信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【プレビュー】マイキー・ガルシアvsマーティン!WBO世界Lフライ級王者エルウィン・ソトも登場。

先週末は、想像以上の大激闘となったWBC世界ヘビー級タイトルマッチ、タイソン・フューリーvsデオンテイ・ワイルダー。

結果的には予想通り、フューリーがTKO勝利となりましたが、ワイルダーの想像以上の根性により、一進一退の好ファイトとなりましたね。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

そしてこの週末も、注目興行があります。

まずは現地時間10/15(金)に予定されるナバレッテvsゴンザレス。

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

先日までFITE.TVのPPVで見れる予定だったのですが、本日10/13にサイトを見たら外れていました。VPNをアメリカ、イギリスに設定して試してみましたが、出てきませんでしたので、FITEでの配信をやめてしまったのかもしれませんね。。。

なのでWOWOWを楽しみに待ちましょう。

 

そしてもう一つ、翌日の現地時間10/16(土)に行われる、マイキー・ガルシア登場のDAZN興行です。

今回のブログでは、マイキー・ガルシアの1年半以上ぶりのリング登場、そして軽量級を語るに重要なアンダーカードのプレビュー記事です。

10/16(日本時間10/17)アメリカ

メインイベント

ウェルター級10回戦

マイキー・ガルシア(アメリカ)40勝(30KO)1敗

vs

サンドール・マーティン(スペイン)38勝(13KO)2敗

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マイキー・ガルシアのデビューは2006年。もう40戦以上を経験している、息の長いボクサーですね。

今年34歳になるボクサーですが、まだまだ衰えとは無縁の存在だと思います。

2013年1月にWBO世界フェザー級王者となったことを皮切りに、同年11月、WBO世界スーパーフェザー級を制して2階級制覇します。

しかしその後、当時契約していたトップランクを提訴、試合が組まれない状況が続いてしまいます。それが和解となってFAとなり、リング復帰した時には2年半ものブランクを作ってしまっていました。

復帰後は2戦目でWBCライト級王座を獲得、4戦目でIBF世界スーパーライト級王座を獲得してあっという間に4階級制覇。ちなみに3戦目もWBCスーパーライト級のダイヤモンド王座戦で、エイドリアン・ブローナー(アメリカ)を相手に勝利を得ています。そういえばブローナーはまた逮捕されたそうですね。

 

その後はまたライト級でリングに上がり、IBF王者ロバート・イースター(アメリカ)との統一戦を制してライト級2冠統一王者となります。

そしてその次の試合、ライト級からは一気に2階級を上げてエロール・スペンスJr(アメリカ)に挑戦、ここは速く、大きいスペンすに届かず、フルマークの判定負けを喫します。

ここでようやく初黒星となったガルシアですが、2020年2月、復帰戦でWBC世界ウェルター級ダイヤモンド王座をジェシー・バルガス(アメリカ)と争い、僅差の判定勝利。

このコロナの間、ニュースの写真で見たガルシアはかなり大きくなっていました。いや、太っていた、という方が正しいかもしれません。

 

元々フレームがかなり大きいのかもしれませんが、どんどんと階級を上げてきたガルシア、世界王者となって以降は勢力的にリングに上がっている、とは言いづらいですね。

美しいノックアウトパンチャーだったガルシアですが、2017年にライト級で戦って以降、KO勝利には恵まれていません。これは対戦相手が大きくなっていくに従って、というところであり、いわゆる階級の壁。決してガルシアが衰えた訳ではない、と思っています。

このガルシアは、本当に美しく、個性的な右ストレートを持っています。あのただ棒を伸ばしたような予備動作なしの美しい右ストレートは、見ていて本当に惚れ惚れしますね。

 

そしてその右を当てる距離感に優れているガルシア、久々のKO勝利が見たいものです。

さて、対戦相手のサンドール・マーティン。

この2011年プロデビューのスペイン人ボクサーも、非常に立派な戦績を持っていますね。ただ、世界レベルか、といえばそうでもありません。獲得したタイトルはヨーロッパの地域タイトルに留まります。

2017年9月に(イバン・バランチェク、ロランド・ロメロと世界タイトルを争った)アンソニー・イギット(スウェーデン)に判定負けを喫して以降、9連勝中。

 

前戦も2021年4月に戦っており、今回はビッグネーム・マイキー・ガルシアとの一戦ということでかなりモチベーションは高いのではないでしょうか。

ガルシアは久々の試合で、調整ぶりが不安なところではありますが、ここは難なく勝利を手にしてもらいたいものですね。

セミファイナル

WBO世界ライトフライ級タイトルマッチ

エルウィン・ソト(メキシコ)19勝(13KO)1敗

vs

ジョナサン・ゴンザレス(プエルトリコ)24勝(14KO)3敗1分

 

セミファイナルには、京口紘人(ワタナベ)との統一戦の噂のあったエルウィン・ソトが登場です。

今年に入ってから(だったと思いますが)マッチルームと契約したソトは、マッチルーム初戦で高山勝成(寝屋川石田)を迎えて防衛戦。

手数も運動量も多い高山に対して強打で対抗し、9RTKOで勝利して3度目の防衛に成功しています。

↓しかもカネロの前座で全世界にアピール!

