打ち合いというプランも崩れてしまいます。

とはいえ、キャリアは大きく井岡が上。マルティネスの16戦を上回る世界戦を戦っている井岡、ここはキャリアの差を見せつけての勝利を願いたい。

その先にあるもの

井岡には絶対に勝って欲しい。

個人的にはいつも以上にその思いが強いかもしれません。

井岡は散々「エストラーダとやりたい」と発信してきましたし、例えば中谷潤人や田中恒成との再戦には目もくれませんでした。

そしてエストラーダが負けてしまった今、何を語ったか、というと、

「バムと3団体統一戦をやりたい」

です。

ここであくまでもエストラーダ戦、という選択肢もあったわけですが、井岡が目指すのは評価の高い選手を倒すこと、だということが明白となりました。

 

 

 

彼は、「エストラーダ」を求めていたのではなく、「世界的に最も評価の高いボクサー」を求めていた、当然のことながらもこのことが本当に素晴らしいことだと思います。

間違いなく、井岡一翔というボクサーはグローブの吊るし時を求めていると思います。

この日本ボクシング界に本当に大きな貢献をしてくれたボクサーの花道が、未来のP4Pであるのならば、こんなにも嬉しいことはありませんね。

そして冒頭に語ったように、「今の」バムの勢いを止められるとするならば、この井岡一翔以外には考えられません。

エストラーダは無理でしたし、無理だろう、と思っていました。

もしチョコラティートがこの階級に留まったとしても、バムを相手にするのは難しいでしょう。

しかし、井岡ならば可能性があります。

エストラーダもロマゴンも、近接戦闘型のファイタータイプであり、そうなるとバムは近い距離でのサイドステップ、それもあのサウスポースタンスから素晴らしいアングルでのフック、アッパーを決めてしまいます。

 

 

 

井岡のように間合いを作れるボクサーであれば、あのサイドステップは至近距離から少し空間が開くことで見えやすくなる、という利点があります。あのステップに対応できそうなのは、エストラーダでもロマゴンでも、ましてやフェルナンド・マルティネスでもありません。井岡一翔だけなのです。

ともあれ、ロドリゲスはエストラーダの再戦に進むかもしれないので、実現したとしても来年か。いずれにしろ、井岡はここに勝利して、バムとの統一戦に進んでもらいたいものです。

アンダーカードと配信情報

当初、アンダーカードには比嘉大吾(志成)の名前がありました。

このアンダーカードで、WBC(だったかな?)の世界挑戦者決定戦に出場、というのが確か噂レベルのニュースだったかと思います。

しかしその後の世界ランク発表において、比嘉はWBOのトップコンテンダーとなったことが知らされました。

この比嘉の試合の有無、というのは、WBO世界バンタム級王者、武居由樹(大橋)への挑戦有無に直結します。

 

 

 

しばらく経った後のアンダーカード情報では、比嘉の名前はなく、代わりに堤聖也(角海老宝石)の名前が。

比嘉はWBO世界挑戦に舵を切ったらしく、興行への助っ人として堤が名乗りをあげたようですね。

ということで、堤聖也は5戦しかしていないタイ人とのマッチアップ。急遽見つけてきた相手でしょうし、こればかりは致し方ありません。万が一がないようにだけして、良い勝ち方をしてもらいたいところです。

配信はABEMA、開始は15:45〜です。16:20の試合開始のようですので、全試合生配信ですね。これは是非見なければいけない戦い、楽しみにしましょう。

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【プレビュー】テオフィモ・ロペスvsスティーブ・クラゲット!ロベイシー・ラミレス復帰戦!トップランクのマイアミ興行!!

6/25(火)、大橋蓮、田中将吾、田中空、といった元トップアマと、坂井優太(いずれも大橋)という井上尚弥の正統後継者がプロデビュー。

そして6/27(木)には志成ジム興行で吉良大弥(志成)、由良謙信(志成)がプロデビューを飾ります。アマチュア人材の流出、などという人もいるのかもしれませんが、アマで実績を残したボクサーがプロボクシング転向というのは非常に健全な流れであり、その中でもアマチュアボクシングを選ぶボクサーがいるというのも良い流れでもあります。

ことオリンピックイヤーには、こういったアマチュアボクシング界の大物のプロデビューというのは多くなって当然のこと。

ということで今週はこれらのボクサーのプロデビュー戦ーといっても見応えのある試合になりそうだったのは田中将吾くらいのもので、それはまた期待に違わない好ファイトだったーを楽しみつつ、週末のファイトに思いを馳せましょう。

ということで今回のブログは、週末の注目ファイトの一つ、テオフィモ・ロペスの登場について。

 

 

 

