信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【プレビュー】井上拓真vs石田匠。技巧派同士の戦いは、意外な打ち合いになり得るのか。

あとたった1度の土日を乗り越えれば、次の週末はゴールデンウィーク。

お盆よりも年末年始よりも、今年のゴールデンウィークは楽しみです。

個人的には大型連休になるので、楽しみな反面こんなに休んで良いのかという不安もあるのですが、何と言っても今年のゴールデンウィークは東京ドーム決戦のインパクトがでかい。

私も末席のチケットを購入しているのですが、東京ドームという会場柄、肉眼で視認できるレベルにないことは明らか。それでも現地に足を運ぶ意味とは何なのでしょうか。

ボクシングを見るなら配信がよく見えるし、コストも時間も大きくお得にもかかわらず、多くのファンが東京ドームに集うのは、この「ボクシングin東京ドーム」の雰囲気を味わいたい、という方が多いのでしょう。

きっとマイク・タイソンが日本に来た時もそうだったのだろう、と思いを巡らせてみる。

ということで今回のブログは、東京ドーム興行、配信としては第二試合となる井上拓真vs石田匠のプレビュー記事。

 

 

 

5/6(月・祝)東京ドーム

WBA世界バンタム級タイトルマッチ

井上拓真(大橋)19勝(5KO)1敗

vs

石田匠(井岡)34勝(17KO)3敗

井上拓真のこれまでの実績はすでに言うまでもありません。

2013年12月にプロデビュー、いつの間にかプロとしてのデケイドを迎えた井上は、ずっと井上尚弥と比べられるという運命を背負ったボクサーです。

そのプレッシャーは計り知れません。

兄同様にあっという間に世界王者になるのだろう、と思われた拓真のキャリアは、プロ5戦目で地域タイトルを獲得する、というところまでは同じ。

 

 

 

その後は地域タイトルの防衛をしつつ世界を窺っていたのか、想像以上に長い期間のキャリアの形成期を過ごしています。その間、久高寛之、増田健太郎といった日本のトップを退け、2018年9月に世界挑戦者決定戦を勝ち抜いての世界挑戦。これは暫定王座決定戦でしたが、見事戴冠しています。

ただ、このタイトルは初防衛戦であり団体内王座統一戦となったノルディーヌ・ウバーリ(フランス)戦で手放しています。

正直、勝てない試合ではなかったし、ここで負けるとは思っても見ませんでした。

ただ、もし拓真のキャリアがここで終わっていたならば、我々の記憶に刻まれることはなかったのでしょう。

この敗戦の後のキャリアこそ、本物のキャリアだと言えます。

 

 

 

復帰戦ではOPBF東洋太平洋王者、栗原慶太(一力)に挑戦。栗原の強打を空転させての判定勝利、その後はスーパーバンタムにあげて和氣慎吾(FLARE山上)、古橋岳也(当時川崎新田)を撃破。この国内強豪に当てる、というスタンスは拓真のキャリアの醍醐味でもありますが、もし今回勝ち残ったとすればその後の戦いにも活きてきそうなものですね。

調整試合を挟んだ後、リボリオ・ソリス(ベネズエラ)との王座決定戦は大凡戦ながら、前戦でのジェルウィン・アンカハス(フィリピン)では今までの鬱憤が大爆発したかのような素晴らしいファイトで保持するWBA王座の初防衛をクリアしています。

ソリス戦は「絶対に勝たなければならい」という戦いであり、慎重になったと本人も認めていますが、この辺りのメンタルブロックがありそうです。このソリス戦で評価にかなわない戦いを見せてしまった拓真がアンカハス戦で素晴らしいパフォーマンスを見せたのは、きっと「評価をあげたい」という思いがあったからではないか、と推察しています。

つまりは「ねばならない」というMUSTで考えるよりも、「したい」というWANTで考えた時の方が、良いパフォーマンスを発揮できるのではないか、ということです。

 

 

 

井上拓真は今回、どのようなメンタルで石田を迎えるのか。さほど追い詰められたメンタルではなく、「良い形で勝ちたい」というWANTであるように思うが、如何に。

さて、挑戦者石田匠、こちらもしっかりと段階を踏んで登ってきたボクサー。待たされすぎた、といっても良いほどです。

2009年にプロデビューした石田は、井岡一翔と同じジムで鎬を削った盟友です。

主に関西で、しかも外国人を相手にキャリアを積んだ石田が全国区になったのは、やはり日本タイトルを取ってからでしょう。

2014年、戸部洋平(当時三迫)に勝利した石田は初タイトルをつかみ、その後の防衛戦では江藤大喜や木村隼人、船井龍一といった国内強豪を破り、タイトルを返上。そして2017年、待望の世界初挑戦のチャンスを掴みます。

場所はイギリス、カーディフ。配信なんてものもなかったような記憶ですが、敵地イギリスでカリド・ヤファイに挑戦した石田は、初黒星を喫します。

次のチャンスはその2年後、IBFから挑戦者決定戦のオーダーを受けた時。これは幸運にも日本開催ながらも、イスラエル・ゴンサレス(メキシコ)を相手に1-2の惜敗、2度目のタイトル挑戦を逃します。

 

 

 

このイスラエル・ゴンサレスはその後、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に挑戦して善戦していることから、当然石田も世界レベルであるということは伺えますね。

その後は石井渡士也(現RE:BOOT)に判定勝利、田中恒成(畑中)に判定負け。

石井は若く、非常に危険な相手ではありましたがしっかりとアウトボックスしていたし、田中に対しては勝利で全くおかしくなかったような戦い。世の中がコロナ、ということもあり、この厳しいマッチメイクを評価を下げることなく逆に上げて乗り切ったことは非常に大きなことでしたね。

そして世界への足がかりとして最後とも言えるチャンスが到来した2023年6月、WBA世界バンタム級挑戦者決定戦に勝利して挑戦権を獲得、今回の一戦を迎えることになります。

 

 

 

王者と挑戦者

王者と挑戦者、どちらも我々日本のボクシングファンにはお馴染みのボクサー。というのは、国内でしっかりとした実績を残している、という点においてです。

当然、2度世界王者となり、さらに多くの国内強豪を退けている井上拓真の方に分がありますが、石田は年齢的にも状況的にもラストチャンス、ここは期するものがあるはずです。

石田はヤファイ戦からかぞえて6年と半年、さらに前戦から2ヶ月半しか試合間隔が空いていない拓真と比べて、準備と対策は入念というのも考えられます。

ボクシングの勝敗は、実力のみではつかず。2ヶ月半という準備期間は、肉体的にも精神的にも疲労が抜けきっていない状態でトレーニングをスタートしていないか、その状態でスタートして追い込めているのか、というのは井上拓真にとっての不安材料になり得るかもしれません。

 

 

 

さらに相手はベテラン、石田匠。例えばアメリカのボクシングファンが石田のことを知っているか、というと知らないのでしょうが、我々はよく知っている、実力のあるボクサーです。

173cmとこの階級でもまだまだ長身の部類に入る石田は素晴らしいジャブを持っており、身長、リーチ共に石田から大きくアンダーの拓真はインサイドに入らなければいけません。前戦のアンカハスはサウスポーだったので、戦い方が大きく変わってくることも注意点の一つ。

それでもなお、やはり井上優位に思うのは、基本的に非常に安定したボクシングを展開するからに他なりません。

前戦のアンカハス戦、力を込めて打つ場面でもその振りは非常にコンパクトで、お手本通り。大きなミスを犯さない、という点においては(パフォーマンスかもしれませんが、時折振りかぶって強打を打つ)井上尚弥以上の冷静さをキープできるボクサーなのかもしれません。

例えば中間距離での戦いとなった場合、リーチの短い井上のジャブが上回れば、石田としてはどうしようもないかもしれないし、その展開は十分にあり得るものかもしれません。

石田は自らの距離をキープし、拓真のパンチの届かないところでどのようなボクシングができるか、が鍵となりそう。

 

 

 

二人は「バチバチに打ち合う」とインタビューでぶち上げていますが、普通に考えるとそんな展開にはならないはず。どちらかというと打ち合いたいのは前戦で自信をつけた拓真の方でしょうか。それともこの大一番で、石田がスタイルチェンジとも言うべき打ち合いを仕掛けるのでしょうか。

石田も打ち合えないというボクサーではないですが、フィジカル面において旗色は悪いように感じるので、打ち合うべきところで打ち合う、が正解だと思います。

そうなるとやはり大切になってくるのは、それ以外の時間をいかに支配するのか、と言うリングジェネラルシップの面。

どのような試合展開になるのか、経験豊富な両者がどのような戦略を持って試合に臨むのか、これは初回から目が離せない戦いになりそうですね。

ということで、いよいよ間近に迫った東京ドーム決戦。

4/23にはボクマガの特別編集も販売されるようなので、楽しみに待ちましょう!

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【プレビュー】ヘイニーvsガルシアのPPVファイトは売れるのか。もはや興味はスクラッピーvsヒメネスへ。

DAZNってPPVやらないって言ってなかったっけ?

と数年前に言っていたことを今さ持ち出すほど、ヘイニーvsガルシアへの興味が薄れてきています。

デビン・ヘイニーvsライアン・ガルシア、戦前は話題にも上り派手さもありますが、果たして肝心の試合内容がどうか、と言われればあまり期待できない域に来てしまいました。

元々圧倒的にヘイニー優位の中、もしかしたら一発当たるかもで面白くなる予想だったのですが、どうやらガルシアのメンタルの状態は良くないらしく、これがほうぼうで話題、となると、どんどんガルシアへの期待は薄れゆく一方。

10回やって1回勝てれば良いくらいのイメージでしたが、もはや100回に1回を引き寄せなくてはならなくなったイメージで、この可能性は限りなく低い。

2,200円、結局は買うですけど、なんだか悔しい。

ということで今回のブログは、「元」注目試合のデビン・ヘイニーvsライアン・ガルシアについて。

 

 

 

4/20(日本時間4/21)アメリカ

WBC世界スーパーライト級タイトルマッチ

デビン・ヘイニー(アメリカ)31勝(15KO)無敗

vs

ライアン・ガルシア(アメリカ)24勝(14KO)1敗

先にも書きましたが、この試合は安全運転を貫くであろう充実の王者、デビン・ヘイニーに、ライアン・ガルシアが得意とする左フックを当てられるかどうか、というのが焦点の試合。

アマで過去3勝3敗の決着戦、ということにはなりますが、実績として大きく勝るのはデビン・ヘイニーであり、前戦のプログレイス戦のパフォーマンスを考えると、オッズが大きくヘイニーに傾くことは何の不思議もありません。

ただし、ガルシアの当て勘は本物であり、「もしかしたら」とか「万が一」、「まさか」が発生する可能性はあるし、ファンはそれが見たい、ということがあって盛り上がるはずの試合でした。

しかしここ最近のライアン・ガルシアのSNSでの発信等々を考えると、もはや普通の精神状態にあるかどうかは疑わしい。もしそれが錯乱状態でないとするならば、置かれている状況はあまりにも普通ではない、ということになってしまい、いずれにしろコンディションは見る影もないでしょう。

 

 

 

だから、もしこの試合が行われなくなったとしても、何の不思議もありません。

一方でヘイニーは、戦うたびにその評価を高めているボクサーではあるまいか。

「負けていた」ともされるロマチェンコ戦でさえ、衰えたりとはいえあのロマチェンコと「どっちが勝っていてもおかしくなかった」とされる試合をしたのは事実であるし、さきのレジス・プログレイス戦でのパフォーマンスは圧倒的と言って良い。

元々体のでかいヘイニーは、この階級以降で大きく花開くボクサーなのかもしれません。

なんだか見るのが辛くなりそうなこの試合については、あまり書くことがありません。

ただ、このPPVファイトは5試合もある、とのことで、4/14現在BoxRecにも載っていないですが、そのほかのファイトに期待しましょう。

↓対戦合意した頃の記事。かつては楽しみな試合でした。

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

↓この試合をまたずともスーパーライト級は非常に楽しみな階級

boxingcafe.hatenablog.com

 

アーノルド・バルボサJr(アメリカ)29勝(11KO)無敗

vs

ショーン・マコーム(アイルランド)18勝(5KO)1敗

メインイベントに何かがあった場合に備えて、リザーバーを用意する、というのはビッグマッチにおいて当たり前のこと。

不安定さが垣間見えるライアン・ガルシアが出場するという今回の場合は特に、です。

ということで今回のリザーバーはアーノルド・バルボサJr、WBOのランキングのトップコンテンダー。リングマガジンランキングでも8位に入り、その評価は高いボクサーです。

ただ、今のスーパーライト級王者たちの充実ぶりを考えると、このバルボサが世界王座に届くか、というと正直難しい印象です。

 

 

 

非常に総合力が高く、タイミングを持っており、接近戦での回転力にも優れるバルボサですが、真正直であり、総合力が高い=大きな特徴を持たないバランスの取れたボクサーだということができます。

このバルボサがヘイニーを脅かすのは非常に難しい。

テオフィモ・ロペスは(ロペスの)出来によるところが大きいですが、サブリエル・マティアス、イサック・クルスにはすり潰されそうな気がします。

さて、そんなリザーバーのバルボサの相手はショーン・マコームというアイルランドのボクサー。なかなかの好戦績ですが、KO率の低さは気になりますね。

 

 

ベクテミル・メリクジエフ(ウズベキスタン)13勝(10KO)1敗

vs

ピエール・ディボンベ(フランス)22勝(12KO)無敗1分

ベクテミル・メリクジエフ。すでに名前が強そうな中央アジアのボクサーは、アジアの血を色濃く受け継いでいそうな出立をしています。

唯一の敗戦はガブリエル・ロサドがアップセットの大逆転KO勝利をあげた試合であり、その印象しかないのが現実。

メリクジエフはその後、ロサドにリベンジを果たして敗北を帳消しにしているわけですが、やはりその試合は非常に慎重で、判定勝利という内容です。

ピエール・ディボンベというボクサーはフランスのボクサーで、こちらもバルボサの対戦相手同様に世界的知名度はないボクサー。

PPVファイトってこういうアンダーカードで良いのか?ってくらい、AサイドとBサイドが分かれているようなイメージ。

それとも、イギリスを本拠にしているマッチルームからすれば、こういったユーロボクサーたちは名の知れたボクサーなのでしょうか。

 

 

 

WBA世界スーパーフライ級暫定王座決定戦

ジョン・ラミレス(アメリカ)13勝(9KO)無敗

vs

デビッド・ヒメネス(コスタリカ)15勝(11KO)1敗

結局のところ、個人的に最も注目するのはこの試合です。PPVファイトとしては第二試合、軽量級のスーパーフライ級のファイト。

前戦でロナル・バティスタ(パナマ)を4Rで破壊、WBA世界スーパーフライ級の指名挑戦権を手に入れたジョン「スクラッピー」ラミレス。

このバティスタ以前は名も知らぬボクサーたちに連戦連勝していたわけですが、このスクラッピーがボクシングを始めたのはなんと20歳の頃。たった7年、アマで25戦、プロで13戦というキャリアの倒し屋は、JCマルティネスへの挑戦経験を持つバティスタをたった4Rで倒してしまったのです。

これはロマンがありますね。

↓スクラッピーについて触れた記事

boxingcafe.hatenablog.com

↓バティスタ戦の快勝!