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下から2番目という軽量級ながら、ノックアウトを狙って強打を撃ち放っていくメキシカンスタイル、非常にエキサイティングな王者ですね。

2019年6月、アンヘル・アコスタ(プエルトリコ)を最終回TKOで降し、世界初戴冠したソトですが、防衛戦はなかなかの苦闘続き、あまり良いパフォーマンスは見せられていないような気もします。

 

いずれにしろ、まだ評価が定まらない王者、という印象で、アコスタ戦を超えるパフォーマンスを期待したいものです。

挑戦者のジョナサン・ゴンザレスは、2度目の世界挑戦となります。

2019年8月、田中恒成(畑中)のもつWBO世界フライ級タイトルへ挑んだゴンザレスは、田中を苦戦させた、と言っても良いでしょう。一応、微妙なものでしたが田中からダウンを奪ってもいます。

あの頃の田中はまだまだ非常にムラがあり、あの日はなぜだかあまり手数も出ませんでした。それがゴンザレスの巧さなのかもしれませんが、今度のソトは手数が減ることがなさそうな気もします。

ゴンザレスに頑張ってもらいたい、とも思いますが、田中戦で見せたあの打たれ脆さは、ファイタータイプであるソトに対しては相性は良くなさそうです。うまく距離で捌ければ良いですが、それもまた、難しそうです。

 

ライトフライ級10回戦

ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)13勝(9KO)無敗

vs

ホセ・アレハンドロ・ブルゴス(メキシコ)18勝(15KO)4敗1分

世にも珍しい(?)アメリカのライトフライ級プロスペクト、ジェシー・ロドリゲス。このボクサーは帝拳プロモーションと契約しています。これはなかなか好判断だと思います。

非常に整ったボクシングをするロドリゲス、いかに「帝拳」という感じがするボクサーでもあります。軽量級が盛り上がる日本のリングで、このロドリゲスを見れる日が来るかもしれません。21歳のサウスポーの才能に疑いはなく、ライトフライ級ランキングを眺めてみても、非常に驚異、だと思いますね。

 

そして今回は、WBAレギュラー王者のエステバン・ベルムデス(メキシコ)に挑戦予定でしたが、WBAがこの試合を承認しなかったために破談となったようですね。WBAは王者削減を目指しており、レギュラー王者のベルムデスに対してはスーパー王者、京口紘人との団体内統一戦をオーダーしていました。今後、京口vsベルムデスが再度締結に向けて動き出す可能性はありますね。

ということで割りを食ったロドリゲスは、今回は残念ながら無冠戦。

ブルゴスの戦歴を見ると、ここ4戦(2020年1月のジョシュア・フランコ戦以降)で1勝2敗1分と振るわず、ロドリゲスにとっては調整試合の相手です。いずれにしろ、ベルムデスが降ろされてからの相手なので、ブルゴスにとってはオーダーも急だったことが予想されます。

 

ここはロドリゲスに圧倒的な力の差を見せつけて勝ってもらわなければいけません。日本中に「京口、矢吹、拳四朗、危うし」と戦慄が走るような圧勝劇を期待します。

ということで、今回のブログは10/16(日本時間10/17)に行われるマッチルーム興行のプレビュー記事でした。

DAZNで生配信です。

↓DAZNへの加入はこちらから

 

DAZN

 

先日、WOWOWがアツい!という記事を書きましたが、今後、DAZNもアツい。

フューリーへの挑戦権をかけて、ディリアン・ホワイトvsオット・ワリンもありますし、11月に入ってもハイメ・ムンギアvsガブリエル・ロサド、デメトリアス・アンドレーデvsジェイソン・クイッグリーが控えています。

今後のボクシングも楽しみですね!

 

【プレビュー】エマニュエル・ナバレッテvsゴンザレス!セミセミにはエスキバ・ファルカンも登場。

なんだかTwitterでは未だに寺地拳四朗vs矢吹正道について話題なんですね。。。人と人が罵り合う様は見るに堪えません。(基本的にそういう話題だと思ったら読まないようにしていますが)

私はこう思う、とそれぞれが発信するのは良しとしても、それぞれのファン同士が自分と意見の違う相手を貶め合うのはいかがなものか。

それこそ、死力の限りを尽くして戦ったそれぞれのボクサーに失礼ではないか、とも思います。

ひとつの事実としてふたりのボクサーが死力を尽くして戦った結果、矢吹が難攻不落と思われた拳四朗を倒し、世界初戴冠を果たした。これが2021年9月22日に行われたWBC世界ライトフライ級タイトルマッチの結果であり、賛否もあるのでしょうが私はこれは名勝負だと思っています。

 

そしてこれに不満があるから、拳四朗陣営はJBCに質問状なるものを送り、異議申し立てをしている。これも拳四朗サイドに立てば当然のことだと思います。

この後来るのはWBCからのダイレクトリマッチの指令なのか何なのかはわかりませんが、これをスッキリさせるのは再戦しかないでしょう。

ちなみに、再戦するならば拳四朗を応援します。理由は、劣勢に立たされた拳四朗が見せたあの魂のこもったラッシュ、これまで見せたこともないような勝利への執念、8R以降の拳四朗のあの姿に胸が熱くなり、もっともっと見たいと思ったからです。

再戦もきっと意地と意地のぶつかり合いとなる、素晴らしい試合になるのだと思います。まずは拳四朗の復帰を、楽しみに待ちたいと思います。

変な前置きになってしまいました。もうこの話題は二度としません。この話題について見たくない、語りたくない人も多いと思います。ごめんなさい。

 

ということで気を取り直して、今回のブログでは10/15(日本時間10/16)に予定される、ナバレッテvsゴンザレスの興行のプレビュー記事です。

WBO世界フェザー級タイトルマッチ

エマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)34勝(29KO)1敗

vs

ジョエト・ゴンザレス(アメリカ)24勝(14KO)1敗

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恵まれた体格を持つエマニュエル・ナバレッテ、このボクサーの登場は2018年12月のことでした。

当時無敗、アズマー・ネルソンの再来と言われたWBO世界スーパーバンタム級王者、アイザック・ドグボエ(ガーナ)からまさかの判定勝利でタイトル奪取。その後、再戦では最終回TKOで返り討ちにして一気に評価を高めました。