6/29(日本時間6/30)アメリカ・フロリダ

WBO世界スーパーライト級タイトルマッチ

テオフィモ・ロペス(アメリカ)20勝(13KO)1敗

vs

スティーブ・クラゲット(カナダ)38勝(26KO)7敗2分

スーパーライト級。

日本ではなかなか手が届かない階級ですが、意外にもこの階級には歴代で3人の日本人ボクサーがタイトルホルダーとして名を連ねています。

藤猛、浜田剛史、平仲明信。

そして平仲の陥落後、30余年に渡り日本人の世界王者は生まれていません。

そんな日本人から遠い階級で、その絡みも未だ難しい中ですが、それでもこの階級は現在17階級(そろそろ18階級というべきか)の中で最も注目に値する階級です。

その王座の一角を担うのがテオフィモ・ロペス、ホンジュラスをルーツにもつラテン気質の気分屋ながらも、センスあふれるカウンターパンチャーです。

「TakeOver」のニックネームを持つ華のあるボクサー、テオフィモ・ロペス。

 

 

 

2019年に中谷正義を退けてIBF世界ライト級の挑戦権を獲得、「時期尚早」と言われながらも当時の王者リチャード・コミー(ガーナ)を右カウンターで仕留め、もっと「時期尚早」と言われながらも当時の絶対王者、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)との統一戦にコマを進めます。

フィジカル、パワー、サイズに勝るロペスは、ひたすら待ちの戦法を試み、これがロマチェンコにビタッとハマってロマチェンコはロペスに対して攻め入ることができず、結果ロペスの判定勝利。

これでライト級3団体統一王者に輝いたロペスは、世界中がコロナに怯える中、この世の春を満喫していました。

しかしその1年後、伏兵ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)にまさかの判定負けを喫してあっさりと王座から陥落、その後はスーパーライト級にあげてペドロ・カンパ(メキシコ)と調整試合を行い、サンドール・マーティン(スペイン)に辛勝。

超微妙なパフォーマンスが続く中でしたが、同級の元4団体統一王者、ジョシュ・テイラー(イギリス)にはこれまでのベストパフォーマンスを見せての勝利でWBO王座を獲得すると、続く初防衛戦ではジャーメイン・オルティス(アメリカ)を相手に眠気を催す試合展開で勝利。

 

 

 

なんかこう書くとロペスの凄さって一体なんなんだ。。。と思ってしまうほど、良いパフォーマンスを見せた数は少ない。

とはいえ、やはりコミー戦の残忍なカウンターショット、ロマチェンコ戦では(ロマチェンコ応援という立場から見た)怖さ、そしてテイラー戦での素晴らしいパフォーマンス。これらは間違いなくロペスの素晴らしい才能を確信させるものであり、リングマガジン王者としての名誉に恥じないものです。

だからこそ、このスティーブ・クラゲットなる世界的には無名のボクサーに苦戦をしてはいけないし、久々のKO勝利を期待したいところ。

このクラゲットというボクサーは、映像を見る限り、ガードを固めて前進するタイプのファイター。ガードは確かに固く、7敗中KO負けは1度とあってブロッキングやウィービングは良いのでしょうが、驚異的なほどのパワーは感じず、35歳という年齢も相まってやはりロペスからすると明らかな格下と言って良いでしょう。

ここで良いパフォーマンスを見せれない、というのがロペスであるとも言えますが、さすがにここはクラゲットが打ってくるところにカウンターを合わせてくれるはず。

結局のところ、テオフィモ・ロペスというボクサーは不思議なボクサーです。

 

 

 

「Takeover」という単語には、引き継ぐとか引き受けるという意味のほか、奪い取る、乗っ取るみたいな意味もあるようです。

ロペスが実力を発揮する時というのはまさに奪い取る時であり、それは例えばコミーからタイトルを奪い取る時であったり、ロマチェンコからその名声を奪い取る時であったり、テイラーからタイトルを奪い取る時です。

今回、スティーブ・クラゲットに勝利してロペスが何を奪い取れるのか?と考えると、それはほとんど無いに等しい。

ロペスにはもっと大きな舞台を用意すべきでしょう。

が、少なくとも、この戦いは圧倒的なKO勝利で終えてほしい。

 

 

 

ロベイシー・ラミレス(キューバ)13勝(8KO)2敗

vs

ブランドン・レオン・ベニテス(メキシコ)21勝(9KO)2敗

この戦いがセミファイナル。なのでしょうか??多分そうでしょう。

五輪2大会連続金メダリスト、ロベイシー・ラミレスは昨年12月にラファエル・エスピノサ(メキシコ)に敗れタイトルを奪われています。

エスピノサはつい先日、セルヒオ・チリノ(メキシコ)を相手に圧倒的なパフォーマンスで初防衛戦をクリア、さらに評価を高めているといえます。

このエスピノサとの再戦を目指すラミレスの復帰戦は、ブランドン・レオンというメキシカンですね。

このブランドン・レオンというボクサーは完全にノーマークで、体の良い噛ませ犬、と思っていましたが、どうやらそうでも無いかもしれません。

まず、21勝2敗と好戦績のメキシカンであり、2つの敗北も当時無敗のボクサー。そのうち一つはあのジェイソン・マロニー(オーストラリア)に大善戦したサウル・サンチェス(メキシコ)です。さらにその後のキャリアで元世界王者シュ・ツァン(中国)に勝利してステップアップ、WBOの下部タイトルを獲得しています。