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

ともあれ、過去一番の大舞台で最高の倒し方をしたラミレス、この危険なアメリカ人ボクサーが井岡一翔の指名挑戦者か、と戦々恐々としたものです。

ただ、この若さあふれるファイトは、老練な井岡のボクシングには通用しないのでは、と思ったのもまた事実。このボクシングにマスター・イオカが巻き込まれることは考えづらい。

そしてまたまた井岡は指名戦かーと思っていたところに飛び込んできたニュースは、井岡一翔vsフェルナンド・マルティネスという王座統一戦。これを受けて、結果ラミレスは暫定王座決定戦に出場できるようになったのだから運が良い。

↓ステータスは対戦合意

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

さて、このスクラッピーの対戦相手もまた、興味深いボクサーです。

デビッド・ヒメネス、名王者アルテム・ダラキアンとフルラウンドを戦い、2-4ポイントまで迫ったボクサーです。

非常にエネルギッシュで、常に前進し続けるスタイルはダラキアンを大いに困らせもしましたし、過去にはプロスペクト、リカルド・サンドバルにも僅差判定勝利を挙げています。

スクラッピーが、このヒメネスに対してどのように勝利を収めるのか。もしくは、まさかの敗北を喫するのか。

すでに実力を証明したもの同士のマッチアップは、次の世代のスーパーフライ級を占う戦いになり得ます。

おそらく試合内容としてもドンパチ、打撃戦となるでしょうし、非常にアクションの多い試合になるのではないかと思っています。

ここでラミレスが圧倒的な力を見せるようなら、井岡危うしともなり得ます。

スーパーフライ級だからなのか?この試合がやっぱり一番楽しみです。

 

 

 

チャールズ・コンウェル(アメリカ)18勝(13KO)無敗

vs

ナサニエル・ガリモア(アメリカ)22勝(17KO)7敗1分

PPVのオープニングファイトは、チャールズ・コンウェルvsナサニエル・ガリモア。

スーパーウェルター級という層の厚い階級だからこそ、なかなかチャンスが巡ってこない中でもプロスペクトとしての基盤をしっかりと固めている感のあるコンウェルは、今回ベテラン、ナサニエル・ガリモアとの一戦です。

ガリモアはすでに噛ませ犬的な立ち位置であり、前戦は現WBC世界スーパーウェルター級暫定王者のセルヒー・ボハチュク(ウクライナ)に6RKO負けを喫しています。

ここ5戦で1勝4敗という戦績は、すでに明らかな下降線を辿っていることを決定づけるもの。ただ一つ、ハードパンチを持つという点においては警戒が必要なボクサーではありますが、ここはプロスペクトのコンウェルの存在をアピールするための試合、と取られてもおかしくはないでしょう。

なのでここでチャールズ・コンウェルに求められるのは、オープニングを飾るのにふさわしいノックアウト勝利です。

つまらなくなってしまう可能性も孕んでいるメインイベント、世界的知名度のないセミ、セミセミ。ガリモアには申し訳ないですが、ここはさっさと終わらせてもらいたいところですね。

 

 

 

PPVonDAZN

2,000円だから購入するけれども、これが10,000円だったら躊躇するかもしれない。

PPVファイトはそのメインイベントが魅力的である、ということが大前提ですが、その脇を固めるアンダーカードも魅力的であって欲しいと願います。

今回、たまたまスクラッピーvsヒメネスは楽しみなカードですが、そのほかは正直あまり興味がなく、そもそもメインにもそこまで興味がわかない状態となってしまいました。

「PPVの時代は終わった」と言ったのはDAZNでしたが、結局終わってるのはDAZNのPPVだ、という話。もうちょっとなんとかならんもんか。

 

DAZN

 

 

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【プレビュー】東京ドーム決戦vol.1。ユーリ阿久井政悟vs桑原拓、約3年ぶりのライバル対決は50-50か。

井上尚弥が31歳になった。

若い若いと思っていたボクサーも、あっという間に年をとります。

もともと35歳で引退すると決めていた井上尚弥、最近では引退を先延ばしする発言もあると思うのですが、もうあと10年は続けないでしょう。先延ばしすると言っても1-2年くらいのものでしょうから、井上尚弥引退後はボクシングはまた下火になってしまう可能性はありますね。

私としては別にそれでも良くて、細々とでも今の配信を続けてくれればありがたい。

とまあ、時の流れは誰にも止められない、という話。

だからこそ一瞬一瞬を全力で生きようと思うのです。

じゃなくて、もうあっという間にゴールデンウィークは来るよ、4つもある世界戦のプレビュー記事なんて一気に書けないから少しずつ書いていかないとダメだよ、ということですね。

そんなわけで今回のブログは東京ドーム決戦の第2試合にセットされたWBA世界フライ級タイトルマッチ、ユーリ阿久井政悟vs桑原拓のプレビュー記事。

 

 

 

5/6(月・祝)東京ドーム

WBA世界フライ級タイトルマッチ

ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)19勝(11KO)2敗1分

vs

桑原拓(大橋)13勝(8KO)1敗

ちなみに第一試合はテレンス・ジョン・ドヘニー(オーストラリア)vsブリル・バヨゴス(フィリピン)のスーパーバンタム級8回戦がセットされるとのこと。

ドヘニーはルイス・ネリ(メキシコ)のリザーバーとして用意されるとのことで、ネリが何らかの理由でリングに上がれなくなった場合には井上尚弥の相手はドヘニーになる、とのこと。

ここ2戦、日本で暴れ倒しているドヘニーの勇姿を見れるのは非常に楽しみなことですね。ただ、このボクサーはアンダードッグとしてリングに上がった時の方が強そうなので、微妙な試合をするかもしれません。

ともあれ、そのノンタイトル戦があった後、すぐに世界タイトルマッチです。

遡ってみれば2021年7月21日、世の中はコロナの真っ最中。

後楽園ホールでも声援禁止、鬱屈した世の中に舞い降りたあの伝説の日本タイトルマッチを戦った二人が、お互いにスケールアップして世界タイトルマッチとして、しかも東京ドームへと場所を変えて戦うというドラマ。もうこれがクライマックスで良い、というこの試合が、世界戦としての第一試合です。

 

 

 

「お家芸」を引き継ぐのは

日本のお家芸、フライ級。かつてこの日本フライ級王座を取得して世界へ羽ばたいたのは、白井義男をはじめとして、花形進、レパード玉熊、勇利アルバチャコフ(当時はユーリ海老原)、セレス小林、坂田健史、内藤大助、清水智信、五十嵐俊幸、中谷潤人。

その他にも、三迫仁志、矢尾板貞雄、米倉健志、田辺清、斎藤清作(のちのたこ八郎)といった往年のレジェンドたちもこの階級で戦っています。

体格の小さい日本人にとって、この階級は国内で戦うにも最激戦区の一つであり、ここを勝ち上がってきたボクサーというのは十分に世界と渡り合える力を持っています。

そしてこのフライ級のWBA王者は、まさに国内を勝ち上がって世界タイトルに辿り着いた、王道を歩んできたボクサーです。

岡山県の倉敷市という僻地から排出されたこの王者は、地方ジムの希望の星、とも言って良いボクサーです。

 

 

 

アマ経験を経て2014年にプロデビューした阿久井は、初戦、2戦目で判定勝利を飾り、3戦目、2014年度の新人王戦、西軍代表決定戦で引き分け敗者扱い。

翌年の2015年度の新人王戦では、見事全日本新人王を獲得しますが、この頃はまだ目立ったボクサーではなかったかもしれません。

ただ、ここまでで6勝(2KO)無敗1分というボクサーは、私にとっては特別でした。

私は瀬戸内海の孤島に生まれ、育った分、四国地方、山陽地方への思い入れは強いのです。「倉敷守安ジム」という聞き慣れたジムから出てきたこのボクサーは、この頃からずっと応援しています。

そして、阿久井が目立ちはじめたのはこの全日本新人王戦のあとからでした。

ここから怒涛の5連続KO勝利、しかもそのうち4度の1RKO。これで注目するなと言う方がおかしい。そして迎えたのは、創設間もない日本フライ級ユース王座決定戦。

2017年8月23日、阿久井がやや優位の下馬評だったと記憶しています。前戦、大保龍斗(横浜さくら)を1Rでストップしてこの決定戦にコマを進めた阿久井に対し、対戦相手の中谷潤人(M.T)は前戦を苦戦の2-0判定勝利。

 

 

 

否が応にも期待は高まりましたが、中谷はなんと接近戦でも阿久井に打ち勝ってみせ、阿久井は6RTKOで初黒星。

この後、阿久井は自身の視野の狭さを悟ったのか、東京への出稽古を始めたそうです。

その甲斐あってか、再起戦ではのちの(現在の)日本ライトフライ級王者、矢吹正道(緑)を1RTKO。これは凄まじい緊張感のある試合でしたね。

そしてその勢いを駆って世界ランク獲りに挑戦するも、ジェイセバー・アブシード(フィリイピン)に8RTKO負け。

翌年の再起戦では、湊義生(JM加古川)を1Rで仕留め、続く日本フライ級王座決定戦でも小坂駿(真正)戦も1RTKOで勝利し、見事日本王者に。

初防衛戦の藤北誠也(三迫)戦は、自身のキャリアではじめて10Rを戦い抜き、約5年ぶりとなる判定勝利。その後の2度目の防衛戦が桑原拓戦で、ここを11RTKO勝利で飾っています。

↓観戦記

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そこから粉川拓也(当時角海老宝石)、ジェイソン・バイソン(フィリピン)にフルマークの判定勝利。(因みに粉川さんは矢代義光さんのジムでトレーナーをやってます。先日お会いしましたがふっくらしておられました。)

ジェイソン・バイソンは日本初登場でその実力の程は分かりませんでしたが、その後に山中竜也(真正)を2RTKO、次回は4/21に3度目の日本のリング登場が決まっていますね。

日本タイトルを返上し、世界前哨戦として未知の強豪を退けたユーリ阿久井、満を持して挑む王者は階級最強のおそれもあったアルテム・ダラキアン(ウクライナ)。

22戦して無敗、リングを飛ぶように動き、見えないアングルからパンチを打ち込んでくる技術力の高い王者で、ボクシングをよく知っているボクサー。

このダラキアンに対し、終始攻め続けたユーリ阿久井は文句なしの判定勝利をあげ、岡山のジムとして初めて世界王座を獲得しています。

 

 

 

↓観戦記

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そして迎える初防衛戦が、「スピードスター」桑原拓。

桑原拓は、名門・興国高校時代にインターハイ、国体を制し高校2冠。大学も名門、東京農業大学へ進学し、大橋ジムから2018年にプロデビューし、あっという間に日本王座へ挑戦するところまで駆け上がってきたアマエリート。

スピードスター、桑原は大橋ジムも次代の世界王者として期待を寄せるスーパーホープであり、コロナというご時世でなければあっという間に地域タイトルを獲得し、大橋ジムのマッチメイク力もあいまってそれこそ世界王座への最短距離を走っても良い位のボクサーだったと思います。

おそらく日本人ボクサーからは敬遠され、日本タイトル挑戦までの8戦中5戦は外国人選手が相手。ただ、このコロナ禍ではそうも言っていられず、前戦は湊義生と戦い、8R判定勝利を挙げています。

 

 

 

ハートの強い難敵、湊に対してほぼフルマークという危なげのない戦いぶりは、そのポテンシャルの高さを示すものであり、かといって距離をとって当てる、いわゆる「塩」のようなボクシングではありません。

そのスピード、ディフェンス勘、隙の少なさを見ると、とてつもなくディフェンシブに戦いさえすれば、相手は触れることも困難なのではないか、とさえ思います。

そして9戦目で挑んだ日本タイトルマッチ、ここでも桑原はその高いポテンシャルを大いに発揮しています。

ガードが固く、フィジカルの強い王者に対して左フックカウンターを効かせ、ユーリ阿久井の効果的なパンチを外す。

この桑原らしいボクシングは、ユーリ阿久井に通用していましたが、パワーでは大きく見劣りし、初回にダウンを奪われたのちに最終的にはラストラウンドのTKO負け。この11Rの間には、桑原がユーリを効かせる場面もありましたが、やや及ばず、という内容でもありました。

初回にダウンを奪われたことに起因して、踏み込みが甘くなってしまったのか、強い警戒を抱いてしまったのか。

 

 

 

いずれにしろ、一発勝負のリングの上ではこの結果が全てです。ユーリ阿久井は勝って日本タイトルの防衛を果たし、桑原は負けて初黒星、初のタイトル挑戦は失敗。

しかし、この敗北は桑原のボクシング人生にきっと必要なものだったのでしょう。そこからの桑原は、目を見張るような成長を遂げている、といえます。

再起戦では格下相手ながらも久野喬(スターロード)を秒殺KO。続くパリニャ・カイカンハ(タイ)戦でも2RTKO勝利、そして世界挑戦経験者、ジーメル・マグラモ(フィリピン)とのOPBF東洋太平洋フライ級タイトルマッチへ挑みます。

このマグラモ戦で自身のボクシングを展開、完勝した桑原は、ホセ・リバス(メキシコ)を初回TKOに降し、その次には世界挑戦経験者、ウラン・トロハツ(中国)をすらも4RKOに切って落としています。

ユーリ阿久井戦前、8勝4KOだった戦績は、再起後5勝4KO。

 

 

 

明らかに決定力が増し、さらにタイトルチャレンジャーを二人に完璧な勝利を挙げている、というのは大きく自信につながることでしょう。

映像で見ても、桑原はかなり大きくなっているように見え、見た目にもフィジカルやパンチングのパワーがついていることは明らかです。しかも、スピードを落とすことなく。

前戦とは違う

この戦いは、「元」速攻型パンチャーと、「元」スピードスターの対決です。

かつて速攻型パンチャーと恐れられたユーリ阿久井は、序盤のKO勝利こそ多いものの決めに行く時は危うさもあり、ヒヤヒヤしたものでした。

しかしいつしか冷静な戦い方を覚え、それに比してKO率こそ低くなっているものの、パワーやフィジカルはもちろん健在、アグレッシブさをキープしながらもディフェンスも向上しており、非常に安定したボクシングになっていると思います。この穴の少ないボクシングでグイグイとプレッシャーをかけられるということもポイント面で言えばでかい。

そしてかつてスピードスターと言われた桑原は、倒し切るという精神面での成長と、強く踏み込む勇気、そして目に見えるパワーアップを得て、超危険なスピードスターに成長しています。

 

 

 

第一戦に比べ、その成長度合いが大きいのは桑原のように思います。ユーリ阿久井はすでにあの時、冷静なプレッシャーファイターである側面が今ほどではないにしろ大いに現れていた頃でした。

それでも両者の成長を鑑みると、前戦と同じような展開にはならない可能性があります。

前戦、桑原はロープからロープへ飛び回っていましたが、今回は撃ち合う場面を作ったり、ユーリ阿久井のハードヒットをもらう準備をしてくるのではないか、と思っています。

あの頃よりさらに強くなったプレッシャーを、12R捌き切ることはできないはずだからです。

そしてかかるのは世界タイトルマッチ、両者共にここでは負けられない。

もうぶっちゃけこの試合だけで良いんじゃないか、くらいのレベルの楽しみな戦いは、何度も言いますが第二試合目に行われ、クアドラプル・ヘッダーの先鋒を勤めます。

この戦いは必見、最初から盛り上がる戦いになりそうですね。

個人的には、完全に50-50の戦いだと思っています。

 

 

 

開始時間は?

