信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【プレビュー】キングライアン、リングに帰還!vsドゥアルテ!英国では注目、コンランvsジルのサバイバル!

金曜日。1週間お疲れ様でした!

社会人生活20余年、初の土日休みとなってからもうすぐ1年が経過しようとしています。(誰得情報)

金曜日の開放感を味わいつつ、なんですが、今週と来週の土日は予定がびっちりで、逃げ場が全くありません。

ですが時間を何とか工面して注ごうと思うのは、朝食でも昼食でも夕食でもなく、ボクシング。ということで今回のブログは、週末のイギリス&アメリカの注目ファイトのプレビュー。

 

 

 

12/2(日本時間12/3)アメリカ・テキサス

ライアン・ガルシア(アメリカ)23勝(19KO)1敗

vs

オスカー・ドゥアルテ(アメリカ)26勝(21KO)1敗

スター、ライアン・ガルシアの復帰戦です。

かつてはSNSチャンプなんて呼ばれていたライアン・ガルシアは、ここ数年でルーク・キャンベル(イギリス)、ハビエル・フォルトゥナ(ドミニカ共和国)といった強豪をノックアウト、先行してしまった人気に実力を証明していきました。

そして前戦、いよいよスターボクサー同士のスーパーファイト、ジャーボンタ・デービス(アメリカ)戦。

一生決まらないだろうと思われたこの戦いは、両人の漢気で決定、ShowtimeとDAZNでPPV販売されたこの試合は、なんと120万件もの大ヒットを飛ばしました。

今年は色々とありすぎて、もう過去の話にも思ってしまいますが、これはまだ8ヶ月前の話。

ここで相当な収入を得たであろうガルシアですが、デービスには7RTKOで敗れ、今回は再起戦に臨みます。

 

 

 

対戦相手のドゥアルテというのは未だ世界的強豪との対戦はない27歳で、ガルシア同様にヒスパニック系のアメリカ人。

ドゥアルテは生まれはメキシコのようで、ピーカブースタイルから荒々しく振り回すタイプのどファイター、フィジカルも非常に強いしパンチに勢いはあるし、何よりも非常にしつこいプレッシャーが持ち味ですね。

こういうプレッシャーをかけて振り回してくる相手に対しては、動きながらのパンチは有効だったりするわけですが、今回、ガルシアに期待されるのは勝利だけではありません。やはりここは、倒して勝って欲しいのがファンの心理でしょう。

ただし、ドゥアルテは見た目通りのタフさを持ち、攻撃の時以外は顎をひた隠すピーカブー、これは非常に崩しにくいボクサーです。

 

 

 

やや細めに見える、つまりはフィジカルに不安を感じるガルシアが、このフィジカルモンスター的なボクサーをどのように捌くのか、また、打ち合うのか。

このドゥアルテを相手に真正面から打ち合うのはあんまりよろしくない気がします。

近い距離での戦いに慣れているドゥアルテは、クリーンではない戦い方もできるはず。なのでガルシアとしては、やや遠目の距離から速い左フックを当ててその場所に釘付けにしたいところ。

スピード差はかなりある、と見ますが、ドゥアルテのプレスはそれを補えるほど強いもの。

いずれにしろライアン・ガルシアが、復帰戦でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかを期待したいですね。

ちなみにオッズは想像ほどは離れておらず、ガルシアが-400、ドゥアルテが+350。オッズというのは人気に左右される一面もありますが、ベットする人たちはなかなか冷静です。

 

 

 

12/2(日本時間12/3)イギリス・ベルファスト

マイケル・コンラン(アイルランド)18勝(9KO)2敗

vs

ジョーダン・ジル(イギリス)27勝(8KO)2敗1分

同日、といってもこちらの方が先ですね。イギリス興行、マイケル・コンランvsジョーダン・ジル。

はっきりいってしまえば、サバイバルマッチ中のサバイバルマッチ、Survive of Surviveです。

両者ともに敗戦からの復帰戦であり、ここでの連敗はもう「この先」を見れなくなる、そんな戦い。「Winner Takes All」(勝者が全てを手にする)とよく言いますが、ここに勝ったとて大きく道が開けるというわけでもない、逆に「Loser Loses Everything」(敗者が全てを失う)という、大変に切なく、儚いマッチアップです。

 

 

 

ロンドン五輪の同メダリストで、リオ五輪にも出場経験のあるマイケル・コンランは、イギリス、特に北アイルランドでウルトラスーパー人気のボクサーであり、おそらく母国アイルランド、英国北アイルランドでの人気はライアン・ガルシアを凌ぐ。(ホントにただの勘。)

そんな人気ボクサーも、これまで世界タイトルの壁に跳ね返されています。

1度目はオッズで有利だったリー・ウッド(イギリス)戦。最終回までのポイントでは若干リードしつつも、最終回に劇的なTKO負け。これは本当の名勝負でした。

そして2度目は前戦となったルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)戦。

「そうじゃないかなー」と思っていた通り、おそらくコンランはこういったマチズモの体現者のようなパワーパンチャーは苦手。テクニシャンにありがち、ボクシングをスポーツとして、芸術として捉えているボクサーたちは、ああいうスタイルは苦手なのだと思うのです。

ロペスに5RTKO負けを喫してからの再起戦となるコンラン、ここは絶対に勝たなければなりません。

 

 

 

対してジョーダン・ジル、こちらはまだ世界挑戦経験がないボクサー。

「スリル」との異名を持ちますが、このジルにはさほどスリルを感じません。むしろ、ジルがパワーファイターに攻められるとジル側にスリルを感じるようなイメージ。

ただ、このボクサーは非常にスキルフルであり、パワーレスながらもカウンターで連続KOを記録したこともあります。2019年、初黒星を喫してからはさらにディフェンススキルを磨いたイメージで、ドローも経験したあとカリム・ゲルフィ(フランス)と対戦。当時からゲルフィは「対戦相手に世界ランクを献上するボクサー」に片足を突っ込んだ状態だったので、このゲルフィ戦が決まったというのはジルへの期待の表れとも言えます。

このゲルフィ戦では倒し倒されの大激闘、素晴らしい試合で大逆転ノックアウト。

今の所、このゲルフィ戦がジルのベストバウトではないでしょうか。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

その後、すでにロートルかと思われたキコ・マルティネス(スペイン)に4RTKOで完璧にノックアウトされたジルは、今回が再起戦となります。

この時、ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)に敗れたマルティネスを踏み台にしようとしたジルでしたが、この目論見は見事に失敗。この敗北で、Aサイドから降ろされてしまった感があります。やはりこのジルも、グイグイくるファイタータイプのボクサーは苦手なのだと思います。

結論、このコンランvsジルというのは、「グイグイくるファイタータイプが苦手」なボクサー同士の、スキルフルな戦いが見られるのです。

ともにスキルはあれどパワーレス。ではこの戦いに「絶対にジャッジが必要か」というとそうでもなく、ともにある程度の顎の弱さを持っています。

スピード、スキル、リングIQ、カウンター。

 

 

 

おおよそボクサーとして必要なものを持ちつつも、ほんの少し、何かが足りないがために世界の頂に未だ届かぬボクサーふたり。

その二人のボクサーが、己の存在意義をかけてぶつかり合う、美しくも儚いマッチアップ。

オッズはコンラン-700、ジルが+550とコンラン大幅優位。ただ、そんなに差はないように個人的には思っています。これもまた、ボクシング。パワーレスとは言えども非常にアグレッシブなジョーダン・ジルが、コンランを追う形になるような気がしますね。

 

 

 

配信情報!

「見どころ」はそのマッチアップによっても大きく違いますね。

この日、個人的に楽しみなのは実はコンランvsジルだったりするのです。

ともあれ、この2つの興行はDAZNが生配信。いずれにも日本時間で

12/3(日)AM4:00〜 イギリス興行(メイン:コンランvsジル)

12/3(日)AM10:00〜 アメリカ興行(メイン:ガルシアvsドゥアルテ)

となっています。

コンランvsジルのメインイベントはAM7:00以降のリングウォーク、ガルシアvsドゥアルテは12:00以降のリングウォークの予定。

両方ともDAZNというのはありがたいですね。

ぜひみなさん、DAZNでこの戦いを観戦しましょう!!

※980円/月の方で見れます

DAZN

 

 

 

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【プレビュー】U-NEXTでサブリエル・マティアスvsエルガシエフ!!極上のスーパーライト級戦!


11月の大注目興行!

デビッド・ベナビデス(アメリカ)vsデメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)が日本でも配信されるようです。これは嬉しいですね。

大人気ボクサーであるベナビデス、そして不人気ボクサーであるアンドラーデの一戦はShowtimeのPPV、通常の価格で74.99ドルなので日本円にすると11,250円くらい。

それをU-NEXTで見られるというのは大変コスパの良い話です。

ということで今回のブログは、注目カードはメインだけではないPBC興行、デビッド・ベナビデスvsデメトリアス・アンドラーデ、そのアンダーカード2試合をプレビューです。

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11/25(日本時間11/26)アメリカ・ラスベガス

IBF世界スーパーライト級タイトルマッチ

サブリエル・マティアス(プエルトリコ)19勝(19KO)1敗

vs

ショージャホン・エルガシエフ(ウズベキスタン)23勝(23KO)無敗

この興行で最もエキサイティングになろうか、という素晴らしいマッチアップは、PPVファイトの第二試合。日本でいうと「セミセミ」にあたるIBF世界スーパーライト級タイトルマッチです。

言わずと知れた猛獣のように相手を喰らい尽くす王者、サブリエル・マティアスに挑むは、こちらもKO率85%以上を誇る中央アジアの強豪国、ウズベキスタンのエルガシエフ。

王者、サブリエル・マティアスはとにかく「絶対に打ち合ってはいけない」ボクサーであり、接近戦でも非常に肩の力の抜けたコンビネーションを放ち、さらにそれが非常に強い。みたいです。

 

 

 

2015年にプロデビュー、2020年にペトロス・アナンヤン(ロシア)に判定負けで初黒星を喫するも2022年に9RTKOでリベンジ。その間、マリク・ホーキンス(アメリカ)やバティルザン・ジュケンバイェフ(カザフスタン)といった当時無敗の強豪を倒しています。

前戦でこれまた当時無敗のジェレミアス・ポンセ(アルゼンチン)にもストップ勝ち、この時に空位のIBF世界スーパーライト級王座を獲得しています。

ちなみに、アナンヤン戦での判定負けのあと、ホーキンス、ジュケンバイェフ、アナンヤンとの再戦とポンセ、全員棄権での勝利です。つまりは、このマティアスの強打に「これ以上続けられない」となって諦めているのです。

穴がないわけではないので、マティアスからポイントを取る事は可能。しかし、戦ってみれば徐々にダメージを蓄積されていき、結局フルラウンド持たない、というのがマティアスの対戦相手の感じるところなのでしょう。

このマティアスに勝利するのに最も効果的な方法は、徹底的なアウトボックスのようにも思います。ただ、それとてマティアスのワイルドで強引な踏み込み、パワーをフルラウンド無効化できるかは分かりませんが。

 

 

 

さて、対戦相手のショージャホン・エルガシエフというボクサーは、ウズベキスタンで強化された、まさにボクシングマシーンのようなボクサー。ただ、この中央アジアのボクサーたちはリングの上を逃げ回るような事はしません。

エルガシエフで特徴的なのは、「滑るように」リングを移動するそのステップワークだと思います。当然、コンビネーションのレベルも高く、リングIQの高さも伺えるのですが、そのフットワークは明らかに他者と違い、本当にローラースケートを履いているかのように、もしくはスケートリンクを滑るようにスッと前に出てスッと後ろに下がり、サイドに回ります。

そこから打ち込まれるパンチはまた強靭であり、当たり前のようにフィジカルも強い。

マティアスは「絶対に打ち合ってはいけない」ボクサーですが、もし万が一、エルガシエフがこのステップワークをうまく使うことができ、出入りができればまた違う。マティアスは打ち込む時にガードが開き、カウンターをもらいやすいタイプのボクサーであり、更に効かされた場面もダウンを奪われている場面もあり、打たれ強いとは言えないボクサーです。(ただし、あの柔らかさはおそらく回復力は早いと思われる)

オッズとしてはマティアス-400、エルガシエフ+310とマティアス優位と出ているものの、この場合、アップセットは起こり得る、とも思えます。エルガシエフの勝ち筋としてはリングIQとステップワークを最大限に発揮し、マティアスを警戒しつつのヒットアンドアウェイ。マティアス応援なだけに、このエルガシエフは非常に怖いボクサーです。はっきり言って、プログレイスよりも。

 

 

 

WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ

エクトル・ルイス・ガルシア(ドミニカ共和国)16勝(10KO)1敗

vs

レイモント・ローチ(アメリカ)23勝(9KO)1敗1分

しつこい強打のドミニカン、エクトル・ルイス・ガルシア。

メジャー国ではないものの、そのエキサイティングなファイトスタイルは非常に人気があるのではないでしょうか。

前戦こそ階級を上げてジャーボンタ・デービス(アメリカ)に挑み、初黒星、初のKO負けを喫しましたが、その前にロジャー・グティエレス(ベネズエラ)を降してWBA世界スーパーフェザー級王座を獲得しています。

出世試合はそのグティエレス戦の前、クリス・コルバート(アメリカ)戦であり、当時Showtimeが売り出し中だったコルバートから勝利を収めることで、Showtimeからの期待と優遇、そしてトップコンテンダーという地位を根こそぎ奪っていきました。

そんな猛烈ファイターに挑むのは、米国期待のレイモント・ローチ。

 

 

 

KO率は低いですがかなりアグレッシブネスを持ったボクサーであり、プレスをかけるのも大好きで、接近戦でのコンビネーションも非常に速い。

唯一の敗戦は2019年当時のWBO王者、ジャメル・ヘリング(アメリカ)に挑戦した時のもので、その後はしっかりと再起、2021年に元王者のレネ・アルバラード(ニカラグア)、前戦では好戦績のアンヘル・ロドリゲス(ベネズエラ)を破って2度目の世界線に辿り着いています。

パワーレス、というのも感じますが、世界王者になるには何かが足りないと感じさせるボクサー、というと大したことなく聞こえますが、スキルがあり、能力としても非常に大きなチャートを保っている、総合力の高いボクサーだと思います。

現在のところのオッズはガルシアが-265、ローチが+250。ローチはヘリング戦でもオッズが非常に競っていたイメージがありますが、非常に評価が高いのですね。実績から言えば、ガルシアが圧倒的優位でもおかしくはない試合だと思います。

 

 

 

では、ガルシアに懸念点がないか、というとそうではなく、ガルシアは前戦で初のKO負けを喫したこと、前戦のライト級戦からスーパーフェザーへの出戻り、さらにはその復帰戦である、ということもあり、今回のコンディションについてはどのように仕上げてこれるのかが不明なところ。

思っている以上に階級を行き来する身体的ダメージは大きいはずで、そこに倒されたという精神的、肉体的ダメージがどれほど回復できているのか、というのも疑わしい。それを含めた上での上記オッズであればなるほど納得性はあるのかもしれませんね。

そのほかのアンダーカードも注目!!

前回のブログの2試合、つまりはベナビデス弟vsブーブー、チャーロ兄vsベナビデス兄、に加えて、今回紹介した二つのカードがShowtimeのPPVカードです。この4つの試合が、U-NEXTでの配信に乗ってくるのでしょう。

しかし、実はこの興行、PPVファイトだけでなく、そのほかのプレリムスと呼ばれるアンダーカードも超充実。これはおそらくShowtimeのYoutubeで無料で観れると思うので、必見です。

 

 

 

試合順は分かりませんが、BoxRecを見るとまず目につくのがセルゲイ「サムライ」リピネッツ(カザフスタン)vsミシェル「サルサ・アリ」リベラ(ドミニカ共和国)。

おおお、なんとも大好きなボクサー同士のサバイバルマッチは、心が痛いが非常に興味深い戦いです。どちらもアメリカ国外のボクサーだけに、この場でどちらがAサイドなのか、と問われれば分かりませんが、おそらくShowtimeが力を入れていたのはリベラのような気がしますね。

他にもスーパーフェザー級戦でパブロ・ビンセンテ(キューバ)vsムハマドクジャ・ヤクボフ(タジキスタン)。これもまた、アメリカから見た時には「外国人」同士の一戦ながらも、非常に興味深い戦いですね。

スーパーフェザー級というのはコンテンダーと王者の間に差が非常に小さい階級だと思うので、この辺りの戦いに勝利して世界王座まで駆け上るボクサーはいると思われます。

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配信情報

さて、このベナビデスvsアンドラーデをメインに据えたPBC興行は、アメリカではShowtimePPV、日本ではU-NEXTが配信してくれます。U-NEXT様様です。

日程は日本時間11/26(日)、9:30からの放送開始とのことです。

↓この戦いはU-NEXTで視聴可能!U-NEXTはこちらから

↓メインのプレビュー記事はこちら

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【プレビュー】デビッド・ベナビデスvsデメトリアス・アンドラーデ!セミはチャーロ兄vsベナビデス兄!


