信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【プレビュー】9/9フェニックスバトル!武居由樹のプロ2戦目は無敗の竹田梓!

9月に入り、久々に地上波生放送というボクシング興行を見ました。

井岡一翔vsフランシスコ・ロドリゲスJrの試合は、私も含めておそらく多くの方が「井岡の圧勝」を予想していたと思いますが、終わってみれば苦戦と言っても良い内容。

私個人としては、終わった直後、ポイントは劣勢か、と思うような試合でもありました。

おそらく、やりたいことができていたのはロドリゲスであり、ロドリゲスの突進力、手数の多さに井岡は結果的に対応が遅れていた、というのも事実としてあると思います。

 

ただ、試合終了後の両者のダメージを比較すると、おそらくダメージを与えているのは井岡のほう。ロドリゲスは顔面だけでもなく、幾度となくボディも効かせられていたのに対し、井岡はもらっているように見えてやはり芯を外し、思ったほどダメージを感じさせません。

それをリングサイドで見ていたジャッジは、各ラウンドで「よりダメージを与えた」井岡につけ、それが積み重なって(各ラウンド難しい採点だったと思いますが)結果的に116-112という採点に至ったのでしょう。

ほんの少しだけ、個人的にはモヤモヤした気持ちは抱えつつも、とりあえず井岡一翔が生き残ってくれた事にほっとしつつ、舞台は次の戦いへ。

 

ぜひとも、本人の希望通り、年末にIBF王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との対決が実現してほしいものですね。TBSのテレビマネーでいけるような気もします。

さて、話は変わって今回のブログでは、録画放送ながら引き続き「テレビで」ボクシングを見せてくれる、来週に控えた「フェニックスバトル」をプレビューです。

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9/9(木)フェニックスバトル

メインイベント/54.5kg契約6回戦

武居由樹(大橋)1勝(1KO)無敗

vs

竹田梓(高崎)5勝(5KO)無敗

元K-1王者、武居のプロボクシング2戦目は、高崎ジムの竹田梓。

10歳からキックボクシングをはじめ、アマチュア大会へも出場した武居は、2020年12月にボクシング転向を発表しました。

2021年3月のプロデビュー戦では1Rで豪快なTKO勝利、大きなインパクトを残しました。

デビュー2戦目で、テレビ放映のついた「フェニックスバトル」メインを任されるというのは大きな期待の現れでもありますね。

 

ただ実際、この武居のポテンシャルはこのデビュー戦だけでは測れません。

どちらかというと、2.11のボクシングイベント「Legend」で木村翔(花形)に分の良いスパーリングを見せた姿や、大橋ジムのYoutubeにあがっている中垣龍汰郎とのスパーリング、そして同じく溜田剛士とのプロテスト、この辺りを見れば明らかに実力のある選手、ということがわかります。

この当時からもともとの距離感が素晴らしく、パンチの打ち終わりのケアについてはまだ甘いものの、十分プロボクシングにフィットしているようにも思いました。

ボクモバのインタビューを読むと、それでも当時、「右拳を怪我していた」とのことなので、今回はどれほどの強さを見せてくれるのか期待。

 

そして対戦相手の竹田梓も、パーフェクトレコードを更新している強いボクサーです。

2018年にデビューした竹田は、2019年の新人王戦にエントリー。3連続KOでトーナメントを勝ち上がっていくものの、拳の怪我で準決勝をキャンセル。

なので、2019年7月以来のリングとなり、実に2年以上ぶりのリング復帰となります。

ただ、この空白の期間については、本人の問題ではなくコロナショックが原因なものであり、自粛期間中も含めておそらくしっかりとトレーニングを積んでいたであろう竹田。

2年前、トーナメント戦でみた竹田梓というボクサーは、まだまだ荒削りなボクサーでしたが、この2年の間でどれほど修正され、どれほど地力を上げられたのか。

もともともつハードパンチと、そしてチャンスにおいては詰めの鋭さを見せてきたボクサーであり、これは楽しみな一戦です。

 

武居のボクシングもまだ完成されておらず、竹田の2年前のボクシングはまだグリーンボーイの域を出ていませんでした。

この武居由樹vs竹田梓という試合には、未知の要素が数多く残ります。スパーリングで強さを見せている武居が、実戦ではどれ程なのか。そして竹田のこの2年は、どのように作用するのか。

個人的には、闘いへの慣れやテクニック的な部分において、武居が優位という予想ですが、群馬県高崎市という地方から成り上がろうとするこの竹田の奮起にも期待したい。

しかし武居を擁する大橋ジムのマッチアップは流石としか言いようがありません。よくもまあ、6回戦という枠組みの中でこのように危険な相手をピックアップしたものだと。

そしてさらに、それを受けた竹田陣営。

日本ボクシング界の中心から外れた地方ジムに登場した、久々のホープ。このホープは大切に育てたい、というのが通常でしょうが、あえてここでビッグネームとも言える武居のオファーに応じた姿勢は本当に素晴らしいものです。

 

武居相手に勝利することで得られるビッグリターンを期待してのもの、かとも思いますが、この勇気は称えなければなりません。

このメインイベント、非常に楽しみですね。

↓大橋ジムのマッチアップはいつもすごい。

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セミファイナル/69.0kg契約8回戦

安達陸虎(大橋)14勝(11KO)3敗

vs

近藤哲哉(横田スポーツ)6勝(4KO)3敗

前戦、武居由樹と同じ興行でリングに立つものの、小畑武尊(ダッシュ東保)にまさかの1RTKO負けを喫してしまった安達。

井岡弘樹ジムからの移籍初戦であり、下馬評ではおそらく圧倒的優位、日本ユースタイトル戦という舞台を用意して貰ったにもかかわらず、これは悔しい敗北だったことは容易に想像できます。

それでもこの小畑というボクサーは、その前の試合で坂井祥紀(横浜光)に対してフルラウンド戦い抜いているボクサーであり、強豪でもありました。

 

そして今回の近藤哲哉というボクサーは、2021年7月、この小畑に判定負けを喫しているボクサーです。

ただ、粘り強いボクサーであり、これまでのKO負けは2019年の新人王準決勝で対戦した佐々木尽(八王子中屋)戦のみ。

新人王戦で佐々木尽にあたってしまうのは事故のようなものなので、ニュアンスはちょっと違うが仕方ない部分も大きい。

いずれにしろ、この近藤哲哉というボクサーは心身ともにタフさがあり、絶対に侮ってはいけないボクサーです。

前戦、クドゥラ金子戦以来のKO負けを喫した安達は、身体のダメージは回復しているでしょうがこころのダメージはどうか。ここで安易な相手を選ばない辺りが、オオハシイズム。

 

メインは武居(25)vs竹田(24)、セミは安達(23)vs近藤(24)と若いボクサーたちが躍動するフェニックスバトル。

その他にも、全6試合で行われるこの興行の3試合目に登場するのは、元Jリーガーで3月にプロテストに合格したハウバート・ダンも登場です。

登録名はダン・ディ・ディリンジャー。簡単な経歴は↓に。

【サポート選手のお知らせ】大橋ジム所属スーパーミドル級プロボクサー、Dan D Dillinger(ダン ディー ディリンジャー)選手 - MIYAKAN GROUP JAPAN株式会社のプレスリリース

元Jリーガーのダン 大橋ジムからプロボクサー転向 元東洋大主将の豊嶋海優はB級テスト合格 | Boxing News(ボクシングニュース)

 

同じくデビュー戦の伊藤和磨(石神井スポーツ)との一戦です。

この興行は、フジボクシングで録画放送!放送日は、9/12(日)25:55〜ということなので、9/13(月)AM1:55〜ですね。FOD/TVerでは9/13(月)15:00〜視聴可能だと思います。

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【プレビュー】木村蓮太朗vs齊藤陽二!駿河男児興行オールメインイベントは、本当に全てメイン級。

9/5(日)は朝からイギリスでのボクシング興行。

そして昼過ぎからは、国内、静岡でのボクシング興行がライブ配信をしてくれます。

有料(2,000円)ながら、興行名に「オールメインイベント」と表記されるだけあって、どの試合も大変に興味深いものばかりです。

全5試合、そこに登場する10名のボクサーは全てA級ボクサーという豪華興行。

今回のブログでは、未来の王者たちがしのぎを削る、「駿河男児Desafio9〜オールメインイベント〜」のプレビューです。

 

9/5(日)静岡(13:00開始)

駿河男児Desafio9〜オールメインイベント〜

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「Desafio」とは、スペイン語で「挑戦」を意味するようです。

東京近郊のいわゆる関東圏、そして大阪を中心とした近畿圏が主体のプロボクシング競技において、静岡はいわゆる「地方」にあたると思います。

その中で、「静岡から世界王者を」と意気込むこの駿河男児ジム、元トップアマの木村蓮太朗他、有望株の若手ボクサーたちがひしめき合う、今最も勢いのあるジムの一つでしょう。

このチャレンジは、地方住みの私にとっては応援したくなるもので、是非ともこの駿河男児ジムの悲願が叶って、環境の恵まれない各地方ジムの奮起も促してもらいたい。

このコロナ禍の中で、静岡までは行けませんが、今回は「テレしずLIVE  STORE」なるチャンネルでネット配信があります。せめて、これを購入して観戦、そして応援したいと思います。

 

第5試合

スーパーフェザー級8回戦

木村蓮太朗(駿河男児)4勝(3KO)無敗

vs

齊藤陽二(角海老宝石)3勝(3KO)1敗2分

オールメインイベントの中で、メインイベントに当たるのはこの木村vs齊藤。

東洋大学主将を務めた元トップアマは、本当に美しいボクシングをします。2020年7月にプロデビューしましたが、時はコロナの真っ只中、その中で対戦相手を探す苦労、そしてこの木村蓮太朗というボクサーの対戦を受諾するという漢気を見せてきてくれたボクサーたちのおかげで、順調にキャリアを形成してきています。

 

地元静岡から世界王者を目指すこの木村は、デビューから3連続KO勝利を記録。

前戦では、2020年度新人王の西軍代表で、コロナ陽性反応により全日本新人王になり損ねてしまった強豪、福永輝(沖縄ワールドリング)に判定勝利を収めています。

今回はスーパーフェザー級戦、これまで戦ってきたフェザー級から一階級上げての戦いとなります。

本人のツイートを見る限り、ほぼ減量はしていないようですね。試合1週間前に唐揚げ&ラーメン笑

 

対して齊藤も、強豪・習志野高校から駒澤大学へ進んだアマ経験者。

デビューは2018年、宇津木秀(ワタナベ)と戦い判定負け、2試合目で初白星を飾るも、その後は石脇麻生(寝屋川石田)、福井貫太(寝屋川石田)と2戦連続ドロー。

しかしA級昇格後は2連続KO勝利、それも1R、2Rと早いラウンドで仕留め切っており、戦績以上に怖さのある、昇り調子のボクサーです。

コロナ禍以前からずっと日本人ボクサーを、それも元トップアマとのデビュー戦を戦うなど基本的にハード路線でのし上がってきたボクサーなので、本当に油断はできません。

 

ちなみに、2戦目の初白星も1RTKO勝利、かなり早い回で倒してしまう強さを持っており、今回のような下馬評不利の予想の中でも、アップセットを起こす力を持っていると言って良いでしょう。

実際、日本ランキングは齊藤の方が上。(木村はフェザー級19位、齊藤はスーパーフェザー級12位)しかしこの一戦を圧倒的な力を持って制することで、木村の上位進出もあり得るのではないでしょうか。

木村には、序盤はペースを掌握しながらも慎重に戦い、中盤から後半にかけて強さを見せてもらいたいです。

 

第4試合

フライ級8回戦

畑中建人(畑中)11勝(9KO)無敗

vs

須藤大介(三迫)7勝7敗3分

セミファイナルに当たる第4試合でも、未来の王者候補、父子鷹で世界を目指す畑中建人の登場です。

高校3年生でデビューした畑中も23歳、そのプロキャリアはもう5年になるんですね。

デビュー7戦目でWBCユース王座を獲得、その後このタイトルを2度防衛しています。約1年半ぶりのリングとなりますが、日本やアジアのタイトルはもう手の届くところに来ています。

 

前述のWBCユース王座決定戦や、世界ランク獲りを狙った世界ランカーへの挑戦等々、これまで父・畑中清詞会長から与えられた課題を着々とこなし、急がず、騒がず、一つずつ階段を登ってきた感のある畑中。

今回の須藤大介戦は、調整試合という域を出ないのも確かではあります。

須藤は距離を詰めては手を出すタイプのプレッシャーファイターで、アマチュア上がりのボクサーが嫌がる(嫌がりがちな)戦法を取ってくるボクサーでもあります。

 

しかし、プロですでに11戦、これまでに苦戦も経験している畑中にとっては、この辺りも苦にならないことでしょう。

畑中は力の差を見せつけた快勝が期待され、一方須藤はどこまで粘れるか。須藤としては、どれだけ粘りを見せられるかで、たとえ負けても評価につながる試合になるかもしれません。

さて、この畑中の今後には非常に期待しています。

現在日本フライ級3位、OPBFフライ級3位、WBOアジアパシフィック・フライ級1位。

 

日本フライ級王者、ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)戦を目指すなら、もうそれだけで鼻血が出ます。WBOアジアパシフィック王者、山内涼太(角海老宝石)戦を目指すのであれば、腰が砕けます。

OPBF王座は現在空位、1位はジェネシス・リブランザ(フィリピン)、2位はユーリ阿久井ですが、もし1位と決定戦を目指すなら、コロナもあってまだ先のこと。

ここでユーリ阿久井、山内、畑中の潰し合いは正直見たくありませんが、このコロナショックにより、外国人ボクサー招聘が困難になった今、避けられないのかもしれません。

 

第3試合

バンタム級8回戦

村地翼(駿河男児)7勝(3KO)1敗

vs

中村祐斗(市野)11勝(8KO)6敗1分

駿河男児ジムのホープの1人、村地翼。デビュー5戦目でフローイラン・サルダール(フィリピン)とWBOアジアパシフィック王座決定戦を争いました。

世界朝鮮経験者でもあるサルダールとの一戦は、時期尚早かと思いましたが、この試合で村地はサルダールから2Rにダウンを奪う奮闘。しかしその後倒し返され、結果は8RTKO負けでした。

 

そこから3連勝、前戦ではベテランで難敵、阿知和賢(ワタナベ)に完勝した「超」正統派ボクサー、試合を重ねるたびに安定感が増していく若きボクサーの次戦は、一階級下の日本ランカー、中村祐斗。

三重県の地方ジムで戦う、元日本ユース・スーパーフライ級王者。2020年12月には、A-SIGNの興行で赤穂亮(横浜光)にも挑みました。その復帰戦となる前戦では、日本フライ級王者であるユーリ阿久井政悟のノンタイトル戦の相手を務める予定でしたが、体調不良によりキャンセル。当時の契約体重はスーパーフライ級でしたが、赤穂戦がスーパーバンタム級ということもあって、ウェイトが作れなかったのかもしれませんね。

 

そして今回はバンタム級、きっと大丈夫でしょう。

同い年の2人、互いに負けられない意地があると思います。

下馬評としてはおそらく村地優位となると思いますが、KO率の高いパンチャーである中村は、ここで勝てばアジアのランキング含め、一気に浮上するチャンスでしょう。

 

第2試合

60.0kg契約8回戦

湯川成美(駿河男児)2勝(1KO)無敗

vs

粟田祐之(KG大和)12勝(5KO)8敗1分

湯川成美というボクサーが、リングに戻ってきたのは2021年3月のこと。本人の努力はもとより、家族や駿河男児ジム、そしてファンの人たちの並々ならぬ努力があったことと推察します。