この興行の開始時間は、16:00となっているようです。

ちなみに開場は14:00、バッファが2時間もありますね。

さすが5万人を入れる大会場、一体全体何時に行けば一番スムーズに見れるのか見当もつきません。できれば並びたくない。

あとこのゴールデンウィークの期間に東京に行く、ということ自体が田舎者にとってはハードルが高く、一体どれほどの混み具合なのかも想像がつきません。

せめて日中にやってくれればと思うのですが、16:00スタートの4大タイトルマッチだとその日のうちに帰れる時間にはならず(公共交通機関を使った場合)、地方の人は困るんじゃないでしょうか。

 

 

 

ゴールデンウィーク直後の7日に休み取るのも気が引けるし。

私は4時間程度なので夜中に車を走らせて帰りますが、帰れない距離の人たちはかわいそうですね。

日中にやった方がアメリカの人たちも見ることができるし良いような気がするんですが、この辺りの変革はまだまだ時間がかかりそう。

ともあれ配信はAmazonプライムビデオ、日本のボクシング界を挙げてのお祭りが、始まります。

 

 

 

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【プレビュー】チャンピオンカーニバル・ダブルヘッダー!藤村炎村vs李健太!!仲里周磨vs三代大訓!!

月に一度のボクシング配信をしてくれている、FOD。

このFOD配信興行の興行主は、フェニックスプロモーションと三迫プロモーションです。

奇数月がフェニックスバトル、偶数月がダイヤモンドグローブ、という感じで、三迫のダイヤモンドグローブは隔月開催であり、他に頼るプラットフォームがない状態なので非常に興味深いのですが、ことフェニックスバトルについては「お付き合い」の意味合いが強いように思います。

ある人が言うには、「FOD」と「Lemino」では予算において天と地ほどの差があり、FODのフェニックスバトルとLeminoのフェニックスバトルのマッチアップは大きな違いがあって当然、とのことです。

なのでここ最近、実はFODとの契約を切っていたのですが、今月は再加入せざるを得ません。

と言うことで今回のブログは、チャンピオンカーニバル屈指の好カード、しかもダブルでのタイトルマッチ、ダイヤモンドグローブのプレビュー。

 

 

 

 

4/9(火)ダイヤモンドグローブ

日本スーパーライト級タイトルマッチ

藤田炎村(三迫)12勝(10KO)1敗

vs

李健太(帝拳)6勝(2KO)無敗1分

「元リク」というだけで、ビジネス面においては「やり手」と思われる反面、嫌われるという側面もあると思っています。リクルートで使っていた言葉や言い回し、仕事のやり方等々をそのまま新しい会社に持ってこようとするきらいがあり、「リクルートではこうだった」とか「ああだった」とか言い始めるし、ヨコの繋がりがやたら強かったりもしてそれが強みにもなったりします。まあ、つまりは妬みですね。

ということで元リクには妬みを持っていて好きじゃないというか嫌いなワタクシ、でもこの藤田炎村という素晴らしいパンチャーを嫌いになる理由が一つもありません。

 

 

 

何せ本人が言うように、藤田の試合にハズレなし、です。

全勝全KOで迎えた、全日本新人王決定戦で本多航大に倒し倒されの末の初黒星、富岡樹(角海老宝石)へのアップセット勝利、湯場海樹(ワタナベ)への大逆転KO勝利、アオキクリスチャーノ(角海老宝石)との全弾フルスイングのどつきあい等々、どこを切り取ってもエキサイティングで、とにかく武骨で昭和(生まれ)のボクシングファンが大喜びしそうな試合を連発してくれています。

2023年4月の王座を獲得してからちょうど1年、その間に2度の防衛をこなした藤田、迎える相手は元トップアマの最強挑戦者、李健太(帝拳)です。

高校6冠、アマ100勝以上という元トップアマは、2019年にプロデビュー。コロナショックでの試合枯れは如何ともしがたく、ここで初のタイトル戦となりますが、本来であればもっと早くにタイトル挑戦を叶えていてもおかしくはなかったボクサー。

一つの引き分けはバッティングにより規定ラウンドに達しなかったための1分であり、その実質はこれまで一つの苦戦すらもない非常にキレイなキャリアです。

 

 

 

身長180cmと長身の部類に入るサウスポーは、前戦では挑戦者決定戦でアオキ・クリスチャーノを判定で降しています。

迫力ある強打のパンチャー、藤田炎村と長身サウスポーのテクニシャン、李健太。

藤田のプレッシャーを10ラウンズという長きにわたって躱しきり、カウンターをヒットさせることができるか、李健太。それともどこかで藤田が捕まえる場面が訪れるのか。一発でも当たれば試合が終わるという可能性がある藤田の強打、しかしそのフルスイングの強打ゆえに危ない場面も確かに多く、逆にカウンター一発で試合が終わる可能性も孕んでいます。

一瞬も目の離せない日本スーパーライト級タイトルマッチです。

この階級で日本勢トップは平岡アンディ(大橋)でしょうが、この戦いはその「次点」を決めるものになるのかもしれません。

 

 

 

日本ライト級タイトルマッチ

仲里周磨(オキナワ)14勝(8KO)2敗3分

vs

三代大訓(横浜光)14勝(4KO)1敗1分

今回のダイヤモンドグローブの興味深いところは、大注目の試合がメインイベントだけではないところにあります。

ダブルメインと言っても差し支えないのが、このセミファイナルに位置する日本ライト級タイトルマッチ、こちらも勿論チャンピオンカーニバルです。

2023年4月、指名挑戦者として当時の王者宇津木秀(ワタナベ)に挑んだ仲里。当時世界を期待させる器かと思われた宇津木に対し、下馬評不利の中3RKOというアップセット勝利を挙げています。

あの頃の宇津木の充実度、そして仲里が挑戦者決定戦で鯉渕健(横浜光)に辛勝だったことを考慮すると、仲里が、しかもKOで宇津木を破って新王者となるという予想を立てることができたファンは少なかったのではないか、と推察します。

 

 

 

初防衛戦は地元沖縄に挑戦者村上雄大(角海老宝石)を迎え、判定勝利。「初防衛戦」、かつ「凱旋試合」という二つの魔物を抑え込んでの防衛成功は本当にお見事ですね。

なお、仲里の戦績に記録されている2つの敗北、一つは2021年、当時の絶対王者吉野修一郎(三迫)に喫したものであり、そしてもう一つは2017年、三代大訓に喫したものです。

今回、王者という立場の仲里ですが、リベンジの機会を得た、捉えるとモチベーションも上がるでしょう。

さて、挑戦者三代大訓は元OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者。

数々の難敵を退けて無敗をキープ、2020年には元世界王者、伊藤雅雪を僅差判定で退けて世界へ打って出る、というところまで駆け上がっていました。

しかし結局のところステップアップファイトは組めず、約1年のブランクを経て元日本王者西谷和宏に2年半ぶりとなるKO勝利。

その後のオーストラリアでの戦いは格下と見られたボクサーに苦戦、そして横浜光ジムへの移籍を経ての初戦は韓国でジュン・ミンホ(韓国)と戦い、まさかの初黒星を喫しています。

 

 

 

三代大訓は、ジャブが得意な「ジャバー」で、相手をいなす、距離をキープする、というイメージ。ただ、想像している以上に撃ち合いも(おそらく)好きだし、接近戦でも強さを発揮します。どちらかというとオールラウンダー、の中にジャブが突出しているという感じです。

仲里と三代は2017年に戦い、ダウン応酬の大激闘の末三代が勝利しています。

それからもう6年半の月日が流れ、階級も違い、キャリアも厚みを増したところでの激突です。

前回三代が勝利したから今回も、とはいかない戦いであり、二人がこれまでのキャリアで獲得した日本国内で取れるメジャーなベルトを一本ずつ。

ここに買ってすぐに世界、とはいかない階級ではありますが、間違いなくライト級国内最強決定戦の一翼であり、この勝者はさらに苛烈なサバイバル戦へ突き進んでいくのでしょう。

仲里は技術もありますが、遠い距離では三代相手には分が悪い。打ち合いに巻き込み、打ち勝ってこそ勝利が見えてくると思います。

三代としてもジャブだけで勝てる相手ではなく、どこかで打撃戦も必要となってきそうで、ここも見応え十分、またダウンシーンがある可能性は大いにあります。

 

 

 

セミもメインもおそらく維持と意地がぶつかり合う、エキサイティングな展開。

4/9(火)のダイヤモンドグローブ、見逃せません。

 

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【プレビュー】バルデス危うし!?オスカル・バルデスvsリアム・ウィルソン、WBO世界SFe級暫定王座決定戦!!

3月最後のウィークエンド。

北米AmazonとPBCが組み、PPVファイトがある週末です。

この日を避けたのか、それとも元々その予定だったのかはわかりませんが、ESPNが放映するトップランク興行はその前日、現地時間で3/29(日本時間3/30)に行われます。

↓Amazon×PBCは初興行

チューvsフンドラ、ロメロvsクルスのプレビュー記事

そのほか3つの世界タイトルマッチのプレビュー記事

 

 

 

必然的に注目度は低くなりますが、ことメインは非常に興味深いマッチアップです。

ということで今回のブログは、オスカル・バルデスvsリアム・ウィルソンをメインに据えたトップランク興行のプレビュー記事。

 

 

 

WBO世界スーパーフェザー級暫定王座決定戦

オスカル・バルデス(メキシコ)31勝(23KO)2敗

vs

リアム・ウィルソン(オーストラリア)13勝(7KO)2敗

2階級制覇王者、オスカル・バルデスと未だ一介のタイトルチャレンジャーであるリアム・ウィルソンでは、オッズとしてバルデス優位と出て何もおかしくはありません。

ただ、それが現在の実力差を表しているのか、というとそうは思えないのもまた、事実。

オスカル・バルデスは2016年から2019年までの間、安定的な強さを発揮してWBO世界フェザー級王座に君臨。しかしスーパーフェザー級へ転級後の初戦ではダウンを奪われる大苦戦、なんとか7RTKOで勝ち切ったものの、よくないスタートでした。

 

 

 

対戦相手の質を落としてスーパーフェザー級第二戦を飾ったバルデスが挑んだのは、当時階級最強とさえ謳われたミゲル・ベルチェルト(メキシコ)。

ここを左フックのプルカウンターを決めて劇的なノックアウト勝利を飾ったバルデスは、その名誉を大きく回復したのです。

しかし、ベルチェルトを倒して得たWBC世界スーパーフェザー級王座の初防衛戦はあの疑惑判定で名高いロブソン・コンセイサン(ブラジル)戦、さらにその次がシャクール・スティーブンソン(アメリカ)戦で何もできずに終わり、その初黒星のあとは一度勝利しているアダム・ロペス(アメリカ)戦。

そして前戦がエマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)戦でキャリア2敗目を喫しています。

このスーパーフェザー級での戦歴を見てみると、良いパフォーマンスを見せたのはベルチェルト戦のみであり、この戦いもベルチェルトの様子がおかしかったこともあり、この階級でのバルデスの実力の程は個人的には疑っています。

 

 

 

もちろんバルデスが弱い、と言っているわけではなく、スペシャルな王者だとは思えない、ということです。

なのでこのリアム・ウィルソンというボクサーは、バルデスにとって非常に危険な相手ではないでしょうか。

身長166cm、リーチ168cmというバルデスに対し、ウィルソンは身長176cm、リーチ178cmの長躯。バルデスが疑惑の判定で辛くも勝利したコンセイサンと変わらないサイズです。

ナバレッテと比べてもかなり小さく見えたバルデス、まずは体格面においてのビハインドです。

さらにこのウィルソンは手数の多いタイプのボクサーであり、回転力に優れているがために、なかなかカウンタータイミングを取りづらいボクサーでもあると思います。なのでバルデスが得意のカウンターを良い形でヒットさせるのは非常に難しい部類であると言えます。

ウィルソンが前に出てくる分、バルデスのカウンターチャンスはあります。

 

 

 

ただ、そのカウンターチャンスを探っている間にもウィルソンが手数を出してきて、ともすれば前半はウィルソンにポイントが流れそうな予感がしています。

13勝中7KO、という戦績はこの階級ではハードパンチャーとは呼べないかもしれませんが、そうは言ってもナバレッテからもダウンを奪い、KO寸前まで追い詰めているウィルソン。ナバレッテ起点で考えると、どちらがナバレッテを苦しめたか、というともちろんウィルソンになってしまいます。

これは相性もあるかもしれませんが、どのような試合になるのか、非常に楽しみ戦いです。

突如としてWBO暫定戦に!

メキシカンのバルデスが、WBCから優遇されるのはよくわかることです。

しかし今回、WBOがこのバルデスvsウィルソンをWBO世界スーパーフェザー級暫定王座決定戦に認定した、とのこと。

 

 

 

元WBO世界フェザー級王者、という実績がバルデスにあるからなのか、現在のランキングはウィルソンが2位、バルデスは4位。

勝者が暫定王者となる、ということはナバレッテの動向次第で次は正規王者となり、指名挑戦者としてアルバート・ベル(アメリカ)を迎えることになるのでしょう。

ナバレッテがデニス・ベリンチク(ウクライナ)に敗北したら?バルデスvsウィルソンの勝者が団体内王座統一戦としてナバレッテと対戦することになると思うので、どちらにせよ再戦になりますね。

そうなった場合を考えると、やっぱり面白いのはリアム・ウィルソンとの再戦。

つまり今回の試合では、ウィルソンを応援したくなるということです。

 

 

 

アンダーカード!!

co-main(セミファイナル)はセニエサ・エストラーダvsヨカスタ・バジェによる世界女子ミニマム級4団体統一戦。

そのほかにも、19勝14KO無敗のリンドルフォ・デルガド(メキシコ)、みんな大好き19勝16KO無敗のレイモンド・ムラタヤ(アメリカ)、東京五輪銀メダリストのリチャード・トーレスJr(アメリカ)、そしてそしてもうあと2〜3年もしたら偉大な父の七光から脱しそうな雰囲気のエミリアーノ・バルガス(アメリカ)とトップランク有望株が次々登場です。

非常にわかりやすくプロスペクトたちを推してくれるトップランク興行は、今後誰に期待していいのかがわかって非常に楽しい。

ただ、残念ながらこの試合は日本の放映は無し、アメリカではESPNが放送です。

 

 

 

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【プレビュー】クィンティプル(5大)世界戦!米国アマプラPBC興行、ティム・チューvsセバスチャン・フンドラ、ロランド・ロメロvsイサック・クルス!!