11月の大注目興行!

デビッド・ベナビデス(アメリカ)vsデメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)が日本でも配信されるようです。これは嬉しいですね。

大人気ボクサーであるベナビデス、そして不人気ボクサーであるアンドラーデの一戦はShowtimeのPPV、通常の価格で74.99ドルなので日本円にすると11,250円くらい。

それをU-NEXTで見られるというのは大変コスパの良い話です。

ということで今回のブログは、注目カードはメインだけではないPBC興行、デビッド・ベナビデスvsデメトリアス・アンドラーデのプレビュー。

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11/25(日本時間11/26)アメリカ・ラスベガス

デビッド・ベナビデス(アメリカ)27勝(23KO)無敗

vs

デメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)32勝(19KO)無敗

スーパーミドル級無敗対決は、明らかにカネロ・アルバレスへの道程であろう、と思います。

この戦いで高いパフォーマンスを発揮して勝利したボクサーには、カネロとの対決が取り沙汰されるはず。そのことのみが、この試合を開催する意味なのでしょう。

デビッド・ベナビデス、こちらはヒスパニック系のアメリカ人であり、現在のWBC世界スーパーミドル級の暫定王者という肩書きを持っています。

「無敗」ながらもこの階級のWBC世界王座は3度も獲得している、という妙な経歴の持ち主でもあるボクサーであり、過去には薬物の陽性反応(コカイン)で剥奪、軽量失格による王座剥奪を経て、現在は暫定王座に返り咲き。

 

 

順当に王座を保持していれば、どこかでカネロとぶつかっていたはず、と思うと残念でもあるし、カネロの最後の相手として熟成されたと言っても良い。

このベナビデスについては非常にパワーがあり、独特のタイミングを持っている、ということに尽きるとは思うのですが、やはりこのKO率は魅力的。過去にはアンソニー・ディレル(アメリカ)、ロナルド・エリス(アメリカ)、デビッド・レミュー(カナダ)といったボクサーをノックアウトで降しており、前戦ではケイレブ・プラント(アメリカ)を降すなどして絶好調。

やや不器用に見えるボクシングはキャリアを積まれることで錬成されており、まだまだ穴は多いのでしょうが非常に強いボクサーですね。

↓ベナビデスvsプラント

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対してデメトリアス・アンドラーデ。

こちらは元2階級制覇王者であり、WBO世界スーパーウェルター級、WBA世界スーパーウェルター級、そしてWBO世界ミドル級王座を獲得しています。

「ブーブー」というニックネームは「試合がつまらないというブーイングでは?」と思うほど安全運転型のボクサーではありますが、このボクサーは非常に序盤に強い。序盤から中盤にかけてポイントをピックアップして、「今回は倒せるのでは」と思わせつつ、後半は安全運転に徹して判定勝利、というのが勝ちパターン。

2021年にミドル級王座を久々の序盤2RTKOでクリアした後、試合枯れを起こして王座を返上、スーパーミドル級に転級しています。2023年1月に転級1戦目を行い、デモンド・ニコルソン(アメリカ)を相手にフルマーク判定勝利を収めていますね。

ともあれ、このアンドラーデというボクサーは、そもそもPPVに登場するようなファイターではありません。

今回この試合がPPVファイトなのは、Showtimeが幕を閉じる前に少しでも稼ごうとするものでありやぶれかぶれのPPVなのか、デビッド・ベナビデスの人気に頼ろうとしているものなのか、それとものちに控える戦いのためなのかは分かりませんが、とにかくアンドラーデにとっては大チャンス。ここに勝って、待ち望んだカネロ戦を手に入れられるのか。

 

 

 

前半勝負のアンドラーデと後半勝負のベナビデス

この試合、とにかく前半が注目です。

アンドラーデが目論見通りポイントをピックアップしていくことができれば、最後までわからない戦いになるはずです。

アンドラーデが前半にポイントをピックアップすることができたとしても、ベナビデスは後半に行くに従って体がほぐれ、十分なスタミナとタフネスを持ってアンドラーデを攻め立てることができるため、最後まで勝負は分かりません。

もしアンドラーデが前半ポイントを取れなければ?その可能性は高いとは言えませんが、前半にベナビデスのパワーパンチが当たってしまったならば、アンドラーデの目論見は一気に崩れ去ることになるかもしれません。

ベナビデスは後半型のきらいはあるものの、前半に弱いわけではなく、ハードパンチが一発当たればそこで試合が終わってしまう可能性もあります。なのでアンドラーデは極力パンチをもらわぬようにポイントを取っていく必要があり、つまりは非常に慎重に、消極的戦法で戦う必要性もあるので非常に難しい戦いになりそうです。

オッズはベナビデス-385、アンドラーデ+300とベナビデスが優位。

かねてから、ベナビデスもアンドラーデも「カネロよ、俺と戦え」と言い続けているボクサーだけに、勝者にビッグマネー、カネロ戦が訪れることを願います。

 

 

 

ジャモール・チャーロ(アメリカ)32勝(22KO)無敗

vs

ホセ・ベナビデスJr(アメリカ)28勝(19KO)2敗

ちなみにメインイベントはデビッド・ベナビデスを応援します。単純にカネロと決まれば面白そうだからです。ベナビデスがカネロ戦を目指す理由としては、もちろんお金はあるのでしょうが名誉とか誇りとかもある気がしますが、アンドラーデはお金だけのような気もするというのも理由の一つ。なんとなくの推測ですが。

なのでこのセミファイナルもホセ・ベナビデスJrを応援しようと思うのです。

ホセ・ベナビデスJrはデビッド・ベナビデスの実兄であり、元WBA世界スーパーライト級暫定王者。ただ、この暫定王座というのはなかなか評価をしづらい相手に勝利しての戴冠だったがために、元王者と言われても若干憚られるところはありますね。

2018年にようやく本意気のチャンスが巡ってくるも、当時のWBO世界ウェルター級王者はテレンス・クロフォード(アメリカ)。最終回TKO負けを持ってベナビデスJrの初の正規王座挑戦は幕を閉じました。

 

 

 

そこから約3年のブランクを作った後、ウェイトを一気に上げてミドル級で再起戦、これはさほど名のある相手ではありませんでしたがドローで再起戦勝利に失敗。その後、スーパーウェルター級でダニー・ガルシア(アメリカ)と戦うも、判定負けでまたも再起失敗。

そして2023年8月、スラダン・ジャンジャニンという聞いたことも見たこともない名前の、さらにボスニア・ヘルツェゴビナというボクシング後進国であろう出身国のボクサーを5RTKOで5年ぶりの白星を獲得しています。

そして今回がチャーロ戦、というのはなかなか無謀にも思えますが、頑張ってほしいものです。

とはいえ、チャーロも全く万全とは程遠い状態です。

そもそもチャーロは現在WBC世界ミドル級王者でありますが、この戦いに王座はかけられないようですね。

とすると、もしかするとこの戦いはミドル級の戦いではないのかもしれません。(ミドル級リミットで試合をすると、例えノンタイトル戦であったとしても、チャーロが負けた場合タイトルは剥奪されてしまいます)

 

 

 

チャーロはコロナ禍以降、年一度のリング登場となってしまい、この試合までに2年半ものレイオフ期間を設けてしまっています。その長い期間のうちにはDVで逮捕、というのもありましたし、カネロからオファーをもらったがメンタルヘルスの問題で受けられず、弟のジャメール・チャーロにカネロ戦を譲った、という経緯もあります。

カネロ戦は今の状態で敵わじと思って回避、ベナビデス弟相手ならいけるだろう、ということでの試合なのか、それともすっかり回復したのか。

いずれにしろ、不安定要素の多い両者の戦いであることは間違いがなく、ある意味予想の難しい一戦ともなっていますね。

オッズはチャーロ-800、ベナビデスJr+550。チャーロが優位と出ています。

配信情報

このセミファイナルはどういう気持ちで見て良いのか分かりませんが、かつてのトップボクサー同士がどれくらいパフォーマンスを維持しているのか、というのを見る戦い。メインイベントはビッグマネーへ辿り着くのはどちらか、という未来を見据える戦い。

そのほかの2つのアンダーカードも非常に興味深いもの(むしろアンダーカードの方が興味深いかも)ですが、ちょっと長くなり過ぎているのでまた次回にしたいと思います。

さて、このベナビデスvsアンドラーデをメインに据えたPBC興行は、アメリカではShowtimePPV、日本ではU-NEXTが配信してくれます。U-NEXT様様です。

日程は日本時間11/26(日)、9:30からの放送開始とのことです。

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↓アンダーカードのプレビュー記事はこちら

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【プレビュー】天才シャクールvs破壊者エドウィン・デ・ロス・サントス!セミはナバレッテvsコンセイサンの注目ファイト!

苛烈を極める、世界ライト級のNext Generation。

先週末はレイモンド・ムラタヤ(アメリカ)が素晴らしいパフォーマンスを見せて無敗のディエゴ・トーレスを粉砕、次世代のタイトル争いに名乗りを上げました。

しかしそのムラタヤが目指すタイトルは、果てしなく高い壁。

デビン・ヘイニー(アメリカ)が一人で総取りしている状態だからこそ動きがほとんどないこのタイトル戦線は、来週、大きな動きを見せます。

ということで今回のブログは、11/16(日本時間11/17)に行われるWBC世界ライト級王座決定戦について。

 

 

 

11/16(日本時間11/17)アメリカ・ラスベガス

WBC世界ライト級王座決定戦

シャクール・スティーブンソン(アメリカ)20勝(10KO)無敗

vs

エドウィン・デ・ロス・サントス(ドミニカ共和国)16勝(14KO)1敗

まず、この戦いはいつもの土曜日の夜(日本時間日曜日の昼)に行われる戦いでない、ということは気をつけた方が良いことだと思います。

この11/16は平日であり、日本時間の11/17(金)に当たる日です。

シャクール・スティーブンソンという稀代のボクサーを平日に持ってくるとは何事なのでしょうか。人気がないのか。

まあ、そんなことは置いておいて、この試合はWBC世界ライト級王座決定戦として行われます。

世界ライト級の4団体統一王者にはデビン・ヘイニーが君臨していますが、ヘイニーは12/9(日本時間12/10)にWBC世界スーパーライト級王者、レジス・プログレイス(アメリカ)への挑戦が決定しています。

 

 

 

この試合が決定した後、WBCはヘイニーを休養王者に格下げ、タイトルは空位となりました。(剥奪で良いのでは、と思いますが。)ちなみに他のWBAやIBF、WBOは特に動きがなかったと思います。

そんな空位のタイトルを争うのがシャクールとサントス。

シャクール・スティーブンソンは前戦で吉野秀一郎(三迫)を破って指名挑戦権を獲得、ここまで散々ヘイニーを挑発してきたものの、そのラブコールはついぞ届きませんでした。ただ、シャクールが目指すのはタイトルであり、相手はヘイニーでなくても全く問題はありません。彼は、ライアン・ガルシアとは違うのです。

なのでシャクールはしっかりとモチベーションを保ち、仕上げてくることが予想されますね。

対してエドウィン・デ・ロス・サントス、こちらはとてつもないパワーパンチを持つ非常に厄介な相手です。

荒々しいからこそ、とも言える破格のパワーを誇るサントスは、2022年1月にウィリアム・フォスターⅢ(アメリカ)にスプリットの判定負けを喫しますが、その後ルイス・アコスタ(アメリカ)、ホセ・バレンズエラ(アメリカ)といった当時無敗のボクサーたちを序盤で倒し、大復活を遂げています。

 

 

 

前戦ではジョセフ・アドルノ(アメリカ)にほぼフルマークの判定勝利。

特に圧巻なのはバレンズエラ戦であり、このアステカの戦士にルーツを持つバレンズエラを痛烈にノックアウトしています。ガードの上から効かせる場面もあり、そのパワーを物語る要素は非常に多いです。

とにかく前半からしかけ、パワーで押し切ってしまうタイプのサントスは、シャクールが相手でもある一定以上の危険性を保持しているはずです。シャクールが本来戦うはずだったフランク・マーティン(アメリカ)と比べても、危険度は上回っているかもしれません。

バレンズエラは、このパワーと真っ向から勝負し、一度はダウンを奪うも敗れました。

シャクールはそんな危険なことはしないでしょうから、十中八九、シャクールの勝利は手堅いように思います。

シャクールに限ってそんなことはないと思うのですが、序盤に油断した状態でサントスの一発をもらうとか、力を誇示しようとして接近戦を仕掛けるようなことがあれば危険。もしくは、横着してサントスの強打を序盤からブロッキングでやり過ごそうとするならば万が一がありえます。

 

 

 

とにかく体のどこかに当てることができればダメージを負わせられる、という可能性のあるサントスは、その理不尽にも思えるパワーをシャクールに当てることができるかが勝負。

とはいえ、シャクールはライト級転級後、明らかにパワーがついており、たとえブロックの上からもらったとしても、そこで勝負が決するようなことはないはずです。

更に言うと、サントスはモーションが非常に大きい分、シャクールとしてはカウンターも取りやすいように思います。

前半、シャクールがサントスを警戒し、しっかりと距離で外していけば、強振するサントスのスタミナは削られ、中盤から後半にかけてシャクールのカウンターがヒット、ここからシャクールが安全運転モードに入らなければ勝負は判定までいかないのではないでしょうか。

サントスはバレンズエラ戦でも左フックのカウンターを取られ、ダウンを喫しています。私の評価は、パワーですらシャクール>バレンズエラです。

サントスは危険ですが、シャクールの勝ちは固い、だからこそシャクールにはPFPランクに入るくらいの勝ち方をしてもらいたいものです。

 

 

 

WBO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ

エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)38勝(31KO)1敗

vs

ロブソン・コンセイサン(ブラジル)17勝(8KO)2敗

セミファイナルにはこの試合。ナバレッテvsコンセイサンです。

平日興行にこの豪華さは一体。。。

「スーパーフェザー級最強はナバレッテ」というのは共通認識なのかもしれません。スーパーバンタム級、フェザー級ときてスーパーフェザー級を制した3階級制覇王者は、他団体の王者に比べてその実績は群を抜いています。

しかし、この「スーパーフェザー級最強」は飛び抜けてトップなのか、というとそうではなく、はっきりいって4人の王者は非常に競っており、戦えば相性次第、というのが個人的な見解です。

ナバレッテはキャリア初期に喫した1敗を除き、世界トップレベルで全勝。独特なフォーム、アングルから放たれる意味不明のアッパーカットは、幾人ものチャレンジャーをひざまづかせてきました。

 

 

 

しかし、WBO世界スーパーフェザー級王座決定戦ではリアム・ウィルソン(オーストラリア)を相手にあわやストップ負けの大苦戦、個人的にはこれがナバレッテ評価の尾を引いています。

続く初防衛戦ではオスカル・バルデス(メキシコ)をシャットアウト、好パフォーマンスを見せていますが、バルデス自体も元はフェザー級のボクサーであることを考えると、これもまた評価のしづらいものです。

ということで、ナバレッテのスーパーフェザー級での評価に直結する戦いは、このロブソン・コンセイサン戦です。

オスカル・バルデスに疑惑の判定で勝利を奪われた経験のあるコンセイサンは、再起戦を判定勝利で飾るとシャクール・スティーブンソンに挑戦。この試合、2団体統一王者だったシャクールは体重超過により王座を失い、コンセイサンに判定勝利。

「ウェイトオーバーしたシャクールに判定までいったコンセイサン」を、もしナバレッテが倒し切るようなことがあれば、この階級最強はナバレッテで間違いありません。どころか、4階級目が見えてくるのかもしれませんし、ともすればvsシャクールが取り沙汰されるかもしれません。

では、苦戦したら?ナバレッテに対する私の評価は変わらず、スーパーフェザー級は横並び、です。

いずれにしろ、どのような試合内容、結果になるのか非常に楽しみですね!