戦前、ナバレッテが勝つと想像した人は少なかったと思います。

このナバレッテ、パンチがありそうとか、スピードが速いとか、ボクシングが巧いとか、一見して「強そう」な感じがしませんでした。

 

しかし、身長170cm、リーチ183cm(BoxRecより)という体格に恵まれ、そのリーチから繰り出すパンチは非常に強く、独特なリズムもあいまって現在34勝中29KOという脅威のKO率を誇っています。

日本の清水聡(大橋)と少し被ります。強そうに見えないけど、強い。

精力的にリングに上がり続けるこのメキシカンは、初防衛戦でドグボエを返り討ちにするとあっという間に5度連続防衛。タイトル獲得が2018年12月、5度目の防衛戦が2020年2月というからすごいですね。なかには1ヶ月の感覚でリングにあがった時もありました。

そしてフェザー級に転級、ルーベン・ビラ(アメリカ)との王座決定戦を制し、2021年4月にクリストファー・ディアス(プエルトリコ)に最終回TKO勝利して初防衛。

 

2度目の防衛戦で、シャクールと王座決定戦を戦った(判定負け)ジョエト・ゴンザレスを迎えます。

ゴンザレスはシャクールとの王座決定戦のとき、話題になりましたね。なんでもゴンザレスの妹とシャクールが付き合っており、ゴンザレスはそれを認めていなかったとのこと。

試合はシャクールがらしさを遺憾なく発揮、ゴンザレスのパンチは全く当たる気がしませんでしたね。妹さんはどんな気持ちでみていたのか。。。そしてその後、このゴンザレスの妹とシャクールの関係性は続いているのか。。。気になるところで。。。はありません笑

ゴンザレスはオーセンティックなボクサーで、なかなかにナバレッテとは相性が悪そうです。「総合力が高い」というのは事実としてあり、もし日本人ボクサーがこのゴンザレスと戦う、となるとなにか対策が必要だと思いますが、ナバレッテの場合はいつも通りにボクシングをすればこの手のタイプのボクサーは撹乱できそうな気がします。

 

ゴンザレスが、どの程度ナバレッテ対策をしており(勿論十二分にやってくるとは思うのですが)、それがどの程度ハマるのか、が勝負のカギと見ます。

ナバレッテはここでつまずいてほしくはないですね。個人的には清水聡との、「意味不明だけど強い」対決を待っています。

ウェルター級10回戦

ジョバニ・サンティリャン(アメリカ)27勝(15KO)無敗

vs

エンジェル・ルイス(アメリカ)17勝(12KO)1敗

ジョバンニだとずっと思っていたら、ジョバニ(Giovani)でした。まだプロスペクトと言って良いのかどうかわかりませんが、2012年にデビューしてもうすぐ10年になろうかというところです。

デビュー以来27連勝、スキルは高いもののやや決定力に欠けている気がしますね。

 

しかし、このボクサーは実はずっと注目しています。なぜなら、誕生日が一緒(12月4日)だから笑。まあ、そんなもんですよね。

2020年6月の試合では、元王者アントニオ・デマルコ(メキシコ)に超がつくほどの大苦戦、そこで一つ成長したはずです。そろそろ「Gallo de Oro」のニックネームに負けない試合を見せてもらいたいものです。

対戦相手のエンジェル・ルイス、こちらも24歳のプロスペクトですが、前々戦でハビエル・フローレス(プエルトリコ)に敗れ、土がついてしまいました。そこから2021年4月、判定勝ちで復帰。

この一戦はサンティリャンが紛うことなきAサイド。この興行はカリフォルニアのサンディアゴ、まさにサンティリャンの生まれ故郷で行われます。

 

問題なく勝利し、先に進んでもらいたいです。

しかし強豪ぞろいのウェルター級、世界戦線で勝利を得るのは厳しいかもしれません。

IBFミドル級挑戦者決定戦

エスキバ・ファルカン(ブラジル)28勝(20KO)無敗

vs

パトリック・ウォジスキ(ドイツ)14勝(5KO)無敗1分

ロンドン五輪の決勝で村田諒太(帝拳)と戦ったエスキバ・ファルカン(ブラジル)の登場もあるようです。先日、ロブソン・コンセイサンを「コンセイサン」と書いたので、「ファルカン」と書きましたが、「ファルカオ」表記の方が多いかもしれません。どっちでも良いですね。

 

この世界ランカー同士の一戦は、IBFのエリミネーターとして行われます。

IBFミドル級王者はゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)、つまりはGGGvs村田の勝者に挑戦するわけですね!これは興味深い。

 

そして他にも、スーパーライト級のプロスペクト、リンドルフォ・デルガド(メキシコ/13勝12KO無敗)も登場する、とのことです。(FITEでの放映はないかもしれません。)リオ五輪出場の元オリンピアン、デルガドは、2021年春にトップランクと契約、その初戦を6月に戦い、初の判定勝利を経験しています。

 

対戦相手はハビエル・マルティネスというどこにでもいそうな名前のボクサーで、4戦4勝2KO。ここはデルガドにその強さを存分に見せつけてほしいものですね。

放送・配信

生配信はFITE.TVのPPVで見れます。1,220円ですね。日本時間10/16(土)11:00開始です。

なんと直前でFITEのリストから消えてしまいました。。。VPNを使って、国を変えてみましたがアメリカ、イギリスでも見れそうにありません。

↓こちらからどうぞ

放送はWOWOWが後日録画放送、とは言っても翌々日、10/18(月)21:00のレギュラー放送で見られるので、情報遮断は可能かもしれませんね。

↓WOWOWはこちらから

 

wowow

 

 

フューリーvsワイルダー3のアンダーにE.ベルランガ、R.ラミレス、元王者J.ウィリアムス!