 

 

 

ラミレス危うし、とは言わないまでも、アップセットを目指している、失うものがないメキシカンというのは怖い存在です。

ラミレスもいわゆる「ポカ負け」をしてしまうボクサーだけに、やや不安はありつつも、テオフィモほどの好不調の波はありません。優れたスキルを持って、このメキシカンをシャットアウトするはずではありますが、復帰戦ということも手伝ってちょっと怖いところですね。

ラミレスの世界戦線復帰に思いを馳せ、この戦いを楽しみましょう。

アンダーカードと配信!!

フロリダ州はマイアミ、南国で行われるトップランク興行。

アメリカではESPNが放送も、日本での放映の情報はありません。

この興行のアンダーカードには、ニコ・アリ・ウォルシュ(アメリカ)vsソーナ・アカーレ(アメリカ)のリマッチがセット。二人は2023年8月に戦い、アカーレが空気を読むことなくアリ・ウォルシュに対して判定勝利、互いに1戦はさんでの再戦となります。

アリはここで勝利し初戦での負けを帳消しにしたいのでしょうが、果たして。

そのほかにはエルビス・ロドリゲス(ドミニカ共和国)やエミリアーノ・バルガス(アメリカ)といった人気プロスペクトたちも登場ですね。

バルガスの対戦相手の質はまだまだこれからですが、やはり華のあるプロスペクトたちの戦いは楽しみなものです。

 

 

 

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【プレビュー】続く「SUPER FLY」ガジョ・エストラーダvsバム・ロドリゲス!アンダーカードにはサニー・エドワーズvsアドリアン・クリエルの元王者対決!

明日、6/25(火)はフェニックスバトル。

6/26(水)はOver Heat Boxers Night、6/27(木)はLife Time Boxing、6/28を1日空けた後、6/29(土)はレイモント・ローチvsフィアガル・マクローリー。

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とまあ、なんともボクシング三昧の週ですね。

そしてその翌日、6/30(日)には国内で弁慶ファイトという興行もありますが、何せファン・フランシス・エストラーダvsジェシー・ロドリゲスがあります。

ということで今回のブログは、週末の最注目ファイト、エストラーダvsロドリゲスについて。

 

 

 

6/29(日本時間6/30)アメリカ・アリゾナ

WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ

ファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)44勝(28KO)3敗

vs

ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)19勝(12KO)無敗

この戦いが、もしジェシー「バム」ロドリゲスのスーパーフライ級進出の初戦であったならば、もっとオッズは競っていただろうし、もしかするとエストラーダが優位だったのかもしれません。

しかし、バムはすでにスーパーフライ級で大きな実績を上げており、それはすなわち世界初挑戦でカルロス・クアドラス(メキシコ)を打ち取り、シーサケット・ソー・ルンビサイ(タイ)を8RTKO。シーサケットが倒されたのは八重樫東、屋富祖裕信についで3度目のことであり、この2度の来日での試合はデビュー戦とデビュー2戦目、それまでボクシングをやったことがないという素人レベル(ムエタイの経験はあったのでしょうが)だったので、実質は初のKO負けということになります。

その後、難敵イスラエル・ゴンサレス(メキシコ)に勝利したバムはフライ級に移ってタイトル奪取、2階級制覇を達成。さらに初防衛戦でサニー・エドワーズ(イギリス)と対戦し、圧倒的なパフォーマンスを持って王座を統一しています。

 

 

 

今回はこのフライ級の2冠を返上し、再度スーパーフライ級へ殴り込みです。

メキシコ系のアメリカ人らしく、やはりアグレッシブで、パワーがあり、スピードがあるボクサーで、さらにこのバムの良いところはインサイドで巧みなサイドステップからの攻撃のバリエーションが素晴らしいところ。

サウスポーで接近戦、となると良いところを消しているとさえ言われますが、バムは一瞬のサイドステップでアングルを変え、素晴らしいポジショニングをとってレフトハンドを着弾させる技術を持っています。エストラーダとはおそらく接近戦になるでしょうから、目まぐるしく変わるポジションにエストラーダはついていけないのではないか、と思います。

さて、ファン・エストラーダ。

このボクサーは長きに渡りスーパーフライ級に君臨していますが、すでにキャリアの終盤です。

高い人気を誇る「ガジョ」エストラーダは、2010年代後半の「SUPER FLY」の盛り上がりの一翼を担い、ローマン・ゴンサレスとのトリロジーを経てこの階級最強の座を射止めています。