 

 

 

配信

この興行は、アメリカではESPNで生放送。PPVでも何でもなく、ESPNと契約している世帯ならば誰でも見れる興行となっています。シャクールはいつになったらPPVファイターになれるのでしょうか。

そして日本では、WOWOWオンデマンドで生配信!日本時間11/17(金)10:30〜となっていますね。私は現在、在宅勤務のフルレックスなので。。。この時間はスケジュールをブロックしておきます!!

おそらくメインの開始はお昼頃になると思われ、中継はナバレッテvsコンセイサンからですね。ありがとうWOWOW!!!

 

 

 

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【プレビュー】10/31PXB!下町vs石井、ドヘニーvsラミドはRoad to Monsterとなるのか!?

今週末は久々にBoxingRaiseで生配信があるようです。

最近のBoxingRaiseは他媒体に押され気味で、録画配信もすでに他のプラットフォームでライブ配信されたものが多い。まあ、ビジネスというよりもボクシングファンや選手たちのためにやってくれているようなプラットフォームなので、それも致し方ありませんが。

新人王戦なんかもU-NEXTに引き継いだ感じですしね。

ともあれ、週末のBoxingRaiseはG.O.A.T MATCH、日中友好親善試合。これは非常に興味深いマッチアップ、というか出る日本側のボクサーがなかなかのラインナップで興味深い。

大橋ジムホープの金子虎旦、歴戦の雄渡邉卓也、痛烈なKO負けから復帰3連勝の辻本純兵、馬場龍成を破った苗村修悟。この興行に噛ませは出ないでしょうから、これら日本の強豪ボクサーに合わせ、どのようなボクサーが来日するのかは非常に楽しみですね。

なんせ中国側のボクサーのことを何にも知らないので、プレビューを書くことはできませんが。

そしてそれが過ぎれば、今月最後の注目ファイト、フェニックスバトル。

イレギュラーなタイトル戦も含みつつも、そのメインイベントは圧巻の好マッチメイク。

ということで今回のブログは、10/31(火)に予定される、フェニックスバトルの観戦記。

 

 

 

10/31(火)フェニックスバトル

日本スーパーバンタム級タイトルマッチ

下町俊貴(グリーンツダ)17勝(11KO)1敗2分

vs

石井渡士也(RE:BOOT)6勝(4KO)1敗1分

少し気の早い話ではあるものの、この試合の勝者は「井上尚弥蹂躙後のスーパーバンタム級」において、世界戦戦に食い込んでくるかもしれません。

それほど、今や王者となった下町の存在感は輝いていると言えるでしょう。

この階級にモンスターがいなければ、次期世界王者候補と言われてもおかしくない下町俊貴というボクサーは、179cmという長身のサウスポー、同じく関西の六島ジムに所属する西田凌佑とほんの少しイメージが被ります。

長身サウスポーであり、ジャバーであり、この前の手は素晴らしいアングルをつけて対戦相手を痛めつけます。

 

 

 

2015年にプロデビューした下町の唯一の敗戦は2016年の新人王トーナメントのものであり、4回戦時代。そこから6年以上にわたり無敗をキープしている下町は、2017年には全日本新人王に輝き、2019年には日本ユースタイトルを獲得しています。

2020年にはそのユースタイトルの防衛戦で当時無敗の英洸貴(カシミ)とのホープ対決を制して名をあげ、2022年には世界ランカー、ジョー・サンティシマ(フィリピン)に判定勝利を挙げて世界ランクを手にしています。

そして前戦では評価の高い大湾硫斗(志成)を完封して日本王者となり、その名をファンの間に轟かせました。

「獲るより難しい」とも言われる初防衛戦で迎えるは、またも難敵の石井渡士也。

非常に力強さのあるパンチャーである石井は、B級デビューであるが故にまだプロキャリアこそ浅いですが、アマでは名門花咲徳栄出身、インターハイ準優勝、国体3位などの輝かしい実績を持つボクサーです。

 

 

 

プロデビューから2戦目でバンタム級のユース王座決定トーナメントに出場、初戦で富施郁哉(ワタナベ)、決定戦で石川春樹(RK蒲田)を破ってユース王座を獲得しています。

井上尚弥(大橋)のスパーリングパートナーにも呼ばれたことでも評価された石井は、デビューからわずか4戦目でチャレンジマッチ、現在のWBA世界バンタム級指名挑戦者、石田匠(井岡)へアタック。

この戦いは素晴らしいチャレンジでしたが、石田のキャリア、レンジコントロールの前に惜敗、初黒星を喫します。

再起戦は南出仁(当時セレス)とのハードマッチメイクに勝利、その後も井上尚弥のアンダーカードに2度登場して再起後3連勝を記録。

前戦こそ無敗ホープの池側純(角海老宝石)とドローを演じているものの、非常に地力の高いボクサーであることは間違いありません。

 

 

 

この戦いは、距離をキープしようとする下町と、距離を詰めて強打を打ち込もうとする石井、という構図に貼るはずです。

長身サウスポー、という文字だけでもすでにやりにくさを感じるような下町のボクシングを、石井は崩せるか。

この時、どうしても頭をよぎってしまうのは石田vs石井の戦いでもあり、石井はこの下町を超えることであの時の自分を超えることになるのでしょう。

下町にとっては、すでにIBFで5位まで上がった世界ランク。このランクを維持してさえいれば、井上尚弥挑戦も夢ではなく、それが叶わなくとも井上尚弥返上後のタイトル戦線には間違いなく加われれる位置。

下町がランクを死守するのか、それとも石井がかつての自分を超えてベルトを奪取するのか。

いずれにしろ、どちらが自分のボクシングを貫くことができるのか、という勝負になりそうです。

 

 

 

WBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級タイトルマッチ

テレンス・ジョン・ドヘニー(オーストラリア)24勝(18KO)4敗

vs

ジャフェスリー・ラミド(アメリカ)11勝(4KO)無敗

アイルランド人とアメリカ人がWBOアジアパシフィックタイトルを争う。

というとなかなかにあり得ないシチュエーションではあるものの、TJドヘニーの現在のホームタウンはオーストラリアであり、前戦で王者の中嶋一輝(大橋)から王座を奪取。WBOアジアパシフィックタイトルというのは、結構範囲が広く、アジア全域とオセアニア地域をカバーしています。(対してOPBFは東アジアとオセアニア、こちらには中央アジア等は入りません)

で、気になるジャフェスリー・ラミド。こちらのresidence(住居の意ですが、ホームタウン、主戦場みたいな意味)はBoxRecによるとヨコハマ、カナガワ、ジャパンです

 

 

 

ラミドが横浜に住んでいるわけはないのですが、大橋プロモーションの計らいか何かなのでしょう。

以前、大手との契約の機会を伺っている、と言われたラミドは、もしかすると日本に落ち着くのかもしれません。

ともあれ、人種がどうあれ、この地域タイトルというのは「ここが私のホームタウンですよ」と言ったもん勝ちなところがあると思われ、つまりこのタイトル戦は違和感はあれど、問題はないのです。知らんけど。

ということで、外国人同士のタイトル戦ながらも、どちらも日本では有名なボクサーだけにこれは大変興味深い戦いです。

元王者、TJドヘニーは2018年に岩佐亮佑(当時セレス)からIBF世界スーパーバンタム級タイトルを奪い、アメリカはニューヨークで高橋竜平(当時横浜光)を相手にそのタイトルを防衛したボクサー。

 

 

 

岩佐戦ではドヘニーのニックネームである「Power」は感じませんでしたが、高橋戦、そして前戦の中嶋一輝戦ではそのパワーは大いに感じましたね。

岩佐から奪ったタイトルはダニエル・ローマン(アメリカ)との統一戦で奪われ、その後もマイケル・コンラン(アイルランド)との同国人対決でもダウンを奪われての判定負けを喫し、すでに終わったものと思われていたドヘニーは前戦で大復活。

戦いの場を大西洋から太平洋に移し、WBOアジアパシフィックタイトルを獲得、WBOの上位ランクを獲得してホープ、ジャフェスリー・ラミドを迎えます。

もしも万が一、ドヘニーが勝つようなことがあれば、このTJドヘニーが井上尚弥への優位な挑戦権を獲得できるのかもしれません。

とはいえ、相手はあのジャフェスリー・ラミド、その可能性は非常に薄いと言って良い。

ラミドはややパワーレスに感じますが、速く、そして巧い。

 

 

 

その速さ、巧さは現時点でマイケル・コンラン以上のように思われ、ドヘニーはついていくことすら叶わないのではないか、とも思います。

36歳のドヘニーと23歳のラミド。ドヘニーは勝利に向かい、この年齢差、そしてキャリアの差を存分に活用しなければいけません。ラミドは普通にやれば勝てると思いますが、その若さゆえ、何かしらの気負い、コンディショニングをミスしないとも限りません。

ボクシングはやってみないとわからない、ラミドがこれまでどのようなボクサーたちと戦ってきたか、というのを全て追っているわけではありませんが、岩佐に続き元王者を撃破となれば、すでに世界タイトルへのウェイティングサークルに入る、とも言えますね。

こちらも目指すは井上尚弥後のスーパーバンタム級タイトルか。

そうなると、このメインの勝者との対戦も大きな確率でありそうですね。

 

 

 

配信情報!!

この興行は、NTTdocomo presents Leminoで生配信。

日程は10/31(火)、17:30からの配信開始のようです。今回もまた無料で配信してくれるようなので、これはありがたいですね。

見逃し配信も当日23:00から可能ということなので、ライブ視聴できなくてもすぐにアーカイブが出そうですね。

「Leminoプレミアム」という月額料金の発生する有料プランもありますが、正直イマイチこの有料プランのメリットはよくわかりません。今年12月の井上尚弥vsマーロン・タパレスの特別映像とかはプレミアムプランに入らないと見れないのかな?まあ、あんまり興味ないんですけど。

もしフェニックスバトル以外のコンテンツもみたい、ということであればLeminoプレミアムにご登録ください。ボクシングだけなら、無料プランで十分です。

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【プレビュー】美しさと紙一重の儚さと。ジャック・キャトラルvsホルへ・リナレス。

ずっと応援してきた選手が衰えていく様を見るのは、いつだって悲しいものです。

ことボクサーに関しては、試合間隔が非常に開く場合があり、徐々に、というよりも一気に落ちてしまうことがある。というよりも、一つの試合で一気にそれが顕現する場合がある、とでも言うのでしょうか。

すでに「落ち目」となっても、まだ自分の才能を諦めきれないのか、自分ではその衰えを認識できないのか、はたまたお金のためなのか、「引退」を宣言するタイミングは非常に難しい。

果たして彼らはどんな理由でリングに上がるのでしょう。

ずっと見てきた、ずっと応援してきたファンにとっては、応援しているボクサーほど「もう辞めてほしい」と思うことがあります。逆に「辞めるには早すぎる」と思うことも多々あるから、ファンとは身勝手なものだとも思いますが。

ともあれ、この試合は非常に憂鬱な思い出見るのかもしれません。

今回のブログは、ジャック・キャトラルvsホルへ・リナレス、敵地イギリスに乗り込むベネズエラのサムライについて。

 

 

 

10/21(土)イギリス・リバプール

ジャック・キャトラル(イギリス)27勝(13KO)1敗

vs

ホルへ・リナレス(ベネズエラ)47勝(29KO)8敗

ジャック・キャトラル、カテラル?カットラル?

正直、上手く、良いボクサーだとは思うのですが、個人的にはあまり魅力を感じないボクサーです。

私は「イギリス」という伝統があり、やや陰気臭く、いつまでも世界の中心であるかのように振る舞っているプライドの高い国民性を非常に愛しており、若い頃は自らを「モッズ」と称していたほどの人間です。MINIクーパーに乗っていた時は、天井にユニオンジャックを掲げていたほどのキチガイですし、好きな映画を問われれば「さらば青春の光」と「トレインスポッティング」、好きな音楽はビートルズとかストーンズ、ザ・フー、プライマルスクリームやらオアシスやらリバティーンズやらと基本的には英国発祥のロックンロール。

まあ、そんなジェントルマンの私はイギリスのボクシングも当然愛しているのですが、このキャトラルというボクサーはどうにも好きになれません。

 

 

 

「技巧派」と呼んで良いのかわからないこのサウスポーは、距離をコントロールすることが得意なのでしょう。

その名を売ったのは2018年10月、オハラ・デービス(イギリス)に勝利した時かもしれません。ただ、その名を世界に轟かせたのは2022年2月、当時はまだ世界スーパーライト級4団体統一王者だったジョシュ・テイラー(イギリス)に挑戦した時です。

前戦でホセ・カルロス・ラミレス(アメリカ)を僅差の判定で破り、見事Undisputed「議論の余地なき」王者に輝いたジョシュ・テイラー。当然オッズはテイラー圧倒的優位だったわけですが、この試合は調子の悪いテイラーとアップセットを狙う気合の入ったキャトラルの戦いとなり、結果は2-1のスプリット判定でテイラーが4団体統一王座を初防衛。

しかしキャトラルがダウンを奪っていることもあり、判定は大いに物議を醸しました。

リマッチの話は幾度も出たとは思いますが、結局のところこの第二戦は実現せず、テイラーはその1年4ヶ月後にテオフィモ・ロペス(アメリカ)にタイトルを奪われ、キャトラルはテイラー戦での初黒星から1年2ヶ月後に再起戦で判定勝利を飾っています。

 

 

 

とにかくこの試合は酷い試合であり、それまでホセ・ラミレス、レジス・プログレイス(アメリカ)、イバン・バランチェク(ベラルーシ)、ライアン・マーティン(アメリカ)といったボクサー(これらのボクサーは当時無敗でした)相手に素晴らしいパフォーマンスを発揮し続けてきたテイラーの評価は一気に地に落ちました。

キャトラルは距離を潰すという作戦勝ちみたいな内容でしたが、全くもってクリーンではなく(それも技術と言われればそうなのですが)、とにかく揉み合いの多い試合で4団体統一戦とは思えないような内容。

その時のイメージそのままなので、もちろん再起戦を見る気力はありませんでした。

そんなキャトラルの相手が、我らがホルへ・リナレスとなったようです。

 

 

 

ニーニョ・デ・オーロ

ホルへ・リナレスの全盛期というのは結局いつだったのか。

2007年にオスカー・ラリオス(メキシコ/超懐かしい)を10R TKOで破り世界初体感、その後の防衛戦で3連続KO勝利を決めた時(グラスジョーが顕現する前)、と言われればそうかもしれないし、ハビエル・プリエト(メキシコ)を4RKOで降し、空位のWBC世界ライト級王座を獲得、その後のアンソニー・クローラ(イギリス)との(当時は普通の王座扱いだったWBCダイアモンド王座)統一戦からルーク・キャンベル(イギリス)、メルシト・ゲスタ(フィリピン)らの強豪を打ちまかし、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)からキャリア唯一となるダウンを奪った時と言われればそうかもしれません。

 

 

 

天才的なハンドスピードととてつもなく美しいボクシングを持つリナレスは、顎さえ人並みに強ければもっともっと偉大な王者になっていたであろうボクサーです。

「ゴールデンボーイ」というニックネームそのままに、非常に華のあるボクサーでしたし、スピード、パワー、インテリジェンスに優れ、一見完璧なボクサーに見えてのグラスジョー、というのはまた儚さを伴い、魅力に溢れています。

ロマチェンコからダウンを奪いつつも敗北した試合は結局のところリナレスらしかったですが、あそこでキャリアを終えていても良かったのかもしれない、と最近は思います。

ロマチェンコ戦後、再起したリナレスはスーパーライト級で戦います。

スーパーライト級初戦こそ3RKOで勝利を飾りますが、2戦目では何者でもないパブロ・セサール・カノ(メキシコ)にまさかの初回TKO負け。そこからの再起戦は2連勝で当時WBCのみの王者だったデビン・ヘイニーに挑戦します。

 

 

 

このヘイニー戦はヘイニーが遠すぎたのかあまり攻め入ることはできず、前半あっという間にポイントをかっ攫われてしまいましたね。終盤、ヘイニーを効かせ、大逆転KOまであと一歩に迫りますが、奇跡は実現せず。現在のところヘイニーが最も危うかったのはこのリナレス戦であり、ヘイニーはこの試合で自身の顎の弱さを世間に知らしめましたね。

もう十分な実績を残したリナレスでしたが、ロシアのRCCプロモーション(でしたっけ?)の熱烈ラブコールに応える形で再起、ロシアでザウル・アブドゥラエフ(ロシア)戦を行い再起。

この試合は、優勢に試合を進めながらも最終12R残り30秒ほどのところで大逆転TKO負け、はっきりいってこの頃にはスタミナもままならなかったように見えました。

そして昨年12月には同じくロシアで戦い、またも判定負け。そこからのもう何度目かの再起戦です。

現在、驚くべきことにリナレスは3連敗中であり、リナレスの大ファンだったというプロモーターも離れてしまったのでしょう。BoxRecによると、現在のマネージャーはメキシコ人のようです。

リナレスをマネジメントするのはホセ・マヌエル・デ・ラ・クルスというメキシコ人で、他に抱えている選手はフェルナンド・バルガスJr(アメリカ)、アマド・バルガス(アメリカ)、エミリアーノ・バルガス(アメリカ)。つまりはフェルナンド・バルガスの息子たち。

なんとも不思議な組み合わせですね。

 

 

 

リナレスの4連敗なんて見たくもありませんし、本来であればキャトラルのあのごちゃごちゃボクシングにリナレスの美しいボクシングが負けるなんて本来は想像できるものでもありません。

それでもオッズはキャトラルが-1000、リナレスが+600と大差がついている状況です。

これこそがボクシングの切なさの最たるものです。

これはリナレスファンにとって非常に苦しい戦い。それでも、流石にそろそろ終わりを迎えるであろうリナレスの勇姿を、少しでも多くその目に焼き付けておくならば、覚悟を持ってこの試合を見よう、と思うのです。

ホルへ・リナレスというボクサーは、そのボクシングの美しさと共に触れれば壊れてしまうような儚さを併せ持ったボクサー。だからこそ、その美しさは際立つ、そんなボクサーです。

願わくば、この試合をリナレスが勝ち、グローブを吊るしてくれることを祈るのみです。

 

 

 

アンダーカードと配信情報

暗く、辛い記事になってしまいました。もちろんボクシングはやってみないと分かりませんので、最後の最後までリナレスの勝利を期待し、応援していこうと思います。勝っても負けてももう引退してくれるのが一番良いのですが。

気を取り直して。

アンダーカードには、日本のリングにも登場したピーター・マクレール(イギリス)が登場です。しかも相手は17勝(7KO)無敗というコロンビア人、これは要注目ですね。

他にもあのリッキー・ファットン、もとい8トン、もといハットンの息子、キャンベル・ハットンも登場。キャンベル・ハットン、いつの間にか13戦もしていて、13勝5KOとKO率は高くないですが、ちょっと久々に見てみようかと思います。

放送はDAZN、放映日時は日本時間で10/22(日)AM3:00から。おそらくメインは7:00前後かな、と思います。

ここはもちろんofもちろん、がんばれリナレス、でいきましょう!!