 

ここでは詳しく言及はしませんが、アマ時代、湯川はその才能を棒に振りそうになる事件を起こし、執行猶予のついた実刑判決。その執行猶予期間が明けたところでプロ活動を認められ、プロテスト合格、プロデビューに続き、2戦目をクリアしています。

2戦目ではダウンを奪われるも、倒して返してTKO勝利をもぎ取る等、巧さと強さの他に、気持ちの強さも見せています。

一度どん底に落ちてしまったボクサーの、再生物語を見せてくれている湯川、応援しています。

 

そして対して粟田は、元日本ランカーですが、ここ最近は2連敗。ただその相手は、先日日本タイトルに挑んだ仲里周麿(ナカザト)、粟田戦後、3度目のランカー挑戦で見事日本ランクを掴んだ清田亨(大橋)と、いずれも強豪。

「大和のボクサートリオch」でYoutuberとしても活躍していますね。

このチャンネルはいつも見ています。。。

そして、ストーリーを見せてくれている湯川のことも応援したい。。。

とはいえ、ここは私は粟田を応援することにしました。2連敗、後がないところからのドラマを見せてもらいたい。

 

第1試合

スーパーバンタム級8回戦

木村天汰郎(駿河男児)6勝2分

vs

干場悟(蟹江)7勝(2KO)5敗

木村蓮太郎の従兄弟、木村天汰郎も無敗のホープ。2018年にプロデビュー、2019年の中に本新人王となって地区対抗戦へと進みますが、引き分け敗者扱い。

その次の試合もドローとやや停滞気味かと思いましたが、2020年9月の横山渉(厚木ワタナベ)戦は完勝、そして前戦では同年代のテクニシャン、三尾谷昂希(帝拳)戦とのテクニシャン対決を制し、初の8回戦に臨みます。

 

対戦相手の干場もまだ若いボクサーで、前戦は溝越斗夢(緑)との日本ユース・スーパーバンタム級王座決定戦を戦っています。

2019年7月に2RTKOで敗れている溝越を相手に判定負けを喫したものの、下馬評不利の中、大善戦と言って良い内容だったと思います。

溝越を追いかけに追いかけた干場ですが、今回もその経験は活きそうです。

 

対して木村は、この干場をいかに捌き、そしてカウンターを取れるか、が勝負。

第一試合から熱戦が期待されます。

それぞれにそれぞれの楽しみがあって面白い一戦、この興行が2,000円というのは個人的には本当にありがたいです。

早速購入して備えましたが、登録は簡単です。クレジットカード、コンビニ払い、キャリア決済も大丈夫なようです。

楽しみですね!

↓テレしずLIVE STOREへのリンクです。

sut-tv.live

 

 

【プレビュー】リベンジに燃えるジョシュ・ウォーリントン、vsララ!!コナー・ベンもコロナから帰還。

今年のバレンタインデーを覚えていますか?

日本時間で今年の2/14、アップセット・オブ・ザ・イヤー候補にもノミネートされるであろう一戦、ジョシュ・ウォーリントンvsマウリシオ・ララが行われました。

もう随分前の事のようにも感じますが、まだ半年前のことです。

 

前IBF世界フェザー級王者、ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)は、当時のWBAレギュラー王者でるシュ・ツァン(中国)、またはWBC王者のゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)との統一戦を目指していました。

ラッセルJrとの交渉は、ラッセル側が報酬が安すぎる(といっても100万ドル)という理由で試合は成立せず、WBAのレギュラー王者であったツァンとの統一戦については、WBA側が認めず。スーパー王者にレオ・サンタ・クルス(メキシコ)がいたために、レギュラー王者であるツァンとの統一戦を認めないというのは当時のWBAの決めていたルール上、筋の通ったものでした。

 

果たしてツァン戦を目指して、ということなのか、それとも一度大苦戦を強いられた当時のIBF指名挑戦者、キッド・ギャラハッド(イギリス)を避けたのか、それはわかりませんが当時のウォーリントンは IBF王座を返上、そしてマウリシオ・ララ(メキシコ)なるボクサーと調整試合を選択しました。

尚、ウォーリントンの返上により、空位となったIBF王座は、ギャラハッドが決定戦により戴冠しています。

そしてその調整試合のはずだったマウリシオ・ララ戦で、ウォーリントンはまさかの初黒星、それもダウンを奪われての完璧なノックアウト負けを喫してしまいました。

 

この「まさか」の負けは、当時ボクシングファンの間でかなり話題になっていましたね。

そして半年の月日を経て、両者が再戦。

今回のブログでは、9/4(日本時間9/5)に控える、マウリシオ・ララvsジョシュ・ウォーリントンの再戦、DAZN興行についてです。

boxingcafe.hatenablog.com

 

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9/4(日本時間9/5)イギリス

マウリシオ・ララ(メキシコ)23勝(16KO)2敗

vs

ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)30勝(7KO)1敗

ララはウォーリントンに勝利したことで一気に株とランクを上げ、現在IBFランキングでは3位(1位と2位は空位)のトップコンテンダーの位置につけ、その他にもWBCで4位、WBOで7位と世界上位ランクにつき、世界挑戦のウェイティングサークルに入っています。

この再戦は、まさにウィナー・テイクス・オール。

果たしてウォーリントンが評価とランキングを取り戻すのか、それともララがウォーリントンを返り討ちにして、引導を渡すのか。

 

出身地のイギリス・リーズにあやかり、「リーズ・ウォリアー」というニックネームを持つウォーリントンは、地元リーズにこの強敵を迎え、リベンジを目指します。(前回はロンドン)

並々ならぬ決意を持つウォーリントンは、前戦の直後のインタビューで、「ララと再戦して勝てない場合、引退をする可能性が高い」と言っています。

同胞、アンソニー・ジョシュア(イギリス)に意見を求め、敗戦から立ち直るためのメンタルを学んだ、とも答えていました。

 

しかし、ウォーリントンはジョシュアほど(闘いの幅、という面において)器用ではなく、手数を武器にしたスタミナファイトが彼の信条。おそらく闘い方を変える事はできないのではないでしょうか。

そうなると、マウリシオ・ララとは非常に相性が良くない。

ララは、こちらも不器用ながら、一発一発を力強く打ち込むメキシカンファイター。前回はその強い一発が4Rに完全にウォーリントンを捉え、あの時勝負が終わっていてもおかしくはありませんでした。

何故だか続行させたレフェリー、そしてそこから盛り返したウォーリントン。

ララを効かせた場面もつくりましたが、結局は9Rに力尽きてしまいました。

それを可能にしたのは、マウリシオ・ララのパワーパンチです。

 

ウォーリントンの前進&手数で押し切るファイトでは、今回もララのパワーパンチの被弾は避けられないでしょう。そこに、前回と違って全力で警戒し、コンディションを整えていくということが非常に大切になってきます。

おそらく前回は、「負けるはずがない」という油断が、本人にも陣営にもあったでしょう。(我々ファンにもあったはず。)

今回、ウォーリントンは言い訳ができません。抜群のコンディションで、地元リーズの声援を糧に、世界戦線へ戻ってきてもらいたいものです。

この半年、フェザー級戦線は大きく変わっています。

 

シュ・ツァンに変わってリー・ウッド(イギリス)がWBAレギュラー王者となり、同暫定王者にはマイケル・コンラン(イギリス)がつきました。そしてWBAは暫定王者を撤廃、ウッドとコンランに指名戦をオーダーしています。

このイギリス国内対決ならば、ここにウォーリントンが混ざる事は容易なのではないか、と思います。

ララの勝利はスペクタクルであり、非常に興奮するものではありましたが、ここはもう一度、ジョシュ・ウォーリントンというパワーレスながらそれを補って余りあるエンドレスファイターぶりに期待したいです。

セミファイナルは、女子4団体統一ライト級王者、ケイティ・テイラー(アイルランド)が登場です。

18勝(6KO)無敗というパーフェクトレコードを誇るこのテイラーは、UndisputedChampであり、女子ボクシング界のアイコンのひとりです。

 

対戦相手は18勝(1KO)3敗1分というジェニファー・ハン(アメリカ)というボクサーで、アジア人(中国?)の血が入っていそうなボクサーですね。

予想としては、テイラー絶対優位は動かないところでしょう。

そして、おそらくその前に組み込まれるであろう(もしくはセミファイナルになるか?)、このカード。

WBAコンチネンタル・ウェルター級タイトルマッチ

コナー・ベン(イギリス)18勝(12KO)無敗

vs

アドリアン・グラナドス(メキシコ)21勝(15KO)8敗3分1NC

 

本来、7月末に開催される予定だったこの一戦は、コナー・ベンのコロナ罹患により延期に。この一戦はマッチルーム・ファイトキャンプのメインイベントだっただけに、非常に残念でしたね。

しかし、一月ほどの延期を経て無事開催されることが決まっています。

たった一ヶ月で大丈夫なのか。。。?とも思いますが、少し前にはジョシュア・ブアツィvsリチャード・ボロトニクス戦でも会場に姿を現していましたので、きっと大丈夫なのでしょう。

「ダーク・デストロイヤー」ナイジェル・ベンの息子にして、英国のプロスペクト、「デストロイヤー」コナー・ベンが登場です。

 

世界王者を嘱望されるベンは、前戦でサミュエル・バルガス(コロンビア)、その前にセバスチャン・フォルメラ(ドイツ)を降しており、一つ一つ課されたテストをクリアしていっている、という状況です。

今回のグラナドス戦もその流れを組むようなマッチメイクで、もうそろそろ大きな勝負をかけても良いのではないか、とも思いますが。

フォルメラはショーン・ポーターと戦い、バルガスはエロール・スペンスJr、ダニー・ガルシア、アミール・カーン、そしてバージル・オルティスJrと戦い、それぞれ敗れています。

そして今回のグラナドスは、エイドリアン・ブローナー、ショーン・ポーター、ダニエル・ガルシア、ロバート・イースターJrと戦い、敗れています。

 

世界タイトル戦こそ経験していないものの、世界のトップと戦ったボクサーをしてキャリアを積ませるのは実力も測れ、歓迎なのですがこのグラナドス戦で卒業なるか、というところ。次は元王者あたりを相手にしてもらいたい。

さて、グラナドスは上記の通り、歴戦の雄。8敗していますが、実はKO負けは一度のみ、相手はダニー・ガルシア。

ここでベンが衝撃的なノックアウトを飾ることができるのであれば、一気に評価を高めることができるのかもしれません。

しかし、グラナドスは心身ともにタフで、おいそれと倒せるようなボクサーではありません。敗北した戦いにおいても、とにかく接戦が多い。

ベンはここで停滞したくないですね。

 

ウェルター級は、王者たちはもとより、プロスペクトたちも本当に粒ぞろい。同じくプロスペクトのバージル・オルティスJr(アメリカ)は、難敵エギディウス・カバラウスカス(リトアニア)を見事に倒しきって見せました。

↓観戦記

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今回、コナー・ベンがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、非常に楽しみです。

これからどんどん新陳代謝が進んでいきそうナこのウェルター級、クロフォードやスペンスたちもうかうかしていられない。。。そんなふうに思える試合を期待しています。

 

そして、今でなくてもいいので、いつしか統一戦あたりでオルティスvsベンというのも見たいものですね。プラットフォームはDAZN、このままふたりが順調に勝ち進み、諸々(契約とか)が問題なく上手くいけばいつかは。。。

ということで、今回のブログは来週に迫ったマッチルーム興行のプレビューでした。

ベンは問題なく勝利する事が絶対で、そのパフォーマンスにこそ焦点が集まります。

そしてジョシュ・ウォーリントン、もしかするとこれが最後になるのかもしれません。前回のKO負けの記憶がまだまだ残る中、ウォーリントンにとっては厳しい闘い。是非とも実力を発揮し、悔いのないように戦ってもらいたいものですね。

 

ボクシングは夢の潰しあい。勝者はすべてを手にする、本当に厳しい世界です。

この興行は、DAZNで生配信。イギリス興行なので、日本時間9/5(日)AM3:00開始と早いです。正直、DAZNは試合順がいつもわからないんですよね。。。

↓DAZN加入はこちらから!!! 

DAZN

 

【プレビュー】週末、ダニエル・デュボアとトミー・フューリーがアメリカデビュー!

WBAが暫定王座を廃止。

現在「暫定王者」のタイトルを持っているボクサーたちは、指名挑戦者となるか、又は挑戦者決定戦を命じるとのこと。

そして各階級の「ゴールド王者」たちも、ランキング上位に組み込まれる、とのことですね。

ABC(アメリカボクシングコミッション)が文句を言ってからここまで早くに次々と改革(まだ半信半疑)がなされるとは。自分たちで認定し、おそらく認定料ももらっているであろう暫定王座やゴールド王座をいきなり廃止してしまうとは、別のところから文句が出ないのでしょうか。

 

まあ、タイトルの正常化については良い動きですね。

1階級1王者、はもう時代的に難しいでしょうが、せめて1団体1階級1王者、というのは多くのファンが望んでいる事でしょう。このWBAの改革(又は正常化)がいつまで続くかはわかりませんが、今は静観していたいと思います。いつかこれまでのWBAが笑い話になることを願っています。

さて、「暫定王座廃止」のニュースにも若干関わってくる、今週末の興行。今回のブログでは、週末に控えるShowtimePPV興行についてです。

 

8/29(日本時間8/30)アメリカ

メインイベントは、Youtuberのジェイク・ポール。まあこれはどうでも良いとして、気になるのはアンダーカード。

ダニエル・デュボア、トミー・フューリーがイギリスから乗り込みます。

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Daniel Dubois, Tommy Fury make US debuts on Showtime Pay Per View

 

ヘビー級10回戦

ダニエル・デュボア(イギリス)16勝(15KO)1敗

vs

ジョー・クスマノ(アメリカ)19勝(17KO)3敗

これが多分セミセミ。セミファイナルはアマンダ・セラノの登場するWBC・WBO女子世界フェザー級タイトルマッチ。

イギリスのヘビー級プロスペクト、ダニエル・デュボアのアメリカデビュー戦です。

相手のクスマノというボクサーは、なかなか立派な戦績をしていますが強豪との対戦経験はなく、デュボアにとっては勝って当たり前の試合です。まあ、アメリカデビューですし、勝負するような場面でもありません。

 

デュボアというボクサーは、まだ24歳、ヘビー級にしてなかなかバランスのとれた好ボクサーです。我々日本のボクシングファンには、藤本京太郎をジャブ一発で倒してしまったことが衝撃的ですね。

しかし、2020年11月、試金石となったジョー・ジョイス戦では逆にジャブで痛めつけられ、眼窩底を骨折しての10RKO負け。自ら膝をつき、試合放棄をしましたが、大怪我を患っていたこともあり、今となっては賢明な判断だったということです。

初黒星を喫したデュボアでしたが、結局ジョイスよりも先にチャンスが来て、2021年6月にWBA世界ヘビー級暫定王座決定戦に出場、これに2RKO勝利して初戴冠。しかしこのWBAの暫定王座は、先に述べた通り廃止される方向性なので、これにより指名挑戦者になるか、それとも挑戦者決定戦に出るか、という流れになりそうです。

 

今回はもともとこのWBA暫定王座がかからないノンタイトル戦。デュボアにとってはここは取りこぼす事なく、アメリカのボクシングファンたちに衝撃を与えるような勝ち方をしてもらいたいものですね。