日本時間3/31(日)、いよいよ北米Amazon Prime VideoがPBCファイトを放映し始めます。

Showtimeのボクシング放送終焉から3ヶ月半のレイオフ期間を設け、満を持しているのかはわかりませんが、ともかくティム・チューvsセバスチャン・フンドラというカードを携えてのカムバック。

すでに第3弾(第3弾はまだ正式な発表には至っていませんが)まで発表されているAmazon Prime PPV興行、そのほかにも今年は12-14興行を予定しているらしいので楽しみにしましょう。

ちなみにこの興行、なんと5つも世界タイトルマッチが開催されるというトンデモ興行です。どっからPPVになるのか、というとよくわからないのですが、この5つの世界タイトルマッチにプラスしてイライジャ・ガルシアvsカイロン・デービスがとりあえずPBCのサイトに載っているマッチアップです。

ということで今回のブログは、Amazon Prime Video Presents PBC興行、クィンティプル(5つの)世界タイトルマッチのプレビュー記事、その1。

 

 

 

3/30(日本時間3/31)アメリカ・ラスベガス

WBO・WBC世界スーパーウェルター級統一タイトルマッチ

ティム・チュー(オーストラリア)24勝(17KO)無敗

vs

セバスチャン・フンドラ(アメリカ)20勝(13KO)1敗1分

無敗のライジングスター、ティム・チュー。今やこのチューを「コンスタンティン・チューの息子」とわざわざ注釈するメディアも少なくなったことから、チューが自らの拳で掴み取ったこの地位を実感するものです。

当初、キース・サーマン(アメリカ)との無冠戦だったこのメインイベントは、サーマンの負傷により対戦相手変更。リザーバーとして用意されていた、という可能性もありますが、アンダーカードに出場予定だった元WBC世界スーパーウェルター級暫定王者、セバスチャン・フンドラが抜擢されています。

 

 

 

これはサーマン負傷により、非常に興味深いカードになった、と言えるマッチアップです。

チューは2023年3月、WBO世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦に出場してこれを獲得、その後は4団体統一王者だったジャーメル・チャーロ(アメリカ)の正規王座剥奪に伴い正規王座に格上げされています。

王座獲得戦からトニー・ハリソン(アメリカ)、カルロス・オカンポ(メキシコ)、そしてブライアン・メンドサ(アメリカ)といった元タイトルホルダーやタイトルチャレンジャーを相手に勝利、今回の一戦を迎えます。

フィジカルの利を存分に活かしたオーセンティックなファイトスタイル、ストロングスタイルが持ち味です。そのボクシングは非常に崩しにくく、オージーボクサーに共通した勤勉さやハートの強さも感じるスタイルですね。

対してヘビー級並み、2m近い身長を誇る元WBC世界スーパーウェルター級王者、「タワーリングインフェルノ」セバスチャン・フンドラ。

 

 

 

出始めの頃はキワモノ色が強かったフンドラですが、2020年頃から元タイトルチャレンジャー、ハビブ・アフメド(ガーナ)、強豪との対戦経験が多いホルへ・コタ(メキシコ)をを降し、2022年にはエリクソン・ルビン(アメリカ)に9RTKOで勝利してWBC暫定王座を獲得しています。

この頃にはもう知名度だけでなく実力を証明したフンドラは、初防衛戦でカルロス・オカンポを圧倒、そして2度目の防衛戦でブライアン・メンドサを迎えます。

フンドラは2m超えのリーチを全く活かすことなく、接近戦を仕掛けるのは常。序盤の1〜2Rはジャブで様子を見ることが多いので、もしかしたらスロースターターなのかもしれません。

それでもインサイドに入って効果的な攻撃をしかけられないメンドサ、ポイントはほぼフルマークでフンドラでした。

しかし7R、ずっと狙っていたものなのか、メンドサの左フック一発ででフンドラが効かされそのままダウンからのカウントアウト。結果ほぼ一発で勝負がついてしまったような試合で、メンドサとしてはその詰めが素晴らしかったことと、フンドラとしては顔面の打たれ脆さを露呈した(かも)しれない戦いでした。

 

 

 

↓チューvsメンドサ

boxingcafe.hatenablog.com

↓フンドラvsメンドサ

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

ブライアン・メンドサ、カルロス・オカンポ等、二人が戦ったボクサー相手へのパフォーマンスを比べてみれば、もちろんチュー有意で問題ありません。

ただし、3段論法が通用しない、ということもまた事実であり、メンドサがフンドラに勝てたのはそのスタイルが大きく関係している、とも言えます。サイドに素早く動くメンドサは、やや変則で、飛び込んでのパンチも多用する方、さらにパンチの伸びもあって顔面に届きやすかった、というのが今となっては思うところ。

ではチューは、というと、右ストレートはよく伸びますが、フンドラの顔面に届かせるにはフンドラが得意のアッパー、フックを打ちまくれるところまで行かなければなりません。

なのでチューとしてはボディから丁寧に削っていく、という必要性がありそうで、このチューとメンドサのファイトスタイルの違いもあってそう簡単にはいかないと思われます。

いずれにしろ、チュー優位というのは当然ながらも、果たしてチューをしてもフンドラの顔面にパンチを当てられるのか、は謎なところ。

この試合は、チューの持つWBO王座に加え、WBC王座決定戦ともなるようです。

これは非常に楽しみな一戦です。

 

 

 

WBA世界スーパーライト級タイトルマッチ

ロランド・ロメロ(アメリカ)15勝(13KO)1敗

vs

イサック・クルス(メキシコ)25勝(17KO)2敗1分

そしてセミファイナルにはロランド・ロメロvsイサック・クルス。

これまた興味深い一戦、というかイサック・クルスの世界初戴冠が期待できる一戦です。

嫌われ者のロランド・ロメロ、これはトラッシュトークで大言雑言を吐きつつ、実力が伴っていないのでは?というのが大方の見方、ということだからでしょう。

元々は評価の高かったロメロは2020年8月、当時無敗だったジャクソン・マリネス(ドミニカ共和国)との一戦に疑惑の判定で勝利してWBA世界ライト級暫定王座を初戴冠。

この後初防衛戦はアンソニー・イギット(スウェーデン)に勝利するも、この試合はイギットのウェイトオーバー、スポーツマンシップに欠ける戦いとなったダーティファイト。

 

 

 

その後にジャーボンタ・デービス(アメリカ)にKO負けで初黒星、そしていわくつきのイズマエル・バロッソ(ベネズエラ)戦とまあとにかくお騒がせ状態です。

これらの流れにおいて、ロメロが悪いかというとそうではないのですが、やっぱり判定で優遇されるイメージ、周りが負けさせないようにしようとしている、と感じるファンは一定数いるのが現状。あとはロメロのキャラクターも相まって、なかなかの憎まれっ子に成長してきています。

対してイサック・クルス、そのエネルギッシュなファイトスタイル、パンチの全てが強振、面構えといい、全てが応援したくなるボクサーです。

2020年、トーマス・マティセ(アメリカ)とのプロスペクト対決を制したクルスは、その後ディエゴ・マグダレノ(アメリカ)、当時無敗だったホセ・マティアス・ロメロ(アルゼンチン)を撃破。元王者フランシスコ・バルガス(メキシコ)を撃破したのちにジャーボンタ・デービスに挑戦しますが、判定負けを喫しています。

 

 

 

ただ、このデービスを大いに苦しめた判定負けという事実は、ピットブル・クルスの評価を大いに高めるもので、その商品価値を高めるものでもありました。何せタンクはここまで29勝27KOであり、クルス以外でKOされなかったのは6回戦時代に遡らなければなりません。

タンク相手に12Rを戦った、という事実は素晴らしいことで、さらにポイントもかなり競っていたように記憶しています。

そうして評価を高めたクルスは、ユリオルキス・ガンボア(キューバ)、エドゥアルド・ラミレス(メキシコ)、ジョバンニ・カブレラ(アメリカ)を撃破してこの試合に到達。

超がつくほど好戦的なボクシングのイサック・クルス、今回は世界初戴冠の大チャンスです。

とまあ、戦ってきた相手、そしてその相手に対するパフォーマンス、という部分で勝るのはイサック・クルス、であるだけにオッズはクルスが優位となっています。

 

 

 

ただ、クルスにとってロメロはさほど簡単な相手ではなく、猪突猛進型のクルスはいなされてしまう可能性も孕んでいます。ロメロは実際、技術のあるボクサーだと思っています。

クルスの勝利は、突出した攻撃力を活かしたゴリ押しボクシング。一瞬でも躊躇してはいけません。ただ、ロメロも倒せるパンチを持っているだけに、インサイドでの戦いは危険を伴います。さらに、クルスはスーパーライト級での戦いはデビュー直後にあったくらいで、この階級では未だ未知数とも言えます。

スカッと爽快なクルスのボクシングがロメロを凌駕するのか、それとも、憎まれっ子が世に憚るのか。

いずれにしろ、この勝者には暫定王者のイズマエル・バロッソとの団体内王座統一戦が義務付けられるはずです。WBAだけにわかりませんけど。

化け物だらけのスーパーライト級、今後の動きも非常に楽しみです。

 

 

 

【配信情報】

こちらの興行は、アメリカではAmazon Prime VideoのPPVで放映。

そして日本ではもちろん、我らがWOWOWでライブ配信!

本放送では10:30〜となっており、この頃に上記2試合が始まるイメージかもしれません。一応、アンダーカードが9:30〜となっているので、もう1-2試合ほどの放送もありそうです。

WOWOWで5つの世界戦全てを見れたら良いですが、見るにしてもかなり時間もかかりそうですね。

www.wowow.co.jp

 

 

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【プレビュー】期待は圧倒的勝利!重岡優大vsメルビン・ジェルサェム、重岡銀次朗vsアルアル・アンダレス!


いよいよ3月も最終週。

3月末にはアメリカでAmazon Prime Videoが放映するPBC興行が注目。

そして日本でも、重岡兄弟によるダブルタイトルマッチが開催されます。

この興行は、マッチルームが仕掛けるミドル級トーナメントも同時開催、との話でしたが、試合まで2週間前というタイミングでこれが突如中止に。

試合を予定してトレーニングを積んでいたボクサーたちはもう減量も最終期に入っていたでしょうに、プロモーター側に振り回される結果となってしまいました。せめて国本陸vs可兒栄樹はやっても良いんじゃないかと思いますが(どうせミドル級トーナメントなんてできないでしょうから)、結局3/23(土)現在、リストにはありません。後々増えるかも。

↓現在のファイトリスト

https://www.3150fight.com/schedule/23/

 

 

 

あと非常にどうでも良いリマッチだった亀田和毅vsレラト・ドラミニも、ドラミニが結局亀田戦を蹴ったため中止、亀田は別のボクサーと戦うことになっています。

と言うことで今回は、重岡兄弟のWタイトルマッチについてのプレビュー。

3/31(日)3150FIGHT

WBC世界ミニマム級タイトルマッチ

重岡優大(ワタナベ)8勝(5KO)無敗

vs

メルビン・ジェルサェム(フィリピン)21勝(12KO)3敗

亀田vsドラミニがメインでしたが、結局メインイベントはこちらに繰り上がったっぽいですね。(3150FIGHTのHPを見る感じ)

 

 

 

重岡優大は前戦、安定王者パンヤ・プラダブスリ(タイ)をタイ国から引き摺り出し、全くもって見事な勝利。あの勝利の仕方であれば、たとえタイであっても十分に勝利を期待できる内容だったと思います。

冷静な試合運びが目立った重岡優大、暫定王座獲得から数えて2度目の防衛戦となる今回は、またも元王者、メルビン・ジェルサェムが相手です。

ジェルサェムは2023年1月、谷口将隆(ワタナベ)を2RTKOで破り、WBO世界ミニマム級王座を獲得しています。

この谷口の敗北は言い方を選ばず言うと、谷口の油断が原因と言える敗北。初回、おそらくおおよそジェルサェムを見切った、と感じてしまった谷口でしたが、初回以上に強い踏み込みを持っていたジェルサェム、結局はワンツーの一撃で谷口をノックアウト。

 

 

 

これは谷口が戴冠戦であるウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)戦、初防衛戦で体重超過した石澤開(M.T)戦を経て大きく評価を上げ、自信をつけたこともあり、それまで強豪との対戦経験がなかったジェルサェムを相手とすれば大きく優位に傾き、楽勝ムードだった、とも言える一戦。

世界ランカー、というだけでそんなはずはないのですが、ファンも谷口勝利を疑わなかった防衛戦のはずでした。

結局勝ったほうが強い、が真理なので、ジェルサェム>谷口なのは当然なのですが、10回戦えば7-8回は谷口が勝つ、と今でも思っています。

そんな反省点があるにも関わらず、やはり今回の戦いも重岡が圧倒的優位、というのは真実でしょう。

 

 

 

そしてまだまだ上を目指す重岡が、ここで星を落とすわけにもいかないし、ジムの先輩があのようにしてやられているのを見ているはずなので、そこはしっかりと警戒もできるでしょう。

なのでこの試合は、注意深く戦いつつも強打を打ち込む重岡優大の圧勝となるのが望ましく、そしてそのストップのタイミングは7Rまでに起こるとなお良い。この7Rというのは、オスカー・コラーゾ(アメリカ)がジェルサェムをストップした(厳密にいうと棄権させた)ラウンドであり、優大としてはこれをもっと早め、コラーゾ戦に繋げてもらいたい。

IBF世界ミニマム級タイトルマッチ

重岡銀次朗(ワタナベ)10勝(8KO)無敗

vs

アルアル・アンダレス(フィリピン)14勝(6KO)2敗3分

 

 

 

セミが亀田和毅vsケビン・ビジャヌエバ。このビジャヌエバはメキシコから出たことのないボクサーで、23歳、まだまだこれからのボクサーですね。

先日アメリカデビューを果たしたメキシカン・プロスペクト、アラン・ピカソに6RTKOで敗れており、出世街道からは外れているメキシカン。これは実力差があって然るべきところですね。

さて、セミセミの重岡vsアンダレス。

アンダレスについては、すでに幾度か日本のリングに立っているので、このアンダレスがタイトル挑戦する、というのは既定路線であったのでしょう。

なかなかお粗末なボクサーであるこのアンダレス、昨年、一昨年と日本のリングに登場し、なんと両方とも負傷ドローという結果を残しています。

 

 

 

それもどちらも頭から突っ込むアンダレスのバッティングによるものであり、被害者は小浦翼(E&Jカシアス)、ウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)です。

3度目の日本登場で、またバッティングによる負傷ドローというのは止めてほしい。

バッティング、といえばいわくつきの重岡銀次朗、初の世界タイトル挑戦で当時の王者ダニエル・バラダレス(メキシコ)に頭突きをされ、その頭突きにより謎でバラダレスが負傷、なんとノーコンテストとなってしまいました。

スロー映像はよく覚えていますが、バラダレスが銀次朗の太い首に頭をめり込ませ、負傷するという謎映像。結局その後、銀次朗はレネ・マーク・クアルト(フィリピン)との暫定王座決定戦を制し、バラダレスにリベンジ、今回が暫定王座獲得から数えて2度目の防衛戦となります。

 

 

 

このアンダレスの警戒すべきことは、何と言っても第三のパンチと呼ばれるヘッドバット。

そのほかは、というと映像で見る限りは凡庸なボクサーにみえ、正直な話完成度の高い銀次朗の負けは全くと言って良いほど考えられません。

ここも重岡銀次朗の圧勝を期待したいところですね。

アレクサンドル・ジューク(ルーマニア)vs但馬ミツロ(KWORLD3)

ヘビー級からそもそも誰も興味のないブリッジャー級への鞍替えを表明したミツロ。

世界王者、という肩書きについて、選手層の観点から言うと現状これほど獲りやすい階級はないはずです。

 

 

 

本当はもっとウェイトを落としたところで勝負してほしいところですが、ミツロの挑戦を見守りましょう。

相手のジュークというボクサーは、20勝(8KO)5敗という38歳、勝ってきた相手のほとんどは噛ませ犬相手の試合ばかりです。勝ち越しているボクサーに勝利した経験はほぼないに等しい。

ということでこのボクサーのたかが知れてしまいますが、この辺りに苦戦しているようであれば世界はまだまだ遠い。

 

 

 

配信情報

3150FIGHTは視聴数稼ぎのために試合数を詰め込み、長時間興行とする傾向が強いですが、今回ばかりは「普通」です。「普通」になってしまった、ともいうべきダブル世界戦を含む全6試合、こちらはABEMAで生配信です。

日程は3/31(日)13:00〜とのことですね。

ライブ配信は妙な時間稼ぎが入る可能性が大いにあるので、追っかけ再生、もしくは見逃し配信がオススメです!