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【プレビュー】「クロフォード後のウェルター」に食い込むか。アレクシス・ロチャvsジョバニ・サンティリャン!

私の住んでいる地域は、もうかなり寒い。

毎朝ヒトケタ度、冬まっしぐらです。

幸いにも冬にはたくさんの楽しみがあり、特に来月再来月には発表されていないものも含めてたくさんの楽しみがありますね。

そんな10月後半に入った週末のボクシング。

国内興行は先週のうちにほとんど出し尽くし、10月末を待つのみですが、海外では楽しみな興行も。

今回のブログは、10/21(日本時間10/22)に行われるDAZN配信興行について。

 

 

 

10/21(日本時間10/22)アメリカ・カリフォルニア

アレクシス・ロチャ(アメリカ)23勝(15KO)1敗

vs

ジョバニ・サンティリャン(アメリカ)31勝(16KO)無敗

ヒスパニック系アメリカ人同士の戦いは、メキシコからの移民が多いカリフォルニアの地で起こります。

当然の如く、とでも言いますか、ここに力を入れるのはゴールデン・ボーイ・プロモーションのオスカー・デラホーヤ。

GBP主催の興行としてDAZNで配信されるこの戦いは、無敗プロスペクトのジョバニ・サンティリャンをトップランクから呼び寄せて実現された、次の世代のウェルター級を担うための戦いのうちの一つです。

 

 

 

現在のウェルター級はテレンス・クロフォード(アメリカ)が完全統一を果たし、ジャロン・エニス(アメリカ)以下強豪だらけすぎるこの階級の誰も手の届かないところに行ってしまいました。クロフォードはエロール・スペンスJr(アメリカ)との再戦がクローズアップされていますが、これはおそらくスーパーウェルター級の戦いとなり、その戦いが終わったのち、クロフォードがウェルター級に戻ることはあまり考えられないことです。

なので、これまでタイトルが停滞していたウェルター級は一気に活況を帯びてくる、となるはずです。

そこでこの試合は、非常に重要な意味を持つと思われます。

ウェルター級の次期世界王者筆頭はジャロン・エニスであり、その次にはバージル・オルティス(アメリカ)だったのがここ数年の話。しかしオルティスは難病となり、リング復帰は非常に難しい状況に陥っています。

そうなると同じくヒスパニック系で、オスカー・デラホーヤにとって最も重要な選手となってくるのがこのアレクシス「レックス」ロチャです。

日本ではあまり馴染みがないボクサーかもしれませんが、アメリカでの評価は非常に高く、リングマガジンのランキングでもクロフォード、スペンス、エニス、オルティス、そしてWBA世界ウェルター級レギュラー王者であるエイマンタス・スタニオニス(リトアニア)に次ぐ5位となっています。

 

 

 

WBO NABOタイトル戦!

この戦いは、ロチャの保持するWBOの下位タイトル戦となっています。ロチャは2016年にプロデビューした26歳で、2019年には坂井祥紀(現在横浜光)とも戦っていますね。

2020年にラシディ・エリス(アメリカ)との無敗プロスペクト対決に敗れ、初黒星を喫します。無敗のプロスペクトが初めての黒星をきっかけにアンダードッグの道を歩む、という話はよくある話ですが、このロチャはそうはなりませんでした。

内省を繰り返したロチャは初黒星から8ヶ月後の2021年6月に2RKOで再起、その後は3-5ヶ月のスパンでテンポよくリングに上がり続けます。

初黒星からここまで、7勝(5KO)と見るごとに成長しており、2022年には当時無敗のブレアー・コブス(アメリカ)を9RKO、前戦では7年間無敗をキープしていたアンソニー・ヤング(アメリカ)を5RKO、バージル・オルティス不在の穴を埋めるかのような活躍を見せています。

↓素晴らしい試合だったロチャvsコブスの観戦記

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見事Aサイドに返り咲いたロチャは、ここまで無敗の31歳、ジョバニ・サンティリャンと勝負の一戦。

ともに戦士の末裔である血流を持つ二人のファイターの戦いは、間違いなく打撃戦となり、観客を熱狂させるはず。

ロチャは非常にパワフルで、一発のパワー面においては上だと思いますが、サンティリャンはステップワークやディフェンス技術も良く、またスタミナも異常。

オッズはロチャが-500、サンティリャンが+430と大差が開いていますが、これは非常に面白い試合になると思います。

 

 

 

アンダーカード!!

アンダーカードも充実しているGBP興行。いつも試合順がわからないのですが、この興行にはジョン「スクラッピー」ラミレス(アメリカ)がロナル・バティスタ(パナマ)とスーパーフライ級12回戦を戦います。

この試合はWBA世界スーパーフライ級挑戦者決定戦として承認されており、井岡一翔(志成)への挑戦権をかけた戦いとなります。一時期は軽量級の倒し屋として話題となったスクラッピー・ラミレスですが、ここ2戦は判定決着が続き、前戦はスプリット判定で薄氷の勝利。

バティスタは前戦でフリオ・せサール・マルティネス(メキシコ)に挑戦した世界挑戦経験者、真価が問われる一戦ですね。

 

 

 

他にも、セバスチャン・フンドラ(アメリカ)の妹、ガブリエラ・フンドラ(アメリカ)がIBF世界女子フライ級タイトル戦。王者はアーリー・ムチーノ(メキシコ)というボクサーで、37戦(32勝11KO3敗2分)のキャリアを持ちます。

兄同様、同じ階級のボクサーと比べると長身の175cm(ムチーノは160cm)、11戦無敗で初の世界タイトルアタックとなります。

他にもジョセフ・ディアス(アメリカ)がリカルド・メディナ(アメリカ)という若く(23歳)、好戦績(15勝8KO1敗)のボクサーと対戦したり、ダラキアン相手に善戦したデビッド・ヒメネス(コスタリカ)と挑戦権を争ったリカルド・ラファエル・サンドバル(アメリカ)がビクター・エフレイン・サンドバル(メキシコ)とラストネーム被りのボクサーとフライ級のマッチアップ。

スーパーフライ級とかフライ級とか、軽量級も充実したなかなか見応えのある興行ですね。

 

 

 

配信

この興行はDAZNで生配信。

配信開始は日本時間で10/22(日)9:00〜ですが、メインイベントはお昼頃でしょう。

この日は同日のAM3:00からのイギリス興行、ジャック・キャトラル(イギリス)vsホルへ・リナレス(ベネズエラ)という注目マッチもあり、DAZNに齧り付く1日になりそうですね。(予定のない人は)

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【プレビュー】アメリカでは世界ミドル級統一戦、アリムハヌリvsグアルティエリ!オーストラリアではティム・チューvsメンドサ!!

なんだか見るべき試合が多すぎて、ボクシングを楽しむことができていない感じがします。

更新頻度を落として、もうちょっと緩くやろうかな、と思っている今日この頃。

もし皆さんの意見を聞かせていただけるのであればありがたいな、とか思いつつアンケート。5秒で終わるので、良かったらお答えください。

 

forms.gle

 

そんなこんなでウィークデイにボクシングが多いという週末、海外では注目ファイトも盛りだくさん。今のところ日本で見られる媒体はなさそうですが、2~3日前にはU-NEXTあたりが出てくるかもしれません。そういえばShowtimeがPBCファイトから撤退、そこにAmazonが触手を伸ばしているとか。日本AmazonでPBCファイトを見れるようになったらもうありがたいことこの上ないですが、ここは注目したいですね。

さて、ということで今回のブログは、週末の世界戦のプレビュー記事。

 

Janibek Vs Gaultieri: Date, Start Time & Undercard Info - Boxing News 24

 

 

 

 

10/14(日本時間10/15)アメリカ・テキサス

IBF・WBO世界ミドル級王座統一戦

ジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)14勝(9KO)無敗

vs

ヴィンセンツォ・グアルティエリ(ドイツ)21勝(7KO)無敗1分

かつて隆盛を誇ったゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)が次々と王座を放棄、ミドル級は完全に次の世代に移りました。

そこでこのミドル級の天下統一を目論むのはGGGの後継王者と言って良い、ジャニベック・アリムハヌリ。GGGほどのエキサイティングさはないものの、非常に堅実で、パワフルなボクシングを展開します。

元トップアマだけあって当然のように技術にも優れ、倒せる、倒せないをしっかりと把握して攻撃している感じがしていて、中央アジアのボクサーらしくフィジカルも超強く、なかなか穴の見当たらないボクサーでもありますね。あとはGGG同様非常にボクシングに対して献身的なイメージで、彼もきっと毎試合ごとのパフォーマンスは安定している方だといえます。

かねてから「統一戦を」と言い続けてきたアリムハヌリが、ようやく大一番に臨みます。

 

 

 

2016年にプロデビュー、ミドル級にしてわずか12戦で王座を獲得したアリムハヌリは、これまで2度の防衛に成功しています。王座獲得前にはロブ・ブラント(アメリカ)、アッサン・エンダム(フランス)といった村田諒太の相手として日本でも有名なボクサーたちを一蹴しています。これは本当に一蹴という感じで、見ていて切なくなるような試合でした。

今のところ、負ける姿が想像しづらいこのWBO王者、アリムハヌリの相手は、IBF王者になったばかりのヴィンセンツォ・グアルティエリ。

グアルティエリは2015年にプロデビューしており、ずーっとドイツで戦っていたので、世界的な知名度は無し。もちろん私も、見たことも聞いたこともありませんでした。

そのグアルティエリが一躍その名を挙げたのは前戦、ロンドン五輪ミドル級銀メダリスト、エスキバ・ファルカン(ブラジル)戦でした。

村田諒太とロンドン五輪決勝で金メダルを争ったファルカンを相手に、2度のダウンを奪う快勝。下馬評では不利(多分)のなか、見事アップセットを決めて見せました。

ミドル級としてKO率は高いとはいえませんが、このファルカン戦の前にはIBOコンチネンタル、IBFインターコンチネンタルのタイトルを獲得しており、12Rをフルラウンド戦う経験はファルカン戦前ですでに5度も経験していました。

 

 

 

この世界王座決定戦が初のフルラウンド(過去一度の12Rファイトは6RTKO勝利)となったファルカンに比べ、この辺りの経験は活きたのかもしれません。

基本的にはアウトボックスする選手だと思いますが、追い詰められると(?)時折堰を切ったように連打に転じます。パワーがある、というわけではありませんが、回転力は非常にありますね。

足が止まると丸くなってしまいますが、ここがチャンスとイキリたって攻め立てると思わぬ反撃を喰らう、というちょっと謎のボクシング。おそらくパンチを貰わないことを一番に考えているボクサーなので、これを倒すのはなかなかハードルが高い。

このグアルティエリを相手にアリムハヌリはどう戦うのか。

同じように中間距離で付き合ってボクシングをするのか、それともグイグイとプレスをかけていくのか。

 

 

 

プレスをかけていくと万に一つ、空転する可能性もなくはありません。ファルカンは上手くいなされ、グアルティエリによる妙なタイミングの反撃でダウンを奪われてもいます。

この辺は、もしかするとファルカンはグアルティエリ対策が足りなかったことも予想され、アリムハヌリが同じ轍を踏むことは考えづらいですが。また、ファルカンのプレスでは無理でも、アリムハヌリのフィジカル&パンチングパワーを持ってすればグアルティエリをすりつぶしてしまう可能性が大きいのではないでしょうか。

オッズはアリムハヌリが-800程度、グアルティエリは+700程度と圧倒的にアリムハヌリが優位の状況。これは実績的に見ても仕方のないことですね。

グアルティエリは果たして大金星を挙げられるか。

この興行はアメリカではESPNがライブ放送。今のところ、日本でのライブ配信の情報はありません。

 

 

 

 

Tim Tszyu Faces Brian Mendoza, the 'Giant Killer' in World Title Fight | 15  Oct 2023 – No Limit Boxing

10/15(日)オーストラリア・クイーンズランド

WBO世界スーパーウェルター級タイトルマッチ

ティム・チュー(オーストラリア)23勝(17KO)無敗

vs

ブライアン・メンドサ(アメリカ)22勝(16KO)2敗

WBO世界スーパーウェルター級暫定王者だったティム・チューですが、ジャーメル・チャーロ(アメリカ)がカネロ・アルバレス(メキシコ)戦でリングに上がった瞬間にWBO正規王座を失ったがために、繰り上げで正規王者に。

なのでこの試合はチューの持つWBO世界スーパーウェルター級王座の防衛戦、ということになります。

挑戦するのはブライアン・メンドサ、あの「タワーリング・インフェルノ」セバスチャン・フンドラ(アメリカ)を撃ち抜いた「La Bala」(弾丸)です。

このメンドサはフンドラを破ったことでWBC世界スーパーウェルター級王者となっており、本来これは王座統一戦レベルの戦いです。

 

 

 

しかしWBCはチャーロの動きに関してチャーロからタイトルを剥奪したり、休養王者にしたりもしなかったため、メンドサは暫定王者のまま。多分返上もしてはいないと思います。

正規タイトルと暫定王座の統一戦というのは認められないので、今回はチューのWBO王座のみが懸けられる、ということですね。

オーセンティックなフィジカルボクシングをするティム・チュー。おそらく一番の武器は右ストレートですが、それを当てるための段取りも素晴らしく、非常に基本に忠実なボクサーです。そのブロッキングは固く、フィジカルも非常に強いチューは、眼を見張るようなスピードこそないものの、23戦して無敗をキープ、KO率も73%を誇ります。

父、コンスタンティン・チュー同様、レジェンドとなれるレベルのボクサーだと思います。

そして対戦相手のブライアン・メンドサ、まだまだ知名度は高くはないものの、これは強敵です。

敗戦は2021年9月のヘスス・ラモス(プエルトリコ)戦、2019年11月のラリー・ゴメス(アメリカ)戦のみで、どちらも判定負け。

 

 

 

ガッチリとした体躯のメンドサですが、ステップワークは軽やかで、踏み込みも良い。鋭いオーバーハンドには非常にパワーも感じますね。

ただ、フンドラ戦ではやや単純に思えるところもありました。

このセバスチャン・フンドラとのWBC世界スーパーウェルター級暫定タイトルマッチにおいて、メンドサは結果的に7RKO勝利を手にしますが、それまでのポイントは圧倒的にビハインド。これは、フンドラがデカすぎて懐に入ることができなかったこと(それに付随し、この日はフンドラがロングレンジでジャブを放って戦おうとしてたように見えたことも大きい。)が考えられるわけですが、結果的には左一発で劇的なKOシーンを生み出しました。

このフンドラ戦の前に、ジェイソン・ロサリオ(ドミニカ共和国)を破るなどしていますね。

↓メンドサの暫定王座初戴冠戦の観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

 

それでも、やはり実績的にはティム・チューが幾分も上であり、メンドサが勝利を手繰り寄せるとすれば思い切った策が必要でしょう。メンドサがフンドラにあの左を当てられたのは、フンドラが元々オープンガードだったということもあるかと思います。そのような隙は、残念ながらチューにはありません。

こうなるとまた新たな引き出しを開けなければ、メンドサの勝利はなかなか難しいように思います。

ということで、オッズももちろんチューが優位。チューがおおよそ-450くらい、メンドサがおおよそ+470程のようですね。

メンドサはハートも強く、良いボクサーではありますが、チューには全く通用しないのではないか、というのが個人的な意見。とはいえ、ボクシングは蓋を開けてみなければわかりませんし、この試合は実質的には王座統一戦とも言える試合です。

そしてこの勝者が、スーパーウェルター級に戻ってくるジャーメル・チャーロと雌雄を決するのであれば、またこの階級で4団体をかけた戦いが見られるようになりますね。

今後の展開は、非常に楽しみなものですね。

そしてこの興行は、オーストラリアではKayoスポーツがライブ配信。そしてもちろんアメリカではShowtimeということになっています。日本では。。。。?