いよいよ今週末に迫ったビッグマッチ、WBC世界ヘビー級タイトルマッチ。

タイソン・フューリーvsデオンテイ・ワイルダーの一戦は、世間的にはかなりのフューリー優位予想。

それもまあ至極当然、初戦もほぼアウトボックスしていたフューリーは、第二戦は完璧なTKO勝利。ワイルダーの見苦しい言い訳も相まって、フューリー予想は致し方のないものですね。

個人的にはワイルダーを応援していますが、このヘビー級戦楽しみですね。

↓プレビュー記事

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このFOX/ESPNのPPVでは全4試合を予定しているようでうすが、その他のアンダーカードも注目ボクサーたちが続々と登場し、このビッグマッチを盛り上げます。

日本では放送されないかな。。。とは思いますが、折角なのでアンダーカードの情報も書いておきたいと思います。

尚、アンダーカードはアメリカではESPN+で放送されます。ESPN+に加入していれば誰でも見れます。私は加入済み、リアルタイムでは視聴できませんが、終わってから楽しみたいと思います。

↓こういう方法があります。自己責任でお願いします。

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※以下のアンダーカードについては試合順はわかりません。

スーパーミドル級10回戦

エドガー・ベルランガ(アメリカ)17勝(16KO)無敗

vs

マルセロ・エステバン・コセレス(アルゼンチン)30勝(16KO)2敗1分

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デビュー以来16連続1RKOという快進撃を続けていたエドガー・ベルランガは、前戦となる17戦目で初めての判定勝利。この試合は、ベルランガというボクサーの色々な面をみせてくれましたね。

↓観戦記

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結果的には判定勝利となりましたが、やはり非凡なパンチングパワーを持ち、ダウンを奪ったあとはもう試合を決めてしまいそうでしたし、後半になってもいつKOするのか、というような試合だったと思います。

しかし、基本に忠実なクリーンファイター、ベルランガは、ニコルソンのクリンチの際に攻撃する術を知らず、判定に逃げ込まれてしまいました。

そこからベルランガがどのように成長しているのか、これは非常に楽しみです。

 

相手のコセレスは2019年11月、当時ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)が持っていたWBO世界スーパーミドル級タイトルに挑んだ世界挑戦経験者。内容は11RTKO負け、という結果でしたが、なかなかの善戦ぶり。

パワーは感じないものの、技術力は大いにありますね。

前戦、ある種プロボクシングの洗礼を浴びたともいえるベルランガが、このテクニシャンをどのように攻略するのか。

あまりにも真正直に行き過ぎると、翻弄されかねません。

成長したベルランガのノックアウト勝利に期待したいです。

 

フェザー級10回戦

ロベイシー・ラミレス(キューバ)7勝(4KO)1敗

vs

オーランド・ゴンザレス(プエルトリコ)17勝(10KO)無敗

プロスペクト同士の一戦、これは好カードですね。

五輪2連覇、ロベイシー・ラミレスは鳴り物入りでプロデビューしましたが、デビュー戦でなんとダウンを奪われての判定負けを喫しました。

しかしそこからは7連勝、快進撃を続け、さすが五輪2連覇のプロスペクト、という安定感を見せています。

今回の相手、オーランド・ゴンザレスは無敗のプロスペクト。基本的技術の高いサウスポー、特にまっすぐ出るジャブが良いですね。

 

順当に行けばラミレス優位かと思いますが、やはり土付かずのボクサーというのは底を見せていないようで怖いところもあります。

ゴンザレス、あまりパワーを感じる選手ではないので、やはり総合力で勝るラミレスの勝利でしょうか。

スーパーウェルター級10回戦

ジュリアン・ウィリアムス(アメリカ)27勝(16KO)2敗1分

vs

ウラディミール・エルナンデス(メキシコ)12勝(6KO)4敗

ジャレット・ハード(アメリカ)を相手にアップセットを起こし、見事WBAスーパー・IBF世界スーパーウェルター級王者となったジュリアン・ウィリアムス。

 

その初防衛戦で、アップセットを起こされ、ジェイソン・ロサリオ(ドミニカ共和国)に5RTKO負け、無冠になりました。

そこから約1年と9ヶ月、ようやくリングにカムバックです。

対戦相手のエルナンデスは、戦績を見る限りでは復帰戦に妥当な相手とも言えますね。

かつて雌雄を決したジャレット・ハードは伏兵、ルイス・アリアス(メキシコ)に敗れて後退、ジェイソン・ロサリオはジャーメル・チャーロ(アメリカ)に敗北して王座を吸収され、その復帰戦でもエリクソン・ルビンに6RKO負けを喫してしまいました。

 

ジュリアン・ウィリアムスは復活なるか。

そしてその他、スーパーライト級10回戦でも元王者、ランセス・バルテレミ(キューバ)【28勝(14KO)1敗1分】が登場予定です。

当初(7月に試合があった時)は、アルベルト・プエジョ(ドミニカ共和国)【19勝(10KO)無敗】との一戦でしたが、現在、BoxRecでは対戦相手はTBAとなっていますね。プエジョは7月に試合をしていますので、今回はなしかもしれません。

バルテレミの相手は、どこかに情報はあるのでしょうか。というか本当に登場するのでしょうか。

ということで、この注目のフューリーvsワイルダーⅢの興行は、注目のプロスペクト、そして元世界王者たちがこぞって登場するという非常に稀有な興行です。

 

本日ピックアップしたアンダーカードは、残念ながら日本では見られないと思います。それでも世界が注目するエドガー・ベルランガの試合くらいはどこかで流してくれそうですし、ラミレスvsゴンザレスも日本に関係のありそうな階級のものなので、やはりどこかで流してもらいたいものですね。

いずれにしろ、10/10が楽しみです!