歩んできた道のりは素晴らしく、非の打ち所がない、とまではいきませんが、とにかく軽量級の歴史においても重要人物の一人でしょう。

 

 

 

ただ、この戦いはローマン・ゴンサレスとの第3戦目から1年半が経過しています。

果たして今の絵ストラーダの実力は、いかほどなのか。

ロマゴン戦もマジョリティ判定、その前のアルジ・コルテス(メキシコ)戦でも大接戦。その前のロマゴン戦も負けていてもおかしくないものだったし、その前のクアドラス戦ではダウンを奪われピンチに陥る場面もありました。

こうした厳しい戦いを勝ち抜いてきた、なんだかんだと負けていないというのはエストラーダの強みではあるものの、やはり衰えというものは忍び寄ってきているはずです。

はっきり言ってしまえば、エストラーダ、よくこの試合を受けたなぁと思います。

あるいは、ここを最後の花道にしようとしているのではないか、とすら思う。

本来であれば、切望されていた井岡戦こそが絵ストラーダの花道にふさわしかったように思います。同年代のボクサー同士で最強決定戦というのは理にかなっています。

しかし、エストラーダが選んだのは、おそらく報酬が良いということもあるのでしょうが、より評価の高いであろうジェシー「バム」ロドリゲスです。しかもこのバムはすでにスーパーフライ級でタイトルを獲得していることもあり、階級の壁には期待できそうにありません。

ここでエストラーダが敗退すれば、井岡は何を目指すのか。

長くトップを張ってきたエストラーダ、その最後になるかもしれない戦い、見逃せませんね。

あ、ちなみに現時点でエストラーダは全く引退する気はないようで、あと4-5年キャリアは残っている、とのこと。4-5年であと何試合するのかといえば2-3試合くらいかもしれませんけど。。。

 

 

 

サニー・エドワーズ(イギリス)20勝(4KO)1敗

vs

アドリアン・クリエル(メキシコ)24勝(5KO)5敗1分

きっとこの試合がco-main(セミファイナル)のはず。

女子スーパーバンタム級のタイトルマッチや、アルトゥロ・ポポカvsダニー・バリオスという無敗プロスペクト対決もあるようですが、やっぱり格としてはこの元世界王者対決がセミファイナルに相応しい戦いです。

両者ともに世界王座から陥落した後の再起戦、これは非常に楽しみな一戦ですね。

とはいえ、流石にここは間違いなくエドワーズが優位です。

サニー・エドワーズは2021年、モルティ・ムザラネ(南アフリカ)を破ってIBF世界フライ級王座を獲得し、その後ジェイソン・ママ(フィリピン)、ムハマド・ワシーム(パキスタン)、フェリックス・アルバラード(ニカラグア)、アンドレス・カンポス(チリ)を相手に防衛を重ねた安定王者。

 

 

 

とにかくKOなんていう色気を全く出さず、リングの上を飛び跳ねるように動くエドワーズは、「塩」と呼ぶには華がありすぎるボクシングをします。

そんなエドワーズでしたが、人生初となったアメリカのリングは苦い経験に。2023年12月、当時のWBO王者ジェシー・ロドリゲスとの統一戦では9RTKOで敗れ、王座を失ってしまいました。もし、当初から対戦希望をしていたフリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)が相手だったならば、空転させられていたかもしれませんが後の祭り。というか、JCマルティネスだったならば結局統一戦自体が行われなかった可能性の方が高いですかね。

ともあれ今回はアメリカ2戦目、果たして前戦の悪夢を振り切ることができるか。

さて、対戦相手はアドリアン・クリエル、こちらはシベナチ・ノンシンガ(南アフリカ)をアップセットで破り、その名を轟かせたボクサーです。

おそらく安パイな挑戦者としてノンシンガ挑戦が決まったクリエルでしたが、初の世界タイトルマッチで奮起、ノンシンガを2RKOで破る大殊勲。しかしその政権は長くは続かず、再戦では10RTKOで王座を陥落しています。

24勝中5KOとは思えないパワーを持ち、この戦績に騙されてはいけないボクサーですね。

ただ、エドワーズには当たらないはずです。

予想をするとするならば、やはりエドワーズが36分間のアウトボックスを敢行し、なんだかんだでポイントをピックアップしての判定勝利が濃厚でしょう。

 

 

 

エドワーズが復帰戦を勝利で飾り、フライ級戦線に戻ってきてくれることを楽しみにしています。

がんばれ、サニー・エドワーズ。そういえば兄のチャーリー・エドワーズも今年4月に戦い、WBCインターナショナルシルバーのベルトを獲得しているようですね。こちらはバンタム級での復帰であり、世界タイトルを目指すなら日本に来て戦う必要があります。

エドワーズ兄弟の来日を楽しみににしたい。

 

 

 

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【プレビュー】レイモント・ローチに挑むフィアガル・マクローリー。そのキャリアはなんと。。。!!