↓衝撃だったデュボアの初黒星。vsジョイス戦。

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スーパーライト級10回戦

イバン・バランチェク(ベラルーシ)20勝(13KO)2敗

vs

モンタナ・ラブ(アメリカ)15勝(7KO)無敗1分

2020年の年間最高試合にも選ばれた、ホセ・セペダ(アメリカ)戦から約11ヶ月、バランチェクが復活。相手は無敗のモンタナ・ラブというプロスペクトで、戦績的にはなかなか骨のありそうな相手です。

まだ26歳と若いこのサウスポーの映像を調べてみましたが、あまりでてきません。一番上に出てきたのはジャーボンタ・デービスにスパーリングでボコボコにされている映像。。。

 

試合の映像も少しだけ探し出せましたが、どうやら距離を取りつつカウンターを狙うスタイルのようですね。

バランチェク相手には好戦法ともいえますが、身体があまり強くなさそうなラブでは、バランチェクのプレスを受け止めきれないのではないか、と思います。思った以上にスピードがあれば、しっかりと距離をキープできるかもしれませんが。

ともあれ、バランチェクに復帰戦を勝利で飾ってもらいたい、と思います。

 

↓無観客でやったのが勿体なかった、セペダvsバランチェク

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そしてその他、PPVファイトの第1試合となるクルーザー級6回戦には、トミー・フューリー(イギリス)が登場です。

6勝(4KO)無敗のこのフューリーは、今をときめくあのタイソン・フューリーの実弟。(異母弟のようです。)このトミー・フューリーも今回の一戦でアメリカデビュー、メインに出場するジェイク・ポールを煽っていたようですが、スパーリングもさせてもらえなかった、みたいなことを言っていたようです。

 

対戦相手はアンソニー・テイラー(アメリカ)で、0勝1敗のボクサー。しかもデビュー戦は2017年6月なので、4年以上のブランク。本当の顔見せ程度ですね。

PPVファイトのリストに載っていないのですが、BoxRecのリストにはもう一試合、スーパーウェルター級10回戦の予定が載っています。

↓PPVファイトリスト。この他にメインです。

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チャールズ・コンウェル(アメリカ)15勝(11KO)無敗

vs

ファン・カルロス・ルビオ(メキシコ)18勝(9KO)無敗

こっちの方が断然楽しみ、ともに全勝であり、ともに23歳と若いボクサー同士の潰しあい。8/26現在のBoxRecには載っていますが、そのうちこっそり消えるかもしれません。やるのかやらないのかよくわかりませんし、やるのであればPPVファイトに載せない意味はよくわかりません。すでになくなっているのかもしれません。

 

というわけで、このShowtimeのPPV興行、アメリカでは49.99$、日本ではFITE.TVでPPVが購入でき、日本円で1,840円。アメリカのPPV料金に比べると格段に安いですが、この内容で1,840円を支払う意味があるかどうかは、貴方次第(笑)。

まあ、バランチェクの試合が一番おもしろそうですね。

↓このPPVファイト購入はこちらから 

 

【プレビュー】井岡一翔vsフランシスコ・ロドリゲスJr.!久々の地上波生中継は、やっぱり井岡。

8月は東京オリンピックで史上最多、3名のメダリストが誕生したり、カシメロvsリゴンドー、マロニー兄弟の登場、ウガスvsパッキャオと、大いに盛り上がったボクシング界。

そして9月には日本人世界王者が絡んでいく世界戦が3つもあり、引き続き盛り上がれますね。

さて、個人的な話をすると、週末に控えた国体のブロック大会が中止という連絡が入りました。この1週間を切った時点での連絡は、各選手に連絡することも非常に辛いものでした。

我々のような弱小大学は、この国体を逃すと試合の機会がほとんど失われてしまいます。

どうにもならないことだと理解はしつつも、何ともやりきれない気持ちでいます。

 

リゴンドーの敗北、パッキャオの敗北、国体の中止と立て続けに起こる憂鬱な出来事も、そしてこの沈んだ気持ちも、いつか時間が解決してくれるものとも思いますが、国体中止に関しては、近すぎる存在であるが故に、とにかく一生懸命準備を進めてきた選手たちは本当に不憫で、誰が悪いわけでもありませんが申し訳ない気持ちになります。

気を取りなおすしかないので、気を取りなおして、今回は9/1(水)、井岡一翔(志成)vsフランシスコ・ロドリゲスJr(メキシコ)のプレビュー記事です。

 

9/1(水)LIFETIME BOXING

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ

井岡一翔(志成)26勝(15KO)2敗

vs

フランシスコ・ロドリゲスJr.(メキシコ)34勝(24KO)4敗1分

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Kazuto Ioka vs. Francisco Rodriguez Jr., Ioka vs. Rodriguez | Boxing Bout | Tapology

 

いよいよみんなが待ちに待った、井岡の防衛戦。

しかし、この興行もコロナの煽りを受けてつい先日、無観客興行となってしまいましたね。

井岡は日本の誇る、最も名のある王者の1人であり、その実力は折り紙がついて余りあります。空間把握能力に長け、職人技のようなディフェンス能力を持っているボクサーであり、引退、復帰を経てからはアグレッシブなボクシングも魅せるようになっています。

一時期、対戦相手の質に対して言及されることも多かった井岡ですが、復帰後はアローヨ、ニエテス、パリクテ、シントロン、そして田中恒成と、元王者、強敵、難敵等々を次々と撃破、さらに評価を高めているのではないでしょうか。

 

↓以前、井岡のキャリアはこのブログでまとめました。

boxingcafe.hatenablog.com

井岡の世界初獲得は10年前の2011年、当時の日本人最短記録の7戦目。

そしてそのすぐ後には、日本ボクシング史上初の日本人同士のタイトル統一戦で勝利。

おまけに日本人初の4階級制覇。

枚挙に暇がないほどの実績を積み重ねて、円熟期に入った井岡に、死角はありません。

そして直近の一戦でも、3階級制覇王者、田中恒成(畑中)を左フックカウンターで切って落とし、圧巻のTKO勝利を挙げています。

 

スピード、身体能力、若さ、ボクサーとしてのポテンシャルは田中の方が上、しかし井岡はそのボクシングスキル、クレバネス、ボクシングIQの高さを示して、自身のベストバウトを更新したように思います。

「職人」「機械」の表現がよく似合う、素晴らしいボクシング。

決して身体能力が高い方ではないと思うのですが、それを補って余りあるそのスキルは、全ての日本人ボクサーがお手本とすべきもの、だと思います。私が思うに、お手本は、井上尚弥ではありません。この、井岡一翔です。

尚、井岡一翔のメンタルの強さに注目する方も多いと思いますが、雰囲気的には井上尚弥や寺地拳四朗のような生まれ持った(普段の生活からの)メンタルの強さを感じる、というよりは、あくなき鍛錬の果てに身に着けた、ボクシングにおいてのメンタルの強さのように感じます。

 

やるべきことがわかっていて、その精神的な軸がブレない、いきあたりばったりの感じが一切ない、つくりあげられた強固なメンタル。

さて、この死角のない井岡に挑戦するフランシスコ・ロドリゲス。

井岡に遅れること1年、2010年にデビューしたロドリゲスは連戦連勝。2012年に6回戦で判定負けを経験し、2013年には当時既に2階級を制覇していたローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に現在のところ唯一のKO負けを喫しますが、翌2014年にはメルリト・サビーリョ(フィリピン)からWBO世界ミニマム級タイトルを奪取。

 

その初防衛戦で、当時IBF王者だった高山勝成に勝利、ミニマム級で2団体を統一します。この一戦は、注目度の低い最軽量級の一戦ながら、ファイトオブザイヤーに選んだメディアもあります。

その後、2階級制覇を目論んでドニー・ニエテス(フィリピン)に挑むも敗戦、その後ニエテスと1敗1分だったモイセス・フエンテス(メキシコ)にも微妙な判定で敗北。

力が落ちたかと思われたロドリゲスですが、そこからは復調、長井一、戸部洋平、パブロ・カリージョ等々の日本人(または日本のジム所属の)ボクサーたちを退け、地域タイトルの獲得等地道に這い上がって指名挑戦権を得て、今回の世界タイトル戦に漕ぎ着けました。

 

随分長く活躍しているボクサーですが、意外にもまだ28歳。最近の試合は見ていなかったので、2021年2月に行われたマルティン・テクアペトラ(メキシコ)戦を視聴。

八重樫の王座にも挑戦したこともある、およそ強豪とは言えないこのボクサーに対して、2-1の判定で辛勝。試合内容的には割れるような内容ではなかった(見た感じロドリゲスの勝利は揺るがない)ような気がしますが、ガードも低く、スピードもなく、足もふらついているようなテクアペトラを倒しきれなかったし、またそういった場面を作れなかったのも事実。

 

よく手は出ます。ただ、この一戦を見る限りでは今はもうそれだけのボクサーのような気がします。

このボクサーに対して、井岡一翔が危険な場面に陥る姿は、正直にいうと想像できません。

更に、判定負けなんていうのはもっと想像できません。

指名挑戦者、といっても役不足、井岡には圧倒的な勝利を飾ってもらいたいですね。タフなロドリゲスをストップできるか、というところが焦点となりそうですが、前に出てきてくれるロドリゲスを相手にすれば、井岡はディフェンシブな省エネボクシングでよく、連打の中のやや雑な振りを見極めてカウンターを決められれば、それも難しいことではないのかもしれません。是非とも、ロドリゲスにロマゴン戦以来のKO負けを味わわせて欲しいと思います。

とはいえもちろん、井岡に不安材料がないといえば嘘になります。

 

田中恒成戦後、タトゥー問題、ドーピング疑惑問題等々、井岡の周りには様々なことが起こり続けていました。

特にドーピング問題については、自身も「辛い」と吐露しており、これは井岡、またその家族に与えた精神的影響は計り知れません。こんなにもくだらないことで名誉を毀損された井岡は、JBCの対応についてまだまだ不満があるでしょうが、おそらくこの防衛戦のこともあって「許して次に進まないといけない」と語っています。

状況が、「許さざるを得ない」という状況になってしまっただけで、決して「許した」わけではない。

一応のところついた一区切りにより、井岡がトレーニングに集中できていれば良いですが、これがもし、できていないようなら一抹の不安が残るのも事実。

 

そういえば、JBCの理事長たちの進退問題はどうなったんでしょうね。フェードアウト?

それを差し引いても、井岡一翔という希代のボクサーの安定感は信頼できるものです。

敗戦の二つは、アムナット・ルエンロン(タイ)戦はキャリアとダーティテクニックにはぐらかされ、ドニー・ニエテス(フィリピン)戦はどちらが勝っていてもおかしくない内容でした。昔から井岡は、「負ける姿が想像しづらい」ボクサーです。

今回も勝って、統一戦につなげてもらいたいものですね。

さて、スーパーフライ級戦線は、異常とも言えるほど、新陳代謝が進んでいません。

フランシスコ・エストラーダ、ローマン・ゴンサレス、シーサケット・ソールンビサイ、カルロス・クアドラス。

そこに入れてもらえない、井岡と、ジェルウィン・アンカハス。

WBO1位は現在のところシーサケットなので、今回の指名防衛戦でシーサケットとやるとなれば盛り上がったし、世界的評価も高まったはずですが、そこは残念ですね。

 

エストラーダvsロマゴンは10月にラバーマッチが行われることになっています。

そしてその勝者に、WBAは指名戦として同級のレギュラー王者、ジョシュア・フランコ戦を指示しています。

WBCは兼ねてから指名挑戦権を得ているシーサケット戦を指示していましたが、大激戦&判定に物議を醸したこともあり開催されるエストラーダvsロマゴン3に際して、エストラーダをフランチャイズ王者に格上げ、シーサケットvsクアドラスで正規王者の決定戦をやるとかやらないとか。で、その勝者がエストラーダvsロマゴンの勝者と統一戦を行う、という意向のようです。

なので、以前に「エストラーダと戦いたい」と言っていた井岡が、エストラーダ戦にたどり着くのはまだ先の話。

 

まずはできればアンカハスとの統一戦を画策し、それを実現してもらいたいですね。

この一戦は、TBSで全国生放送。興行開始は18:30、放送開始は21:00からのおそらく1時間枠で、メインの放送のみ。せっかく民放番組の配信アプリもあるので、是非前座とかも流して欲しいですね。

ちなみに、地上波でボクシングが生放送で流れるというのは昨年末、井岡vs田中以来。井上尚弥vsダスマリナスは地上波ではディレイ放送でしたからね。世間的には、2人しかボクシング世界王者はいないのかもしれません。。。

 

ちなみにセミファイナルはスーパーライト級8回戦、粕谷雄一郎(角海老宝石)vs石脇麻生(寝屋川石田)。こちらも大変に興味深いので是非見たい。

内藤未来(E&J)を降し、力石政法(緑)戦での敗戦から再起を果たした粕谷が、前戦から一階級上げてのスーパーライト級戦。現在は下位ながら日本ランクにも入っており、対戦相手の石脇としてはこのランクを狙いたいところで、モチベーションも高いでしょう。

石脇はここ2戦で佐々木尽(八王子中屋)、李健太(帝拳)に連敗を喫していますが、間違いなく実力者。前戦でも未来の王者候補と言われる高校6冠、アマ102勝の李を相手に最後までしっかりと食い下がっていました。

 

若き実力者同士の一戦、石脇の主戦場であるスーパーライト級での一戦というところも勝負に影響するのかもしれません。

この楽しみなホープ対決は、今の所中継の情報はありません。

ともあれ、久々の地上波生中継、存分に楽しみたいと思います。

※追記

アンダーカードは、志成ジムファンクラブで配信だそうです。

500円+システム料220円、合計720円です。↓こちら

shisei-gym.bitfan.id

 

【プレビュー】大注目のマニー・パッキャオvsヨルデニス・ウガス、そのアンダーカード。

エロール・スペンスJrは眼底検査の結果、網膜剥離が確認されたとか。

ただ、完全に剥離して、水が眼球内に入っていれば即失明という危険性がある中で、網膜裂孔からの網膜剥離の発覚ということであれば、おそらく少し剥がれている程度ではないか、と思います。

レーザー手術でいけるんじゃないか。。。とか思いますが、まあ、これくらいにしておきます。

ただ、一度網膜裂孔や網膜剥離を患うと、失明というのが目と鼻の先にある、というのは否めません。特に頭部に打撃を受けるボクシングなどという競技は、本来であれば当然、やるべきではありません。

 

ただ、以前網膜裂孔(やや剥離)を患った私は、今もスパーリングを続ける等の矛盾。結局やめられないのです。

スペンス、無事に回復してくれると良いですが、無理しないでももらいたい。

さて、今回のブログでは、そんなスペンスの代役、ヨルデニス・ウガスが大きなチャンスをつかんだというマニー・パッキャオ戦。その興行のプレビュー記事です。 

WBAスーパー世界ウェルター級タイトルマッチ

ヨルデニス・ウガス(キューバ)26勝(12KO)4敗

vs

マニー・パッキャオ(フィリピン)62勝(39KO)7敗2分

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書いている時点(8/19)で発表されたオッズは、パッキャオが圧倒的有利。ただ、実際は子のウガスは今のパッキャオにおいては非常に危険な相手である、と思います。

ボクシングファンは、まだまだパッキャオに幻想を抱いているのでしょう。

↓プレビュー記事は以前書きました

boxingcafe.hatenablog.com

 

スペンス相手であれば、負けて当然=善戦すれば称賛され、もし勝てれば伝説となる一戦でした。しかし知名度の低いウガス相手であれば、そうはいきません。

それも含めて、パッキャオにとってかなり厳しい戦いとなることは予想ができます。

ウガスはもっと早くに世界王者となっていても全くおかしくないボクサーで、粒ぞろいのウェルター級の中でもかなりの強豪です。

 

個人的には、パッキャオが敗れたとしても、(残念には思いますが)驚くことはないと思います。そしてこのウガスにパッキャオが勝てば、もうそれだけですごいことです。

ウガスは良いボクサーですが、今回も勿論パッキャオを応援。パッキャオの試合は最後と思って心の限り応援したいと思います。

 

セミファイナルはウェルター級の古豪対決!