WOWOWはこちらから

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あと最後に超どうでもいいかもしれませんが、個人的に最近ランニングシューズを買い替えました。以前はアシックスのランニングシューズを履いていたのですが、今回評判の良いナイキのペガサス38を購入。

これ、めちゃくちゃ走りやすいです。

これまで長く走ると腰を痛めやすかったのですが、クッションが非常に厚いこのシューズは非常に快調です。身体を傷めにくいので、長く走る分に最適。

 

シューズによってこんなに違うのか。。。よく考えれば私のランニングシューズは買ってもう5年(あんまり走らないので)、ソール部分もかなり固くなっていたのかもしれません。

ちなみにゼビオでセール中。1万円以下でコスパも最高です。

 

【プレビュー】ダイヤモンドグローブ、佐川遼vs小坂烈。アンダーカードも大注目!

国内戦が、アツい。

コロナショックにより外国人選手を招聘できなくなったため、国内のボクサーたちが雌雄を決するサバイバルマッチが次々と行われています。

個人的には、「最高だ!」と諸手を挙げて賛同すべきかどうなのかはわかりません。

もちろん最高だと思えるマッチアップは多いですが、本来であればキャリアを積むための戦いをすべきところで相手が見つからずキャリアを停滞させるボクサー、そしてキャリアップを図りたいタイミングで相手が見つけられないボクサー、等々がいることは考えものです。

 

とはいえ、概ね素晴らしいマッチアップは我々ファンにとっては非常に喜ばしいことであり、厳しい状況の中で命を懸けてリングに上がり、我々に感動を届けてくれるボクサーたちには感謝しかありません。

願わくば、ひとつやふたつの敗北でそのキャリアを閉じず、まだまだ戦う姿を我々に見せてもらいたいものです。

さて、本日のブログでは10/14(木)に迫ったダイヤモンドグローブをプレビューです。

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58.0kg契約8回戦

佐川遼(三迫)10勝(5KO)2敗

vs

小坂烈(サンライズ)9勝(4KO)6敗

もともとこの試合は、2021年8月に予定されていましたが、佐川の急病、そして体調不良により延期に。日付を10/14に変更されて行われることになりました。

メインイベントは前日本フェザー級王者、佐川の再起戦。再起戦というと楽な相手を選びがちで、本来であれば外国人選手を招聘し、明確な勝利を得ることで自信を取り戻す、というのが筋ではあります。

しかし、今回佐川が再起戦に選んだのは、一度敗北を喫している小坂烈。

 

このあたりもコロナの影響が見て取れるマッチアップですね。

2019年9月に阿部麗也(KG大和)との王座決定戦を制して戴冠した佐川は、日野僚(川崎新田)、竹本雄利(クラトキ)を迎えて2度の防衛。

3度目の防衛戦で丸田陽七太(森岡)に7RTKOで敗れ、タイトルを失ってしまいました。

↓観戦記

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阿部、日野、竹本とのサウスポー3連戦から、長身オーソドックスの丸田を相手にし、距離を完全に支配されてしまった感がありましたが、何よりこの日の丸田は出色の出来、本当に見事なボクシングをして見せました。

丸田は、チャンスがあればすぐさま世界へ乗り込もうとしており、もし佐川が丸田にリベンジを希望しているなら、あまり時間はないのかもしれません。

なので、ここは絶対に落とせない一戦。

しかし、相手の小坂は2017年、日本ユース・フェザー級トーナメントで佐川に2RTKO勝利しているボクサー、決して簡単な相手ではありません。

 

この小坂は直近の2戦で連敗しており、もう後がない状況ではあります。

しかし、この元王者佐川にここで勝てば、日本ランクはおろかOPBFランク、そして下位ながらWBCの世界ランキングも手に入るかもしれない、という一発逆転の一戦。

2017年5月、ふたりが最初に戦った時から、積み上げた実績は佐川のほうが圧倒的に上。それでもなお、この一戦に勝てば、佐川が積み上げてきたものを一気に奪い取ることができる、と考えれば、モチベーションは高いでしょう。

佐川が一度負けているこの小坂を選んだ背景は、おそらくリベンジが目的。

 

ともに負けられない一戦、当然予想は佐川優位でしょう。しかしポイントで先行されたとしても、小坂は前戦のようになりふり構わず前に出れば、チャンスはあるのかもしれません。

日本スーパーフェザー級挑戦者決定戦

中川兼玄(三迫)10勝(5KO)6敗

vs

長谷川慎之介(ワールドスポーツ)13勝(9KO)2敗1分

日本1位、中川兼玄は、2018年、B級トーナメントの決勝で敗れた時には、負け越しのボクサーでした。

しかしそこから5連勝、そのすべてが格上とのチャレンジマッチだったということを考えると、このボクサーのポテンシャルたるや目を見張るものがあります。

 

この、三迫ジム大躍進の期間とも重なる中川の大躍進。まさに三迫ジムそのものと言ってもよいボクサーでしょう。

大手ジムらしく、周りのパートナーにはもちろん恵まれているのでしょうが、大所帯の中で自分を見失わない芯の強さを感じるボクサーです。それは、競ったときの勝負強さ、接戦をものにする「実力」に反映されているのだと思います。

そんなミラクルマン、中川は前戦で元日本フェザー級王者、源大輝(ワタナベ)を破ったことでトップコンテンダーへと上り詰めました。

ハードパンチャー、源の強打に臆することなく強いパンチを打ち返し、ペースを握り、奪われそうになったところを踏ん張って盛り返し、最終的には完勝という内容。強い相手に対して強さを見せた姿は、格上相手の5連勝がフロックではないことのまぎれもない姿でした。

 