ここは何とも、U-NEXTさんに期待、とだけ言っておきましょう。

 

 

 

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【プレビュー】全試合注目マッチアップ!メインは日本初登場、ジョンリエル・カシメロvs小國以載!

プレビューばかり書いていますが、週末から来週にかけて注目試合が多い。

気づけばまもなく10月も第二週、この週はウィークデイからボクシング三昧です。もっとバラけさせてくれても良いのに。

10/10(火)はダイヤモンドグローブ、10/12(木)はTBP興行、そして10/13(金)はLIFE TIME BOXINGとどれも見逃せない戦いが続きますね。

そんな中でも最も大規模な興行はトレジャー・ボクシング興行。

有明アリーナで行われる、メインイベントにジョンリエル・カシメロvs小國以載を抱くこの興行は、メインならずとも全試合が注目のマッチアップ。

ということで今回のブログは、10/12(木)に行われるトレジャーボクシング興行の観戦記。

 

2022 © TREASURE BOXING PROMOTION.

 

 

 

10/12(火)トレジャーボクシング4

スーパーバンタム級10回戦

小國以載(角海老宝石)21勝(8KO)2敗2分

vs

ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)33勝(22KO)4敗

元世界王者、小國以載と元3階級制覇王者、ジョンリエル・カシメロ。この試合については、おそらく多くのところで語られているでしょうし、ほとんどのボクシングファン、関係者の見解としては「カシメロ優位」で一致でしょう。

しかし、小國にはグスマン戦という小國史上最高の勝利があります。そしてその事実は、タイプこそ違えど小國にアップセットの可能性を感じるものです。

スピード、パワー、目に見えるものを比べてどちらが強いか、というとカシメロ。それでも小國が勝利してもそれは「奇跡」ではなく必然。

こう考えると小國以載というボクサーは非常に不思議なボクサーであり、およそ勝てないと思われる相手であっても大きな期待をしてしまうボクサーですね。

小國のインテリジェンス、ボクシングIQ、ストラテジー、自分の持っているものを総動員して相手を攻略するそのボクシングスタイルが、獣のように襲いかかってくるカシメロにどのように通用し、また通用しないのか。

カシメロは3階級を制覇している元王者ですが、穴がないわけではありません。

そもそもフィリピンというお国柄、穴のないボクサー、いわゆる総合力の高いボクサーがいるか、というとほとんどいないでしょう。

 

 

 

カシメロは一見攻撃力特化型に思えて、その攻撃力の裏に隠されたディフェンス能力、というか危機察知能力も侮れません。攻撃の時はヘッドムーブを駆使して攻撃していくぶん、もらいにくいですがそれは計算されたものではありません。どちらかというと攻防はほぼ完全に分離しており、休む時は休む。攻撃の時はヘッドムーブとポジショニングで「たまたま当たらない」ポジショニングをキープするだけで、それは計算されたものではなく、「癖」や「経験」によるものだと思われます。

そこを突ければ、あるいは。

決まり手としては、カシメロの序盤KO、中盤〜後半KO、見栄えをとっての判定勝利から、小國のボディショットによる後半KO、試合を支配しての判定勝利までどのような形でも考えられるもの。

これは非常に楽しみな一戦です。

このブログを読んでくれていて、まだ見ていない人はいないとは思いますが、カシメロを応援したくなるようなPVはこちら。

カシメロVS小國以載ドキュメンタリー - YouTube

 

 

 

OPBF東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ

栗原慶太(一力)17勝(15KO)7敗1分

vs

フローイラン・サルダール(フィリピン)33勝(23KO)7敗1分

小國以載は2022年5月以来、1年5ヶ月ぶりとなる試合ですが、その試合で引き分けた栗原はそこから2戦をこなしています。

この2戦の相手はともに千葉開(当時横浜光)。初戦では最終回TKOで敗れ、そのちょうど半年後に2RTKOでリベンジした、というとんでもない内容のもので、栗原の魅力はそのハードパンチと共に肚の決め方にあります。

とにかく早い回で倒し切れる栗原も、小国とはまた違ってアップセットを起こせるボクサーだけに、たとえ誰が相手であろうとも勝利を期待できるボクサーの一人。

現在はWBC3位、IBFで4位。

IBF(王者はエマニュエル・ロドリゲス)は西田凌佑(六島)が指名挑戦者と決まっており、その次にでもチャンスが巡ってくる可能性もあります。

 

 

 

そしてWBCはドネアを破ったアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)、こちらはバチバチの打撃戦になるから非常に面白そうです。

世界挑戦目前まできた栗原としては、ここは負けられない戦いであり、当然怪我もしたくありません。

フローイラン・サルダールは来日経験豊富なボクサーで、日本でもよく知られたボクサー。

こちらも33勝中23KOという高いKO率を誇るフィリピン人パンチャーで、非常に柔らかさを持つボクサーですね。

前戦こそルイス・ネリ(メキシコ)に2RTKOで敗れてはいるものの、最近でも比嘉大吾(志成)とは大接戦を演じています。そういえばフライ級ながらも木村翔への世界挑戦経験もありましたね。

ここ数千はやや負けが混んできて這いますが、まだまだ終わったボクサーとは言い難い相手。

一発一発をしっかりと打つタイプのボクサーである栗原は、このサルダールを相手にするとあまり相性は良い方ではないような気がします。それはサルダールの柔らかさにあり、栗原はアングルやタイミングを工夫して打たなければいけないでしょう。

とはいえ、おそらくそれができるのが世界上位ランカー、栗原慶太だと思うので、ここはまた早いラウンドでのKO勝利を期待しておきましょう。

 

 

 

アンダーカード!

そのほかにアンダーカードが3試合。これがどれも魅力的なカードで、本当に気を抜けない興行です。私はおそらくディレイ視聴になるので、ちょっと全部見れないかも。

フライ級8回戦
石澤開(M.T)vsビンス・パラス(フィリピン)

「マイクロタイソン」というネーミングは素晴らしいように思う、石澤開。中谷潤人を要するM.Tジム所属、(当時)ミニマム級で強敵をバッタバッタと倒していくその姿には、期待したファンも多かったと思います。

しかし石澤は2022年4月、初の世界タイトル挑戦で体重超過、しかも王者谷口将隆(ワタナベ)へのリベンジもならず。そこからの復帰第二戦です。

ファンをがっかりさせた事実は変わらないのですが、この石澤のキャリアは賞賛に値するものだと思っています。

ミニマム級でも国内の競合を選んでのマッチアップだったと思いますが、世界挑戦失敗後の復帰戦はジェイセバー・アブシード(フィリピン)、そして今回はビンス・パラスと、日本でも名の知れた、まるで禊とも取れるような強豪との対戦です。

楽な試合を挟まず、常に前を向いている姿には好感が持てますね。ここは是非とも頑張ってほしい。

 

 

 

バンタム級8回戦
サウル・サンチェス(アメリカ)vs RVデニエガ(フィリピン)

外国人同士の戦い、というのは日本の工業で見られるのはまだまだ少ない。それでも、大配信時代になってからは少しずつ増えてきているようにも思います。

伊藤雅雪プロモーターの元ジムメイト(だったかな?)の26歳、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのかは非常に興味深いところ。

フェザー級8回戦
藤田健児(帝拳)vsジョー・サンティシマ(フィリピン)

「フジチェンコ」こと藤田健児がTBプロモーション興行に登場。東京五輪前にプロ入りした帝拳ボクサーたちは、ここのところの躍進を感じますね。増田陸(帝拳)も日本タイトル敗戦からの復帰戦で、ジョナス・スルタン(フィリピン)と決まったようですし。

ジムを引っ張っていた村田諒太引退というのも絡んでいる気もしますが、帝拳プロモーションはようやくこれらの元トップアマたちにリソースを割けるようになってきたか。

対戦相手はジョー・サンティシマ、言わずと知れた強豪です。

大沢宏晋(当時オール)を衝撃的なノックアウトで降し、日本デビューを飾ったサンティシマ。その後は現日本王者、下町俊貴(グリーンツダ)、現OPBF東洋太平洋王者、堤駿斗(志成)に判定負けで敗北。

 

 

 

堤のアマ時代のライバル藤田にとっては、ここは倒し切りたいところですね。

充実のフェザー級、果たして元トップアマ、各ジムのプロペクトたちはどのようなタイミングで、誰とぶつかっていくのか。

ここから数年、国内〜海外トップのフェザー級は目が離せません。

WBOアジアパシフィック・スーパーウェルター級TM
井上岳志(ワールドスポーツ)vsヒラナン・マッサリ(タイ)

前戦、TB興行に出場し、ウェルジョン・ミンドロ(フィリピン)とドロー。ミンドロは良いボクサーでしたが、世界を諦めていない井上としては不甲斐ない、とも言える内容ではなかったか。

サエンナガン・シットサイトーンというリングネームで活動しているマッサリは、23歳と若くもすでに29戦というキャリアを誇ります。

このマッサリ、過去にはWBCアジアのタイトルを獲得しているボクサーらしく、なかなか侮れない相手かと思われますね。

決して噛ませ犬とは言えないタイ人ですが、井上はここは完璧に勝ち切らなければいけません。世界的には中量級と呼ばれる階級で、東アジアで苦戦するわけにはいかないからです。

井上岳志には、まだまだ世界を期待する活躍をしてもらいたい。

 

 

 

配信情報!

こちらの興行は、U-NEXTで生配信!

U-NEXTは少し高額ですが、この興行をPPVで見るとしても金額的には十二分に元が取れるものだと思います。

配信日程は、10/12(木)16:00開始、16:30試合開始のようなのでメインは20:00くらいでしょうか。

なかなか平日の夕方から有明アリーナに行ける人も少ないでしょうし、16:30から配信を見れる人も少ないような気もしますが、U-NEXTは追っかけ再生もできるし見逃し配信もできます。

ボクシングファンなら見逃せない興行、是非U-NEXTで!

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【プレビュー】元世界王者同士のサバイバル戦!ヒルベルト・ラミレスvsジョー・スミスJr.!!!

ヘビー級は昔から注目されている階級で、それと反して一つ下の階級であるクルーザー級というのは非常に地味。おそらくクルーザー級創設以来あまり注目されておらず、おそらくオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が4団体王座を統一した頃がピークだったのではないでしょうか。大きければ良い、というものでもないらしい。

ただ、そのクルーザー級の一つ下、ライトヘビー級はいつ見ても面白い。

アンドレ・ウォード(アメリカ)がセルゲイ・コバレフ(ロシア)と戦ったのはもう6〜7年も前のことで、その後もアルツール・ベテルビエフ(ロシア)、ドミトリー・ビボル(ロシア)といった王者たちが猛威を奮っています。

そんな中、タイトルショットではないにも関わらず、このような素晴らしいマッチメイクが実現するのは、この階級の層の厚さを物語っている、と言えますね。

ということで今回のブログは、週末2番目に楽しみなスルドvsスミスJrのプレビュー記事。

Zurdo Ramirez Vs Joe Smith | Boxing Schedule

 

 

 

10/7(日本時間10/8)アメリカ・ラスベガス

ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)44勝(30KO)1敗

vs

ジョー・スミスJr(アメリカ)28勝(22KO)4敗

オスカー・デラホーヤ率いるゴールデンボーイ・プロモーションズ(GBP)。このGBPがこれでもかというほど丁寧に育てているのが、ヒルベルト「スルド」ラミレス。

2009年にプロデビュー、その翌年にはWBCユース王座を獲得したラミレスは、いくつかの地域タイトルをコレクトした後、2016年にアルツール・エイブラハム(アルメニア)の持つWBO世界スーパーミドル級王座にチャレンジします。

ここをフルマークの判定勝利で獲得したラミレスは、メキシコ人として初めてこの階級で世界王者となりました。

この試合は大いにラミレスのポテンシャルを感じる戦いであったものの、世界タイトル獲得後の防衛戦を含め、圧倒しつつも倒せないという印象だったラミレス。王者になって伸び悩んだ感がありましたね。

 

 

 

このタイトルを5度防衛した後、ラミレスはライトヘビー級に転級。

やや物足りない相手ながらも、倒し方を思い出したかのように5戦して5勝5KO、尻上がりに調子を上げていきました。

メキシコ人としては珍しい、と言えるサウスポースタンス、長いリーチと恵まれた体躯、これはライトヘビー級でもまだまだアドバンテージ。パワー、コンビネーションも持っているし、フットワークやボディワークも持っている、非常に恵まれたボクサーだと思います。

しかしライトヘビー級の王者は、パーフェクトレコードを持つアルツール・べテルビエフ(ロシア)と、自国の英雄カネロに黒星をつけたドミトリー・ビボル(ロシア)。

このラミレスほどのボクサーが、挑戦者とはいえアンダードッグになることはそうそうありませんが、ビボルへの挑戦はモチロンアンダードッグでした。

2022年11月、ビボルの持つWBA世界ライトヘビー級王座へ挑戦したラミレスは、大差判定負けの完敗。ラミレスらしさはほとんど出ず、ジャバーであるビボルにプレッシャーをかけられる場面も目立った展開で、控えめにいっても良いとこなしの戦いでした。

 

 

 

ただ、これこそがビボルの真骨頂であり、ラミレスの良いところを全て潰してしまった結果なのでしょう。ビボルと戦うと、その対戦相手がどんなに素晴らしいボクサーでも「すごく見えない」という状態に陥ってしまうようです。

今回、ヒルベルト・ラミレスはこの手痛い初黒星からの復帰戦を迎えます。

そしてその相手はジョー・スミスJr(アメリカ)、前WBO世界ライトヘビー級王者です。

前戦はWBC・IBF世界ライトヘビー級王者、アルツール・ベテルビエフとの3団体統一戦に臨み、2RTKO負けを喫しています。初回にもダウンを奪われての2RTKO負けではありましたが、人外の怪物パンチャーを相手に積極的に攻め入る姿勢を見せ、漢を上げたスミス。

このエネルギッシュなファイトスタイル、闘争心は非常にまっすぐであり、本当に応援したくなるボクサーです。

ジョー・スミスJrの名前を全国区にしたのは2016年のバーナード・ホプキンス戦。ホプキンスはセルゲイ・コバレフに挑戦も実らず、ラストファイトの相手としてスミスを選びました。

ここでスミスはレジェンド・ホプキンスを相手に8RKO勝利という会心の大金星、しかもホプキンスをリング外に落下させるとんでもなく派手な勝利を挙げます。

 

 

 

この後、サリバン・バレラ(キューバ)に敗北、再起戦で勝利してドミトリー・ビボルに挑戦して敗北。正直、このボクシングではテクニシャンとの相性は良くありません。

しかし諦めない漢ジョー・スミスJrはこの二つの敗戦を糧として、実力者ジェシー・ハート(アメリカ)を破ると続いて元王者のエレイデル・アルバレス(コロンビア)を撃破、マキシム・ウラソフ(ロシア)とのWBO世界ライトヘビー級王座決定戦に臨み、これに勝って見事世界初戴冠。