ウェルター級10回戦

ビクター・オルティス(アメリカ)32勝(25KO)6敗3分

vs

ロバート・ゲレーロ(アメリカ)36勝(20KO)6敗1分

2004年にプロデビュー、2011年にWBC世界ウェルター級王者となったビクター・オルティス。その後、初防衛戦でフロイド・メイウェザーJrと激突、パンチが当たらなすぎて思い切りヘッドバットを狙ってレフェリーの注意を受け、その後謝罪なのかハグをしようとしたら打ちのめされた、というのが有名な話。

 

この動画は10年たった今でも、SNSでたまに見かけますね。

現在34歳。

そしてゲレーロは2000年にプロデビュー、2006年のIBF世界フェザー級王座獲得を皮切りに、同スーパーフェザー級王座を獲得して2階級制覇、そしてWBAとWBOのライト級暫定王座に加えて、WBC世界ウェルター級の暫定王座も獲得しています。

尚、このときのWBC正規王者であるフロイド・メイウェザーJrと団体内統一戦を行い、判定負けを喫しています。

その一戦のあと、亀海喜寛(帝拳)と戦った事も記憶に新しいですね。これは2014年6月のことなので、あっという間に7年が経過しています。

現在38歳。

 

メインイベントのパッキャオvsウガスは42歳のパッキャオ、35歳のウガスの対決で合計77歳ですが、こちらも34歳のオルティス、38歳のゲレーロと合計72歳、全く引けを取りません。(何が)

この、ダメージを溜め込んでいそうなボクサーたちが、どの程度動けるのか。これはこれで興味深いですね。

セミセミの方が見ていて面白い試合になるかもしれません。

 

フェザー級12回戦

マーク・マグサヨ(フィリピン)22勝(15KO)無敗

vs

フリオ・セハ(メキシコ)32勝(28KO)4敗1分

WBOインターナショナル王座がかけられる一戦だそうです。マグサヨは、過去にこの王座を獲得(して返上?)していますね。

これは非常に興味深いマッチアップだと思います。

フィリピンのスター候補、マグサヨ。全勝街道をひた走る26歳。WBC5位、IBF4位、WBO3位と主要団体の世界ランクでは上位につけ、世界戦待機状態といって良いでしょう。

 

フィリピン人ボクサーらしく、思い切りの良い攻撃は見ていて気持ちが良いですね。コンビネーションもよく、一発のパワーもあります。

そして相手はあのフリオ・セハ。

リゴンドーと打ち合った(これはリゴンドーのスタイルチェンジか、もしくは気の迷い)という事でも有名なこのボクサーは、2015年にウーゴ・ルイスとWBC世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦を戦い、これを獲得、正規王者に昇格しています。この王座はダイレクトリマッチでルイスに奪われ、そのルイスは長谷川穂積に王座を明け渡しています。

 

前戦、といっても2019年の11月、今をときめくブランドン・フィゲロア(アメリカ)に挑戦。しかしここで大幅な体重超過を犯しています。(試合はドロー)

今回、セハは体重を作ってこれるのか。。。メキシコのボクサーはその辺りが非常にルーズなボクサーが多いと思いますが、今回はしっかり仕上げてもらいたいですし、今回もまたオーバーなんていうことがあれば本当にリングに上がる資格はありません。今回はフェザー級なので、信じましょう。

さて、ここはマグサヨにスカッと勝利して、世界挑戦への弾みをつけてもらいたいところですね。マグサヨは勝って、自国の英雄パッキャオにつなげてもらいましょう。

 

そして、王者候補、カルロス・カストロも登場!

カルロス・カストロ(アメリカ)26勝(11KO)無敗

vs

オスカー・エスカンドン(コロンビア)26勝(18KO)5敗

スーパーバンタム級の次期王者候補、カルロス・カストロ。このボクサーは、日本ではあのゼネシス・セルバニア(カシミ)を完封してみせて、知名度が一気に上がりました。

その後も抜群の安定感を誇るこのカストロは、勝利を積み重ねています。

基本が非常にしっかりとしている巧く、美しいボクサーですが、ややパワーレスに感じます。そして今回は階級を一つ上げ、フェザー級での一戦。

 

相手のエスカンドンというボクサーは、2016年にWBC世界フェザー級暫定王座を獲得しているものの、個々最近は全勝ホープたちの相手を次々とさせられている、実力者たちの噛ませ犬的な役割を担うボクサー。

ゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)とのWBC王座の団体内統一戦のあとにツグスソグ・ニャンバヤル(モンゴル)、そのあとにブランドン・フィゲロア。

 

その後、当時23戦全勝のジャック・テポラ(フィリピン)の相手に抜擢されますが、これを1RKO勝利で連敗を脱出。今回はカストロという全勝ボクサーの相手です。

カルロス・カストロは、今回がフェザー級初戦。この一戦には、WBCのフェザー級の地域タイトルが懸けられています。今後、カストロはフェザーで戦っていくのかもしれません。

今のスーパーバンタム級は、統一路線に進んでいるために、チャンスが少ない。これはある種、賢明な選択とも言えますが、果たしてカストロはスーパーバンタムでもややパワーレスに感じました。その辺りがどうか。

 

いずれにしろ、このエスカンドン相手に、ラッセルJrは7RTKO、ニャンバヤルは3RKO、フィゲロアは10RKO。そしてカストロは。。。??

このカストロvsエスカンドンはノーテレビかもしれません。FOXに加入していればこの一戦は、PPVではなく無料で見れるのかもしれません。

いずれにしろ、この日の興行は、やっぱりパッキャオを観るというのが主眼。パッキャオの大勝利を願って、そしてそれに勢いをつけてくれるかもしれないマグサヨの快勝もついでに願って、この日は世界中が歓喜に包まれる事を期待しています。ウガスには、本当に申し訳ないですが。

 

 

マニー・パッキャオの相手はヨルデニス・ウガスに変更!スペンスが患った「網膜裂孔」について

朝起きて、Twitterを開くと驚きのニュース。

楽しみにしていたマニー・パッキャオvsエロール・スペンスJrがキャンセル。

理由は、エロール・スペンスJrが左目の網膜裂孔を発症した、とのこと。スペンス本人はTwitter上で、3人の医者にみてもらった、と発言していますね。。。

パッキャオの対戦相手は当日別のボクサーと対戦予定だったヨルデニス・ウガス(キューバ)に置き換えられ、興行自体は挙行されるようです。

ちなみに、ウガスの対戦相手も怪我で離脱。。。(ほんとか?)

 

ともあれ、ウガスも強豪ボクサーであり、これはまたパッキャオにとって危険なマッチアップ。しかし、パッキャオの最終章、ともすれば最終戦の相手になるかもしれないというこのタイミングでは、スペンス戦の方が望まれていた、ということは言うまでもありません。

今回のブログでは、パッキャオvsウガスのWBAスーパー世界ウェルター級タイトルマッチのプレビューと、ついでに「網膜裂孔」という怪我についてです。

 

WBAスーパー世界ウェルター級タイトルマッチ

ヨルデニス・ウガス(キューバ)26勝(12KO)4敗

vs

マニー・パッキャオ(フィリピン)62勝(39KO)7敗2分

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https://twitter.com/ESPNRingside/status/1425172052470730759より

一応、スーパー王座を保持するウガスを上に書きましたが、この一戦のAサイドは間違いなくマニー・パッキャオ。

パッキャオは現在WBAウェルター級の休養王者という扱いで、他にも試合をしていない王者がわんさかいる中、パッキャオだけがなぜか休養王者になってしまいました。

パッキャオのキャリアについては、ひとたび書いてしまえばハイライトですら多過ぎて数日間必要になってしまいますので省略。直近の試合は2019年7月21日、キース・サーマン(アメリカ)戦です。

パッキャオの何度目かのサプライズ、キース・サーマン戦。

 

当時30歳、そこまでアクティブに戦っているわけではありませんが、全盛期に差し掛かる年齢であり、更に無敗、当時ウェルター級最強とも言われた(日本贔屓の)キース・サーマン。

対してパッキャオは当時40歳、前戦でエイドリアン・ブローナー(アメリカ)を退けているものの、既に全盛期の力はなく、流石に「ワンタイム」サーマンはキツい、と思われていました。

しかし、ボクシング界史上最大のミスマッチと戦前言われたオスカー・デ・ラ・ホーヤ戦を始め、数々の奇跡を成し遂げてきた空前絶後のキャリアを持つこのボクサーは、なんと初回にサーマンからダウンを奪い、その後ペースを握られそうになるも持ち直し、結果スプリットの判定勝利。これがあるからパッキャオというボクサーは、偉大。

 

そして今回、ウェルター級最強ボクサーの1人であるエロール・スペンスJrとの試合が決まった時も、「普通に考えればスペンス、しかし相手はあのパッキャオだ」と、ボクシングファンだけでなくレジェンド王者たち、識者に至るまで、言わしめるのがまさにパッキャオ。もう、誰もパッキャオの行き先を知らないのです。

今のパッキャオは42歳、しかも前戦から2年が経過し、その仕上がりには疑問符もついてきます。なので、今のパッキャオは、誰にでも勝てる可能性があると同時に、誰にでも負ける可能性があるボクサーであるとも思います。

そしてスペンスの代役として登場する、ヨルデニス・ウガスだってもちろん強豪。

 

東京オリンピックでも猛威を振るったアマチュアボクシング大国、キューバでボクシングを始め、2008年の北京五輪で銅メダルを取り、2010年にアメリカに亡命してプロデビュー。

キューバ出身が故に世界初挑戦は意外と時間のかかった2019年、ショーン・ポーター(アメリカ)戦。このエンドレスファイター、ポーターに対してウガスは体の強さを生かしてプレス、ショーン・ポーターにアウトボクシングを選択させるという離れ技をやってのけます。

この試合は負けてしまいましたが、2020年、アベル・ラモス(アメリカ)を相手に王座決定戦に臨み、判定勝利。ようやく初戴冠を果たします。

 

もっと早くに世界王者になっていておかしくないボクサーで、フィジカルが強く、打ち合いにも強い。とはいえ、アクションは少なめで、プレスをかけつつ相手をじっくり見てカウンターをとるタイプのテクニシャン。

ただ、その出自からか、判定はかなり不利に出ることが多く、ラモス戦は完勝かと思いきやスプリット、ポーター戦でもやや不利な判定だったことは否めません。

おそらく、ウガスのフィジカルはおそらくパッキャオを上回ります。そしてパッキャオの勝ち筋は、やはりあのスピードと、そして強く、速い踏み込みを駆使した一瞬の攻防にあると思います。

 

ウガスのプレスがどんなに強かろうとも、パッキャオが警戒し過ぎて手が出ない、という展開は考えづらく、パッキャオの試合はいつもエキサイティング。おそらく多くのボクシングファンがそうであるように、私もここはパッキャオに明確な勝利をもぎ取ってもらい、有終の美を飾る(か、もしくはスペンス戦に進んでもらう)ことを願います。

ただ、もう一度言うとウガスは強い。34歳で世界王座を初戴冠、と言うのは正直あの実力を持ってすれば遅過ぎた、とも言えます。

仮にパッキャオが敗北したとしても、その出来、年齢を考えるとさして驚きはしません。

 

パッキャオの試合はいつもエキサイティングで、楽しみ。その一つは、「加齢による衰え」という当たり前のことを覆して、我々を驚かせてくれるであろうことと、その勇姿を、また、拝めることです。パッキャオがリングに立つ。相手がスペンスでなくても、たったこれだけで、よく考えればもう十分満足なのかもしれません。

と、気持ちを切り替えていきたいと思います。

がんばれ、パッキャオ!!

 

網膜裂孔について

(専門家でも何でもなくて、ただの自らの体験です。)

私は、以前にボクシングで網膜裂孔を発症、やや剥離した状態でのレーザー手術を経験しました。ちなみに、そこから20年、特に日常生活に支障はありません。(※日常生活=スパーリング等)

網膜裂孔は、眼球内部の網膜という部分に穴があく、という病気です。今回のようにボクシングをしていての網膜裂孔は、怪我の部類に入るでしょうが。

 

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網膜裂孔・網膜剥離|眼の病気|医療法人社団 医新会より

この網膜裂孔が進むと、この網膜が剥がれてしまう状態となり、ここに水が入ってしまうと失明してしまうようです。

私が網膜裂孔を発症した約20年前、お医者さんから説明を受けたことと、自身の体験から言いますと、この網膜裂孔は、起こりやすい人と起こりにくい人がいる、とのこと。

私は毛細血管が細部まで行き渡っておらず、もともと網膜の接着が弱かったらしいです。

お医者さんからは、「未熟児で生まれたか?」と聞かれましたが、私は生まれた時の体重は3,800gありました。

 

この網膜裂孔の穴の位置が、後ろの方(脳みそよりの位置)にあれば飛蚊症等の症状が出にくく、発見も遅れてしまうそうで、私の穴はかなり大きかったのですが全く気づかず。もう失明寸前ですよ、くらいの危険な状態ということで診察を受けたその日にすぐにレーザー手術。いきなり20万円以上の手術費を要求され、当時働き始めたばかり(初任給も出てない)くらいの私は親に泣きついたことを覚えています。

このレーザー手術というのは、網膜の穴が空いて、少し剥がれてしまった部分をレーザーで焼き付け、穴を塞ぐというもので、手術自体は目薬で網膜を開き、目に風が当たる程度のもので、割とすぐに終わりました。(私の場合は、経過観察ということで1日くらい病院で過ごしました。)

網膜剥離となると、溜まった水を抜いて、穴を塞ぐ、という風になるようなのですが、そうすると眼圧が変わって、ある程度の入院も必要になるとのことだったと思います。

 

スペンスの症状がどの程度かは分かりませんが、大きくブランクをつくることはない、と言って良いと思います。この網膜裂孔、網膜剥離については、頭部に打撃を受けるボクシングではよくある怪我。スペンスの場合、ともすれば交通事故とも関係しているかもしれません。

網膜裂孔ということであれば、現時点では、その怪我自体は大きなキャリア停滞という心配はいらないはずです。

ただ、この網膜裂孔から網膜剥離という怪我は、失明に至ってしまう重篤な怪我の一つでもありますので、もし、今後に不安が残るようであれば、引退という選択肢もなくはないのかもしれません。(昔、JBCのルールでは網膜裂孔は即引退でした。最初にそのルールを覆したボクサーは、辰吉丈一郎。)

 

ちなみに、私の場合は後遺症として、視力をどんなに矯正しても、0.7以上にならなくなってしまいました。そもそも私がこの網膜裂孔に気付いたのは、自覚症状がほとんどない状態で、コンタクトレンズを作りにいき、どんなに度数を上げても視えるようにならなかった、ということから、「おかしいぞ」となり、総合病院に行けと言われたのがきっかけです。

かなり後ろの方だったので。。。

いずれにしろ、スペンスの早期回復を願うばかりです。

 

 

 

【プレビュー】ダイヤモンドグローブ!絶対王者・吉野修一郎vs新鋭・仲里周麿!