↓観戦記

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この中川のハートの強さ、フィジカルの強さは申し分なく、このボクサーを打ち負かすのはかなり困難。

しかし、日本2位の長谷川慎之介もハートの強い、素晴らしいボクサーです。

2016年、青木ジムからプロデビューした長谷川は、新人王戦を終えて1勝2敗1分という戦績。しかしそこからなんと破竹の12連勝を記録、その間に青木ジム閉鎖という憂き目にもあいながらも、この位置まで上がってきました。

自身を「モスキート級並みのパンチ力」(今でいうアマのピン級、45kg以下)と揶揄し、モスキートレフトと呼ぶ左ストレート。

しかしその左はアングルが多彩であり、時にワイルドに放つモスキートレフトは十分なパワーパンチ。13勝中9KOKO率も高く、とりわけ前戦のダウンを奪われてからの逆転TKO勝利は素晴らしかったです。

↓観戦記

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こちらも非常に気持ちの強いボクサー、気持ちと気持ちのぶつかり合い、非常にアツい試合になりそうですね。

そして勝ったほうが日本スーパーフェザー級王者、坂晃典(仲里)に来年のチャンピオンカーニバルで挑む、という構図も素晴らしい。これまたアツい試合になりそうです。

この挑戦者決定戦、中川vs長谷川は、甲乙つけがたい接戦が予想される一戦ではあるものの、フィジカルが強く、がっちりとしたガードを持つ中川がほんの少し優勢か、と思います。

長谷川はガード面がやや雑になる場面があり、手数の多い中川のパンチのすべてを無効かできるか、というとおそらく難しい。

 

乱打戦の展開、我慢比べとなったときには中川が上回りそう、という印象です。

しかし、がっちりしたガードを持つ中川に対して、長谷川がその間隙を縫って多彩なアングルから左を決められたならわかりません。先にダメージを被り、疲弊してしまうのは中川なのかもしれません。

個人的に、どちらを応援するか迷う一戦でもありますが、今回は長谷川応援。是非とも勝って、日本王座挑戦につなげてもらいたいものです。

 

スーパーフェザー級8回戦

保坂剛(三迫)5勝(3KO)無敗

vs

中井龍(角海老宝石)2勝(1KO)1敗1分

セミセミにも好カード。このふたりがキャリア初期のここでぶつかる、というのがもったいないとも思いますが、これもコロナならではのマッチアップかもしれません。

フィリピンのALAジムから戻った逆輸入ボクサー、保坂は、2021年4月、福井寛太(寝屋川石田)を相手にA級で日本デビュー。

 

将来を嘱望される三迫ジム期待のホープです。

そして対して中井は、前戦でスーパーホープ、宇津木秀(ワタナベ)からダウンを奪う善戦を見せたボクサーで、あの宇津木を相手にあわや。。。という期待を抱かせたボクサーです。

フィジカルモンスターともいえる中井は、前戦、宇津木戦でサイドへのステップワークを使う等、ボクシングの幅を見せた戦い方をしました。敗れはしたものの、強さを見せつけたボクサーで、キャリアは浅いながらも個人的には期待大のボクサー。

この中井を相手に、アグレッシブなボクサーである保坂は、距離をとってのボクシングではなく前に出てのボクシングを選択するはずです。

打ち合い、もしくは近い距離でのステップワークを駆使したパンチの交換が予想される、好ファイトとなるはずの一戦。

これは勝敗を含め大変に興味深いですね。

 

そしてこのセミセミの前(第二試合)には、68.5kg契約ウェイトで磯谷大心(輪島スポーツ)がデビュー戦に臨みます。対戦相手は同じくデビュー、羽賀彬光(DANGAN越谷)。

この磯谷は、レジェンド、輪島功一名誉会長の孫。そういう世代なんですね。。。

お父さんが輪島氏の長女と結婚した元日本ランカー磯谷和広氏、父子鷹で世界を目指すそうです。幼いころからボクシングに慣れ親しんだというわけではないようですが、輪島功一氏がボクシングを始めたのが25歳と考えるとまだ早いスタート。

こういう場合は2世ボクサーとは言わないでしょうが、3世ボクサーと呼ぶのでしょうか?

 

放送・配信は?

このダイヤモンドグローブは、フジテレビで1時間枠で放送予定です。おそらく10/16(土)か10/17(日)の深夜、関東ローカルです。

そしておそらく10/18(月)15:00以降、FODまたはTVerで無料配信されると思います。

しかし1時間番組なので、メイン+数試合のハイライト。せっかく撮影しているなら、配信は全試合フルラウンド見せてもらいたいものですね。

 

【プレビュー】WBCヘビー級戦、タイソン・フューリーvsデオンテイ・ワイルダーもやっぱり注目!

あっという間に10月。時の経つのは早いものですね。

そう感じるのは私が年を取ったせいなのか、それともコロナでどこにも出かけられないからなのか。

さて、10月。10月もビッグマッチ、注目試合が目白押しなわけですが、まず最初のビッグマッチといえばタイソン・フューリー(イギリス)vsデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)。

しかし、フューリーの1勝1分で迎えた第3戦は、果たしてそれほどの注目を集めているのでしょうか。

フューリー、及びフューリー陣営がコロナに罹患し、延期となったこの試合の日程は10/9(日本時間10/10)ですが、一部の報道ではコロナ罹患はブラフで、本当はプロモーションの割にチケットが売れなかったから。。。というのもありました。

 