ということでABEMAプレミアムへの加入で、ストレスなくボクシングを楽しみましょう。

↓ABEMAプレミアムはこちら

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【プレビュー】矢吹正道の次は力石政法!vsマイケル・マグネシ、配信はSHOWY TV!!

3/23-24の土日は、世界タイトルマッチはおあずけ期間。

それでも何もないわけではないのがボクシング競技の良いところで、その中でもこの週末の大注目ファイトはやはりイタリアで行われるWBCシルバー・スーパーフェザー級タイトルマッチです。

もちろん大注目の所以は、日本の力石政法(LUSH緑)が出場すること、そしてこの試合がWBC世界スーパフェザー級の挑戦者決定戦であることです。

ということで今回のブログは、力石が敵地イタリアで挑む、WBC世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦について。

 

 

 

3/22(日本時間3/23)イタリア・ローマ

力石政法(LUSH緑)14勝(9KO)1敗

vs

マイケル・マグネシ(イタリア)23勝(13KO)1敗

兄、矢吹正道の見事な復活劇から約1週間。

アキレス腱断裂という怪我、1年2ヶ月ぶりの試合、さらに回復からはあまりにも早いと思われる復帰。

その不安の全てを払拭するかのような4RTKO勝利は、本人曰く本調子とは言えないとのことでしたが、世界王者返り咲きをアピールするのに十分な結果だったと思います。

さて、兄に続けるか、力石政法。

2017年にB級でプロデビュー、デビュー3戦目で坂晃典(仲里)にTKO負けも、そこからは連戦連勝。

 

 

 

坂をはじめ、キャリア初期から強敵と渡り合ったサウスポーは、12戦目でOPBF東洋太平洋王座を獲得します。この頃すでに、盤石の評価を獲得していたように記憶しています。

OPBF王座決定戦の相手は渡邊卓也(DANGAN AOKI)であり、この大ベテランを相手に全くと言って良いほど寄せ付けず、フルマークの判定勝利。スパッと切れ味鋭いカウンターを武器にKOの山を築いてきた力石は、対応力の高さも見せつけてくれました。

そこからは圧巻の3連続KO勝利、トムジュン・マングバット(フィリピン)、木村吉光(志成)、ジャーボンタ・デービス(アメリカ)との対戦経験もあるリカルド・ヌネス(パナマ)を3Rで切って落とし、とうとう手に入れた世界タイトルへの道。

兎角印象的なノックアウト勝利の多い力石、世界王者の誰と戦ったとしても期待しかありません。

この兄弟のカウンターセンスというものは驚愕です。こういうのは遺伝するものなのか、それとも同じようなトレーニングを積んで身につけたものなのか。

 

 

 

ともあれ、国内強豪を退けてのエリミネーションバウトの機会、というのは、「ニッポン代表」という肩書きを背負ってのイタリア殴り込み。その挑戦は失敗に終わってしまったものの、アメリカへ行った阿部麗也(KG)と同じく、胸を張って日本代表と言い切れるボクサーです。

さて、その対戦相手のマイケル・マグネシ。

イタリアというボクシング強豪国とは言えない出身のボクサーながら、このボクサーはおそらく人気は高いのでしょう。

ABEMAマネーでも日本に呼べなかった、というのがその証拠と思われますが、果たして身内にしか甘くない3150FIGHTがマグネシをどこまで本気で日本に呼ぼうとしていたのかは定かではありません。

ともあれ、これを機に力石は3150FIGHTと縁を切ってくれれば良いですが。

 

 

 

さて、このマグネシという、見たことも聞いたこともないボクサーの映像を見ると、頭を振ってグイグイとプレスをかけてくるわかりやすいファイタータイプ。

正直、この手のタイプのボクサーは力石が得意なタイプではなかろうか、と推察できる相手です。

このマグネシは、ドロドロの試合に持ち込むタイプのファイターではなく、非常にクリーンで、スタイリッシュで、ある一定の距離を作りながら打ち込んでくるボクサー。バランスを崩しながらもパンチを振るい、手を出しながら大きく前に出る、ということもできるボクサーですが、クリンチや揉み合いの展開は非常に少ないのではないかと思います。(映像は全部見たわけではないのでわかりませんが)

だからこそ、力石にとってやりづらさはないように見受けられます。

もし私がマグネシの陣営であれば、完全に距離を詰め切って、頭を押しつけて戦うような戦いを選択させるか、とにかく不用意には攻めず、フェイントをかけて相手にカウンターを打たせたところに攻め入る、という戦法を徹底させねばなりませんが、およそ後者はあまり成功確率が高くありません。なぜなら、力石相手にフェイントをかける、ということは、力石に考える時間と先手を取らせるという余裕を与え、非常に攻撃的なボクサーである力石は、待つことなく先手を取ることもできるからです。マグネシのファイトスタイルで、先手を取られるというのは苦しいこと以外の何者でもないのではないでしょうか。

 

 

 

なのでマグネシに選択できるのは、これまでのクリーンなインファイトではなく、ダーティなインファイト。それで地元判定を押し切るしか方法がないように思います。

と、思ってしまうほど、今の力石は充実しているように感じます。

さて、果たして、マイケル・マグネシに(流し見した)映像で見る以外の強力な武器、強さがあるのかは確認しなければいけません。そして、イタリアという完全アウェーで戦う力石のパフォーマンスも注目しなければいけません。

それを差し引いても、結局やってくれると思わせられる一戦、3/22は大注目ですね。

 

 

 

配信情報

ちなみにこの勝者は、WBC世界スーパーフェザー級の挑戦権を獲得します。

このWBC世界スーパーフェザー級の世界王者といえば、みんな大好きオシャーキー・フォスター(アメリカ)ですね。

以前にRingで特集されていたフォスターの記事を読んでのまとめ記事的なものですが、これを読めばフォスターのことが好きになってしまうかもしれません。

↓オシャーキー・フォスターについて

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

フォスターvs力石なんていうのは極上のスキルフルファイト、それも退屈ではないやつが展開されると思うので、これは楽しみof楽しみです。

そこに辿り着く大事な一戦が今回の力石vsマグネシですね。

さて、この戦いはSHOWY TVで生配信!

配信日時は、日本時間3/23(土)深夜1:45〜のようです。

このSHOWY TVはWEB版とアプリ版があり、WEB版は月額19.99ドル(3,000円)、アプリ版は2,500円かかりますが、日本でも視聴が可能です。(たぶん。責任は持ちませんけど)

この興行はABEMAがなんとかしてくれると思っていましたが、今のところ情報がないので、もし前日までに情報が出てこないようだったらここで購入できるので、ご安心ください。

とりあえずこれが見つけられてよかった。ご活用ください!!

と書いていたらABEMAで情報出てきました!(下部に記載)

▼SHOWY TVへのリンク▼

 

ということでアップしたら、ABEMAであるみたいです!

ABEMAの方が無料なので断然安い。前座から見たいという稀有な方はSHOWYTVを購入してください。そうでなければAM5:45〜ABEMAであるみたいです。

朝起きれない、という方はABEMAプレミアムで見逃し配信もあります!

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【プレビュー】タンク・デービスへの挑戦状。ウィリアム・セペダvsマキシ・ヒューズ!!

3月も半分。

週末はTravelTVで配信される矢吹正道vsケビン・ビバスという注目ファイトが国内であるほか、日本時間で翌日にはウィリアム・セペダvsマキシ・ヒューズという注目ファイトも。

「世界王者一歩手前」のプロスペクトと、メジャータイトルにあと一歩届かない(であろう)ベテランの戦いは、非常に興味を掻き立てられるものですね。

実質的には元統一王者、ジョージ・カンボソスJrを降していた、とも言えるヒューズ、ここで迎えうつのは若きノンストップファイター、ウィリアム・セペダというのはかなりハードなマッチメイク。

ということで今回は、みんな大好きメキシカン、ウィリアム・セペダvsマキシ・ヒューズのプレビューです。

 

 

 

3/16(日本時間3/17)アメリカ・ラスベガス

ウィリアム・セペダ(メキシコ)29勝(25KO)無敗

vs

マキシ・ヒューズ(イギリス)26勝(5KO)6敗2分

ノンストップファイター、ウィリアム・セペダ。ノンストップ連打は昭和の日本のボクサーを思わせる、と勝手に思っていて、なぜだかとっても親近感が湧くのです。

めちゃくちゃスピードがあるわけではないし、ものすごく派手なパワーパンチャーでもない。それでもある程度の強打を連打できる強みがある、というセペダは、意外とリングIQも高く、ただただ前に出るだけのファイターではありません。

おそらく自分の体の特徴を理解しているのでしょう、空振った後もパンチを出してバランスを整え、またそのアングルもなかなかに多彩。

 

 

 

2015年にプロデビュー、圧倒的な連打力でKOを積み重ね、2020年にアメリカデビューを果たしています。ちなみにこの時のメインはオシャーキー・フォスターvsみmゲル・ローマンなんていうシブいファイト。

このアメリカデビューの後、当時無敗のプロスペクトだったヘクター・タナハラ(アメリカ)を撃破、2022年には元王者レネ・アルバラード(ニカラグア)、ジョセフ「ジョジョ」ディアス(アメリカ)に完勝、さらに評価を高めています。

その後もかつてクリス・コルバート(アメリカ)と暫定王座を争ったハイメ・アルボレダ(パナマ)、ホルへ・リナレス(ベネズエラ)とフルラウンドを戦ったメルシト・ゲスタ(フィリピン)をノックアウトで降し、さらに勢いに乗っています。

 

 

 

そしてここで巡ってきたチャンスは、WBAとIBF、二つのタイトルのエリミネーションバウトです。

若く、勢いがあり、何よりも非常に誠実でよく練習しているように見えるメキシカンが、ここを落とすとは考えづらい。

↓セペダvsジョジョの観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

しかし、マキシ・ヒューズもまた、厄介極まりないボクサーだといえます。

このレベルのボクサーが未だ世界王者に届かず、というのはやはりライト級という階級の厚さを目の当たりにするのです。

2010年にプロデビューしたヒューズは、その戦績の通り倒すタイプのボクサーではありません。

キャリア初期はイングリッシュ・プロスペクトにありがちなアンダードッグたちとの試合を積み重ねますが、対戦相手の質が上がった2013年に初黒星。その後も勝つべき相手に勝ち、負消そうな相手に負ける、という順当さでキャリアを積み重ねていきます。

しかし2019年のリアム・ウォルシュ(イギリス)戦を最後に、ジョノ・キャロル(アイルランド)、ポール・ハイランド(イギリス)、ジョバンニ・ストラフォン(メキシコ)といった名のある相手を撃破、大復活を遂げます。

 

 

 

ウォルシュ戦前までは、対戦相手の質を疑問視されていたマキシ・ヒューズというボクサーは、強豪との対戦において花が開いたボクサーだと言えます。こういうことは、稀にありますね。

この強豪への連勝中に、いくつかの地域タイトルとIBOの世界タイトルを奪取したヒューズは、ライアン・ウォルシュ(イギリス)を退けたのち、元世界王者のキッド・ガラハッド(イギリス)に勝利。素晴らしい相手に7連勝を記録して迎えたのが元統一王者、ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)でした。

↓カンボソスvsヒューズの観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

ずっと同じような展開の12R、ここを上回っていたのはマキシ・ヒューズだった、というのが大方の意見だと思います。

しかし判定はカンボソスに味方し、ヒューズはIBOタイトルを失ってしまいます。

それでもその戦いが評価され、今回のチャンスに結びついたと考えるのが妥当でしょう。

ヒューズのボクシングは、自分でも語っているように派手なものではありません。中間距離をキープして、自分の距離以外でファイトをしないスタイルは、ともすれば退屈に映ることもあるでしょう。

それでもこの燻銀のスタイルは、多くの、本当に数多くの微差の判定をものにしてきたのも事実。カンボソスとの一戦だけはなぜか落としたわけですが。

 

 

 

この距離をキープし、ベテランらしくポジショニングを工夫することができれば、勝利の女神はヒューズに微笑む可能性が出てきます。

それでもやはり、予想をするとするならばセペダが優位。

セペダの圧倒的な攻撃力、というよりも攻撃「量」と呼ぶべきものは、なかなか攻略しづらいものです。

セペダをして「ボリュームパンチャー」と呼びつつ、サルバドール・サンチェスの再来と呼んだのはオスカー・デ・ラ・ホーヤです。

果たしてメキシコの名王者の再来となるか、ウィリアム・セペダ。

そしてそのメキシカンプロスペクトに、どのように燻銀が対応するのか。

いずれにしろ、この勝者はWBA、またはIBF王者への挑戦権を得ることになります。

 

 

 

この先に待ち受けるのは

デビン・ヘイニー(アメリカ)やらライアン・ガルシア(アメリカ)、テオフィモ・ロペス(アメリカ)がいなくなっても、このライト級の層の厚さは変わりません。

WBA王者にはジャーボンタ・デービス(アメリカ)、そしてIBF王者にはおそらくワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)。現時点では、ロマチェンコvsカンボソスの勝者、と便宜上言っておきます。

順当にいけば、タンク・デービスvsウィリアム・セペダ、またはワシル・ロマチェンコvsウィリアム・セペダとなるわけです。

どっちも見たいような見たくないような。

 

 

 

ともあれ、誰が誰と対戦したとしても、「両方とも負けてほしくない」と思ってしまうようなマッチアップが次々と実現しそうな世界ライト級戦線。

今後もライト級も非常に楽しみですね。

アンダーカードと配信情報

そしてこのアンダーカード(多分セミ)には、ライト級プロスペクト、フロイド・スコフィールドも登場です。

そろそろ強豪との対戦が見たい才能の塊、今戦もとんでもないノックアウト劇を見せてくれそうです。

↓スコフィールドの前戦、対戦相手は「リカルド・ロペス」

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

配信については、もちろんDAZNで生配信。

日程は日本時間3/17(日)、配信開始は9:00でメインはおそらくお昼頃でしょう。

非常に興味深いライト級のマッチアップ、是非DAZNで!

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【プレビュー】矢吹正道、世界前哨戦はタイトルチャレンジャー、ケビン・ビバス!!3/16LUSH BOMUはTravelTVでライブ配信!