8月は海外興行がアツいですが、国内興行も数は少ないながらも注目の興行が。

そしてそのほとんどがインターネットで観戦できるということで、これは嬉しい悲鳴。ただ、オリンピックもあってなかなか全部観る時間が作れないのが悩みどころです。

↓国内外のボクシング興行の配信、放送まとめ。

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さて、そんな8月の興行の中でも最も注目の国内興行としては、8/12(木)に開催されるダイヤモンドグローブ、日本ライト級タイトルマッチだと思います。

今回のブログでは、8/12に行われる日本ライト級タイトルマッチをメインに据えた、ダイヤモンドグローブをプレビューです。

8/12(木)ダイヤモンドグローブ

日本ライト級タイトルマッチ

吉野修一郎(三迫)13勝(10KO)無敗

vs

仲里周磨(ナカザト)10勝(7KO)1敗3分

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日本、OPBF東洋太平洋、WBOアジアパシフィックという国内で認められている3つのタイトルを保持している吉野。この3つのタイトルを持っていれば、国内最強は証明できるはずですが、国内のライト級は帝拳ジムの中谷正義のほか、スーパーフェザー級あがりで元世界王者の伊藤雅雪(横浜光)を攻略した三代大訓(ワタナベ)もおり、安易に「日本人ボクサー最強」と名乗れないし認められないのは吉野にとって歯がゆいでしょう。

「国内ライト級ウォーズ」と銘打って伊藤vs三代が戦い、伊藤が勝っていればこの吉野挑戦、となったのでしょうが、それを三代が阻止。三代は吉野攻略にも自信を持っていましたが、ここは成り立たず、今回の防衛戦となりました。

 

今回かけられるのは、日本タイトルのみ、ということのようです。

2017年にスパイシー松下(セレス)との王座決定戦で日本王座を初戴冠した吉野は、すでに6度の王座防衛に成功、その間にOPBF、WBOアジアパシフィックのタイトルもコレクトし、その3冠も細川バレンタイン(角海老宝石)相手に同時防衛を果たしています。

この日本タイトル以外のアジア王座を含め、この細川戦以外の全てをストップ勝ちしている吉野、やはりその特徴はノックアウトを生み出すパワー。

 

アマで高校4冠、104勝20敗という戦績を残している吉野は、プロキャリアだけでなく、アマキャリアも抜きん出ています。国内リングを卒業し、海外での挑戦が待たれるボクサーですね。

対して仲里周磨は、沖縄出身の24歳、こちらもアマ経験者で38勝11敗、高校卒業後にプロデビューしています。父は、我々世代には非常に思い出深い、仲里繁。

沖縄のジムというハンデを背負いながらも、西武日本新人王を獲得、西軍代表となります。全日本新人王決勝では萱沼徹平(帝拳)とドローの敗者扱い、その後2017年にA級トーナメントに出場しますが、三代大訓(ワタナベ)に惜敗して初黒星。

 

その後は勝ち星を積み重ね、2020年2月にはランカー対決で粟田祐之(KG大和)を退け、同年11月に木村吉光(志成)とのスーパーホープ対決でドロー、そして今回の一戦へと進みます。

実績だけを見れば、吉野勝利は動かない所です。

しかし、仲里には期待を持たせる一発があります。敗北した相手は三代大訓のみ、前戦の木村吉光とのホープ対決においても、痛烈なダウンを奪い、不運なダウンを奪われの大激闘だったため、そのテクニックもパワーも証明したといえます。

 

おそらく吉野は、序盤に足を使う展開があったとしても、中盤以降のどこかで打ち合いに応じてくるでしょう。もしかすると、初回から火の出るような打ち合いが待っている可能性もあります。そうなると仲里にもチャンスが生まれて来るかもしれません。

吉野にしても、仲里にしても、基本技術が高く、展開的には分かりやすい構図にはならないと思います。よりパンチを明確に当て、ダメージを与えた方が勝利へ近づく、まずはそこへの主導権争いというのが繰り広げられそうです。その主導権を取りに行くために、前に出るのか、それともボックスするのか。

ともあれ、「総合力」という把握しづらいカテゴリーを考えると、吉野が優位。しかし蓋を開けてみなければ、中身は分かりません。

 

吉野としては、国内卒業を決定づけるために、圧倒的な内容で勝ちたいところ。そして仲里は、わざわざこの強い王者に挑む、その心意気、そしておそらく自信があるからこそ受けたであろうこの初めてのタイトルマッチで、大化けしたいですね。

この日本ライト級は、伊藤雅雪、三代大訓の他に、前日本スーパーライト級王者、鈴木雅弘(角海老宝石)がきて、ワタナベジム期待の宇津木秀もいます。緑ジムには今度世界挑戦を果たす矢吹正道の実弟、力石政法、吉野に善戦した富岡樹(角海老宝石)、内藤未来(E&Jカシアス)に競り勝った粕谷雄一郎(角海老宝石)等々、どんどん若いボクサーたちが溢れてきています。

 

今回、吉野が接戦を演じてしまうようであれば、もしかするとこの若いボクサーたちが我先にと挑戦状を叩きつけるのかもしれません。それを一つ一つ、潰していくとなると世界はどんどん遠くなってしまいます。(それはそれで面白い)

この試合は、今後の国内ライト級を占う試金石。非常に楽しみな一戦ですね。

この興行は、フジテレビで8/15(日)AM3:00〜録画放送(関東ローカル)。8/16(月)15:00頃から、FOD/TVerでも配信されると思います。おかげさまでもう私は、関東ローカルに嫉妬しません笑

 

セミファイナルの予定だった前日本王者、佐川遼(三迫)vs小坂烈(サンライズ)の試合は佐川の体調不良により中止。

セミファイナルはアマで全日本、国体を制した馬場龍成(三迫)のデビュー戦になりました。

相手は岡田兼弥(江見)、岡田は5勝(3KO)3敗1分というボクサーですが、プロで9戦、2連敗中とはいえ6回戦卒業間近、侮れない相手ではないかと思います。

こちらも注目ですね。

ということで、今回のブログは8/12に行われるダイナミックグローブについて、でした。

 

これで8月の国内ボクシング興行は終わりなんですね。

8月は、大注目の海外戦が多く、日本時間で8/15の忙しい1日を過ぎても、ラキモフvs尾川やパッキャオvsスペンス等盛りだくさん。

暑い日が続きますが、映像でのボクシング観戦を楽しみましょう。 

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【プレビュー】8/15は早朝からボクシング。ジョシュア・ブアツィvsボロトニクスのDAZN興行。

8/15、日本ではお盆の真っ只中の海外興行のプレビューもようやく最後。

本日(8/7)、WBAが各階級、原則1王者にしていく方針を出したといいますが、これはまず間違いなく嘘。以前にもそういう声明を出した上で暫定王者を乱発していたし、現地時間の8/6にイギリスで、8/7と8/14にはアメリカで、それぞれ暫定王者が決定戦を経て誕生します。

10月から1階級1王者にしていくのであれば、このタイミングで暫定王者は全く必要ありません。

まあ、もういいんですけど。

 

↓8/15の興行は以下。

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ということで、興行渋滞、Xデーの8/15、残る興行はイギリスはマッチルーム興行。この興行は時間帯がかぶらず、落ち着いて見れそうですね。(但し、注目度はおそらく最も低い)

8/14(日本時間8/15)

ジョシュア・ブアツィ(イギリス)14勝(12KO)無敗

vs

リチャード・ボロトニクス(ラトビア)18勝(8KO)5敗1分

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WBAインターナショナル・ライトヘビー級タイトルマッチとして開催される一戦。この地域タイトルを、意外としっかり防衛してきているイギリスのプロスペクト、ジョシュア・ブアツィ。

やや線が細く感じるボクサーですが、重量級においてスピードとコンビネーションを武器とするテクニカルなボクサーで、それでいてパワーも申し分なし。

デカいですが、割と軽量級のようなボクシングをします。

ガーナ生まれのこのボクサーは、イギリス国籍を取得し、2016年のリオ五輪では銅メダルを獲得。

 

ここまで9連続KOと好調を維持しており、ここ2戦は保持するWBAインターナショナル王座の防衛戦として無敗の挑戦者を2連続でTKO。

ヘビー級と異なり、パワーに頼りすぎないこの階級は、実は見ていて非常に面白い階級です。私は個人的に大好きな階級。

その中で、重量級においては異端ともいえるコンビネーションパンチャーであるこのブアツィに、大きな期待を寄せています。

対戦相手は、リチャード・ボロトニクス。Ricardsというスペルなので、リカーズ?リカルド?かもしれません。

 

最新試合をYoutubeで見ましたが、好戦的なタイプのボクサーです。ブアツィと比べると身体の厚みがあり、ヨーロッパのファイター、という感じですね。

このラトビアはエストニアとリトアニアの間にあり、北欧という部類になるんですかね。隣国はベラルーシ、ロシア。ベラルーシといえば個人的にはイバン・バランチェクですが、あのようなタイプの、身体の強そうなボクサーをイメージすると良いかもしれません。

ただ、ライトヘビー級としてはややパワーレスの感じもあります。

ここはブアツィがしっかりと倒しきってくれるものだと思っています。

 

まず、ブアツィのスピードにボロトニクスはついてこれないのではないでしょうか。そしてブアツィは距離が長く、遠い距離から上下への打ち分けのコンビネーションを使って次々とパンチを当て、試合を支配して、最終的にはKOもしくはTKOという流れが理想でしょう。

ここはブアツィには問題なく勝利してもらい、そろそろホンモノとの対戦が見たい。

ライトヘビー級はこの先、もしかするとカネロという大物が来るかもしれない階級です。ブアツィにとっても、この階級でさっさと世界王者になっておくに越したことはありません。

 

とはいえ、WBAスーパーにドミトリー・ビボル(ロシア)、WBC・IBFにアルツール・ベテルビエフ(ロシア)。WBOはジョー・スミスJr(アメリカ)とやや狙い目ですが、挑戦へのハードルは高い。

やはりここは空位のWBAレギュラーを狙うべきでしょうか笑

ちなみに、8/1発表のWBAランキングでは、2位にブアツィ、3位にボロトニクス。この一戦がそのうちWBAレギュラー王座決定戦になっていたら笑えます。というかマジでやりそうで怖い。

ともあれ、今回もブアツィは「試練」というほどの一戦ではありません。4団体で既にランキング上位に位置するブアツィ、今後はチャレンジマッチか、世界王座へ打って出るか、そろそろ大きな試合がほしいものですね。

 

マイケル・マッキンソン(イギリス)20勝(2KO)無敗

vs

プシェミスワフ・ルノウスキー(ポーランド)19勝(5KO)1敗

セミファイナルは、WBOグローバル・ウェルター級タイトルマッチ。中量級であるウェルター級において、(逆の意味で)破格のKO率を誇るマッキンソン。そしてルノウスキーも負けじとKO率は低い。

判定決着必至とも言えるこの一戦ですが、ルノウスキーはここ2戦で連続KO中、唯一の敗戦は2019年4月、当時無敗のジョシュ・ケリー(イギリス)に喫したものです。

 

そしてマッキンソンは2017年11月が最後のTKO勝利。2KOですが、もう一つは相手の棄権によるRTD勝利なので、実質相手を倒したのは一つだけ。ここまで登ってきて、この決定力のなさはこれはこれですごい。ポイントアウトが上手いのか、ちょっと興味を惹かれます。

実際両者の映像を見ていない、というかこの試合を発見した時にあえて見ないようにしたので、これは当日を楽しみにしていきたいと思います。

 

アンダーカード!

他には、フェザー級のプロスペクト、8勝(4KO)無敗のレイモンド・フォード(アメリカ)やリー・マクレガー(イギリス)には敗れたものの善戦し、その後復調している15勝(6KO)1敗のウカシール・ファルーク(イギリス)も登場します。このファルークはなかなか良いボクサーで、パキスタン生まれ、イギリス国籍の25歳。バンタム級という日本人に馴染みのある階級だけに、注目のボクサーの一人です。相性も良いですね、「アンタッチャブル」。今回は空位のWBCインターナショナル・バンタム級タイトルをかけてルイス・ジェラルド・カスティーリョ(メキシコ)との一戦に臨みます。

 

そして、WBO世界女子ミドル級王者、サバンナ・マーシャル(イギリス)も登場、このボクサーは女子ながら10勝8KO無敗と脅威のKO率を誇ります。

世界には色々なタイプのボクサーがいるものです。

ボクシングは、ボクサー個々を追いかけても非常に奥が深い。

そんなことを、東京オリンピックを通じて体感致しました。

今後も、注目試合から、少しマニアックなボクサーの紹介まで、少しずつでもしていければいいな、と思っています。それには試合動画を見る時間が必要ですが。。。

 

【プレビュー】ジェイソン・マロニーは再起戦に、アンドリュー・マロニーは世界返り咲きに臨む。

Xデーは8/15。

オリンピック後のプロボクシング興行が、最も渋滞しているのは今の所この日。

カシメロvsリゴンドーという日本のボクシングファンにとって大注目試合をはじめとして、パーフェクトレコードを持つバージル・オルティスJr、ライトヘビーの英国プロスペクト、ジョシュア・ブアツィはDAZNに登場、そして井上尚弥との対戦で日本のボクシングファンにお馴染みとなったジェイソン・マロニー、そして双子の弟、アンドリュー・マロニーがESPNに登場です。

 

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日本での注目度はダントツでカシメロvsリゴンドー、そしておそらく次に来るのはマロニー・ブラザーズが競演するこのESPN興行なのかもしれません。

個人的には、カシメロvsリゴンドー→オルティスvsカバラウスカス→マロニーブラザーズ→ブアツィvsボロトニクスの順番ですが、実際はどれも興味深い。

ちなみに、どうにかカシメロvsリゴンドーだけはリアルタイムで見たい、と思っていますが、どうなることやら。

そんな個人的な話は置いておいて、今回のブログでは、日本でも大人気!(?)マロニー・ブラザーズが競演し、日本でもお馴染みの階級のタイトルマッチがあるESPN興行のプレビュー記事です。

 

8/14(日本時間8/15)

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ

ジョシュア・フランコ(アメリカ)17勝(8KO)1敗2分1NC

vs

アンドリュー・マロニー(オーストラリア)21勝(14KO)1敗1NC

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2015年にプロデビューしたジョシュア・フランコは、旺盛な手数を武器にするプレッシャーファイターです。2018年にルーカス・フェルナンデス(アルゼンチン)に初黒星をつけられていますが、初回にダウンを奪って優勢に試合を進める中での大逆転KO負け。

その後はオスカー・ネグレテ(アメリカ)との3連戦(1勝2分)を経て世界戦へたどり着き、初挑戦で見事これを獲得。この時の相手が、アンドリュー・マロニーで、マロニーの初防衛戦の相手でした。

2020年6月、王者マロニーに挑戦したフランコは手数で押し切り、タイトルを獲得しましたが、初防衛戦で元王者とのダイレクトリマッチに臨み、ここが大いに議論を呼ぶアクシデンタル・ヘッドバットによってノーコンテスト。

 

今回は再々戦、因縁に決着をつけるべき時です。

対してアンドリュー・マロニーは2014年にプロデビュー、オーストラリアのプロスペクトとして大切に育てられたのち、全勝のまま2019年にWBA世界スーパーフライ級暫定王座戦に出場、これに勝利して暫定王者となりました。

その後、正規王者に格上げ。

そして初防衛戦でジョシュア・フランコを迎え、ここを敗北。

 

 マロニーvsフランコⅠの観戦記

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マロニーvsフランコⅡの観戦記 

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2戦目は、明らかにマロニーの動きが良く、もちろんラウンドが進めばどこかで捕まっていたかもしれない、という懸念はあるものの、フランコは何もできませんでした。

3R開始前に終わってしまったこの一戦、フランコの右目が塞がってしまい、それによるドクターストップだったのですが、映像を見た感じで言うとマロニーのパンチで腫れてしまったようにも見えました。しかし公式発表はバッティング、これに対して今さら言っても仕方のないことです。