さすがにそれで延期、というのは考えられませんが(延期しても売れないものは売れないので)、もしかするとアメリカでもさほど興味を引いていないのかもしれません。

しかし、この試合はESPN+のPPV。アメリカでは79.99$の金額で売られるようです。

我が日本では、本当に有り難いことにWOWOWが生配信、生中継してくれます。

「フューリーvsワイルダー3」、この興行には、もともとアンダーカードにヘビー級ボクサーたちがわんさか登場する、ヘビー級祭りのような興行でした。もともとの日程は現地時間で7/24であり、この日程で戦えば勝者はジョシュアとの統一戦がクローズアップされていたでしょうし、アンダーカードに出場して、インパクトを残したボクサーたちがそれに対して吠え、よりヘビー級が盛り上がったかもしれません。

 

しかし、そんなプロモーターたちの思惑を無視するかのように、アンソニー・ジョシュア(イギリス)はオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)に完敗。

ここがボクシングのおもしろいところですね。

本日のブログでは、この日本時間10/10(日)に迫った、フューリーvsワイルダー3のプレビュー記事です。

↓AJvsウシク後の記事。

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WBC世界ヘビー級タイトルマッチ

タイソン・フューリー(イギリス)30勝(21KO)無敗1分

vs

デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)42勝(41KO)1敗1分

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How to watch Tyson Fury vs Deontay Wilder 3 on BT Sport and when is the fight - Manchester Evening News

↑6月の記者会見のあと、フューリーのコロナ罹患が判明。

 

と、前段でネガティブなことを書きましたが、個人的には非常に注目しているこの一戦。そのキモは、ワイルダーが前戦の汚名を晴らせるのか、それとも否か。

両者の経歴は思い切り省きますが、ふたりの初戦は2018年12月。ワイルダーの持つWBCタイトルに、フューリーが挑む形でした。

この初戦、フューリーはワイルダーをアウトボックスしたものの、9Rと12Rにダウンを奪われて結果ドロー。ワイルダーもダウンを奪ったものの、それで試合を終わらせることができず、ゾンビのように立ち上がったフューリーに判定まで逃げ切られました。

 

正直、判定ではフューリー優位かと思いましたが、3者3様の引き分け、それぞれが持ち味を発揮し、痛み分けというおもしろい試合でした。

そしてその1年2ヶ月後、コロナショックの前の2020年2月。

両者は再戦に臨んだのです。

↓試合後に書いた記事

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ワイルダーはこの試合、ほとんど持ち味を出せず、フューリーは増量、そしてプレスをかけるという自分のプランどおりに戦い、見事7Rでストップ勝ちを手にしました。

これは非常に残念、ワイルダーに失望したファンも多かったのではないか、と思います。

その後の言い訳もひどかったですね。入場の衣装が重かった(約18kg!)、陣営が悪かった、等々。。。完全に人のせい。

知らんがな。

衣装を選んだのは自分の責任で、あれで脚が動かなくなったという言い訳は愚の骨頂。あと、ワイルダーは目も瞬きを繰り返していましたね。衣装の目の部分に電飾がはいっていたからだと思います。

そして、ワイルダーはこのあと陣営を一新。どうやらストップのタイミング(陣営のタオル投入)が早すぎた、というのが理由だそうなのですが、あの棄権の意思表示は妥当、もしくはもう少し早く止めても良さそうだ、とさえ思います。

 

。。。なんですが、結局はあのパンチに魅了されている一人のファンとして、素直にここはワイルダーに汚名を返上してもらいたい。

ワイルダーのパンチが、様々な出来事を経て曇っていないことを願います。

フューリー第二戦から1年と半年、このブランクがどう出るか。一発当たれば。。。というボクシングになにかをプラスしなければ、策士・フューリーはおそらく再戦のたびに強さを増していくボクサーです。

ワイルダーのもう一段階の覚醒に期待したいものです。

さて、対するフューリー、こちらは盤石の構えでしょうね。

 

ワイルダーは様々な言い訳を持ってきているものの、前戦でフューリーのプレスに押されてしまったのも事実。

フューリーは1戦よりもかなり重くして2戦を戦っており、決してフィジカルが強いとはいえないワイルダーをしっかりと下がらせています。(ワイルダーも1戦目よりも重かったにもかかわらず)

下がらせるために自身を重くし、プレスをかけてワイルダーを下がらせ、ワイルダーのパンチの効果をなくした上で自身のパンチを当てる。素晴らしい戦術でした。

それにワイルダーの自業自得の不調も相まって、完璧なTKO勝利。

とはいえ、フューリーにとってプラス要素しかないのか、というとまた違います。

 

フューリーも精神的に不安定なところがある、というのは事実で、試合によってその出来はまちまち。大注目を集めた1戦目、そして2戦目と違い、今回この第3戦目はおそらく注目度に劣り、その分フューリーのモチベーションも高くないかもしれません。

加えて、一度は締結したAJとのメガマッチ、こちらもAJの敗北により流れてしまい、この先の目標を見失ってしまったかもしれません。

なので、今回、ワイルダーが勝つ、という「番狂わせ」(あえてそう言います)が起こる可能性は大いにあるのではないでしょうか。(これは、俗に言う「希望敵観測」というやつです。)

ワイルダーも、さほど気持ちが強いファイターではない気がしますが、ワイルダーには「一発」というすがれるものがある分、気持ちは折れにくいはずです。

 

誰が相手でも、自分のパンチさえ当たれば倒せる、おそらくそう思っていますし、我々ファンもそう思っています。

その大きな精神的支柱はきっと崩れない分、フューリーが前戦を経た上で「楽勝」ムードで臨んできてくれれば勝負はわかりません。

ワイルダーは、ここからまだフューリーが精神的に揺さぶりをかけてくる可能性、前戦と同様に入場にものすごい時間をかけてくるかもしれない可能性を考えておくべき。前者は完全に無視し、後者は折込済みで考えるべきです。

そして何より、次のワイルダーのリングコスチュームは軽く、シンプルなものにすべき。

マイク・タイソンのようにタオル一枚羽織った姿で入場してほしい。

 

アンダーカードはヘビー級揃い!