6/23(日)静岡でLUSH BOMU、そして大阪でダイナミックグローブ。

お昼過ぎに始まったLUSH BOMUはいつも通り時間が非常に長く、それはそれで良いのかもしれませんが16:30に開始されたダイナミックグローブがLUSH BOMUを追い抜き、早々に興行を終えておりました。。。

ダイナミックグローブはダイナミックグローブで、力量差のあるマッチメイクで進行が早く、こういうのは致し方のないことですが、とにかく差が激しいですね。

もともとマッチメイクって大変でしょうし、ボクサーも減って今はさらに大変な時期、ともあれ外国人を呼ぶならやはり骨のあるボクサーを呼んで欲しいのはファン心理。まあ色々思うところはありつつも、翌週の予定に目を向けていきましょう。

ということで6月最後の週末、幾つもある注目ファイトの中から、今回は「マッチメイクに疑問を感じる」戦いをセレクト。そのマッチアップとはレイモント・ローチvsフィアガル・マクローリー、今回のブログはこの戦いについてのプレビュー記事。

 

 

 

6/28(日本時間6/29)アメリカ・ワシントンDC

WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ

レイモント・ローチ(アメリカ)24勝(9KO)1敗1分

vs

フィアガル・マクローリー(アイルランド)16勝(8KO)無敗

28歳のスーパーフェザー級、というのは完全に油がのっている頃でしょう、王者のローチ。2019年、伊藤雅雪からWBO世界スーパーフェザー級王座を奪ったジャメル・ヘリング(アメリカ)への挑戦が世界初挑戦で、この戦いで判定負けを喫して初黒星。

この敗戦の後、元王者のレネ・アルバラード(ニカラグア)、好戦績のアンヘル・ロドリゲス(ベネズエラ)を降すなどして再浮上したローチは、前戦でエクトル・ルイス・ガルシア(ドミニカ共和国)に僅差のスプリット判定で勝利、王座を戴冠しています。

このガルシア戦というのは両者ともに非常にこう着状態、お見合いが多く、互いの良さを発揮できない試合でした。これぞまさに凡戦というにふさわしい試合。

その中でも、終盤2ラウンズを取り切ったローチが判定勝利しているので、この辺りはベルト獲得に向けた執念とかそういうものだったのかもしれません。いつの時代も、挑戦者は実力が3割増です。

 

 

 

このレイモント・ローチ、気になるのはKO率の低さです。

このボクサーは非常にディフェンシブだとか、ヘイニー風だとかシャクール風だとかではなく、KO率に反して非常に攻撃的で、自らプレスをかけることを好むし、コンビネーションもよく出るタイプのボクサーです。

攻める中でカウンターを取ることもあり、文字にするとものすごいKO率を誇っていそうなボクサーですね。

そのスタイルでKO率37.5%、それもスーパーフェザー級という階級を考えれば、ある種驚異的です。このボクサーは純粋にパワーレスなのか、意外と倒せるタイミングではないのか、不思議なところですね。

この王者の初防衛戦は、選択防衛戦です。

対戦相手のフィアガル・マクローリーはアイルランド人ボクサーであり、全勝のボクサーではあるものの、現在のところのランキングとしてはWBA12位という下位ランカーであり、他3つの団体のランキングに名前はありません。

映像を見た限りではあまりスピードを感じられないサウスポーで、距離もそんなに長いとは言えませんね。フック系のパンチが得意そうなスタイルですが、荒々しさを持っておらず、どちらかというとやりづらさはなさそうなイメージ。

 

 

 

前戦はボディショットでカルロス・カールソンを相手に3RTKOという良い勝ち方をしていますが、それが初の10回戦であり、その前はなんと6回戦しか戦っていません。

なのでこのマクローリー、これまでの最長ラウンドが6ラウンド。それがいきなり12Rファイトに挑むということになっています。

前戦のカールソン戦で勝ち取ったのがWBAインターコンチネンタルのタイトルなので世界ランクに入ったのでしょうが、これは明らかに挑戦資格に疑問符が浮かびますね。

果たして世界挑戦資格とは

資格があるかないか、で言えば当然、マクローリーは資格を持っています。何せ世界ランキング15位以内に入っています。一応、前戦でWBAの下部タイトルであるインターコンチネンタルのタイトルを取っていることは、この世界ランキング入りに対する理由ともなるもので間違いはありません。

そうでなくとも、突然世界ランキングに入るということは稀にありますね。

 

 

 

しかも、そのことは比較的日本人が世界タイトルを持っている時、挑む時に多いような気がするのは、果たして気のせいなのでしょうか。(他国の場合そこまで見ていないのだ、ということを信じたい。)