いずれにしろ、1、2Rの動きを見た感じ、今回はマロニーの優位予想が立ちそうな雰囲気。マロニーはアップライトに構える非常にオーセンティックなボクサーで、兄、ジェイソンと同じく隙が非常に少ないボクサーです。

 

初戦はフランコの打撃戦に長い間付き合ってしまいましたが、瞬間瞬間の接近戦であれば、フランコよりもマロニーに分があるようにも思います。2戦目は、初戦の反省をしっかりと活かして戦ったマロニー、引き出しが多い分、再戦には強そうです。

対してフランコとすると、あのプレッシャーをかけて手数で押し込むボクシングしかできず、この10ヶ月程度でどれほど上積みができたのか、どれほど対策ができたかというとちょっと難しいかもしれませんね。

マロニーの勝利は、オーストラリアのボクシング人気に貢献できるのではないか、と考えています。アジア・オセアニア圏に所属する国のボクシング人気が上がることは、日本にとってもプラスになるはずです。

ここは断然、マロニーを応援します。

 

ジェイソン・マロニー(オーストラリア)21勝(18KO)2敗

vs

ジョシュア・グリア(アメリカ)22勝(12KO)2敗2分

そんなアンドリューの双子の兄、ジェイソン。井上尚弥との対戦で日本では名を馳せましたが、弟と違って世界王者経験者ではありません。

しかしこの階級においてKO率は非常に高く、アンドリューよりもよりアグレッシブであり、同じく隙が少ない。様々なファクターが、高いレベルでまとまった好ボクサーだと思います。

そんなマロニーは、井上尚弥戦からの再起戦、約9ヶ月ぶりのリングとなります。

 

相手は、かつてのプロスペクト、ジョシュア・グリア。2015年にプロデビュー、トップランクのプロスペクトらしく大切に育てられたグリアは、2019年にニコライ・ポタホフ(ロシア)や井上尚弥とも戦ったアントニオ・ニエベス(アメリカ)を相手に勝利しています。

しかし、2020年6月、伏兵マイク・プラニア(フィリピン)にダウンを2度奪われての判定負け。その後の復帰戦も、エドウィン・ロドリゲス(プエルトリコ)を相手にドローと全くもって冴えません。

そしてとうとうAサイドから下され、世界再挑戦を狙うジェイソン・マロニーを相手にBサイドに。世は無常です。

 

ここはマロニーに苦戦することなく、完璧な形でグリアを降してもらいたいところですね。ただ、グリアの身体能力は伊達ではなく、そのボクシングに光るものがあるのも確か。そうでなければ、トップランクがお金をかけて、大事に育てたりはしません。

低迷しているグリア、ここで大きくそのキャリアを挽回できるのか、それともマロニーが順当に勝利し、無事に再起を果たすのか。

どちらにしても、今後のキャリアを考えると絶対に負けられない一戦ですね。

ちなみにこの一戦は、空位のWBCバンタム級のシルバー王座が掛けられるようです。

 

スーパーライト級10回戦

アーノルド・バルボサJr(アメリカ)25勝(10KO)無敗

vs

アントニオ・モラン(メキシコ)26勝(19KO)4敗1分

技巧派プロスペクト、アーノルド・バルボサJr。このボクサーは非常に強い、強いというか巧いですね。パワーレスだからこそ、技巧に頼るしかないと言えばそれまでかもしれませんが、素晴らしいポジショニングから自らのパンチを当て、そして動き続けることができるのでスタミナも申し分なし。

その技巧は、技巧派も多いこのスーパーライト級のトップ戦線でも十分に通用する域だと思っています。

 

テイラー後、まず間違いなく世界に絡んでくるボクサーの1人、バルボサは要チェックです。

対戦相手のモランに勝ち目は薄いものの、メキシカン、それだけでもしかすると大番狂わせの芽があるのかもしれません。いや、キツいか。

そして、他には石川県金沢市のカシミジムに所属するゼネシス・カシミ・セルバニア(フィリピン)が、14勝7KO無敗のプロスペクト、アンドレ・コルテス(アメリカ)を迎え撃つ一戦も発表されています。

セルバニア(34勝16KO2敗)はオスカル・バルデス(メキシコ)に世界挑戦の経験もあるボクサーで、頑丈なために一時期井上尚弥のスパーリングパートナーとしても重宝されていた存在。2019年にはスーパーバンタム級のホープ、カルロス・カストロ(アメリカ)の踏み台にもなっていますが、その後は2連勝。

 

2019年12月ぶりの試合なのと、スーパーフェザー級戦ということでやや不安もあるものの、ここは未だ未知のホープといえるコルテスを跳ね除けてもらいたいところですね。

他にも無敗のトップランクのホープたちがこぞって登場する、見どころ盛りだくさんのこの興行は、アメリカではESPNで生中継。日本では生中継こそありませんが、9/5にWOWOWで録画配信されます。

メイン、セミ(なのかセミセミなのか?)のマロニー兄弟の登場は、日本ボクシング界でも注目のスーパーフライ、バンタム級戦。

 

特に兄・ジェイソンは井上尚弥戦からの復帰戦というところで気になるところですね。ジェイミー・マクドネル、ファン・カルロス・パヤノ、エマニュエル・ロドリゲス。バンタム級で井上に撃破されたボクサーたちは、そのほとんどが敗北後、良いキャリアを歩めていません。今の所唯一、王座に返り咲いて評価を得たのはノニト・ドネアのみ。

ジェイソン・マロニーにはここに快勝してもらい、いつか世界王座を手にしてもらいたいものですね。

WOWOWの加入はこちら。今は、衛星放送を契約していなくてもネットのみでも見られます。 

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【プレビュー】カシメロvsリゴンドーは井上尚弥の対戦相手選び。アンダーカードで今後のバンタムを占う。

東京オリンピックも今週末まで。

終われば(いや、終わっていなくても)、またプロボクシングを楽しむ日々がやってきます。

東京オリンピックの閉会、その後パラリンピックがありますが、個人的にはあと田中亮明の行く末を見届け(勿論、ここまできたら金メダルを獲ってくれると期待しています)、そのあとは週末の興行、そして同時並行で来週の興行の事を考えます。

8月、オリンピック後の楽しみはこれに尽きます。

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日本ではお盆まっただなかの8/15、我々にとって大注目のジョンリエル・カシメロvsギジェルモ・リゴンドーの一戦のほか、多くの注目興行が開催されるこの日。

そしてそののちにも控えるスペンスとパッキャオのビッグマッチという楽しみで、この暑い夏を乗り切れるのだと思います。

さて、本日のブログでは、Xデー、8/15の興行のうち、カシメロvsリゴンドーという注目試合をメインに据えた、ショータイム興行のプレビュー記事です。

 

8/14(日本時間8/15)

WBO世界バンタム級タイトルマッチ

ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)30勝(21KO)4敗

vs

ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)20勝(13KO)1敗

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もうこの試合については、誰かさん風にいうと「もはや多くの説明を必要としない」一戦でしょう。3階級制覇王者、カシメロと、2階級制覇王者、リゴンドー。

リゴンドーの持つWBAレギュラーのタイトルがかけられるのかどうかは結局よくわかりませんが、今回の一戦は統一戦となるメリットはお互いにあまりないと思います。

というのも、この一戦は、WBAスーパー・IBF世界バンタム級統一王者である、井上尚弥(大橋)への挑戦権をかけた一戦である意味あいこそ、強いからです。

そのチケットは、WBOのタイトルです。

 

4団体統一を目指す井上は、タイトルを持っていなければ戦ってすらくれません。WBAレギュラーのタイトルは統一戦としては絡んでこないので、いらない。必要なのは、現在カシメロが持つWBOのタイトルのみなのです。

この試合については、幾度となく書いていますが、最新記事はこちら。

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私は、ギジェルモ・リゴンドーを絶対的に応援します。これはカシメロがVADAの件で色々言う前、ずっと前からです。

しかし、やはりカシメロが侮れないのも事実。

カシメロは、前述のとおり3階級を制覇した偉大な王者です。戦ってきた相手も大物揃いで、モルティ・ムザラネ(南アフリカ)、アムナット・ルエンロン(タイ)には敗北しているものの、アムナットにはKOでリベンジ、後の世界王者、チャーリー・エドワーズ(イギリス)には12RTKOで勝利しています。

同胞のジョナス・スルタン(フィリピン)に不覚をとったあとは6連続KO勝利、その中に注目を浴びたゾラニ・テテ(南アフリカ)戦も含まれますが、前戦のデューク・マイカー(ガーナ)戦などは非常に自信を持って戦っており、パンチングパワー、またそのパワーパンチを当てる当て勘に非常に優れています。

 

大方は、リゴンドーが全盛期であれば、カシメロは為す術がない、といいます。

裏を返せば、リゴンドーの仕上がり次第。

リゴンドーが打ち合うようなタイミングを作れば危険ですが、しっかりとポイントをピックアップしつつ、大振りのカシメロに対して適切なカウンターを決められれば、KO勝利もあり得る、というものだと思います。

ただ、リゴンドーにはかつての縦横無尽なフットワークは少なく、おそらく年齢的なものからスタミナも落ち、そしてこれは以前からですが打たれて脆い面もあります。

 

カシメロはどちらかというとぶんぶん振り回してプレッシャーをかけるというタイプではなく、闘い方自体は非常に慎重。距離を測って後ろ荷重のスタイルから一気に踏み込み、オーバーハンドのパンチを当て、チャンスとみるや鬼のように詰めていきます。おそらく距離感は良い。

リゴンドーがカシメロのパワーパンチをかわし続け、序盤からしっかりとポイントをピックアップできるか、が一つの鍵。もしも、カシメロにポイントが流れてしまうようであれば、カシメロもディフェンシブに闘い、カウンターを取られにくい戦法を取る可能性も大いにあります。

 

つまるところは、リゴンドーの戦法と仕上がり、というのが鍵なのですが、もう一つの鍵はカシメロの戦法だと思います。はっきり言ってこれは不確定要素が色々とありすぎて、予想が困難なのではないか、と思います。

こういう予想が困難な試合は非常に楽しみ。ただ、良い試合になるかは話が別。

ただ、リゴンドーが自分の立ち位置をしっかりわかっていれば、無理はしないはずです。

どうかどうか、苦労人リゴンドーに、ビッグマッチの機会を与えてあげてほしい。いや、それは自らの手で掴み取るものか。手を伸ばせば届く所に、その機会はあるはずです。

 

かつて、無理をしてビッグマッチを掴みにいったリゴンドー。減量の「げ」の字もないスーパーバンタム時代に、スーパーフェザー級に無理やり増量してワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)に挑戦しました。

今回は、しっかりと勝てばチャンスが巡ってくる一戦。戦法を間違えず、そして12Rにわたって塩に徹する事のできる心と身体をつくってきてもらいたいですね。

あと、最近またコロナで試合が流れる、というのが散見されるので、無事に開催されることを望みます。

 

セミファイナル

WBA世界バンタム級暫定王座決定戦

ゲイリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)18勝(12KO)無敗

vs

エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)19勝(12KO)2敗

WBC世界フェザー級王者、ゲイリー・ラッセルJrの実弟、アントニオ。弟、アントワンほどの期待はされていないものの、やはりそのボクシングはセンスに溢れ、前戦では難敵パヤノを相手に実力を出しきれなかっただけで、間違いのない実力者だと思います。

そのアントニオは、前戦でファン・カルロス・パヤノ(パナマ)を負傷判定ながら退け、次のテストマッチが元IBF世界バンタム級王者、エマニュエル・ロドリゲス。

このパヤノ→ロドリゲスという流れは、今後、バンタム級プロスペクトたちの王道となり得ます。ここで、ロドリゲスが勝たない限りは。

 

ロドリゲスは、完全に足をつかうスタイルにシフトしたのでしょうか。前戦、レイマート・ガバリョ(フィリピン)戦では、これまでと違い完全なアウトボックスのように思いました。

パンチャー、ガバリョ向けのスタイルだったのか、はっきりとスタイルチェンジしたのかは、この一戦でわかりそう。ただ、あのスタイルで前戦はジャッジの支持を得られなかった(ボクシングファンの支持は得られたものの。。)ことは、もしかするとさらなるスタイルチェンジを要求するものだったのかもしれません。

ロドリゲスがガバリョ戦同様にアウトボックスを敢行するならば、先手をとるのはアントニオか。アントニオのキレのあるジャブ、スピーディーなパンチにカウンターをあわせられるか、というところが焦点となりそうです。

 

もしロドリゲスが、アントニオのパンチに怖さを感じないならば、接近戦も得意なロドリゲスが近い距離で戦おうとする可能性もあります。接近戦ではガードがラフになる可能性もある両者、近い距離では被弾も多くなりそうですが、ともに警戒して遠い距離でお見合いする展開よりもおもしろい展開にはなりそうです。

ともあれ、この実力者同士の一戦も実力は伯仲かと見られ、これもまた興味をそそられるセミファイナルです。

 

セミセミ

バンタム級10回戦

ラウシー・ウォーレン(アメリカ)18勝(4KO)3敗

vs

ダミアン・バスケス(アメリカ)15勝(8KO)2敗

セミセミには、これまた垂涎のバンタム級サバイバル戦。

ファン・カルロス・パヤノと1勝1敗、ザナト・ザキヤノフ(カザフスタン)、ノルディーヌ・ウバーリ(フランス)に敗北を喫しているウォーレンですが、いずれも圧倒的な敗北ではなく、まだまだ実力を有していると思われるバンタム級。

パヤノを破った時に世界王座を獲得しており、肩書としては元WBA世界バンタム級スーパー王者。

対してバスケスは、前戦ではブランドン・フィゲロアの持つWBA世界スーパーバンタム級王座に挑み敗北を喫しており、今回が再起戦。ここ数戦はスーパーバンタム級で戦っていましたが、元々はバンタムの選手ですね。

 

こちらはフィゲロアの他の黒星は、ファン・カルロス・パヤノ。(パヤノ何回出てくるんだ。。。)

これはウォーレンの方が勿論実績において上回るのですが、ウォーレン34歳に対して、バスケスはまだ24歳。

伸びしろということを考えると、圧倒的にバスケスに分があるのです。

ここで、バスケスがウォーレンを倒す事ができれば、バンタム級でも一気にトップ戦線に登れる可能性がある一戦です。(としても、統一志向にあるバンタム級においては、世界挑戦はまだまだ先のはなしでしょうが。)

ともあれ、井上尚弥がスーパーバンタム級にいくのに、順調に考えればおよそあと1年ほどだと思います。井上尚弥がバンタム級を統一するのが既定路線として、すでにその後釜、後継者の争いは始まっているといえるでしょう。

 

今回のメインは、その井上の対戦相手選びの趣が強いですが、セミ、セミセミに至っても今後、日本人ボクサーとおおいにかかわりのある、「バンタム級の今後」を争うボクサーたちが登場します。

これは目が話せない興行ですね。

そのような重要な興行は、我らがWOWOWさんが生中継してくれます。

暑い夏をひときわ熱くしてくれるバンタム級戦、非常に楽しみです。

WOWOWの加入はこちらから 

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今週はイギリス!マイケル・コンランvsTJドヘニーの他、IBF世界フェザー級王座決定戦も。

東京オリンピックでは熱戦が続いています。

開催期間中、ほぼすべての日程で行われるボクシング競技、半分を経過して日本人選手6名の出場に対して、3名が残っています。

これはすごいことですね。(語彙力!)