今週は3/12(火)にフェニックスバトル、3/15(金)にファイティングビー、さらにはオーストラリアに内藤律樹(E&Jカシアス)が登場と盛りだくさんの週ですね。

その中でもやっぱり注目は3/16(土)に行われる矢吹正道(LUSH緑)の復帰戦。

復帰戦とは言っても前戦で負けたとかそういうわけではなく、アキレス腱断裂でのブランクを作ってからの復帰戦。

アキレス腱断裂が5月のことだったので、そこから約10ヶ月。

思ったよりも早い復帰だったのでは、とは思うのですが、スタイルチェンジも余儀なくされている、との記事も以前に読んだ覚えがあるので、不安は拭えません。

ということで今回のブログは、矢吹正道の復帰戦、「LUSH BOMU」のプレビュー記事。

 

 

 

3/16(土)LUSH BOMU

矢吹正道(LUSH緑)15勝(14KO)4敗

vs

ケビン・ビバス(ニカラグア)7勝(2KO)1敗

名古屋の名門、緑ジムは2024年初頭に「LUSH緑ジム」に名称変更。

静岡県のLUSHボクシングジムが緑ジムをM&Aした、みたいな格好なのでしょうか。

ともあれ、ボクシングジムも今後は大型化が進んでいくのかもしれませんね。

ともあれ、このLUSHボクシングジムの第二弾興行が今回のLUSH BOMU vol.2で、メインに矢吹正道が登場です。

 

 

 

矢吹正道というボクサーは、15勝中14KOという強打が武器ですが、いわゆるファイタータイプではないボクサー。素晴らしいステップワークと素晴らしいジャブ、そしてカウンターを主武器としているボクサーであり、そのアウトボクシングからチャンスと見るや一瞬の詰めが非常に鋭いボクサーです。

なのでそのうちのステップワークが使えない、となると非常に大きなスタイルチェンジ。

アキレス腱が切れた、という瞬間には、実は私も立ち会ったことがあるのですが、「ブチッ!!」と物凄い音がします。本人にとっては、また同じようなことが起こるかもしれないという恐怖はいつまでも付きまとうものかもしれません。

アウトボクシングのためのステップワークが使えないどころか、チャンスに獰猛に襲いかかるという動きも若干制限されるかもしれません。

 

 

 

どっしりと構えたスタンスでボクシングができないわけではないでしょうし、それでも持ち前の鋭いジャブは活きるでしょうが、ボクシングの幅としては狭くなってしまうことは否めません。

そんな中で、矢吹が世界前哨戦の相手として選んだのはケビン・ビバス。

前戦のロナルド・チャコンというボクサーも、無名でしたが良いボクサーでした。そしてこのビバスも、世界的強豪とは言えないかもしれませんが、仮にも王座決定戦を戦ったタイトル・チャレンジャー。

「世界前哨戦」と謳ってランキングを下げないようにあからさまなアンダードッグと戦い続けるボクサーはちらほらいますが、ビバスは王座決定戦にも出場したボクサー、戦績を見ても明らかなかませ犬とは言えません。

↓ビバスの初タイトル戦の観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

さらによくないことに、このケビン・ビバスは放っておくとガンガン前に出てくるボクサーであり、矢吹がステップを使えないとなると迎え撃つしかありません。

近い距離で戦い慣れている、ファイタータイプのビバスを相手に、足を止めて打ち合わなければいけない、というのはとんでもないビハインド。これは矢吹、大丈夫なのか。

とにかくどっしりと構えつつも、硬質なジャブでビバスをインサイドに入らせず、中間距離に近い場所での打ち合いができるならば、一番良いパターンでしょう。

矢吹としては1年2ヶ月ぶりのリング、というだけでなく、怪我で満足な練習ができていなかった時期もあったはず。とにかく無事の勝利を願います。

 

 

 

アンダーカード!!

アンダーカードには、LUSHボクシングジムから佐野遥渉が登場です。佐野は2022年の全日本新人王、非常に基礎がしっかりとしている印象でしたね。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

新人王獲得後、2023年は2戦して2勝(1KO)、A級2戦目を迎えます。バンタム級では初戦、ということですが、対戦相手は16勝(10KO)24敗という戦績、これだけを見ればあまり心配はいらなさそうですが、キャリアのある相手(2012年にフィリピンで高山勝成と戦い、スプリットの判定勝利)というのは注意事項でしょうか。

そのほかにも溝越斗夢(LUSH緑、)村上勝也(名古屋大橋)といった日本ランカーたちがタイ人と戦い、中日本新人王トーナメントも組み込まれています。

配信情報!

テレビ中継は18:30から、三重テレビ。これはメインイベントだけかもしれませんね。

もちろんこれは三重ローカルですが、ネット配信もTravelTVというところがライブ配信をしてくれるので全国に届きます。

日時は3/16(土)13:20開始ということで、全試合生配信。これはありがたいですね。(料金とかはよくわかりませんでした。)

era.travel.gr.jp

 

 

 

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【プレビュー】高田勇仁vs伊佐春輔!渡邊海vs大畑俊平!ライオンズゲートが熱い!

3/8(金)、サウジアラビアでは大興行。

日本時間では中継が3/9(土)の0:00からだそうなので、3/8-3/9にかけては夜通しボクシングを見続けることになるのかもしれません。

3/8(金)、「ライオンズゲート」。

ライオン古山という昭和の名ボクサーが興したジムは、ここ数年注目度をあげています。それは何よりも、高田勇仁と渡邊海、二人のボクサーの大躍進があったればこそ。

ということで今回のブログは、3/8(金)に開催されるライオンズジムの初の自前興行、「ライオンズ・ゲート」のプレビュー記事。

 

 

 

3/8(金)ライオンズ・ゲート

日本ミニマム級タイトルマッチ

高田勇仁(ライオンズ)13勝(6KO)8敗3分

vs

伊佐春輔(川崎新田)13勝(2KO)5敗1分

同じ階級で長く過ごし、同い年、さらにはミニマム級だと2度3度戦うことは珍しくないことかもしれません。

しかしこの両者は、もう4度目の対戦です。

最初は2016年、この時は6回戦で、高田の判定勝利。

次は2021年、日本ユース・ミニマム級王座決定戦で、伊佐の判定勝利。

1勝1敗で迎えたラバーマッチは2022年、8回戦の試合であり、ここでなんと高田が初回TKO勝利を飾っています。

この試合から高田の連勝は始まっており、いわば高田が覚醒した試合でもあります。

 

 

 

高田はこの試合の後、大橋ホープ森且貴(大橋)を5RTKOで降したのち、日本王座決定戦に出場。この王座決定戦でも2016年に4RTKOで敗れている長谷部守里(三迫)に6RTKO勝利、勝ちと負けがほぼ同じ星の数だったボクサーは、見事強豪を相手に3連続KO勝利を収め、長い歴史を持つライオンズジム初の日本王者となりました。

この辺りの下剋上ともいうべきムーブメントは、見ていて本当に爽快でした。

高田のボクシングもミニマム級らしい小気味良さを持ちつつ、ルーツがフィリピンというだけあってパワフルで、被弾も多いが回復も早い。どんな劣勢に立たされたとしても、何かを期待させる、ミニマム級において本当に稀有な存在です。

初防衛戦も以前敗戦を喫している仲島辰郎(平仲)、とんでもないダウンを奪われるもそのほかのラウンドでしっかりとポイントをピックアップして判定勝利。

2度目の防衛戦では雪辱を期す森且貴の気迫を真正面から跳ね返して判定勝利をあげ、ここまで2度の防衛に成功しています。

 

 

 

対して伊佐は2021年に高田に勝利してユース王座を射止めた後、挑戦者として森且貴を迎えます。ドローもありえたという微妙な判定の中で1-2のスプリットの判定を落としましたが、その実力の程は疑いようがありません。

しかしこの戦いからの再起戦で、高田に初回TKO負け、再起に失敗して2連敗してしまいます。

そのショックの敗戦からは立ち上がり、現在4連勝中。素晴らしいステップワークを持ち、カウンタータイプのボクサーファイターです。

ステップワークを使う伊佐に対し、高田がプレスをかけていく、という展開が考えられます。

高田にとっては自主興行のメインイベンター、絶対に負けられない戦いであると同時に、伊佐にとっても初のメジャータイトル戦、しかも高田へのリベンジもできるとなると燃えない理由はないでしょう。

 

 

 

超がつくほどの激アツタイトルマッチ、個人的には今回「も」応援は高田勇仁。

このボクサーは世界にたどり着いてほしい一人であり、きっとそれは叶うと思っています。

日本ユース・スーパーフェザー級タイトルマッチ

渡邊海(ライオンズ)11勝(6KO)1敗1分

vs

大畑俊平(駿河男児)2勝(1KO)無敗

ライオンズジムの2枚看板の一人、渡邊海。

デビュー時からすでに大きな期待を寄せられていたホープは、当初から「ものすごくチケットを売る4回戦」として有名でもありました。

2021年位プロデビューして新人王トーナメントに出場、全勝のまま東日本新人王に。

全日本新人王決定戦は岩下千紘(駿河男児)、こちらもしっかりとしたアマ経験のある素晴らしいボクサーでしたね。

この戦いはちょうど現地観戦していましたが、ドロー。渡邊が優勢点で全日本新人王に輝いています。

 

 

 

その後も連戦して連勝の渡邊でしたが、おそらくこれまでで最も大きな勝利は2022年12月末の中井龍(角海老宝石)戦。とんでもない強敵を相手に、なんと2RTKOというニュースには震撼しましたね。この戦いは、井岡vsフランコのアンダーカードで行われていますが、配信はなかったように記憶(記録も)しています。超残念。

この勢いを狩って日本ユース・フェザー級王座に挑戦、当時の王者は英洸貴(カシミ)でした。地方ジムのホープ、英に対し、敵地石川に乗り込んだ渡邊。ここで本当に僅差の判定を落とし、初黒星を喫しています。

この敗戦からの再起戦は、日本でもお馴染みのジョンジョン・エストラーダ(フィリピン)。アンダードッグとはいえこれまで日本ではKO負けが一度もなかったエストラーダを初回KOで切って落とし、大谷新生(真正)との日本ユース・スーパーフェザー級王座決定戦を経てユース王座を戴冠しています。

今回はこの王座の初防衛戦で、対戦相手は大畑俊平。

この大畑は元トップアマ、東洋大で全日本選手権準優勝という肩書を持っています。

 

 

 

デビュー戦で山口楽人(陽光アダチ)を破り、2戦目で後楽園ホール初登場、3RKO勝利。

わずか3戦目、A級初戦で渡邊海に挑みます。

プロキャリアは少なくとも、元トップアマというのは間違いなく強敵です。プロになってどのようなボクシングをしているのか、については私はまだ見ていませんが、勢いだけでは押し切れない何かを持っているかもしれません。

当然、渡辺が上を目指すならば負けられない戦いではありますが、大畑にとっても勝てば最短距離を突っ切れるタイミングでのユース王座戦。ライオンズジムの主催興行だからといって、場所は後楽園ホール、大畑にとっても通い慣れた場所であり、それが不利に働くこともまずないでしょう。

セミファイナル、メインイベント、この戦いで4人の若武者がどのような戦いを見せてくれるのか、楽しみですね。

 

 

 

ライオン古山

さて、ライオンズジムの会長であるライオン古山。名前は幾度となく聞いたことがありますが、どんなボクサーだったのかは私も生まれる前で知る由もありません。

戦績を見ると生涯戦績38勝(27KO)12敗4分、「槍の笹崎」と言われた笹崎会長のジムにいたようですね。つまりは、ファイティング原田の後輩にあたります。

ファイティング原田がバンタム級王者だった1967年にプロデビュー、1969年に日本タイトルを奪取。1970年にOBF東洋タイトルを奪取して1973年にWBA世界スーパーライト級王者、アントニオ・セルバンテス(コロンビア)に挑戦しています。その後も1974年と1976年にWBC王座に挑戦していますから、3度の世界挑戦に漕ぎ着けていますね。

 

 

 

特に2度目の世界挑戦だったペリコ・フェルナンデス(スペイン)戦はスプリットの判定で敗れており、あと一歩どころか後半歩くらいだったようです。

3度目の世界挑戦はセンサク・ムアンスリン(タイ)、わずか3戦で世界タイトルを奪取した最短記録保持者ですね。

やっぱりボクシングは歴史が深い。昭和から平成、令和と戦い続けてきたライオン古山、御年76歳、夢を観れるのは素晴らしいですね。

 

 

 

配信情報

このライオンズ・ゲートはA-SIGNのYoutubeチャンネルで生配信。

3/8(金)18:00〜とのことで、おそらく第一試合から放送開始でしょう。

セミ、メインの他に4回戦が3試合、6回戦が2試合、女子6回戦が1試合の興行です。

↓A-SIGNのYoutubeはこちらから

www.youtube.com

煽りV、というかプロモーションの映像ですが、ここはさすがのA-SIGN。高田勇仁、渡邊海のトレーナーを務める渡邊トレーナー(海の父)がティーアップされた映像です。これは素晴らしい、の他に言葉が出ません。

↓絶対見た方が良い

トレーナの持つ物語 A-SIGN.BOXING STORY TELLER - YouTube

 

 

 

 

 

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正式発表!5/6東京ドーム、井上vsネリはクアドラプル・タイトルマッチ!チケット先行抽選会は3/9〜

3月上旬、という噂のあった正式発表。

すでに日程、会場がリークされた状態で、あと気になるのはアンダーカードのみ、という状態でしたね。

アンダーカードについては推測の域を出なかったことは確かですが、一番のサプライズはこの興行がLeminoではなくAmazon Prime興行であるということかもしれません。

発表前日、Amazonプライムビデオpresents LIVE BOXINGの告知に井上尚弥が反応、そこからの記者会見。

ということで今回のブログは、ついに正式発表となった井上vsネリ、東京ドーム興行について。

 

 

 

配信はAmazonプライムビデオ!

北米でもAmazonプライムビデオのボクシング中継が始まりますが、これはやはり地域によってバラバラのようですね。

今回の井上vsネリの東京ドーム興行は、日本ではAmazonプライムビデオが配信、そしてアメリカではESPN、そしてイギリスでは多分SkySports。おそらくメキシコではESPN knock outが配信するはずです。

おそらく日本ではいつもの流れ、つまりはアマプラ配信→WOWOWで録画放映&ご本人解説、ということで、かなり柔軟な対応をしてくれるのはありがたいこと。こう考えるとやっぱり日本って特殊で、協力体制が素晴らしいなと思います。

 

 

 

Amazonプライムビデオの興行も8回目、1月、2月に続いて5月というと結構ハイペースに進んでいるような気がします。これは反応が良いから、ということにしておきましょう。ボクシング人気もまだまだ捨てたものではありません。

ともあれ、これは特別枠、東京ドームです。

マイク・タイソンvsジェームス「バスター」ダグラス以来の東京ドームボクシング興行、これは純粋に楽しみですね。

 

 

 

クアドラプル・タイトルマッチ!

今回は4つの世界タイトルマッチが発表されました。もうこれだけで4時間近くの興行となるので、もうお腹いっぱいですね。ここに4回戦とか6回戦とか入れ込む余地はないように思いますが、今後アンダーカードは増えるんでしょうか?