初防衛戦は慎重に相手選びをしたい。この気持ちは十分にわかります。

そしてローチにとっては生まれ育った場所での凱旋試合、ここは快勝して故郷に錦を飾りたいところでしょう。

なので、今回ローチを批判しているわけではありません。

が、さすがに最長ラウンド6Rしか戦っていないボクサーの世界戦というのはどうなのでしょうか。

そうはいっても、マッチメイクというのは様々な事情があるというのも理解はできるしするべきでもあるし、ちょっとした遊びがあったって良い、とも思います。

この「誰もが期待していない」へなちょこマッチアップでも、楽しむ方法はあるはずです。つまりは、完全に安牌として選ばれたフィアガル・マクローリーの奮戦です。

 

 

 

弱小プロモーターの憂鬱

レイモント・ローチは、前戦、Showtimeデビューを果たしました。といっても、この日、Showtime最後のボクシング放映の日であり、ここに勝利したからといってローチがその後PBCに拾ってもらえたか、というと全くそうではありません。

PBCに拾ってもらえたならば、アフロ・アメリカンというアイデンティティを持つローチは、もしかすると北米アマプラ興行への道を歩めたかもしれませんね。

ただ、ガルシアを相手に非常につまらない試合をしてしまったことで、その道は見ることすらできない霧の中。

ローチのプロモーションを手がけるのはNoXcuseプロモーションというプロモーション会社であり、この会社の代表はレイモント・ローチ・シニア、つまりは実父です。

 

 

 

今回の試合でこのローチ・シニアを助けたのがギャリー・ジョナス、プロボックスプロモーションであり、今回の興行はジョナスとローチシニアの共同プロモーションが開催する興行です。

なので、この興行はProboxTVで放映されるわけですね。

大手プロモーションに目をつけられないローチだからこそ、ProboxTVが入れたのだ、という見方ができます。このNoXcuseプロモーションはおそらくローチジュニアやその親族のボクサーたちをプロモートするために作ったプロモーション会社でしょうから、小さなプロモーション会社のはず。力はないでしょう。

では、強敵とのキャリアがなく、たまたま入った世界ランクに目をつけられ、大きな大きなチャンスをもらえたフィアガル・マクローリーはどのようなバックアップを受けているのか。

2015年にプロデビューして16戦、というのは多くない。このアイルランド人のボクサーは、住居をアメリカ合衆国ニューヨーク州との記載があり、2022年から米国で戦っていますね。

そしてBoxRecのマネージャー/エージェントの欄には、「フィアガル・マクローリー」の記載。つまりはセルフプロモートというか個人事業主というか、フリーなわけです。

誰にも頼ることなく、この世界タイトルマッチを掴み取ったのはタイミング的な幸運か、努力の結晶か。いずれにしろ、この戦いで勝利するかよほど良い戦いを見せなければ、このマクローリーにボクサーとしての未来はないかもしれません。

 

 

 

ニックネームは「Fearless」(=恐れ知らず)とあります。生まれ故郷から遠く離れた異国の地、何の後ろ盾もないままにこの世界タイトルマッチ挑戦に漕ぎつけたフィアガル・マクローリー。何度も言いますがこれまでの最長ラウンドは6ラウンドであり、まだ無敗で、31歳ながらもすでにラストチャンス感が漂います。

王者のホームタウンで奇跡を起こせれば、ロッキー・バルボア以上の奇跡となりはしないか。

もしかしたら、一夜にして人生が変わるのかもしれません。

失うものは何もない、そんな戦いを見せてくれたら嬉しいですね。

配信はProbox TV!!

さあさあ、ありがたいことにこのローチvsマクローリーは日本でも合法的に、しかも無料で視聴が可能です。

 

 

 

それを可能にしてくれるのがProboxTVという配信会社であり、日本でも普通にアプリはダウンロードできるし、何だったらYoutubeでも流してくれている上、Youtubeでもアプリでもアーカイブが見れるという、慈善事業かとみまごう配信プラットフォームです。

▶︎Probox TVはこちらから

▶︎Probox TVのYoutubeチャンネルはこちら

アプリの方も昔はサブスクで月に500円くらい取られたような気がしますが、今はその表記もぱっと見なかったような。いずれにしろ、Youtubeでは無料で見られると思います。

こちらはアメリカでは金曜日夜の興行なので、日本では6/29(土)の配信です。

時間はおそらく朝9:00くらいからの配信だと思いますが、一体何試合配信なのかはよくわかりませんでした。

おそらくメインはいつも通り、日本時間のお昼過ぎくらいでしょう。

そんなわけで、貴重な日本時間土曜日の海外興行、せっかくなのでお楽しみください。

 

 

 

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【プレビュー】6/25フェニックスバトル!メインの松本圭佑を差し置き、私的メインは。。。!!