残りのオリンピックも楽しみですし、個人的にはオリンピック後のアマチュアボクシングの大躍進にも期待しています。

↓五輪の最新記事

boxingcafe.hatenablog.com

 

投稿時、ミスって違う題名が入った状態で投稿されてしまいました。(具体的には、前日の題名が残ってしまっていました。)飛ばした方は是非読んでください。

さて、話は変わりますが、今回のブログは週中~週末の海外戦、注目試合についてです。

8/3(日本時間8/4)

WBA世界ヘビー級挑戦者決定戦

マイケル・ハンター(アメリカ)19勝(13KO)1敗1分

vs

マイク・ウィルソン(アメリカ)21勝(10KO)1敗

この挑戦者決定戦の勝者が、現在のヘビー級トップ戦線に割って入れるか、というとそういう気は一切しません。

ハンターの1敗はクルーザー級の時代、2017年にオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)に黒星をつけられたもので、1分は2019年、アレクサンドル・ポヴェトキン(ロシア)と引き分けたものです。

 

ハンターは間違いなく実力者であるのと同時に、個人的にはあと一歩、届かない感じのするボクサーでもあります。

対戦相手のウィルソンも好戦績の持ち主ですが、こちらもクルーザー級あがりのボクサー。唯一の敗戦は、元王者、デニス・レべデフ(ロシア)に敗北を喫したものです。

前戦は2019年9月ということで、約2年のブランク(ハンターは2020年12月が最新試合)。しかも、これがヘビー級初戦となるようです。

 

果たして挑戦者決定戦、という意味合いをつくれるか、ですが、さすがにハンターとしてはここは負けていられません。ヘビー級タイトルに夢を託すなら、苦戦もだめ。

ここはハンターの快勝を期待します。

この興行は、FITE.TVで無料で見られます。メキシコとかのマイナーな興行もPPVで販売するFITE.TVにとって、これはかなり珍しいことですが、ありがたい限りです。

そういえばA-SIGNの坂井祥紀や松永宏伸のメキシコ遠征、8/20だそうですが、こちらもFITEで生配信だそうです。Youtubeで発表ありましたが、8/20が現地時間なのか日本時間なのかはよくわかりません。

まだFITEのサイトには載っていませんでした。あと、BoxRecも調べたけど載っていませんでした。

 

8/6(日本時間8/7)

WBA世界フェザー級暫定王座決定戦

マイケル・コンラン(アイルランド)15勝(8KO)無敗

vs

T.J.ドヘニー(アイルランド)22勝(16KO)2敗

またここでオリンピックの話題に触れておきますが、このコンランはロンドン五輪、フライ級の銅メダリスト。

リオ五輪では準々決勝でウラジミール・ニキチン(ロシア)に敗北、判定を不服として中指を突き立て、話題となってしまった選手です。

その後、プロボクサーとしては順当に勝ち上がり、前述のニキチンにもリベンジ。前戦ではイヌオット・バルタ(ルーマニア)に辛勝でやや評価を落としたかもしれませんが、歴としたアマエリート、そして人気も非常に高いそうです。

「負けにくい」ボクシングをするコンラン、実は個人的にはあまり魅力のある選手に思えません。しかし一時、コンランvsアイザック・ドグボエ(ガーナ)なんていうカードが取り沙汰されたときは興奮しましたが。。。

 

結局相手は同国人のテレンス・ジョン・ドヘニーに落ち着いています。

岩佐亮佑(セレス)からベルトを奪ったドヘニーですが、その後ダニエル・ローマン(アメリカ)に敗北。前戦では、前述のイヌオット・バルタに敗北し、そこからの復帰戦です。

「パワー」という愛称を持つドヘニーですが、目を引くのは「パワー」でなくやりづらい「テクニック」のほう。ただ、テクニック勝負となるとコンラン優位は揺るぎません。

 

しかしコンラン、本当に丁度良い相手を見つけてきますね。

人気選手だけに、ファイトマネーも多く、相対して対戦相手のファイトマネーも上がる。これにより、自分と戦いたい相手と戦える、という優位性を持っています。

コンランは、こんなところでコケていられません。前戦を払拭することができるか、それともドヘニーが意地を見せるのか。

ちなみに、アンダーカードでは、バンタム級の新鋭、10勝8KO無敗のリー・マクレガー(イギリス)が登場します。

井上尚弥に憧れを抱くマクレガー、前戦は強敵・カリム・ゲルフィ(フランス)を1Rにカウンターで粉砕。今回は、32勝(17KO)無敗の戦績を誇るビンセント・レグランド(フランス)を迎えます。

マクレガーは未来の王者候補、ここもまた快勝を願いたいですね。

この興行は、ESPNで配信されます。日本での放映はありません。

【追記】

日本での配信はなかったのですが、FITE.TVでPPVを購入できるようになっていました。

FITE.TVはこちら 

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

8/7(日本時間8/8)

IBF世界フェザー級王座決定戦

キッド・ギャラハッド(イギリス)27勝(16KO)1敗

vs

ジェームズ・ディケンズ(イギリス)30勝(11KO)3敗

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2009年にプロデビューしたギャラハッドは、2019年にジョシュ・ウォーリントン(イギリス)の持つIBF王座へ挑戦。これは非常に接戦の末、スプリットの判定でタイトルを逃しました。

ディケンズは2011年にプロデビュー、2016年にギジェルモ・リゴンドー(キューバ)の持つWBA世界スーパーバンタム級王座に挑戦、敗退。2020年にはWBOのヨーロピアンタイトルをリー・ウッド(イギリス)と争い勝利しています。

このリー・ウッドは、先日中国のシュ・ツァンを攻略してWBAレギュラー王座に就いたボクサーですね。

ギャラハッド、ディケンズ両者は2013年に拳を交えており、その際はギャラハッドが10RTKOで勝利しています。その時から約8年、その時と同じかというとそうではありません。

 

どちらが衰えているとかもなく、31歳のギャラハッドと30歳のディケンズは、ともにプライムタイムを迎えているのかもしれません。

ともに、ここを逃すとチャンスは限りなく狭くなります。

これは熱戦が期待できるシチュエーション。

このタイトルを保持していたジョシュ・ウォーリントンは、王座返上後、マウリシオ・ララ(メキシコ)を相手に不覚をとりました。しかし、まだこのフェザー級のランキングに名を残しています。

ウォーリントンがララとの再戦を制すことができれば、またこのタイトル戦に絡んでくることも考えられますね。

 

WBAレギュラーは王座交代劇、WBAスーパー王座はレオ・サンタ・クルス(メキシコ)のまま、WBCは防衛戦の数が少ないことも相まって超安定王座のゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)、そしてWBOはエマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)。

そこに名を連ねるのは、ギャラハッドか、ディケンズか。そして国内最強を証明した、清水聡は、どのタイトルへ向かうのか。非常に楽しみです。

アンダーカードには、11勝10KO無敗の英国ヘビー級プロスペクト、ファビオ・ウォードリーも登場です。今回も豪快なノックアウトを見せてくれるのでしょうか。

この興行は、DAZNで生配信。実際は週末の海外戦はこれが一番興味深い。

DAZN

 

WBA世界ウェルター級暫定王座決定戦

コーディ・クロウリー(カナダ)19勝(9KO)無敗

マイカル・フォックス(アメリカ)22勝(5KO)2敗

vs

ガブリエル・マエストレ(ベネズエラ)3勝(3KO)無敗

この試合は、FOXが中継するイベントのメインで行われる予定でしたが、クロウリーにコロナ陽性反応が出て中止となっているようです。(この記事を書いている時に知りました。。。)

ガブリエル・マエストレ、わずか4戦目で暫定とはいえ王座に統一なるか、という楽しみな試合だっただけに残念です。

対戦相手を探している、というのが最新のニュースですが、この期間の代役挑戦者ではなかなか期待はできそうにありません。

※8/6追記

クロウリーの代役は、マイカル・フォックス。前戦で敗北を喫しているボクサーで、戦績こそ立派ではありますが急遽の代役であることも含めて、あまり期待できるボクサーではありませんね。ここはマエストレは快勝しなければならないところです。

 

ちなみに、このマエストレはロンドン、リオのオリンピックに2大会連続出場、32歳でプロデビューしたオールドルーキー。(デビュー戦の2週間後には33歳に。)

現在は35歳という年齢で、アマ出身なのにパンチの強さを競い合うようなボクシングを見せています。

今回、このFOXが中継する興行に出場するかどうかはわかりませんが、非常に面白いボクサーですね。

ただ、唯一の救いとしては、この興行のアンダーカードにリトアニアの倒し屋、エイマンタス・スタニオニス(13勝9KO無敗)が出場することでしょう。

前戦で世界挑戦経験者、トーマス・デュロルメ(プエルトリコ)との激闘を制し、今回の相手は元王者、ルイス・コラーゾ(アメリカ)。

 

スタニオニスは、一応前戦でWBAの指名挑戦権をかけて戦っており、指名挑戦権を有しています。ここでベテランの元王者を降し、タイトル挑戦に勢いをつけたいのでしょうね。

もうマエストレvsスタニオニスで暫定王座戦でいいんじゃ。。。とか思ってしまいますが、いろいろとあるのでしょう。その場合、コラーゾも可哀そうですし。

ともあれなかなかトップが決まらない、大人気階級ウェルター級。次世代のボクサーの台頭も楽しみですね。

この試合はFOXなので、日本で見ることはできません。

 

ということで、週中〜今週末の海外戦のプレビューでした。まあでも、今週はまだまだオリンピックですね。

そして今週を過ぎれば、来週末はいよいよお盆。

「県をまたいでの移動を控えろ」と言われているので、またも実家には帰れそうにありませんが、ボクシングイベントは非常に興味深いものが出揃っています。

boxingcafe.hatenablog.com

そしてその翌週はラキモフvs尾川、スペンスvsパッキャオ。ボクシングファンに夏休みはありません。体調だけは気をつけましょうね。

 

8月はWOWOWがアツい。8月、国内外ボクシング、配信中継まとめ。

8月!プロボクシング興行の配信&放送予定です。

暑い日が続きますが、熱中症に気をつけてボクシング観戦楽しみましょう。

 

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【国内編】

8/2(月)

ホープフルファイト 日本SB級TM 古橋岳也vs花森成吾

ツイキャスで生配信。3,000円です。

8/4(水)

ザ・グレイテストボクシング 中嶋憂輝vs大保龍斗

8/8(日)

中日本新人王決勝

sakanaさんのYoutubeチャンネルで生配信

INFNITY一丸

Boxing Raiseで録画配信

CRASH BOXING 奥本貴之vs仁平宗忍

BOXING REALで生配信。14:00〜

 

8/9(月)

東日本新人王(12:00〜)
東日本新人王(18:00〜)

8/10(火)

オーバーヒート・ボクサーズナイト ジロリアン陸vs橋本祐二

Boxing Raiseで録画配信

8/11(水)

REAL SPIRITS 多田悦子vs望月さな

BOXING REALで生配信?17:15〜

8/12(木)

ダイヤモンドグローブ 日本L級TM 吉野修一郎vs仲里周麿

フジテレビで録画配信(8/15・AM3:00〜) FOD、TVerで録画配信(8/16・15:00〜)

8月、国内ボクシングはお盆前までですね。今のところやや配信等も少ないですが、残りはBOXING RAISEさんが配信してくれるかもしれません。

配信スケジュールが出たら追記しておきます。(出ました。8/6追記)

 

【海外編】

※以下、全て日本時間

8/1(日)

WBA世界Fe級TM シュ・ツァンvsリー・ウッド

DAZN で生配信

8/4(水)

WBA世界H級挑戦者決定戦 マイケル・ハンターvsマイク・ウィルソン

FITE.TVで生配信。なんと、こちらは無料で生配信。

誰も有名選手が出ない興行でもPPVだったりするFITE.TVですが、これは驚きです。

折角なので見てみようかと思います。

 

8/7(土)

マイケル・コンランvsTJドヘニー

日本での配信はなし、と思っていましたが、FITE.TVでPPVを購入できるようです。

1,220円です。 

8/8(日)

IBF世界Fe級王座決定戦 キッド・ギャラハッドvsジェイムズ・ディケンズ

DAZN で生配信

WBA世界W級暫定王座決定戦 ガブリエル・マエストレvsマイカル・フォックス

FOXで生配信(日本での放映なし)

8/15(日)

WBO世界B級TM ジョンリエル・カシメロvsギジェルモ・リゴンドー
WBA世界B級暫定王座決定戦 ゲイリー・アントニオ・ラッセルvsエマニュエル・ロドリゲス

WOWOWで生中継

 

WBA・IBF・WBO世界L級TM テオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソスJr

FITE.TVで生中継。PPVです。色々な所のスケジュールに載っているので、載せておきますがこれは延期のはず。

ジョシュア・ブアツィvsリチャード・ボロトニクス

DAZN で生配信

WBA世界SF級TM ジョシュア・フランコvsアンドリュー・マロニー

ESPNで生配信(日本ではWOWOWが9/6に放送)

バージル・オルティスJr.vsエギディウス・カバラウスカス

DAZNで生配信

8/20(金)

IBF世界Fe級王座決定戦 尾川堅一vsシャフカッツ・ラキモフ

WOWOWで生中継※延期になりました。

8/22(日)

WBAスーパー世界W級TM ヨルデニス・ウガスvsマニー・パッキャオ

WOWOWで生中継

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8/29(日)

デビッド・べナビデスvsホセ・ウステカギ

Showtimeで生配信(日本ではWOWOWが9/20に放送)※延期になりました。

さすがのWOWOW!8月加入で一ヶ月無料とすれば、お盆の大注目バンタム級戦、尾川堅一の世界挑戦、そしてスペンスvsパッキャオまで見れますね。これは楽しみだ。

国内はお盆まで、そしてお盆からは海外戦。

学生さんたちは夏休み、大学の部活もないのですが、私は国体の地域予選もあってこのくそ暑い中大変なんですが、ボクシング興行楽しみましょう。

国内は、オリンピック後、感染者が増えて云々と言い出すのでしょうが、個人レベルでいうと自分たちができることをやっていく、ということしかありません。

今後もおそらく、試合の中止やら延期、ボクサーたちにとって大変な日々が続くのでしょうが、そんな中で頑張るボクサーたちを精一杯応援していきたいと思います。

wowow

 

シュ・ツァン登場のDAZN、国内戦は日本スーパーバンタム級TM、古橋vs花森!週末から来週にかけてをプレビュー。

連日、ニュースを賑わす東京オリンピック。

テレビをつけることはほとんどありませんし、ボクシング以外の競技を見ているか、と言われれば全然見ていないのですが、ネットを開けば次々とメダル獲得のニュースが出てくる分、注目度がわかりますね。

東京オリンピック・ボクシング競技については連日にわたり、日本人ボクサーが登場しており、非常にありがたい。

トーナメントは、勝ち進むにつれてその争いも熾烈になっていきますので、今後も要注目です。

さて、この東京オリンピックに沸く今週末~来週にかけても、国内外では(数こそ少ないながら)注目イベントがあります。

今回のブログでは、今週末~来週にかけての国内外のボクシング興行をプレビューです。

 

7/31(日本時間8/1)イギリス

WBAコンチネンタル・ウェルター級タイトルマッチ(※中止)

コナー・ベン(イギリス)18勝(12KO)無敗

vs

アドリアン・グラナドス(メキシコ)21勝(15KO)8敗3分1NC

※この記事をアップする直前にベンがコロナ陽性反応にて中止の報。そのまま載せておきますが。残念です。尚、セミファイナルだったシュ・ツァンvsリー・ウッドをメインとして挙行されるようです。

 