あとどうでも良いかもしれませんが、ぜひ日中にやってほしい。

夕方スタートだと帰りの時間が気になりすぎます。

世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
井上尚弥(大橋)vsルイス・ネリ(メキシコ)

ハコがでかい、となるとやっぱりファイトマネーも過去最高額なのでしょうか。

最近はゲート収入に頼らないですが、話題性としては過去振り返ってみても最大のものとなるかもしれません。そう考えるとネリにも莫大なファイトマネーが流れることになりますね。

ルイス・ネリ、誰かに入れ知恵されたのか、会見冒頭にしっかりと謝罪。(おイタをしたのが)「2度」と言っていましたが、1度は結果的に不問となったドーピング陽性反応であり、おそらく反省なんぞはしていないはず。

あの場できちんと謝罪できたことは良し、ではないかと思うし、そもそもホバニシャンを破ってこの場に立っているので、私としては何の感情もありません。

とにかく当日はウェイトオーバーをしないように心がけてもらいたいところ。

 

 

 

WBC世界バンタム級タイトルマッチ
井上拓真(大橋)vs石田匠(井岡)

このスパンでの石田匠戦は非常に危険ではないか、とも思います。

井上拓真自身が「過去最強」の相手として認識していたジェルウィン・アンカハス戦からたったの2ヶ月。これまで張り詰めていたものも途切れたでしょうし、一つの達成感に浸るにはあまりある勝利であり、試合内容だったことは言うまでもありません。

その途切れたところに来る相手として、石田匠と言うボクサーは危険すぎる、と思います。

173cm、拓真よりも10cm高い身長、リーチは言わずもがな。中に入らせないというスタイルでこのリーチ差、井上拓真はインサイドに入ってパンチを当てなければいけない、ということです。

黙っていれば石田がガンガン攻めてくるか、というともちろんそんなことはないでしょうから、先にアクションを起こさなければいけないのは、拓真の方です。

拓真のライバル、田中恒成も大苦戦であり、どっちつかずの内容でした。

アンカハス戦の勝利が頭の中に残っており(こういうパターンは非常に多いように思いますが)、石田を倒そうとしてしまえば石田の思う壺。

個人的には、非常に嫌なタイミングでの激突、とも思いますが、如何に。

 

 

 

WBA世界フライ級タイトルマッチ
ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)vs桑原拓(大橋)

ユーリ悪意が東京ドーム興行のアンダーに出るかも、という噂は、ユーリ阿久井が世界チャンピオンとなってからすぐに流れていたと思います。

その時に思ったのはまさにこのカードであり、これは個人的にはあまり有り難くないカードでもあります。

ユーリ阿久井には長く防衛してもらいたいし、桑原には世界王者になってほしい。

2021年7月、日本タイトルマッチで激突した両者のパフォーマンスは、筆舌に尽くし難いほど素晴らしく、それぞれの得意を押し付けあってのシーソーゲームはボクシングの醍醐味が詰まったような戦いでした。

↓観戦記

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この素晴らしいマッチアップがまた見れる、というのはファン冥利に尽きることで、ユーリ阿久井も素晴らしい経験を経て、桑原は明らかに一歩踏み込む勇気を手にいれ、それぞれが大きくレベルアップ。

それでも尚、やっぱり王座統一戦とかで見たいカード。

ただ、こればかりは致し方ありません。狙えるところがあるなら狙いに行く、というのが大橋陣営のマッチアップであるし、桑原のハードマッチメイクにも早々に応えなければいけません。

個人的にはユーリ阿久井を応援するわけですが、桑原の健闘にも期待し、とにかくまた素晴らしいライバル対決を見せてくれることを願います。

 

 

 

WBO世界バンタム級タイトルマッチ
ジェイソン・マロニー(オーストラリア)vs武居由樹(大橋)

そして最後に、ジェイソン・マロニーvs武居由樹。これもまた、どちらを応援すべきなのか迷うマッチアップ。

あとモロニーというかマロニーというか問題については、アマプラの表記がまたマロニーだったのでマロニーとしておきます。

非常にオーセンティックなボクシングをするジェイソン・マロニー、日本のボクシングファンに名前が知れ渡っているオーストラリア人ボクサーです。

井上尚弥とはラスベガスで戦ったし、河野公平とはオーストラリアで戦っているので、日本のリングデビューとなります。

武居は元K-1王者で、という肩書きがもはや不要とも思われるパワーパンチャーで、現在8勝8KO無敗というパーフェクトレコードを記録しています。

 

 

 

たった8戦、もちろん戦ってきた相手を考えると時期尚早と考えない方がおかしい。

それでも素晴らしい一発を持つワンパンマンは、そのパワーと独特に見えるタイミング、素晴らしい当て勘で誰とやってももしかしたら、という可能性を秘めているボクサーです。さらにボクシング歴がまだまだ短いこともあって、成長曲線というのもかなりでかいはず。

これは非常に面白いマッチアップですね。武居がマロニーに空転させられる可能性もあれば、武居の一発にマロニーが沈む可能性も全然あると思っています。

自国でロマチェンコvsカンボソスのアンダーカードに出場、という名誉を蹴ってまで遠く日本の地へと降り立ってくれる王者に敬意を払い、この試合を目一杯楽しみたいと思います。

 

 

 

配信はAmazon Prime !&チケットは?

まだ配信時間は未定ですが、配信はAmazon Prime Videoです。

どうか日中にやってくれますように。そうすれば、アメリカ時間でも5/5の夜、となるので(月曜日の早朝というよりは)圧倒的に見やすいと思います。

チケットの第一次抽選は3/9(土)12:00〜抽選受付開始とのことです。(※大橋ジムのチケットサイトのようですが、いつもとURLは違うとのこと。)ただ、出場選手からも購入はできそうですし、50,000人はいるらしいので今回はさほど争奪戦とはならないかもしれませんね。粘ればいつかは取れそうです。

 

 

チケット券種、価格については

【アリーナ席】

SRS:220,000円

RS:165,000円

SS:137,500円

S:110,000円

A:99,000円

B:77,000円

【スタンド席】

内野下段:33,000円

内野上段:22,000円

2階:11,000円

とのことです。アリーナとはいえ肉眼での確認は厳しいかもしれませんね。私は雰囲気感じれば良いのでスタンド席にしときます。

ということでボクシングファンのみなさん、東京ドーム集合です!!

 

 

 

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【プレビュー】ジョシュアvsガヌーのサウジ興行!ツィーレイvsパーカー、バルガスvsボール、注目試合が目白押しのKnock out Chaos!!

今、世界で最も熱い国といえば、サウジアラビア。

オイルマネーからの脱却を掲げ、観光施策に力を入れているようなのですが、そこで目玉も一つとしてボクシングイベントが定期的に開催されています。

一つの興行で収まりきらないほどの豪華マッチアップがたった1日で実現するというスペシャルイベント、これが数年に1度とか年1回とかでなく、当たり前のように開催されることが本当にすごいこと。

いつかイベントの規模が縮小されることはあるのかもしれませんが、今なこのバブル期とも言える草創期を楽しみたい。

ということで今回のブログは、3/8にサウジアラビアで開催される、「KNOCKOUT CHAOS」 興行のプレビュー記事。

 

 

 

3/8(日本時間3/9)サウジアラビア

アンソニー・ジョシュア(イギリス)vsフランシス・ガヌー(カメルーン)

27勝(24KO)3敗、元ヘビー級メジャー3団体統一王者と、ボクシング2戦目(0勝1敗)、元UFC王者。

当代最強と目されていたWBC王者、タイソン・フューリー(イギリス)を追い詰めた元総合格闘家が次に挑むのは、人気の面ではフューリーと双璧をなすアンソニー・ジョシュアです。

ガヌーとしてはここに勝てばこの次に王座挑戦も夢ではないという戦いであり、また、ジョシュアはガヌーに完勝することでフューリー戦を引き寄せられるかもしれない一戦となりますね。

実はわたし、フューリーvsガヌーを結局見ていません。

ただ、前戦のジョシュアのパフォーマンスを見る限り、ジョシュアの勝利は流石に硬いのではないか、と思います。

ジョシュアは「フューリーを苦戦させた」オット・ワリン(スウェーデン)に対し、過去最高の一つとも言えるパフォーマンスで完勝。

↓観戦記

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あとは若干の打たれ脆さからくる臆病さ、これさえ出なければ全く問題はないはずです。もし問題があるとすれば、フューリーすらダウンさせたというガヌーのパワーに、ジョシュアがビビってしまった時、ということになるのでしょうが、流石にそれもないとは思います。

WBO世界ヘビー級暫定タイトルマッチ

チャン・ツィーレイ(中国)vsジョセフ・パーカー(ニュージーランド)

東アジア人とオセアニア人が争う、世界ヘビー級タイトルマッチ。

はっきり言ってこんなことが起こるなんて考えもしませんでしたね。

チャン・ツィーレイはプロキャリアのスタートからアメリカで戦い始め、強力な左ストレートを武器に対戦相手をバッタバッタと倒してきたボクサー。印象的なKO勝利も数多く、その強さでメジャーになる前からKO勝利のインパクトで記事やSNSに取り上げられていたように思います。

2014年にプロデビューして2018年には地域タイトルを獲得、素晴らしいパワーを持つボクサーでしたが、「中国出身」というだけで私はこのボクサーの評価を見誤っていました。これは「中国」が悪いのではなく、やはり東アジア」という小柄な民族のためであり、東アジアの地域から世界で戦えるヘビー級ボクサーが現れるのはまだ先のこと、と勝手に思ってしまっていたからです。

 

 

 

2022年、フィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)との無敗対決に僅差の判定で敗れた時に、「やはりここが限界か」と残念に思ったこともはっきりと覚えています。

なのでもちろん、翌年に「ジャガーノート」ジョー・ジョイス(イギリス)に挑んだ時も、ジョイスのジャブとフットワークに空転されるものと思っていたのです。

しかし蓋を開けてみれば、テクニカルでハードパンチャーのオールドルーキ、ジョイスを序盤から圧倒、ついには6RTKO勝利でWBO世界ヘビー級暫定王座を奪取。ダイレクトリマッチでも3RKOと圧倒的な強さを見せて初防衛に成功しています。

40歳という年齢にして、今が全盛期と思われるアジアの星、チャン・ツィーレイ。正直「暫定」王者に甘んじているのは、時代が悪かったとしか言いようがなく、この強さであれば通常すぐにでも正規王者との王座統一戦は行われて然るべきでしょう。

そしてジョセフ・パーカー、こちらもニュージーランド初の世界ヘビー級チャンプ。パーカーが王者になったのは2016年であり、東アジア・オセアニア地域で初のヘビー級王者。

ヘビー級というパワー偏重階級の穴をつくような判定型のボクシングですが、2度の防衛をこなしたあと当時2団体統一王者だったアンソニー・ジョシュア(イギリス)との王座統一戦に漕ぎ着けています。

 

 

 

当時若く、勢いもあり、さらにパーフェクトレコード(20勝20KO無敗)のジョシュアに対して最終ラウンド終了のゴングを聴かせるまでは粘りましたが、敗戦。

再起ロードを歩むも、2022年にWBO世界ヘビー級暫定王座決定戦でジョイスに自身初のKO負けを喫してしまいます。

諦めずに再起したパーカーは、前戦でデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)を全く空気を読むことなく撃破、ジョシュアvsワイルダーをご破算とするとともに、ツィーレイ挑戦のチャンスを掴み取りました。

この試合は非常に楽しみですね。

前戦のパフォーマンス、となると個人的にはやはりジョイス撃破のツィーレイが光ります。ただ、ジョイスの技巧にツィーレイが空転させられる可能性もあるという状態。

オッズはツィーレイ-220、パーカー+180とかなり競っていますね。

 

 

 

WBC世界フェザー級タイトルマッチ

レイ・バルガス(メキシコ)36勝(22KO)1敗

vs

ニック・ボール(イギリス)19勝(11KO)無敗

私的メインイベントはこの試合。嫌われ者王者(信太しらべ)であるレイ・バルガス。

戦うたびに試合はつまらなくなっていき、パフォーマンスを落としていくという王者は、2016年9月を最後にKO勝ちから遠ざかっています。

スーパーバンタム級で絶対王座を築いた後、難攻不落のゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)がいなくなった途端にフェザー級に進出。マーク・マグサヨ(フィリピン)をスプリットの判定で破って2階級制覇を成し遂げています。

ダウンを奪われ、超微妙な判定勝利だったにも関わらず、スーパーフェザー級の王座が空いたと見るやその王座決定戦に出場、現王者のオシャーキー・フォスター(アメリカ)に敗れて初黒星を喫しています。

 

 

 

そして出戻ってきての初防衛戦、本来はフェザー級王座を返上してから上の階級に挑むべき、というのがファンの心理ではありますが、WBCが認めてしまっているから仕方ありません。

スーパーフェザー級進出に失敗してしまったレイ・バルガスにとって、このフェザー級タイトルは最後の砦。ここは正念場と言える戦いです。

身長172cm、リーチ179cm(BoxRecより)のバルガスに挑むのが、身長157cm(リーチは不明)のニック・ボール。

旺盛な手数、豊富なスタミナ、ハイペースでアクションの多い素晴らしいボクシング。低身長だからこそとも言える回転力は、インサイドに入られれば大きな脅威となりえます。

前戦の挑戦者決定戦では、元王者のアイザック・ドグボエ(イギリス)に完勝という強さ。身長差としては15cmにも及びますが、逃げ腰のバルガスをボディからの連打で倒し切ってくれることを願います。

 

 

 

ちなみに、オッズは若干ボールが優位、と出ているようです。差はほとんどなく、バルガスが+150、ボールが-130くらいなのでひっくり返る可能性すらありますが。

これは結構意外ですが、みんながボールのことを応援しています。(多分)頑張れニックボール、でいきましょう。

それにしても、今回の戦いは指名戦。なんか誰か忘れているような気がしますよね。

そう、暫定王者のブランドン・フィゲロア(アメリカ)です。

フィゲロアが暫定王者になったのは2023年の3月、もう1年前です。そこからバルガスのスーパーフェザー級挑戦を見守って、この仕打ち。

暫定王者の後で決まった使命挑戦者が先に挑戦とは、一体どういうことなんでしょうか。

さすがWBC、とでも申し上げますか。

 

 

 

WBA世界スーパーウェルター級王座決定戦

イズライル・マドリモフ(ウズベキスタン)9勝(6KO)無敗1分

vs

マゴメド・クルバノフ(ロシア)25勝(13KO)無敗

ジャーメル・チャーロ(アメリカ)が休養王者と認定されたことで、暫定王座決定戦から正規王座決定戦に格上げされたマドリモフvsクルバノフという大注目の無敗対決!

しかしこの戦いは、マドリモフが欠場、試合中止となってしまったようです。

原因は3/3現在よくわからない、とのことなので、続報を待ちましょう。

(続報)

メディカルチェックでマドリモフが出場できなくなった、と伝えられていました(ソースはジェイク・ドノバン)が、3/6のニュースではやるよ、と伝えられています。謎です。

 

 

 

【配信情報】

このサウジアラビア興行は、DAZNで生配信です。

日程は日本時間3/9(土)0:00 (※夜中の12時)からのスタートとのことで、いったい何試合が中継されるのかはよくわかりません。

今回は前回のサウジ興行、Day of Reckoningと同じくPPVファイト。日本では3,000円という良心的な価格設定ですね。ちなみにDAZNPPVを購入するためにはDAZNに加入していないといけないみたいなので、DAZN未加入の方は4,000円くらいですね。

↓DAZNの加入はこちらから

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【プレビュー】天才阿部麗也、NYで「ベナド」ロペスに挑む!世界フェザー級ダブルヘッダー!!