今週も1週間お疲れ様でした。

仕事は平日で終わっても、まだまだやることが盛り沢山な6月3周目です。

日本時間では土曜日に行われるラファエル・エスピノサvsセルヒオ・サンチェスが楽しみですが、翌日にはU-NEXTで放映されるダイナミックグローブもありますね。

こちらは小林豪己(真正)のWBOアジアパシフィック王座の防衛戦がメインで、セミファイナルに前戦で痛烈なノックアウト負けを喫した山中竜也(真正)の復帰戦、その前には田井宜広(RST)の登場、等々となかなかに良いメンバーが出る興行ではあるものの、その対戦相手の質としてはあまり食指が動くものではありません。蓋を開けてみれば、という展開もあり得るので、当然見るのですが。

↓ダイナミックグローブはU-NEXTで配信

 

 

 

このダイナミックグローブは16:30開始とのことですが、その前に静岡でLUSH BOMU。

この「BOMU」というスペルが気になりすぎるLUSHボクシングジム主催の興行は早くも4度目を迎え、今回もTravel TVでの配信です。メインは売り出し中の佐野遥渉(LUSH)がWBC世界ユース・スーパーフライ級王座決定戦に臨むもので、アンダーカードには中部地区のボクサーたちがこぞって出場します。

↓Travel TVはこちら

https://era.travel.gr.jp/

そして来週は6/25(火)、6/26(水)、6/27(木)と3日連続で国内興行、毎日後楽園ホールが熱い。

今回のブログでは、日曜日の興行を差し置き、6/25(火)のフェニックスバトルをプレビューです。

 

 

 

6/25(火)後楽園ホール

日本フェザー級タイトルマッチ

松本圭佑(大橋)10勝(7KO)無敗

vs

藤田裕史(井岡)12勝(3KO)9敗4分

この戦いで、ベテラン藤田の勝利を予想することは非常に難しい。どころか、善戦することすら予想することが難しいでしょう。

2020年にプロデビュー、7勝7KO無敗という驚異的な戦績を持ってデビューからたった2年10ヶ月で王座決定戦に臨み、元王者佐川遼(三迫)を降して日本王座を戴冠した「元」ミライモンスター松本圭佑。

まだ24歳と若く、控えめに言っても世界を嘱望されるボクサーと言えるでしょう。

非常にオーセンティックな誰もが好むスタイルのボクサーファイター、アマチュアボクシングで培ったスキルの他、パワー、フィジカル共に申し分がありません。

王座獲得後、指名挑戦者だったリドワン・オイコラを寄せ付けず、この戦いでWBOアジアパシフィックタイトルも獲得。(間も無く返上)そして日本タイトル2度目の防衛戦で前田稔輝(グリーンツダ)とのホープ対決を制し、まさに大橋イズムを体現しているかのような茨の道を歩んできています。

 

 

 

この対戦相手の質たるや、同級のライバル王者を凌ぎます。

ここにきて、藤田を相手に防衛戦というのはいささか拍子抜けでもあるというのが事実ではありますが、ここはベテランの意地を抑えて負けはおろか苦戦すらもしてほしくない戦いです。

その分、松本には大きなプレッシャーがあるはずです。

そこを突きたい藤田は、松本よりも10最年長の34歳。

ここ3戦は外国人相手のために実力は計り兼ね、その前には前田稔輝に判定負けを喫しています。

9敗してはいますが、KO負けは4回戦時代の新人王トーナメントのみであり、かなりタフなボクサーのようですね。

それでもやはり、というか、だからこそ、というべきなのか、松本の至上命題としては、勝つことではなくどのように倒すか、にかかっています。

松本圭佑がまたも力を発揮し、ひさびさとなるノックアウトを見せてくれることに期待しましょう。

 

 

 

WBOアジアパシフィック・スーパーミドル級タイトルマッチ

ユン・ドクノ(韓国)8勝(6KO)1敗

vs

帝尊康輝(一力)16勝(13KO)5敗3分

前戦で日本タイトルを奪取した帝尊が、WBOアジアパシフィック王座に挑みます。

韓国のユンというボクサーは、デビュー戦を韓国で戦い、その後3戦をオーストラリアで戦っていますね。

韓国では、スーパーミドル級という階級はおそらく日本以上に相手がいないのでしょう、オーストラリアに出向いてオーストラリア人ボクサーと戦う、というのはなかなかに侠気のあるボクサーだと思います。

デビュー4戦目、オーストラリアでの3戦目で初黒星を喫した後、約2年のブランクを作って韓国で復帰、その後5連勝。2023年11月に行われたフェニックスバトルソウルでオーストラリア人ボクサーをTKOで破り、この王座を戴冠しています。

今回、フェニックスバトルで戦うのはその縁からなのでしょう。

対戦相手に抜擢された帝尊ですが、果たしてどうなるか。キャリアを見る限り、日本国内で戦ってきた帝尊よりもこのユンの方が上昇志向が強いようにも思えます。実際のところ、このユンの試合を見たことがないのでなんとも言えませんが。

 

 

 

本当の注目はアンダーカード!