初防衛をクリアしたのち、前述のベテルビエフ戦に辿り着きました。

ライトヘビー級最強のパンチャーを決める対決は、人類代表としてベテルビエフに挑んだものの、結果的には完敗。相手は凶暴な熊なのでこればかりは致し方ありません。

ともに敗戦からの復帰戦であり、ここは勝負の一戦。

特にラミレスにとっては、ここで連敗ともなるとその商品価値は大きく下がってしまいそうな気がしますね。

もちろんスミスもここで負ければ一歩どころではない後退を余儀なくされ、ここは何が何でも勝ちたいところ。

スピード、コンビネーション、テクニック、等々、ラミレスが上回っているところの方が多い。しかしハートの部分では圧倒的にスミスであり、この部分の勝負になれば勝敗は分かりません。スミスはいつも通りエネルギッシュに、アグレッシブに前進していくでしょうから、ラミレスがそれを受け止めるのか、それとも下がりながらの戦いをするのか。ともに倒せるパンチを持っているだけに、目の離せない一戦となりそうです。

 

 

 

配信情報とオッズ、アンダーカード

このラミレスvsスミスのオッズは、ラミレスが優位。ラミレスはビボルにしか負けていない、というのが大きく影響しているのでしょうが、ライトヘビー級での実績はスミスの方が上です。

ラミレスが-300、スミスが+200くらいのオッズの開きですが、もっと差はないような気がします。

なお、アンダーカードでは12勝9KO(1敗)のベクテミル・メリクジエフ(ウズベキスタン)が登場です。2021年にまさかの敗北を喫したガブリエル・ロサド(アメリカ)に前戦でリベンジ、ここからまたKOを積み重ねていけるか。対戦相手はアランテス・フォックス(アメリカ)、デビッド・モレル(キューバ)への挑戦権があるタイトルチャレンジャーです。

とはいえ、モレルを相手には何もできない4RTKO負け、メリクジエフとしてはここを快勝し、世界タイトル戦線に絡んでいきたいところ。(スーパーミドル級での世界タイトルマッチは遥か高い壁ですが。)

おそらくこの試合がセミファイナルだと思うので、この興行はセミ、メインが要注目。

ライブ配信はDAZN、配信開始は日本時間10/8(日)9:00からです。

おそらくメインはいつも通り、お昼頃でしょう。これは必見です。

↓DAZNはこちらから

DAZN

 

 

 

 

 

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【プレビュー】FOTY候補!?リー・ウッドvsジョシュ・ウォーリントンの英国Feライバル対決、決戦はシェフィールド!

今週のウィークデイにはボクシングがありませんが、ウィークエンドはボクシング三昧。

多分、というか絶対、全部は見れないでしょう。

10/7(土)は3150FIGHT(ABEMAでライブ配信)、ダイナミックグローブ(U-NEXTでライブ配信)があり、10/8(日)は中日本・西部新人王対抗戦(Youtubeでライブ配信)、岐阜ボクシングカーニバル(sakanaさんのYoutubeでライブ配信)、さらにDAZNでイギリス、アメリカの興行がライブ配信です。

私が最も注目しているのはDAZN、イギリスのマッチルーム興行とアメリカのGBP興行です。

ということで今回のブログは、10/7(土)に行われる、リー・ウッドvsジョシュ・ウォーリントンをメインに据えた、マッチルーム興行のプレビュー記事。

Leigh Wood vs. Josh Warrington Movie Streaming Online Watch

 

 

 

10/7(日本時間10/8)イギリス・シェフィールド

WBA世界フェザー級タイトルマッチ

リー・ウッド(イギリス)27勝(16KO)3敗

vs

ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)31勝(8KO)2敗1分

シェフィールド、と聞いて思い出すのは、どう考えても「プリンス」ナジーム・ハメド(イギリス)のことですね。

イギリスはシェフィールド、ブレンダン・イングルのもとでボクシングを始めたハメドは、これまでのボクシング史にないスタイルで世界中を席巻。イングルとは喧嘩別れしてしまいましたが、結局のところナジーム・ハメドという空前絶後のボクサーを作り出したのはイギリスのシェフィールド、そしてイングルがルーツです。

なぜこの興行がシェフィールド?とも思いますが、ウッドの出身地であるノッティンガムとこのシェフィールドはほど近くであり、ウッドはシェフィールドのジムでトレーニングをしているようです。ウッドもプロキャリア初期はイングルのジムに通っていたようですね。

ちなみにこのシェフィールドは、ウッドの出身地ノッティンガムと、ウォーリントンの出身地であるリーズのちょうど中間に位置しており、どちらもアウェー感はない、どころか、二人ともホームめいたところがあり、この二人が雌雄を結するのに相応しい場所です。

 

 

 

王者は苦労人、リー・ウッド

WBA世界フェザー級王者、リー・ウッドは、アマキャリアを経て2011年にプロデビュー。アマチュアボクシングでは国内で有名な選手だったようで、イギリス国内大会では3位入賞の成績を収めているようです。(この時、ジェームズ・ディケンズに敗北)

国内トップアマのプロ転向ながらも、キャリア初期はさほど良いとは言えないマッチメイクで、プロデビュー以来11連勝もそのほとんどが4回戦の試合。10回線も2度ほど戦っていますが、早いラウンドでのノックアウトだったため、それまでの最長ラウンドが6ラウンド、という内容の状態で当時空位だったBBBofCのスーパーバンタム級タイトルを争います。この時の相手はギャビン・マクドネル(イギリス)でした。

このマクドネル戦で初黒星を喫したウッドは復帰後連戦連勝、BBBofCの下位タイトル(ミッドランズエリア)、コモンウェルスタイトル、WBOヨーロッパタイトル(いずれもフェザー級)を獲得して波に乗ります。

しかし2020年2月、このWBOヨーロッパタイトルの初防衛戦でアマ時代に敗北しているジェームズ・ディケンズを迎え、1-2ポイント差の2-0判定で惜敗、2敗目を喫しています。

だからこそ、あまり期待はされていなかったのではないでしょうか。

 

 

 

しかしウッドはこのディケンズ戦からの復帰戦で当時無敗のプロスペクト、リース・マウルド(イギリス)を9RTKO、BBBofCフェザー級タイトルを獲得するとともに、当時のWBA王者、シュ・ツァン(中国)挑戦を勝ち取ったのです。

このツァンは猛烈な手数を持つファイターで、KO率は低いですが嵐のような連打で相手にボクシングをさせない非常に嫌なファイター。ボクサー型、テクニシャンタイプであるウッドとの相性は(ウッドから見て)最悪だと思っていました。

当然オッズもツァンの圧倒的優位、ながらもウッドはここを非常に丁寧に戦い、ツァンに合わせて下がりながらのボクシングを敢行、この日、ツァンも調子が良くなかったのか、それともウッドの距離感がそれをさせたのか、手数は決して多くありませんでした。最終回、ウッドはハートを見せてのTKO勝利を持って世界初戴冠を果たしました。

世界下位ランカーから一気にステップアップしたウッドでしたが、どうしても世間の評価はチーズ王者。ここで真打登場、とばかりに出てきた初防衛戦の相手は、マイケル・コンラン(アイルランド)です。

ウッドの地元であるノッティンガムで開催されたこの一戦は、イギリスを拠点とするボクサー同士の大注目の試合。しかもイングランドvsアイルランドというお国柄的に非常に盛り上がる戦いです。

当然、オッズは挑戦者コンランが優位の中、ウッドは王者としてのプライドを見せます。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

確かいくつかの媒体ではファイト・オブ・ザ・イヤーにもなったのではないでしょうか。

素晴らしいシーソーゲームの決着は、またも最終12ラウンド。

ダウン応酬の死闘は、イングランドはノッティンガム出身、リー・ウッドの手が上がりました。

2度目の防衛戦は今年の2月、かつてジョシュ・ウォーリントンを倒したダークホース、マウリシオ・ララ(メキシコ)。ウォーリントンをノックアウトしてからさらに自信をつけたララは最強の挑戦者であり、ツァン戦、コンラン戦につづき、またも不利予想が囁かれるウッド。

かなりハードな防衛ロードのウッドでしたが、この試合も予想に反して完全なウッドペースで試合が進みます。

このままララをボックスしていくか、と思われた7R、ララの渾身の左フックがヒット、リングに横たわったウッドは立ち上がるもダメージを鑑みたウッド陣営は棄権の申し出、ウッドはタイトルを失ってしまいました。

この劇的な大逆転KO負けにもめげず、再起したリー・ウッドはダイレクトリマッチへと進みます。一発被弾すれば試合が終わってしまう、というほどのララの強打を浴びて、それでも諦めることなくタイトル奪還を目指すウッドの心意気は素晴らしい。ダイレクトリマッチの可否は置いといて。

この再戦では、ララが計量失敗(というか計量4日前の段階で規定の体重に達していなかった)により王座が剥奪、ウッドが勝利した場合のみ王者になる、という変則タイトルマッチ。この再戦では、ウッドは完璧なボクシングを披露、本来初戦で掴むはずだった勝利を挙げています。

頭から突っ込んでくるララのバッティングを受けながらも、集中力をしっかりとキープしたリー・ウッドのボクシングは、普段の勤勉さが垣間見れるようです。さらに倒れても負けても這い上がってくるその様は、サムライのハートを感じています。

どの試合も面白い、というエキサイティングさや派手さ、目をひくような才能、パフォーマンスを持たないウッドですが、私はこのボクサーにめちゃくちゃ惹かれています。

なのでこの英国ライバル対決には絶対に負けないでほしい。そして、ここまでウッドの紹介が長くなり過ぎてしまった。。。

 

 

 

挑戦者は戦士、ウォーリントン

対して挑戦者は元IBF世界フェザー級王者、ジョシュ・ウォーリントン。

こちらのボクサーもイングランドであり、熱狂的なファンを抱えています。出身地リーズの名を冠し、ついたニックネームは「リーズ・ウォリアー」。ちなみに会場のシェフィールドは、リーズと同じくヨークシャー州です。

ウォーリントンはウッドよりも若干早い2009年にプロデビュー、この頃のことは知りませんが、この頃から旺盛な手数と尽きないスタミナを武器に勝ち上がってきたのでしょう。

キャリア初期の頃からほとんどが判定決着であり、KO勝利を挙げたのはプロデビューから16戦目のこと。この試合はコモンウェルスフェザー級王座決定戦で、最終回12RのTKO勝利。

ウォーリントンはこの初のKO勝ちの前にBBBofCイングランドのタイトルを獲得しており、この後にもBBBofCイギリスタイトル、EBUヨーロピアンタイトル、WBCインターナショナルを獲得してステップアップ、ウッドと同じく一段ずつ階段を登ってきたタイプのボクサーです。

「ある程度のパンチがなければ世界は取れない」と良く言われますが、KO率25%というウォーリントン。パワーレスなのは仕方ないとして、カウンターのタイミングも持っているとは言い難い。それでも勝ち続けているのは、それを補ってあまりある旺盛な手数と無尽蔵のスタミナ、そして強いハート。

 

 

 

2016年には天笠尚をイングランド、地元リーズで迎えて日本でも知られたウォーリントンは、2017年にキコ・マルティネス(スペイン)を撃退、2018年に当時のIBF世界フェザー級王者、リー・セルビー(イギリス)を破って世界初戴冠。

ここからの防衛ロードはかなり過激で、カール・フランプトン(イギリス)、当時無敗のキッド・ガラハッド(イギリス)と国内のライバルたちからタイトルを守っていきます。

どれも激闘であり、辛勝とは言えるウォーリントンでしたが、この心意気は素晴らしく、当時は大好きな王者の一人でした。

3度目の防衛戦をフランス人挑戦者から世界戦初のKO勝利で防衛すると、当時のWBA王者シュ・ツァン(中国)への挑戦のためにIBF王座を返上。確かこの当時、WBAはスーパー王者とレギュラー王者がおり、他団体王者と統一戦ができるのはスーパー王者のみ、となっていました。なので、ツァンにはIBF王者との統一戦の資格はなく、ウォーリントンがツァンといくら統一戦をやりたい、と騒いでも、規定としては不可能な状況だったわけです。

ウォーリントンがなぜ、そんなにツァンとやりたかったのかはわかりません。互いにKO率が低く、非常にアグレッシブで、手数が多い、そんな共通点があったため、そのカテゴリーで最強決定戦をしようと思っていたのでしょうか。

正直、ツァンが非常に評価の高い王者だったわけではなく、ここが非常に微妙なのですが、一説では大苦戦を強いられたキッド・ガラハッドとの再戦を避けたため、とも言われています。

ちなみにこのガラハッドはウォーリントンが返上した王座をめぐり、ジェームズ・ディケンズとの王座決定戦を制して見事に戴冠、しかし初防衛戦でキコ・マルティネスに王座を明け渡しています。

ウォーリントンの話に戻すと、ウォーリントンは試合間隔が空いてしまうのを嫌ってなのか、当時無名のマウリシオ・ララ(メキシコ)とのノンタイトル戦に臨みます。確かララは当時から世界ランクに入っていたように記憶しています。この辺りのセレクトは謎ですが、ここで大波乱。

 

 

 

初回からフルスイングのララに対し、ウォーリントンはやや後手に回る展開。そして4Rにはダウンを奪われ、細かな手数で盛り返すも、9Rにまたも痛烈なダウンを奪われてのTKO負け。世界タイトルマッチとして開催されてもおかしくない戦いでしたが、オッズは当然ウォーリントン優位の状況で、ララは大金星を上げる結果となりました。

この痛烈な敗戦の汚名を返上するべく、ウォーリントンはダイレクトリマッチに臨むも、2R、アクシデンタルヘッドバットによりテクニカルドロー。

冬の時代を過ごしたウォーリントンは、前述の通りガラハッドに勝って王座についたキコ・マルティネスに挑戦、これを7RTKOで降して王座返り咲き、となりました。

それまで結果を残してきたから当然、と言えるのかもしれませんが、初黒星からドロー、という中で世界挑戦できたというのは王者がキコ・マルティネスだったから、でしょう。

スペインも含めて、ボクシングが盛んとは言えない地域のボクサーたちは「いつでも、どこでも、誰とでも」「戦わなければ」いけません。これを能動的にやるのはボクサーとして、王者として素晴らしいことですが、受動的にやることには違和感を覚えますね。

ともあれ、周囲の力もあって人気者のウォーリントンは王座復帰を果たしましたが、初防衛戦でまたも試練。ウォーリントンのアキレス腱は、やはりフルスイング系のメキシカンです。

近接戦闘のスペシャリスト、と言えるウォーリントンですが、フルスイング系のパンチャーに押されてしまうと分が悪くなる傾向にあります。初防衛戦のルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)戦は、非常に微妙なラウンドが多く、五分五分の内容ではありましたが、おそらく見栄えの差で若干ロペスに傾き、0-2の判定でロペスの勝利。この戦いは、ウォーリントンの地元リーズで行われたから、正直ウォーリントン勝利かと思いました。

しかしジャッジは公平で、タイトルを失ってしまったウォーリントン。

この敗戦からの復帰戦でタイトル戦、というのは、ウォーリントンの人気と、歳の近いライバルであるリー・ウッドとの対戦は今、このタイミングしかないというところで決定したものでしょう。

 

 

 

オッズと配信情報

前戦、マウリシオ・ララにしっかりと雪辱を果たしているリー・ウッドと、結局ララから勝利を挙げられず、前戦でルイス・アルベルト・ロペスに惜敗しているジョシュ・ウォーリントン。

こう考えると、オッズがウッド優位に傾くことは容易に想像できます。

オッズチェッカーによると、ウッドが-200程度、ウォーリントンが+200程度とオッズはウッドに傾いています。

ボクシングの幅としても、ウォーリントンは「リーズ・ウォリアー」の名前の通り前に出て旺盛な連打を見舞う戦い方しか持たず、ウッドとしては離れてもボクシングができるし、シュ・ツァン戦やマイケル・コンラン戦のように前に出ての戦いも可能です。

ウォーリントンのしつこさに、ウッドが悲鳴を上げる場面はあまり想像できないことです。

ただ、ウォーリントンとしてもここはラストチャンスに近く、同じイングランド人同士のライバル対決とあって秘するものはあるはずです。

これはハートとハートの勝負であり、おそらく互いが相手を打ち負かそうとアグレッシブに仕掛けるでしょうから、好勝負が期待できます。

このファイト・オブ・ザ・イヤー候補とも言える試合は、DAZNで生配信。

配信は日本時間10/8(日)AMに行われる予定で、おそらくメインは7:00頃でしょう。

これは見逃してはいけない一戦です。

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DAZN

 

 

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【プレビュー】竹迫司登登場、ダイナミックグローブ!セミは李健太vsアオキ・クリスチャーノ!!on U-NEXT!