「ダーク・デストロイヤー」ナイジェル・ベンの息子にして、英国のプロスペクト、「デストロイヤー」コナー・ベンが登場です。

世界王者を嘱望されるベンは、前戦でサミュエル・バルガス(コロンビア)、その前にセバスチャン・フォルメラ(ドイツ)を降しており、一つ一つ課されたテストをクリアしていっている、という状況です。

今回のグラナドス戦もその流れを組むようなマッチメイクで、もうそろそろ大きな勝負をかけても良いのではないか、とも思いますが。

フォルメラはショーン・ポーターと戦い、バルガスはエロール・スペンスJr、ダニー・ガルシア、アミール・カーン、そしてバージル・オルティスJrと戦い、それぞれ敗れています。

 

そして今回のグラナドスは、エイドリアン・ブローナー、ショーン・ポーター、ダニエル・ガルシア、ロバート・イースターJrと戦い、敗れています。

世界タイトル戦こそ経験していないものの、世界のトップと戦ったボクサーをしてキャリアを積ませるのは実力も測れ、歓迎なのですがこのグラナドス戦で卒業なるか、というところ。次は元王者あたりを相手にしてもらいたい。

さて、グラナドスは上記の通り、歴戦の雄。8敗していますが、実はKO負けは一度のみ、相手はダニー・ガルシア。

ここでベンが衝撃的なノックアウトを飾ることができるのであれば、一気に評価を高めることができるのかもしれません。

しかし、グラナドスは心身ともにタフで、おいそれと倒せるようなボクサーではありません。敗北した戦いにおいても、とにかく接戦が多い。

 

ベンはここで停滞したくないですね。

ベンが良い勝ち方をして、より高みへ上がってくれることを期待しています。

WBA世界フェザー級タイトルマッチ

シュ・ツァン(中国)18勝(3KO)2敗

vs

リー・ウッド(イギリス)24勝(14KO)2敗

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やや陰の薄い王者、ツァン。2019年1月に獲得した王座は、同年5月に久保隼(真正)を相手に初防衛、その後同年11月にマニー・ロブレス(アメリカ)を相手に2度目の防衛に成功しています。

KO率が示す通り、パワーレスではあるものの、旺盛な手数と無尽蔵なスタミナ、回転力のある連打を武器にしてこのふたつの防衛戦を完勝。

 

コロナ禍の中では試合がなく、1年半以上ぶりのリングですが、自身のインスタに上げた動画(シルバーのお盆?にパンチを速く当てる動画)がバズっていましたね。

ロブレス戦では、ロブレスのカウンターを浴びても臆することなく立ち向かい、その旺盛な手数でカウンターをとる暇を与えず、得意の打撃戦に持っていきました。

自分のスタイルを確立しているボクサーは強い。ぱっと見化け物じみた何かを持っているわけではありませんが、このツァンの愛称は「モンスター」。手数とスタミナという一点突破で世界王者となった彼は、ある種のモンスターなのかもしれません。

そして挑戦者のリー・ウッドは、アマキャリアを経て2013年にデビューした32歳。2014年にギャビン・マクドネル(イギリス)にTKO負け、前々戦でジェームズ・ディケンズ(イギリス)に判定負けを喫しています。このWBOヨーロッパタイトルでの惜敗のあと、BBBofCのタイトルをかけて無敗のプロスペクト、リース・モウルド(イギリス)と戦い、ベテランの意地を見せて9RTKOで勝利、今回のチャンスをつかみました。

 

サイドにまわりつつ、中間距離で戦うことを好むアウトボクサーよりのスタイル。スイッチも器用にこなし、追いかけてくる相手をいなしつつカウンターを決めるのが得意のようです。

ツァンとウッド、正反対といっても良いスタイルなので、ツァンの土俵にウッドが引き込まれてしまえばツァンの勝利は固いですし、ツァンを完封できればウッドに勝利の女神がほほ笑むでしょう。

これは意外とおもしろいマッチアップです。

 

ちなみに、フェザー級、というと日本人で最も世界に近いのは清水聡(大橋)。もしこのツァンと清水が戦えば、一発の破壊力は余裕で清水、連打の回転力は余裕でツァン。これもまたおもしろい。

このマッチルーム興行は、DAZNで生配信。イギリスでの興行なので、メインは日本時間8/1(日)の朝早い時間です。

 

8/2(月)ホープフルファイト

日本スーパーバンタム級タイトルマッチ

古橋岳也(川崎新田)27勝(15KO)8敗1分

vs

花森成吾(JBスポーツ)7勝(5KO)3敗

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2021年1月、下馬評不利の中で久我勇作(ワタナベ)を倒し切って、見事日本タイトル初戴冠を果たした古橋。ダメージを心配されるほどの大激闘でしたが、あれから半年以上の期間も空き、そのあたりも心配いらないとは思います。

2007年デビュー、翌年に全日本新人王となりながらも長い長い雌伏のとき。この虎の子の王座の初防衛戦で、23歳の新鋭、花森を迎えます。

花森は前戦、A級初戦で水谷直人(KG大和)を倒してランクイン、すぐさま日本王座挑戦のチャンスをものにしました。

 

二人の間には大きなキャリアの差があり、順当にいけば古橋の勝利は揺るぎません。初防衛戦ということもあり、正直安全な相手を選んだ、とも言えます。

下馬評不利は当たり前、そこを花森はひっくり返せるか。キャリアの浅い花森だからこそ、伸びしろは誰よりもあるはずです。好試合が続く日本タイトル戦、気持ちのこもった熱戦に期待します。

この興行は、ツイキャスで有料生配信。3,000円だそうです。

8/4(水)グレイテスト・ボクシング

フライ級8回戦

中嶋憂輝(角海老宝石)4勝(4KO)1敗1分

vs

大保龍斗(横浜さくら)12勝(4KO)5敗1分

 

芦屋大出身の元トップアマ、中嶋と、プロたたき上げの大保のランカー対決。中嶋は現OPBF東洋太平洋バンタム級王者、「鬼ぃ」こと中嶋一輝(大橋)の実弟です。

勝ち星がすべてKO勝ちというハードパンチを武器とする、好戦的なボクサーです。

大保もKO率は高くないものの好戦的なファイタータイプ、非常に噛み合う、激戦となる予感の一戦です。

大保は2019年5月、この度世界へ挑む矢吹正道(緑)にTKO負けを喫して以来のリング、2年以上のブランクで強敵を迎えることとなります。さらに、階級をライトフライ級からフライ級にアップ、若干の不利予想は否めません。

 

プロでのキャリアに勝る大保がここで叩き上げの意地を見せ、フライ級でランクインするようならおもしろい。

とはいえ、どうしても、今はオリンピック。このブログを書いている時(7/28)は、入江聖奈がメダルを確定させました。

入江はあと2勝で、金メダル。

そして他のボクサーたちは、7/28現在、まだ2回戦を突破していない(ほとんどが行われていない)のですが、ホームアドバンテージ、そして初戦の勝ち方、勝った相手を見ると、始まる前よりも確実に期待値が上がっています。

オリンピック、そして並行してのプロボクシング。忙しい日々が続きますね。(嬉しい悲鳴)

 

Xデーは8/15。カシメロvsリゴンドーほか、日本時間8/15の海外興行まとめ。

7月の海外興行は、非常に落ち着いていますね。

逆に国内は熱く、先日行われた日本スーパーライト級ユースタイトルマッチ、そしてこのブログがアップされるときに行われている日本フライ級タイトルマッチ等々、その他にもユース戦やタイトル戦で本当に盛り沢山。

ありがたいのは、その多くがインターネットを使って見られることです。

7/21(水)の注目興行、日本フライ級タイトルマッチについても、ひかりTVで生中継、dTVチャンネルで生配信ということで、こちらは前座から全ての試合を見せてくれます。

 

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

一昔前、というか2年くらい前はこんな状況は考えられませんでした。

地方ファンにとっては、注目の国内興行は関東ローカルが当たり前であり、WOWOWやDAZNで流してくれる海外戦の方が気持ちの距離が近いくらい。

これでは日本でボクシングを始めよう、という人なんて増えなくて当たり前。

しかし今ではA-SIGNをはじめ、真正ジム興行は興行主がYoutubeでの配信を開始、テレビ大阪も地上波では流さないもののYoutubeチャンネルで配信、後を追うようにしてフジボクシングもVODを利用すれば地方民でも見ることができるようになっています。

 

日テレG+は以前からダイナミックグローブを中継、録画放送してくれていますが、この流れに乗るならケーブルテレビやスカパー!等の環境がない人にも届くようになってもらいたい。WOWOWは、テレビの契約がなくても見れるようになったみたいです。後はG+がそうなれば、私はテレビ自体を解約します。

という、後半はただの願望なわけですが、今やどこにいてもプロボクシングが見れる時代。本当にありがたい。

逆にいうと、見たい試合が時間的に被り、プラットフォームも多岐にわたっている為、同時視聴も珍しくない昨今。本日のブログでは、ボクシングファンを困らせる、次回の「同時視聴必至」の日、日本時間8/15のエックスデーについてです。

 

8/15(日本時間)

その1.マッチルーム興行①

WBAインターナショナルライトヘビー級タイトルマッチ

ジョシュア・ブアツィ(イギリス)vsリチャード・ボロトニクス(ラトビア)

ライトヘビー級プロスペクト、ブアツィの地域王座の防衛戦。14勝(12KO)を誇るブアツィは、非常にアグレッシブでいてそのパンチにはスピード、キレが素晴らしく、早く世界戦線に上がってきてほしいボクサーの1人。

現在9連続KO中、そろそろ本気のテストマッチが見たい。。。ですが、このボロトニクスではその力は測れません。

ブアツィには良い形でKO勝利を決めてもらい、次戦につなげてもらいたいところです。

 

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

この興行はイギリスなので、日本時間では早朝に行われる予定。なので他の興行とは被りません。DAZNで配信だと思いますが、今のところDAZNジャパンのスケジュールには入っていません。

やるかな?やらないかな?ちなみに、日本DAZNで見れなくても、VPNを使えばどこかの国のDAZNで視聴可能です。

DAZN

 VPNについてはこちらの記事で書いています。

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そして、問題はここから。

その2.ショータイム興行

WBO世界バンタム級タイトルマッチ

ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)vsギジェルモ・リゴンドー(キューバ)

WBA世界バンタム級暫定王座決定戦

ゲイリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)vsエマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)

バンタム級10回戦

ラウシー・ウォーレン(アメリカ)vsダミアン・バスケス(アメリカ)

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このショータイム興行は、WOWOWで生中継。カシメロvsリゴンドーという一戦は、井上尚弥(大橋)の次期対戦相手が決まる可能性が大きいので、日本においても大注目の一戦です。

そしてセミファイナル、セミセミも大注目のバンタム級戦、もう日本人のためのボクシング興行と言っても過言ではありません。

アメリカでは不人気と言われる軽量級、そのボクサーたちを一同に集めた、このバンタム級興行、最も目立つボクサーは誰なのか。

 

アントニオ・ラッセルも、世界王者を嘱望されているボクサーで、前戦ではいつの間にやらバンタム級の門番たる役目となったファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を負傷判定ながら撃破、次の門番、マニー・ロドリゲス戦。

ただ、やはり日本のボクシングファンとしては、不遇の元王者、ロドリゲスにがんばってもらいたいですね。

いずれにしろ、我々としてはこのショータイム興行が、この日最も見逃せない興行。

この興行は、WOWOWが生中継!WOWOWへの加入はこちらから。

wowow

その3.トップランク興行

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ

ジョシュア・フランコ(アメリカ)vsアンドリュー・マロニー(オーストラリア)

バンタム級10回戦

ジェイソン・マロニー(オーストラリア)vsジョシュア・グリア(アメリカ)

スーパーライト級10回戦

アーノルド・バルボサJr(アメリカ)vsアントニオ・モラン(メキシコ)

※モハメド・アリの孫、ニコ・アリ・ウォルシュのデビュー戦もある予定。

 

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そして同様に、井上尚弥戦からの復帰戦を戦う、ジェイソン・マロニーが登場する興行も、ファンは注目。

こちらは日本ではリアルタイムでは見れなさそうなので、後日、WOWOWのレギュラー放送でディレイ放送されると思います。

 

メインはフランコvsマロニー弟の3戦目。2戦目、疑惑のノーコンテストとなってしまったことを受け、ダイレクトリマッチが決まりましたが、両者があのままなら今度はマロニーが完勝し、王座返り咲きを果たすということが順当か。

セミファイナルにマロニーvsプロスペクトのジョシュア・グリア。グリアは大事なところでポカをやらかしてしまっていて、能力は高いながらも既に底が知れているとも言えます。マロニーにとっては、世界戦線に復帰するには良い形で勝利を収めなければならない相手。

好漢、マロニーブラザーズの完勝を期待します。

 

その4.マッチルーム興行②

WBOインターナショナル・ウェルター級タイトルマッチ

バージル・オルティスJr(アメリカ)vsエギディウス・カバラウスカス(リトアニア)

前戦、モーリス・フッカー(アメリカ)を倒して手に入れたWBOインターナショナル王座の防衛戦に挑むオルティス。

信太的オルティス讃歌はこちら

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17戦全勝全KOというウェルター級の夢、バージル・オルティスJr。まだまだ荒いところはあるものの、やはりそのパワー、フィジカルの強さ、アグレッシブなスタイルは魅力たっぷり。

そして今回も強豪、カバラウスカス。

一つの注目点としては、このカバラウスカスを相手にして果たしてクロフォードよりも早く倒せるのか。是非ここは早い回でノックアウトし、オルティスなら或いは。。。とファンに思わせるような試合をしてもらいたいです。

PFPキングの一角、テレンス・クロフォードは10月の試合を最後にトップランクを離脱します。そうすれば、このオルティスも挑戦しやすくなるかもしれません。

 

ぜひぜひ、このオルティスにはクロフォード戦に辿りついてもらいたいものです。

強敵相手でも、負けはおろか苦戦もしないでもらいたいですね。

 

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この興行は、DAZNで生配信。DAZNはこちらから。

DAZN

 

その5.トリラー興行

WBAスーパー・IBF・WBO世界ライト級タイトルマッチ

テオフィモ・ロペス(アメリカ)vsジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)

これは6月にやる予定だった試合でしたが、8月に延期。しかし10月に再延期という話も出ています。未だ正式な延期発表はないので、とりあえず載せておきます。

もともと井上尚弥vsマイケル・ダスマリナスの試合と被る予定だったこの興行ですが、延期してもこんな渋滞日に。

この次の日程は10/17という日程がピックアップされており、この8月興行はアメリカ開催ですが、10月の場所はオーストラリア、シドニーが有力だとか。

 

ここでロペスがオーストラリア開催に難色を示し、IBF王座剥奪もやむなし、と言っているようで、実際この試合が挙行されるかどうかはまだ分かりません。

この試合に関しては、どうなることやら。

この試合は、日本ではFITE.TVというアプリでPPV視聴できます。私はすでに購入してあるんですけど、開催されない場合は返金があるのでしょう。

 

↓延期前の記事

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テオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソスJrについては、この日程で開催される可能性は少なそうです。つまりは、WOWOWのバンタム級興行と、DAZNのオルティスvsカバラウスカスがバッティングするだけ、なのかもしれませんね。

個人的には、ESPNも見れるようにしてあるので、こちらもモロ被り。

加えて、この日はお盆。

家族を持つ人たちは、私も含めて、のんびりボクシングを見ている余裕はなさそうなのです。(←これが一番の問題)

Xデーは、すぐそこ。

 

それまでに多くの家族サービスと妻のご機嫌取りを行った上で、リアルタイムで観戦できるようになると良いですね。このXデーの戦いが始まる前に、我々の戦いは始まっています。

ともに、がんばりましょう笑

 

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