さて、メイン、セミファイナルを紹介しましたが、本当のメインイベントはその下のアンダーカードにあります。

紛れもない世界最高のファイターがいる大橋ジムには、元アマチュアのスーパースターたちがこぞって集まってきています。それも、若い。

セミファイナルの一つ前、セミセミでデビュー戦を迎えるのは坂井優太(大橋)。世界ユース選手権の金メダリストで、高校6冠。果たしてこの年齢でのプロ入りをするとは思ってもいませんでしたね。

もしかすると本当に井上尚弥の後継者となり得る存在、初戦の相手は韓国ランカーで実力は未知数ですが、勝ち方に期待したいところです。

そしてその前が同じく大橋ジムからプロデビュー戦を迎える、田中空。

 

 

 

こちらはもはや説明も不要(坂井も不要か)の元トップアマで、昨年度の全日本選手権の覇者。165cmという身長でウェルター級、アマ時代からプレッシャーとパワーでガンガン倒してきたこのパワーファイターに、果たしてプロの薄い10ozなんて握らせても良いものなのでしょうか。

田中は明らかにプロ向き、というか明らかにアマチュアボクシングではその力を存分に発揮できないタイプのはずで、それでも勝ってきたところがすごいところ。田中は神奈川県川崎市の出身で、大橋ジムは通い慣れたものですし、是非日本の中量級に革命を起こしてもらいたいですね。

順当にいけば試合はあっという間に終わるはずです。

そしてこの前の試合こそが、今回の試合のメインイベント。

 

 

フライ級6回戦

田中将吾(大橋)デビュー

vs

高熊龍之介(松本ACE)8勝(3KO)2敗

田中空と同年、同じく東洋大に進学、そして同じく昨年度の全日本選手権を制したのが田中将吾。この2023年というのは東洋大が女子も含めて全日本選手権を5階級制覇したとんでもない年でしたね。

そんな東洋大大躍進の原動力となった田中ふたり、揃って大橋ジムからプロデビュー。デビュー日も一緒というのはお互いに心強いでしょうね。

ウェルター級の田中空の相手が日本人で見つからなかったのは仕方のないことですが、普通に考えたら坂井や大橋(※同じく全日本選手権覇者、大橋蓮もこの日デビュー戦を迎えます)と同じく、外国人ボクサーが相手というのがスジでしょう。

何せ日本のトップアマを相手にジャイアントキリングを起こそうという6回戦ボクサーなんていないはずです。トップアマたちの本当の戦いは、A級に上がってから。

というのが、通説。

 

 

 

しかし今回、この田中将吾の対戦相手は日本人。こういう場合、すでにベテランの域を飛び越えているボクサーや、試合枯れしているボクサー、もうラストファイトを見越しているボクサー。。。などが浮かびますが、今回はそうではありません。

25歳、昨年度の東日本新人王。全日本新人王決定戦こそ負けていますが、その後B級で1勝しており、後一つ勝てばA級に上がれる、という、未来あるボクサーです。

高熊龍之介、このボクサーの名前は覚えておかなければなりません。

田中将吾というボクサーは明らかな強者、そもそも6回戦という括りにいるべきではない日本のトップ、この戦いを避けることは容易だったはずです。それでも彼は、何かしらの可能性を持ってこの戦いを受けた、ということになります。

彼自身にしても、陣営にしても、この強者から逃げない姿勢は本当に素晴らしい。やっぱりこういうのが良い。例え負けたとしたって、この強者から逃げなかった事実は間違いなく彼の糧になるはずです。

この試合を受けた時点ですでに彼らは勝者といえ、そして勝利を確信してリングに上がるのでしょう。

 

 

 

地方ジムとはいえ、地方ジムだからこそ、なのか、ともあれこれは応援せずにはいられません。

この稀有な、「日本のトップ・アマチュアのデビュー戦がプロ叩き上げの実績ある若きボクサー」というのは、トップアマ側だけでなく、プロ叩き上げ側にも十分に注目すべき戦いです。

ということでこの試合が本当のメインイベント、たとえどんな結果になろうとも、です。

この試合の他に、前述の通り大橋蓮(大橋)のデビュー戦、前年度の東日本新人王、北野武郎が登場です。

非常に楽しみですね。

【配信情報】

この興行は、Leminoで生配信。

ありがたいことに、Leminoはライブ配信だけでなく、アーカイブもしっかり見れます。

なのでど平日の仕事が遅くなり、開始時刻に間に合わなくても(情報遮断だけしていれば)全く問題ありません。

配信は6/25(火)17:30開始とのこと。

↓Leminoはこちらから

 

 

 

 

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