10/7(土)は日中から3150FIGHT、そして夕方からはダイナミックグローブ。

日本のボクシングファンにとっては、忙しい1日になりそうですね。

おそらく偶然なのでしょうが、時間帯がずれているのはファンにとって非常にありがたいことですね。配信が格段に増えたことは非常に嬉しいことですが、どうか少ないファンを奪い合うことはやめてもらいたい、と思う今日この頃です。

ということで今回のブログは、U-NEXTで配信されるダイナミックグローブのプレビュー記事。

 

第7回WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT

 

 

 

10/7(土)Who's Next Dynamic Glove

OPBF東洋太平洋ミドル級王座決定戦

竹迫司登(ワールドスポーツ)15勝(14KO)1敗1分

vs

マ・ウーヒョン(韓国)6勝(3KO)1敗1分

おそらく世界ミドル級のトップ下あたりに分類されるであろう世界上位ランカー、メイリン・ヌルスルタン(カザフスタン)に大いに善戦するも、8RTKOで敗れた竹迫の再起戦です。

OPBF東洋太平洋の王座決定戦、と銘打たれているものの、大切なところはそこではありません。

OPBF王座は便宜上、東アジア、オセアニアがその地域に含まれますが、オセアニア以外の場所でミドル級ボクサーというのは数少ない。そして、オセアニア圏のボクサーたちは、OPBFランキングに入っていたとしてもこのOPBF王座に食指を伸ばすことはほとんどないことも事実。

さらに、やはりミドル級ボクサーをオーストラリアやニュージーランドから呼ぶ、というのはなかなかお金のかかることであり、これらオセアニアのボクサーは日本で、というよりもアメリカで戦いたいでしょう。

 

 

 

なので必然的に白羽の矢が立ったのが、韓国のマ・ウーヒョンというボクサーです。

最近の韓国は、かつてのようなコリアンファイターではなく、どちらかというと長い距離で戦うテクニシャンタイプのボクサーが増えてきているように思います。ただ、やはりハートは有しているボクサーが多く、日本人のトップドッグを相手に番狂せも度々。

戦績を見て侮って良いわけがありませんが、このレベルのボクサーに苦戦していられないのが竹迫司登というボクサーです。

村田諒太が引退した今、ミドル級はこの竹迫にかかっています。

日本王者の国本陸(六島)、その国本に一歩届かない酒井幹生(角海老宝石)、いずれも良いボクサーではありますが、やはり世界で戦うとなると倒すことのできるパワー、つまりKO率の高さは必須項目。比較的体の小さい東アジア圏のボクサーを倒せないようでは、欧米のボクサーたちに遅れをとってしまうことは明白です。

なのでやはり、ここは竹迫にどうにか世界にたどり着いてほしい。

ヌルスルタンにも、竹迫のボクシングが通用していなかった、とは思いません。

竹迫のパワーはヌルスルタンを脅かし、だからこそヌルスルタンも本気で竹迫を倒しにかかったのでしょう。

今回の一戦は、竹迫にとって負けられない一戦であることはもちろん、勝ち方を問われる試合となります。それでもどうか気負いなく、良い勝ち方ができるように望みます。

 

 

 

日本スーパーライト級挑戦者決定戦

李健太(帝拳)5勝(2KO)無敗1分

vs

アオキ・クリスチャーノ(角海老宝石)16勝(11KO)10敗2分

いわゆる勝負論、というとこのセミファイナルは面白い戦いです。

李健太(以下ゴンテ)は元トップアマで2019年に帝拳ジムからプロデビューしています。ちょうどこの頃、つまりは東京オリンピックへの夢を絶たれたボクサーたちが次々とデビューしており、特にその内訳は帝拳ジムが多かったように感じていますが、それらのボクサーたちがいよいよランカーとなってきています。

アンダーカードで登場する福井勝也(帝拳)しかり。

2019年にデビュー、コロナもあってキャリアを積みたいところで試合枯れ、さまざまな苦労を味わってきたと思われるアマエリートたちは、今年から来年にかけて躍進の年になるかもしれませんね。

その先陣を切るのがゴンテ。

 

 

 

素晴らしい距離感と、シャープな左右を持つサウスポー、その戦歴には一つの引き分けが記録されていますが、これは優勢に試合を進めていた上での負傷ドローであり、未だ底を見せていないボクサーです。

対するは叩き上げ、アオキ・クリスチャーノ。

およそ30戦にも及ぶキャリアは激闘の連続であり、ここ最近でも現日本王者の藤田炎村(三迫)戦、前日本王者の平岡アンディ戦(大橋)戦等で見せ場を作っている怖いボクサーです。

技術には劣ろうとも、一発で試合をひっくり返してしまう可能性を持ったパンチャー。

ボクシング競技をしっかりと理解した、元トップアマのゴンテか、それとも拳闘という言葉がよく似合う叩き上げ、昭和を感じるアオキか。

どちらが優位か、を問われるとゴンテと答えるのですが、アオキにも十分にチャンスはあるように感じます。これは大変興味深い戦いですね。

 

 

 

配信情報

このほか、福井勝也(帝拳)が登場する8回戦、そしてさらに4回戦が2試合、という今回のダイナミックグローブは、全5試合で行われます。

こちらはもうすっかりお馴染み、U-NEXTで生配信ですね。

日程は、10/7(土)18:00からとのことなので、3150FIGHTがKO決着続出であれば、ちょうど良いくらいの時間かもしれませんね。

ということでこの興味深い戦いはU-NEXTで!

この興行の5日後、10/12(木)にはジョンリエル・カシメロvs小國以載をメインに据えたTBプロモーション興行が同じU-NEXTで配信されます。今入っておいて損はないですね。

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【プレビュー】なるか兄弟同時「正規」王者。パンヤvs重岡優大、バラダレスvs重岡銀次朗!!

10月に入りましたね。

今年も残すところあと3ヶ月、やり残しを掬っていきましょう。

ということで10月に入っての第一陣は、重岡兄弟による団体内世界王座統一戦からスタート。

10/7(土)、3150FIGHTでスタートする日本ボクシング界の2024年最終節は、ダブル世界タイトルマッチ。

おそらく日本では重岡兄弟の圧勝ムードではあるものの、タイ国を初めてでるチャンプはそんなに簡単な相手なのか。

ということで今回のブログは、10/7(土)に行われるW世界戦のプレビュー記事。

 

公開練習】10月7日(土)「3150FIGHT vol.7」重岡優大・銀次朗の重岡 兄弟がダブル世界王座統一戦へ臨む!(2023年9月30日)|BIGLOBEニュース

 

 

 

10/7(土)3150FIGHT

WBC世界ミニマム級王座統一戦

パンヤ・プラダブスリ(タイ)40勝(24KO)1敗

vs

重岡優大(ワタナベ)7勝(5KO)無敗

タイから出てこない王者、パンヤを引き摺り出した亀田ファウンダー、この正規王者に挑むは暫定王者の重岡優大。

優大は2019年にB級でプロデビュー、コロナ禍で1年以上のブランクを作ったこともありましたが、A級に上がってからは堀川龍(三迫)、小浦翼(E&Jカシアス)に勝利してそれぞれ日本ユース王座、WBOアジアパシフィック王座を獲得。WBOアジアパシフィック王座を一度防衛の後返上、日本王座決定戦に出場して仲島辰郎(平仲)を倒し、前戦でWBC世界ミニマム級暫定王座決定戦に出場してこれを獲得しています。

A級に上がってからタイトルマッチしかしていない、というのはやはりこのボクサーのポテンシャル、期待値の表れなのでしょうね。

前戦では本来パンヤに挑戦する予定でしたが、直前でパンヤがインフルエンザを罹患、WBC世界ミニマム級タイトルマッチをキャンセルしています。

代役としてウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)がリングに上がりましたが、まあ流石に調整不足、優大は7RKOで暫定王座を奪取しています。

非常にバランスの取れたボクサーで、しかもミニマム級にして非常にパワフル、穴は少ないと言っても良い重岡兄弟。その中でも、優大は弟に比べるとやや感情的になるところがあるような気がしていて、そこは今のところ唯一つける弱点と言って良いかもしれません。優大をイライラさせることができれば、パンヤに勝機が見えてくる、という意味です。

 

 

 

対してパンヤ・プラダブスリはすでに41戦のキャリアを持っており、リングネームはペッチマニー・CPフレッシュマート。タイのどこにでもいそうなリングネームですね。

プロデビューは2014年、2017年に黒星を喫していますが、これは中国の戦いであり、マジョリティ判定で惜敗しています。

タイトル獲得は2020年11月、当時の絶対王者、ワンヘン・ミナヨーティン(タイ)、この王者に大金星を挙げての王座獲得は、本当に久々にミニマム級王座が動いた瞬間でした。

その後はこの王座を4度防衛していますが、そのうち1度はワンヘンとの再戦で、そのうち2度は田中教仁(三迫)を退けたもの、となかなか評価をしづらいものです。

パンヤは下がりながらでも戦える柔らかさを持ったボクサーで、このボクサーも非常にバランスが良い。ボディワークも良いのですが、ディフェンスが良いとは言えないので、優大がしっかりとコンパクトにボクシングをしていけば近接戦闘でも打ち勝つことができるはずです。

さらに、このパンヤは比較的クリーンに戦うタイプのボクサーかと思われるので、優大もイライラさせられることがなさそう、にも感じます。

なので優大にとっては相性的にも悪くはないと思いますから、ここはスカッと勝利して、この次はノックアウト・CPフレッシュマート(タイ)とタイで戦ってほしい。

 

 

 

IBF世界ミニマム級王座統一戦

ダニエル・バラダレス(メキシコ)26勝(15KO)3敗1分1NC

vs

重岡銀次朗(ワタナベ)9勝(7KO)無敗1NC

こちらは兄・重岡優大の一戦よりも曰く付きの一戦で、今年1月の初戦はノーコンテスト。

これは銀次朗優勢の中、バラダレスが3Rに「首太」銀次朗の首にバッティング。それでなぜだか頭を痛めたバラダレスが試合続行不可能となり、ノーコンテスト。

これはスロー映像で見れば見るほど不可解な裁定でしたね。

多分銀次朗の首が太く、強すぎたことが原因なのでしょう。(そんなわけない)

まあ、そんなこんなでようやく決着がつく時が来たわけですが、この試合を年内にできたことは暁光でしょう。

正規王者、ダニエル・バラダレスは2014年にプロデビュー、キャリア初期に8回戦で初黒星。初タイトル戦は2020年2月で、ペドロ・タデュラン(フィリピン)を相手にテクニカルドロー、その後は何でもないボクサーを相手に2連敗。それでも2022年7月、レネ・マーク・クアルト(フィリピン)をスプリットの判定で破って世界初戴冠を果たしています。

そして初防衛戦で銀次朗と上記のNC、仕切り直しの初防衛戦で暫定王者となった銀次朗を迎える、というものです。

クアルトとの戦いもホーム・メキシコでの戦いであり、傍から見れば未だ王者として何も証明していないと言えるバラダレス。前戦で銀次朗との間の地力の差は明らか、と見られ、何かしらの秘策を持って臨むことが勝利への絶対条件と言えそうです。

 

 

 

対して重岡銀次朗、前述もしましたがこのボクサーは非常に能力が高く、冷静で、兄よりもより穴の少ないボクサーに思えます。2018年、兄より先にプロデビューした銀次朗は2019年にWBOアジアパシフィック王座を獲得、2022年には日本ミニマム級王座決定戦で仲島辰郎(平仲)を破って戴冠しています。

この日本王座を一度防衛後、バラダレスと戦いノーコンテスト、その3ヶ月後に前王者、レネ・マーク・クアルトをしっかりと倒し、IBF世界ミニマム級暫定王者となっています。

前戦が完全に参考になってしまうこの一戦は、怖いのは銀次朗の油断だけ、とも思えます。

前回の鬱憤を晴らすような戦いを期待したいものです。

尚、幸いにもこのミニマム級には、オスカー・コラーゾ(アメリカ)という、本場アメリカでも(ミニマム級としては異例の注目をされている)ボクサーがいます。ミニマム級ボクサーとして、名前を売るには絶好のタイミング。

優大でも銀次朗でも良いので、どこかでアメリカに乗り込んでこのコラーゾと雌雄を決してもらいたい。一人がアメリカで、一人がタイで勝つことによって、重岡兄弟の名前は世界に広まる可能性があります。日本で戦っていては、この階級ではなかなか知名度も上がらなければファイトマネーも頭打ち、でしょう。

 

 

 

IBF世界フェザー級次期挑戦者決定戦

亀田和毅(TMK)40勝(22KO)3敗

vs

レラト・ドラミニ(南アフリカ)19勝(11KO)2敗

IBF王者はルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)、指名挑戦者は阿部麗也(KG大和)。

王者ロペスはWBO王者、ロベイシー・ラミレス(キューバ)との王座統一戦を熱望しており、その前後に阿部が挑戦するとして、もしここに勝っても実際の挑戦権を行使できるタイミングが巡ってくるのはまだまだ先の話です。

スーパーバンタムにいたとしても、フェザーにあげたとしても、まだまだウェイティング状態の亀田和毅ですが、ここで挑戦権を獲得しておくのはもちろん悪くない。

その相手については、甚だ疑問が残る相手でもありますが。

このドラミニという聞き覚えのないボクサーは、ジェームズ・ディケンズ(イギリス)と戦った経験(12R判定負け)のあるボクサーのようです。戦歴を見ても他には世界レベルの相手はおらず、狙い目の世界ランカーとも言えるでしょう。

 

 

 

元世界王者の亀田としては、ここは圧倒的に勝たなければいけないところ。

私はしつこく言ってしまいますが、そもそも亀田がWBA世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦を戦ったヨンフレス・パレホ(ベネズエラ)戦も超微妙なマッチアップだったと思っています。当時下位ランカーだったパレホを破って挑戦権獲得、というのは、なんとも楽に感じる仕事だと思ったのです。

その後にウィリアム・エンカーナシオン(ドミニカ共和国)を日本に呼び、KO勝利を挙げたことの方が何倍も評価に値する試合だと思っています。

言うまでもなく、阿部麗也が挑戦者決定戦で破ったのは(一時期よりも衰えたりとはいえ)キコ・マルティネス(スペイン)。ドラミニというボクサーでは、それとはどうやっても釣り合いが取れないボクサーですね。

ともあれ、ここは亀田に圧倒的な勝利を飾ってもらいたい、フェザー級戦線に殴り込みをかけてもらいたいですね。

 

 

 

配信情報

この興行は、もちろんABEMAで無料ライブ配信です!