2/22のフェニックスバトル、2/24のLIVE BOXING、とんでもない神興行が続いています。

元々注目試合が多かった興行ですが、その試合内容たるや事前の注目に負けないどころか期待を上回る試合内容。この流れというものは切れてほしくない。

この流れが切れないためには、まず注目ファイトが必要なわけですが、喜ばしいことにこの注目ファイトの流れはとりあえずまだ切れません。ボクシングは世界的に毎週のように行われていきます。

ということで注目試合が続きに続くボクシング界、今回のブログはアメリカ・ニューヨークで行われる世界フェザー級のダブル・タイトルマッチについて。

 

 

 

3/2(日本時間3/3)アメリカ・ニューヨーク

IBF世界フェザー級タイトルマッチ

ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)29勝(16KO)2敗

vs

阿部麗也(KG大和)25勝(10KO)3敗1分

この試合はおそらくメインイベントではなく、Co-main(セミファイナルに値します。

)。だと思うんですが、もしかしたらメインかも。

さてさて、IBF世界フェザー級タイトルマッチ、ルイス・アルベルト「エル・ベナド」ロペスvs「天才」阿部麗也。

ベナド・ロペスは非常に思い切りの良いボクサーで、非常に野生味のあるボクシングをします。近づいて殴る、が基本戦術に思えるロペスですが、この自由奔放に振るっているようにみえて良いアングルのパンチ、チャンスを得た時の回転力、フィジカルパワー、どれをとってもかなり怖さのあるボクサーであり、ロベイシー・ラミレス(キューバ)が陥落した今となっては階級最強と言えるボクサーではないでしょうか。

ロペス自身も王座統一戦を希望しており、この戦いが終わった後は王座統一戦に向かっていくかと思われます。

 

 

 

その統一戦へ進む前には、当然、指名挑戦者を迎えなければなりません。それが阿部麗也。

阿部はキコ・マルティネス(スペイン)を破って指名挑戦権を獲得、約10ヶ月の時を経てロペスへの挑戦。場所はニューヨーク、阿部にとっては初の海外戦となります。

抜群の距離感、カウンタースキルを持つサウスポー、阿部の真骨頂はおそらくそのリズムにあると思います。かなり低い姿勢に構え、左ストレートを伸ばす、それに至る道程で相手はすでにリズムを狂わされていることも多いように感じますね。

何も考えずに突っ込んでくるボクサーは格好の餌食だし、駆け引きをすれば術中にハマる、ここが阿部のボクシングの妙ではないでしょうか。

さて、ベナドvs阿部はどんな試合になるのか。

ベナド・ロペスは、爆発力こそあれど常に攻め続けるような突貫ファイターではありません。相手が出てくれば下がるし、比較的柔軟性に富んだボクシングをします。前述したように詰めは素晴らしい。

攻撃と防御は分離している、と感じるボクサーで、ガードしてから強い攻撃、をさせると非常に厄介な相手。ただ、相手の攻撃に対してちゃんと受ける傾向にある、ということもあり、もし、相手がアクションを多く起こし、波状攻撃を仕掛けてきたならば、手が出なくなることもあります。

 

 

 

多分、付け入る隙はここだと思っています。

阿部としては、断続的な攻撃で、特に序盤からベナドが攻撃のターンを「待ち続けてしまう」ような展開にしていきたいところです。そうすれば、序盤にいつの間にかポイントをピックアップすることができ、後半に入って焦ったベナドを相手にカウンターを決めていく、という感じにしたい。まあこの後半もかなり怖いとは思いますが、そこは天才阿部さん、いけるでしょう。

序盤はとにかく後手に回ってはいけないのではないか、と感じます。前半元気なベナドは、自分の攻撃ターンだと思ってガンガン攻めてくる可能性があり、それで試合が終わってしまう可能性は十分にあります。

なので前半は阿部が先に仕掛けることで、あなたの攻撃ターンはまだだよ、をアピールし続け、それで5Rくらいまでは行きたいですね。ここまで互角、「どっちがとったかわからない」くらいでも良いと思います。

いずれにしろ、このルイス・アルベルト・ロペスは強く、一筋縄ではいかないボクサー。それでも阿部麗也であれば、勝てる武器を持っていると思います。

国内フェザー級は、阿部に続いて世界へ駆け上がろうというボクサーの宝庫。バンタムに続く盛り上がりを見せるこの階級、このムーブメントを作った第一人者として世界タイトル奪取を期待しています。

 

 

 

WBA世界フェザー級王座決定戦

オタベク・ホルマトフ(ウズベキスタン)12勝(11KO)無敗

vs

レイモンド・フォード(アメリカ)14勝(7KO)無敗1分

この戦いが「トップランク興行」で行われるというのは、若干の意外性を伴っています。

今回Aサイドはウズベキスタンのホルマトフ、昨年の終わり頃にトップランクと契約したばかりのボクサーです。

オタベク・ホルマトフは、それまでのどこのプロモーターと契約していたのか知りませんが、2021年8月のプロデビュー以降、年内に9戦。5ヶ月で9戦というハイペースでキャリアを積み、2022年には当時無敗だったアンドラニク・グリゴリアン(アルメニア)に判定勝利、2023年にはトーマス・パトリック・ウォード(イギリス)とのWBA世界フェザー級挑戦者決定戦に5RKOで勝利しています。

対してレイモンド・フォードはマッチルームであり、この興行は入札が行われましたが、マッチルームが落札してもトップランクが落札しても、いずれにしろアメリカ開催が有力という戦いでした。

 

 

 

これはトップランク的にはホルマトフへの投資、というよりも、今後控えるフェザー級での戦いへの投資だったのでしょう。

さて、オタベク・ホルマトフ、こちらはウズベクの元トップアマ。ウズベキスタン、というか中央アジア各国はアマチュアボクシングが非常に盛んであり、トップに行けば行くほどプロ入りが遅れてしまう傾向にありますが、このホルマトフは早々にプロ入りを決めています。

時期的には東京五輪へのトライアル期間、国内対決に敗れてのプロ入り、ということを推察され、ウズベキスタン国内でもエリートのトップ戦線に食い込めていなかったのかもしれません。(ホルマトフは堤駿斗と世界ユース選手権で戦い、敗れています。)

易々とプロのリングでKOの山を築いてきたホルマトフ、2022年の戦いでは10ラウンズを経験しているし、挑戦者決定戦にも勝利していることもあり、個人的には世界王者への期待は非常に高い。

中央アジアのボクシングの中でも、フィジカルゴリ押しのスタイルではなく、硬質なパンチを放ちつつもステップワークも使えるというテクニシャンな一面も。グリゴリアン戦とかは中間距離でアウトボックス気味に戦っていたり、攻めては溜めを作ってゴツンと打つ印象的なノックアウトを演出しているので、今のところ大きな穴は見えないボクサー。

 

 

 

このホルマトフと戦うのは、現代アメリカの王道を行くようなレイモンド・フォード。

いずれのボクサーもテクニックを持っており、コンビネーションを持っているボクサー。予想としてはほんの少しホルマトフ優位と出ているようですが、これはパンチングパワーを考慮した時、こういうオッズになるのでしょうね。

ただ、パワーがある分思いっきり打ち込めばその分隙ができ、そこをつけ込まれる心配もありますね。

この戦いは、レイモンド・フォードというアメリカンプロスペクトを倒すことで、ホルマトフがメジャーになるための戦いでもあります。ここはホルマトフに印象的なKO勝利を挙げてもらいたいところですね。

 

 

 

考察、フェザー級

さて、フェザー級はここから数年間、注目階級となります。

理由は2025年以降ではあるものの、「モンスター」井上尚弥が上がってくるであろう階級となっているためですね。

そのモンスターの最大のライバルと目されていたロベイシー・ラミレスはラファエル・エスピノサ(メキシコ)にまさかの敗北を喫して陥落、今はこの再戦に向けて動いているところなのでしょうか。

ラミレスはトップランク所属だったので、井上vsラミレスは実現が容易かったわけですね。

現在、世界王者はIBF王者のベナド・ロペス、WBAはこの戦いで決まりますが、WBCにレイ・バルガス(メキシコ)、WBOにエスピノサ。

エスピノサはメキシコのサンフェルプロモーションのため、トップランクがこのボクサーを呼ぶのは比較的容易であり、問題はレイ・バルガス。こちらはPBCの所属であり、今のところトップランク所属のボクサーと拳を交えることは考えられません。

 

 

 

ただ次回はドグボエに勝利したニック・ボール(イギリス)を相手に防衛戦の予定であり、もしここでボールが勝利すればトップランク側は交渉をしやすくなるイメージですかね。

トップランクにフェザー級王者たちが集まれば、井上尚弥の米国登場もあるかもしれませんね。

フェザー級王者たちは今年は評価を高める正念場。しっかりと評価を高めることができれば、井上戦を引き当てることが可能かもしれません。

そしてニッポンのフェザー級も押し迫り、今後のフェザー級はめちゃくちゃ楽しみですね。

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【プレビュー】井上浩樹vs永田大士!松本圭佑vs前田稔輝!中嶋一輝vs中川麦茶!超大注目のトリプルタイトルマッチ!!!

トリプルタイトルマッチ。

2/24(土)に控えるAmazonプライム興行は超豪華興行ですが、負けず劣らずの興行が2/22(木)にもあります。

とにかく素晴らしいマッチアップを連発してくれる、フェニックスバトル。

この(Lemino配信の方の)フェニックスバトルの2月興行は、一つ一つがメインを張ってあまりあるほどの超豪華興行です。後楽園ホールは満員でしょう。満員でないとしたら、もう国内のボクシング興行で満員になることはないのかもしれない、というレベル。

この日はどうせ仕事で夜も遅くなるので、どうせリアタイ視聴も叶わないですが、Leminoがあるので大丈夫。

ということで今回のブログは、2/22に迫ったフェニックスバトルのプレビュー記事。

 

 

 

2/22(木)フェニックスバトル

WBOアジアパシフィック・OPBF東洋太平洋

スーパーライト級タイトルマッチ

井上浩樹(大橋)17勝(14KO)1敗

vs

永田大士(三迫)18勝(6KO)3敗2分

現在の世界スーパーライト級の壁は、近年稀に見る高さである、と言えます。

デビン・ヘイニー、テオフィモ・ロペス、ライアン・ガルシアといったビッグネームたちが跋扈し、サブリエル・マティアスやイサック・クルスといった理解不可能なボクサーたちもわんさかいます。

果たしてこの中量級において弱小とも言える島国から、世界王者の誕生はなるのでしょうか。

かつて、その期待を一身にうけていたのは井上浩樹であり、その井上を破ってアップセットを起こしたのが永田大士でした。

挫折を味わったエリートはハートの弱さを指摘され、一度は引退という道を選ぶも、昨年に復帰。復帰戦を挟んでWBOアジアパシフィックのタイトルマッチに挑み、強敵アブドゥラスル・イズモリロフ(ウズベキスタン)という強豪をハートの強さを見せて退け、アジアのタイトルを取り戻しました。

 

 

 

対して井上という金の卵を破った永田は、鈴木雅弘(角海老宝石)に10RTKO負けを喫して陥落、それでも国内強豪に競り勝ってOPBF王座を獲得、反撃の狼煙をあげています。

2020年7月の二人の戦いからもう3年と半年。

それぞれがアジアの王座に返り咲き、ここで再度試遊を決する時が来たのです。

あの時は王者vs挑戦者、今度は王者vs王者。

1段ステージが上がった、とも取れるこのリマッチは、世界への切符をかけて争う戦いでもあります。

もちろん、これに勝ったボクサーが世界戦か、というとまだそんなところにもありません。

ただ、これを勝たずして「世界」などとは口が裂けても言えないはずです。

前戦も、井上浩樹が優位だったはずですが、それはおそらく今戦もそうでしょう。そこをアップセットで倒し切れるボクサーというのが永田大士であり、3年半前とは言えども一度敗れている井上にとっては、そのイメージが残っている可能性もあり、大きな鬼門となるやもしれません。

やっぱり個人的には井上に勝ってもらって、この階級の世界戦を見てみたいですね。

 

 

 

日本フェザー級タイトルマッチ

松本圭佑(大橋)9勝(7KO)無敗

vs

前田稔輝(グリーンツダ)14勝(8KO)1敗

素晴らしいメインイベントがあるわけですが、このセミファイナルには敵わないのではないか、と思います。

デビュー以来9連勝、プロデビュー初期の頃こそ危なっかしさをもっていた松本は、今や「ミライモンスター」ではなく「フィジカルモンスター」へと変貌。

とにかくフェザー級としては破格のデカさ、パワーを誇るボクサーとして成長し、特にストレートの威力たるや現在の日本人フェザー級ボクサーたちの頂点と言っても過言ではないのではないでしょうか。

 

 

 

父の届かなかった世界のベルトを目指す松本圭佑は、昨年元日本王者佐川遼(三迫)を大差判定勝利で降して日本王座を獲得、初防衛戦は指名試合となりリドワン・オイコラ(当時平仲)を大差判定で撃破。このオイコラ戦はWBOアジアパシフィック王座決定戦でもあり、ここで12ラウンズを戦い抜いています。

とにかくまっすぐのジャブ、ストレートと剛腕という形容が最も似合うフック。クレバーであり、ここ最近の盤石さはすでに世界レベルにも通用するのではないか、と思わせるものです。

そんな盤石の王者は、2度目の防衛戦でも指名挑戦者を迎えます。

日本拳法出身で、2019年の全日本新人王、前田稔輝。

関西出身ながらも随分前から関東にもその名を響かせていた前田は、2度目のタイトル戦。

 

 

 

2022年に木村蓮太朗(駿河男児)との東西ホープ対決を制した前田は、同年12月に当時の日本&WBOアジアパシフィック王者だった阿部麗也(KG大和)に敗北。この勝利を得たことで阿部は世界へ羽ばたいていったわけですが、前田も顎を骨折しながらも阿部に追いすがり、ハートの強さと素晴らしい左ストレートを見せてくれましたね。

素晴らしいパンチャー対決、ながらもKO決着必至、とまではいかないのは、ともにディフェンス面も穴がある、とは言いづらいボクサーだからでしょう。前田は素晴らしい距離感を持っているし、松本はブロッキングもステップワークも素晴らしい。

そんな中でも一瞬の交錯でダウンシーンやKOシーンが起こる可能性は十分にあり、これは一瞬も目が離せない10ラウンズになりそうです。

 

 

 

OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王座決定戦

中嶋一耀(大橋)14勝(12KO)2敗1分

vs

中川麦茶(一力)28勝(18KO)9敗3分

そしてトリプルヘッダーの最初に登場するのは、なかなか意外なマッチアップ。

これはやや強引なマッチアップ、とも言えると思うのですが、このOPBFスーパーバンタム級は武居由樹(大橋)が保持していたもので、それを同ジムの中嶋が受け継ぐという格好になる、というのが大橋ジムの目論見でしょう。

中嶋は前戦がTJドヘニー(オーストラリア)戦でしたが、衰えたと思われたドヘニーにまさかの4RTKO負け。この後、ドヘニーはジャフェスリー・ラミド(アメリカ)を相手にアップセットを起こすのですが、本当に侮ってはいけない相手でしたね。

ともあれ、復帰戦でタイトルマッチという幸運に恵まれた中嶋ですが、これはラストチャンスになり得る闘いなのかもしれません。

 

 

 

対戦相手は中川麦茶、一度は引退した身ながらも、復帰後の方が輝きを放っている、といっても良いボクサー。

復帰戦で赤穂亮(当時横浜光)とぶつかり大善戦、から和氣慎吾(FLARE山上)を降すビッグアップセット。その後も曲者ぶりを発揮し、リング外でも目立つ存在となった中川は、JBC公認のタイトル戦としては長いキャリアの中で2度目のようです。

9つの負けを経験しつつも、KO負けはキャリア初期の1度だけ、今の中川にとってこのKO負けはないに等しいものでしょう。

14勝中12KOを誇るパンチャー、中嶋一輝。このボクサーと12ラウンズ戦うだけでも本当にたいしたものです。

予想としては中嶋の勝利、というのが順当なのでしょうが、比較的素直なボクシングをする中嶋相手に、中川がどのような策で挑むのか、は非常に興味深いところ。

 

 

 

配信情報

この興行は、Leminoで生配信。

ここまで順調にフェニックスバトルを配信し続けてくれるLemino、またまた無料で配信してくれます!

配信日時は2/22(木)17:45〜とのことですね。この3つのタイトル戦の他に、6回戦が2試合と8回戦が1試合あります。

見逃し配信も同日23:00〜設定されており、リアルタイムで見れなくても安心です。翌日休みというのも大きいですねー。私はいつも通りリアルタイムには完全に間に合わないので、見逃し配信で視聴予定。

ちなみにLeminoは無料で見られますが、Leminoプレミアムに登録しておくと見逃し配信期間を過ぎても見放題です。この機会に、是非。

↓Leminoはこちらから

 

 

 

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