日程は10/7(土)13:15開始、全試合をライブ配信してくれます。

上記の3試合は全て12回戦のマッチアップであり、そのほかのアンダーカードも8回戦が4試合と3150FIGHTらしいロングラン興行ですね。

一応興行自体は14:00開始とありますので、おそらく亀田の試合が16:00〜16:30くらいの開始になるのではないでしょうか。そのほか、ハーフタイムショー的な物も入るかもしれません。

ちなみに私はこのハーフタイムショー的なものは不要で、時間の無駄だと思っているので、特に3150FIGHTに関してはライブ配信を視聴することはありません。

ABEMAのありがたいところは、ABEMAプレミアムに加入しておけば、追っかけ再生、見逃し配信機能が使えるので、好きな時に好きなタイミングから見ることができます。

実はこの日、日本スポーツ協会の公認コーチの講習があるので、元々リアルタイムで見れないんですけど。なので夜、見逃し配信で視聴します。

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【プレビュー】カネロ・アルバレスvsジャーメル・チャーロ!2階級上の4団体統一王者への挑戦は無謀なのか、それとも。

日本において、9月の最も興味深い興行は9/18(月)に行われたAmazonプライムビデオプレゼンツ・LIVE BOXINGでした。

アメリカでもESPNで放送されましたが、アメリカではど平日の火曜日、それも早朝、場所によっては朝の出勤後だったのは本当に残念なことです。

寺地拳四朗、中谷潤人といったボクサーは、アメリカのコアなファンたちは注目しているはずなので、是非とも向こうでも遜色なく視聴できる時間に設定してもらいたいものです。

というか日本でも、連休最終日の夜というのは誰も喜びません。しかも有明アリーナ。

さらりと触れる予定が愚痴になってしまいましたが、言いたいことは、9月の世界的ビッグマッチはやはりサウル・アルバレスvsジャーメル・チャーロ、つまりはUndisputed王者同士の戦いです。

当然のようにPPVファイトとなる今戦は、アンダーカードも超豪華。

ということで今回のブログは、カネロvsチャーロ弟のプレビュー記事。

 

 

 

9/30(日本時間10/1)アメリカ・ラスベガス

世界スーパーミドル級4団体統一タイトルマッチ

サウル「カネロ」アルバレス(メキシコ)59勝(39KO)2敗2分

vs

ジャーメル・チャーロ(アメリカ)35勝(19KO)1敗1分

当代随一、稼げるボクサーであるカネロ。2022年5月、ドミトリー・ビボル(ロシア)を相手に完敗し、「魔法が解けた」状態になり、PFPキングからは陥落、そして商品価値としても多少は減少したのでしょう。

それでもカネロが最も稼げるボクサーであることには変わりなく、今回もまためちゃくちゃとも感じられるマッチメイク、世界スーパーウェルター級4団体統一王者、ジャーメル・チャーロ戦です。

 

 

 

当初、カネロvsチャーロというニュースが流れた時は、兄のジャモール・チャーロが相手だと勘違いした方も多かったはず。ジャモール(兄)はミドル級、ジャーメル(弟)はスーパーウェルター級だということがそれを誘発していますね。

兄・ジャモールは逮捕だの何打の色々あってもう2年以上リングから遠ざかっており、ここでのカネロ戦は起死回生の一戦となり得るマッチアップでしたが、やはり素行が悪すぎたのか、今回の一戦は弟、ジャーメルの方です。

カネロの話に戻すと、スーパーミドル級をたった11ヶ月で統一してみせた後、ライトヘビー級に再進出。そもそもカネロは2019年にライトヘビー級でセルゲイ・コバレフ(ロシア)を11RKOで降してWBO王座を獲得していましたが、この試合のコバレフは見るも無惨なパフォーマンスだったことはカネロのライトヘビー級適正に疑問が残る内容でもありました。

ともあれ、当時のライトヘビー級の2巨塔はアルツール・ベテルビエフ(ロシア)と前述のビボル。やや与しやすし、と見られたビボルに挑戦しましたが、これが大間違いでした。

 

 

 

ビボルのジャブにやられ、カネロのフィジカルもライトヘビー級では限界、結局カネロのボクシングは通用せずにビボルに完敗。その後ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)を相手に再起、ジョン・ライダー(イギリス)とシンコ・デ・マヨ興行で戦い、判定勝利。それでも両試合とも、かつてスーパーミドル級の戦いで見せていた圧倒的な戦いではなかった、ということが感想で、やはり階級を頻繁に上げ下げすることでのパフォーマンスの低下を招いている、という認識でいます。

かつてスーパーミドル級で無双していた頃は、圧倒的なパワー差で相手をなぎ倒してきたカネロ。その経験が、丁寧なボクシングから雑なボクシングへの移行を促してしまっている、ということではないでしょうか。

そして、判定結果においてもビボル戦を皮切りにカネロ判定は出にくくなっている印象で、カネロ陥落の日もそう遠くないのかもしれません。

そこで、チャーロの登場です。

スーパーウェルター級とはいえ、身長、リーチともにカネロに勝る。

 

 

 

そしてスーパーウェルター級のウェイトをつくるのはすでに困難、という事で、階級アップは規定路線のようです。(だったらスーパーウェルター級の王座は返上すべきではありますが。)

かつては兄ジャモールがパワー、弟ジャーメルは技術、ともいわれていましたが、ここ最近はKO率も上がっており、ここ5戦は4勝(4KO)1分。

唯一の敗戦は2018年12月のトニー・ハリソン(アメリカ)戦、そして唯一のドローは2021年7月のブライアン・カスターノ(アルゼンチン)戦ですが、いずれもノックアウトでリベンジを果たしています。

リング登場が1年4ヶ月ぶりとなるのは不安要素ではありますが、兄に比べれば随分マシであり、今回の戦いのモチベーションの高さは過去最高かもしれません。

スーパーウェルター級とスーパーミドル級の4団体王者同士の戦い。

これは一見超無謀な戦いに思いますが、そこまで無謀と言い切ることはできないのかもしれません。

 

 

 

それでもやはり

それでもやはり、オッズは明らかにカネロが優位であり、カネロ勝利にベットする人が多いのは納得できる理由です。

それは、スーパーミドル級でのカネロの実績と、スーパーミドル級どころかミドル級でも世界タイトルの経験のないチャーロでは、比べるべくもないからです。

現在のオッズは、カネロが-350程度でチャーロが+400程度。圧倒的にカネロが優位です。

チャーロにとってのプラス材料は2つ。

一つは、やはりカネロが横着なボクシングになってきていることであり、これはカネロが富も名声も手に入れてしまった上、目指すべきところがふわふわしていることに起因している、非常に根深い問題のように思います。

そしてもう一つは、ビボルのように丁寧に戦い、ラウンドごとにしっかりと見せ場を作ることができれば、判定でも勝利できることがわかったこと。

この2つの、結果的に勝因となるかもしれない事実は、チャーロにとっては大きな追い風です。

とか言いつつ個人的には、別にチャーロを応援するわけでもなく、カネロを応援するわけでもありませんが、願わくば、カネロにかつての輝きを取り戻してほしい、とは思うのです。

 

 

 

超豪華!アンダーカード!!

この興行は84.99ドル(約12,600円)のPPV、勿論カネロをメインに据えた興行らしく、アンダーカードも超豪華です。

ヘスス・ラモスJr(アメリカ)20勝(16KO)無敗
vs
エリクソン・ルビン(アメリカ)25勝(18KO)2敗

スーパーウェルター級のランカー対決。チャーロがもたもたしている間に、この試合にタイトルを賭けても良いんじゃないか、というほどのマッチアップですね。

20戦全勝のプロスペクト、ヘスス・ラモスはヒスパニック系のアメリカ人であり、ルビンはアフリカン・アメリカン。この「世界中で最も盛り上がる」人種間のマッチアップであり、まだ底を見せていないラモスにとっては試練の一戦、ツータイム・ワールドチャレンジャーでありながらも世界タイトルまであと一歩届かないルビンにとっては、再浮上が賭けられる一戦。

ヘスス・ラモスJrというボクサーが如何ほどのものなのか、は、この評価の高いエリクソン「ハンマー」ルビンを通してみれば明らかになります。

22歳の超新星、ラモスに対して、ルビンもまだ27歳と若い。

今後のこの階級を引っ張っていくのはどちらのボクサーなのか、これは非常に興味深い戦いですね。

 

 

 

WBC世界ウェルター級暫定王座決定戦
ヨルデニス・ウガス(キューバ)27勝(12KO)5敗
vs
マリオ・バリオス(アメリカ)27勝(18KO)2敗

なるほどこっちは暫定ながらも王座がかかる一戦ですね。

ウェルター級はテレンス・クロフォード(アメリカ)vsエロール・スペンスJr(アメリカ)との頂上決戦が終了、クロフォードガスペンスを明確に倒すという圧勝劇で4団体統一、念願のPFPキングをものにしています。

そんな戦いが7月末に起こっており、挑戦者たちは待たされざるを得ません。

そういうわけで暫定王座決定戦、となっているのでしょうが。

ともあれ、ショーン・ポーター(アメリカ)も引くほどのフィジカルモンスター、なのに技巧派、ヨルデニス・ウガス。非常にアグレッシブで、まさに「アステカの戦士」というイメージのマリオ・バリオスは2階級目へのチャレンジの途中。

ウガスはスペンスに敗北を喫してからの再起戦であり、バリオスはタンク・デービス、キース・サーマンに連敗も、前戦で復帰したばかりの再起第2戦目。

どちらもここを落としては再浮上の芽は非常に小さくなるので、意地と意地がぶつかり合う好ファイトとなりそうですね。

 

 

 

イライジャ・ガルシア(アメリカ)15勝(12KO)無敗
vs
ホセ・アルマンド・レセンディス(メキシコ)14勝(10KO)1敗

このプロスペクト同士の戦いも、非常に甘美。

その中でトップ・ドッグ、Aサイドは勿論イライジャ・ガルシアですね。

弱冠20歳のイライジャ・ガルシア、ここ数戦は好戦績のプロスペクトを次々と倒してきており、その充実ぶりが伺えます。対してレセンディスもメキシコから出てアメリカで戦い、結果を残してきている24歳のプロスペクト。前戦で元王者ジャレット・ハード(アメリカ)を破っており、その勢いは全く侮ることはできません。

ガルシアにとって試練の一戦となるのか、それとも期待以上のパフォーマンスを発揮するのか。

これは非常に楽しみな一戦ですね。

ここまでの4試合がShowtimePPVで放送される内容であり、この4試合がおそらくWOWOWの放送網に乗ってくる試合だと思われます。

 

 

 

更に、アンダーカードは超充実

上記のPPVファイト以外のアンダーカードも、注目すべきボクサーが続々登場。

こちらのアンダーカードは、PPVファイト開始前、ShowtimeのYoutubeチャンネルで放映するのがここ最近のスタンダードなので、要チェックですね。

このアンダーカードには、かつてアルツール・ベテルビエフと好勝負を演じたオレクサンドル・グヴォジク(ウクライナ)が復帰3戦目に臨む試合、ヘビー級の「キューバンフラッシュ」フランク・サンチェス(キューバ)、かつてエリスランディ・ララ(キューバ)のタイトルに挑んだこともあり、ティム・チュー(オーストラリア)からダウンを奪った経験もあるテレル・ガウシャ(アメリカ)、前戦で我らがスティーブ・スパーク(オーストラリア)を破ったガブリエル・バレンズエラ(メキシコ)といった注目ボクサーたちが大登場です。

もう何なら、一日中見ていたい。。。。

とまあ、私は残念ながらそんなわけにはいかないので、見れる人は是非見てみてください。

ライブ配信

これらの試合は、ShowtimeのYoutubeチャンネル及びWOWOWエキサイトマッチでライブ配信があります。

ShowtimeのYoutubeチャンネルでの開始時間はちょっとわかりませんが、おそらくAM7:00とかAM8:00くらいではないでしょうか。(全試合流れるのならもっと早いかも)

↓Showtimeのチャンネル。ちなみにライブ配信のみで、アーカイブは残りません。

www.youtube.com

WOWOWの放送はAM9:30から、とのことなので、是非皆様お見逃しなく!

 

 

 

 

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【プレビュー】チャン・ツィーレイvsジョー・ジョイス2!ジョイスは復活か、それとも。

今週末は世界ヘビー級戦。

とはいうものの、チャン・ツィーレイ(中国)vsジョー・ジョイス(イギリス)のWBO世界ヘビー級暫定タイトルマッチというのは、ヘビー級のメインストリームではありません。

更にこの試合は再戦であり、特に疑惑の判定だったわけでもありません。

2023年4月に行われた前戦では、チャンの動きはよく、ジョイスの動きはイマイチだった、ということはあるものの、チャンのジャブをもらいすぎたジョイスは早々に右目が腫れ、そのことによるドクターストップ。6RTKO勝利でのチャン・ツィーレイの勝利は、暫定とはいえ東アジアに最初の世界ヘビー級タイトルをもたらした大金星の勝利となりました。

その決着でダイレクトリマッチ、というのは通常納得がいくことではありませんが、再戦条項があったらしく、ジョイス側はそれを行使。結果、ダイレクトリマッチとなったわけです。

 

 

 

↓初戦の観戦記

boxingcafe.hatenablog.com


9/23(日本時間9/24)イギリス・ロンドン

WBO世界ヘビー級暫定タイトルマッチ

チャン・ツィーレイ(中国)25勝(20KO)1敗1分

vs

ジョー・ジョイス(イギリス)15勝(14KO)1敗

「ジャガーノート」なんていうかっこいいニックネームを持つジョー・ジョイス。その割にはコンパクトに収まったボクシングで、まあ何よりも素晴らしいジャブを持つジャバー。

このジャブ一本でダニエル「ダイナマイト」デュボア(イギリス)を戦闘不能にし、その前後も圧倒的な強さを見せつけていたわけですから、ひょっとするとヘビー級最強はタイソン・フューリー(イギリス)でもデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)でも、ましてやアンソニー・ジョシュア(イギリス)でもなく、このジョー・ジョイスなのではないか、と真剣に思った時期もありました。

 

 

 

オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)を相手にも対応してしまいそうな、不器用そうでありながらも実は運動能力が高いというジョイスのボクシングは、非常に穴が少なく見えます。

ただ、前戦でチャン・ツィーレイのジャブで風穴を空けられたことを考えると、同じくジャバーには相性が悪いのかもしれません。そうすると、フューリー、ウシクあたりには同じく相性が悪そうにも思いますね。

チャン・ツィーレイはジャバーというわけではありませんが、とにかくジョイス第一戦ではそのスピーディなジャブを上手く使い、ジョイスの右目を大きく腫らせて見せました。

とはいえ、前回と同じことができるか、というとそうではないはず。

ジョー・ジョイスはクレバーなボクサーだと思うので、きっと再戦には強いはず。

と、思っているのですが、この考えに賛同してくれる人はおそらく少なく、前回のオッズがチャン+500、ジョイス-900くらいだったのに対し、今回のオッズはチャン-180、ジョイスが+140と差が縮まるどころかチャン優位に逆転しています。

 

 

 

チャン・ツィーレイ40歳、ジョー・ジョイス38歳。

年齢は全く言い訳にならない戦いは、おそらく両者ともに前回からの上積みは少ないでしょう。

あとはコンディショニングと、そしてストラテジーの戦いであることは明白です。

つまりは頭の良い方がこの再戦を制する、とも言えますね。

ともあれ、WBAじゃないんだから、いつまでもこの「暫定」王座が残るとは考えにくい。

なのでこの試合の勝者こそが、3団体統一王者であるオレクサンドル・ウシクへの挑戦権を勝ち取るという一戦になる可能性が高く、もしかするとWBC王者タイソン・フューリーへのチケットとなるのかもしれません。まあ、チャンが勝つにせよ、ジョイスが勝つにせよ、目指すべきところは人気者、フューリーでしょう。戦ってくれるかどうかはしりませんが。

 

 

 

ライブ配信

この興行は、フランク・ウォーレン氏が率いるクイーンズベリー・プロモーションの主催興行です。放送はイギリスではTNT sportsという放送会社が中継し、アメリカではESPN+。

アメリカのESPN+というのはネット配信のみなので、やはり注目度はさほど高くない、ということが伺えますね。

日本でのライブ配信はなさそうですが、いつものイギリス興行と同様にAM6:00頃にメインイベントが開催されるはず。

場所はロンドンのウェンブリー・アリーナ、王者ツィーレイは前戦に続いてジョイスの地元に乗り込んでの試合、イギリスボクシング界としては何としてでもジョイスに勝ってもらわなければ、盛り上がりませんね。

 

 

 

現在のヘビー級戦線

ヘビー級という無差別階級は、ある種、盛り上がって然るべきという階級。

それでもマイク・タイソン以降は比較的低迷していた状態で、これはアメリカにヘビー級王者が不在だった時代が大きく影響しているのだと思います。

デオンテイ・ワイルダーが登場し、その豪快なノックアウトを重ねていた時は大いに盛り上がりましたし、イギリスからアンソニー・ジョシュアが上がってきて、二人が雌雄を決する瞬間は誰もが見たい、と思うようなマッチアップでした。

しかし、それを見事に打ち崩したのがダークホース、タイソン・フューリー。

フューリーは絶対王者ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)を倒して王座につくと、メンタルヘルスの問題で戦線を離脱。

その間、様々タイトルの移動こそありましたが、フューリーが帰ってきて以降はヘビー級の主人公は早々にフューリーになりました。

 

 

 

ジョシュアとの対戦が見たかったワイルダーはフューリーにのされ、ジョシュアは、というと伏兵アンディ・ルイスJrに負けるわウシクには2度も負けるわで散々、ここ最近のパフォーマンスは決して良いとは言えません。

フューリーがもっと盛り上げてくれれば良いのですが、この主人公は誰よりも自由なジプシーであり、あまりボクシングに集中してくれません。

結局のところ、現代のヘビー級で最大の戦いは、オレクサンドル・ウシクvsタイソン・フューリー。しかしこの二人は本当に戦うのでしょうか。

二人が交われば、世界ヘビー級4団体統一王者という前代未聞の最強ボクサーが歴史に登場することになるのですが、その日が来るかどうかは不明のまま。これは、世界ヘビー級Undisputed王者を見るまでは、死ねませんねー。

 

 

 

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