さて、この79.99$で購入できるPPVファイトのカードは、全4試合のようです。この他にもたくさんの注目試合が、このアンダーカードに組み込まれているのですが、おそらくWOWOWでは放送されません。

アメリカでは、いつもの流れだとESPN+で無料放送されるはず。私はESPNに加入しているのでそちらで見ますが。

↓大変ですが、もし興味があれば。

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WOWOWではだいたい3試合の放映が多いと思いますが、今回は4試合かもしれません(3試合かもしれませんが)。

エフェ・アジャグバ(ナイジェリア)15勝(12KO)無敗

vs

フランク・サンチェス(キューバ)18勝(13KO)無敗1NC

サンチェスの持つWBOの地域タイトル、NABOヘビー級タイトルマッチ10回戦として行われる一戦です。

ともに27歳、29歳とまだまだ若い、プロスペクト。両者ともにこれはチャレンジマッチ、ということになりますかね。

アジャグバは前戦、素晴らしいワンツーでアメリカのブライアン・ハワードをノックアウトしたボクサー。何でもない普通のワンツーに見えましたが、これを喰らったハワードは一瞬で気を失い、力なくリングへ落下。レフェリーはすぐに試合を止めました。

 

基本に忠実なスタイルで、ヘビー級ボクサーながら一発に頼らないボクシングで上がってきています。とはいえパワーは勿論あり、リーチも216cmと非常に体格にも恵まれています。

対してサンチェス、こちらはカネロのチームに所属しているボクサーです。

前戦は負傷判定で勝利(フルマーク)ですが、話題になったのは前々戦、メキシコのジュリアン・フェルナンデスをリング外まで叩き出したノックアウト勝利。「キューバの閃光」の異名は伊達ではありません。

 

これは怪物プロスペクト同士の一戦であり、次世代のヘビー級のぶつかりあいです。ナイジェリア、キューバと決してAサイドになれなそうなお国柄ですが、ヘビー級では試合のおもしろさ、豪快さというものが他の階級よりも評価される傾向にあると思います。

このふたりのボクサーのどちらかが、アメリカンドリームを掴むための最後の一歩。進むのか、躓くのか、で大きな違いがありそうです。非常に興味深い次世代ヘビー級の一戦、おそらくこの試合がセミファイナル。

 

ロバート・ヘレニウス(フィンランド)30勝(19KO)3敗

vs

アダム・コウナッキ(ポーランド)20勝(15KO)1敗

同じくヘビー級、こちらは2020年3月7日以来の再戦。

当時、無敗のプロスペクト、コウナッキがベテラン、ヘレニウスを踏み台にしようと試合でしたが、ここでヘレニウスが意地を見せて4RTKO勝利。

 

ヘレニウスは歴戦の雄ですが、トップに迫れるか、というとそうではないボクサー。コウナッキはここでヘレニウスを乗り越えなければ、トップ戦線に食い込むことは難しいでしょう。

前戦、敗北したとはいえ今回もオッズはコウナッキが優位。ヘレニウスは2戦連続、アップセットを起こせるか。

もしコウナッキが、前戦でヘレニウスに苦手意識を持ってしまっていたら?可能性は大いにあります。

これまた興味深いヘビー級の一戦が、(おそらく)セミセミ。

 

ジャレッド・アンダーソン(アメリカ)9勝(9KO)無敗

vs

ウラディミール・テレシュキン(ロシア)22勝(12KO)無敗1分

アメリカ期待のプロスペクト、ジャレッド・アンダーソン。弱冠21歳のビッグベイビーは、現在はパーフェクトレコードを継続中。

これまではまだ強豪との対戦経験がありませんでしたが、今回は無敗のロシア人ボクサーが相手、ということで試される試合となるのかもしれません。

と思って、テレシュキン(という読み方なのかはわかりません)の映像を探してみましたが、なるほど、ヘビー級ボクサーっぽい、どちらかというと愚鈍に見えるボクサー。

これまでの対戦相手の戦績を調べてみても、連敗中のボクサーを相手に戦績を稼いでいるようなイメージです。

アンダーソンの方が、強豪と戦っていそう。

ということで、番狂わせの望みは薄いものの、ここはヘビー級。一発で試合がひっくり返ってしまう可能性は大いにあります。

 

ただ、結局はアンダーソンの痛快KOでこのPPVファイトの幕開けを期待してしまう感じです。

この試合はPPVの初戦、WOWOWで中継されるかはわかりません。

放映してもらいたいものですね。

ということで、とりあえず、フューリーvsワイルダー3の興行、おそらくWOWOWで放映されるであろうPPVファイトのプレビューでした。

この他にも、ESPN+で放映されるアンダーカードには、17勝中16の1RKOを記録しているエドガー・ベルランガ、元世界王者のジュリアン・ウィリアムズやランセス・バルテレミー、リオ五輪金メダリストのロベイシー・ラミレスと、注目ボクサーが目白押し。

 

このアンダーカードのプレビューもどこかで書きたいと思っていますが。。。

とにかくこの10/9(日本時間10/10)はぶっ込みすぎ、と思うくらい楽しみな試合ばかりです!

↓WOWOWへの加入はこちら!今入れば初月無料の期間のうちにヘリングvsスティーブンソンも見れます。

wowow

↓10月の放送/配信情報。今月はWOWOWで生放送が2回も!!

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【プレビュー】パッキャオが去り、リトルパッキャオ福永亮次の出番。vs梶颯、ダイナミックグローブ!

8階級を制覇した、マニー・パッキャオ(フィリピン)が正式に引退表明。

ヨルデニス・ウガス(キューバ)に敗北を喫し、その後大統領選への出馬を表明。そして今回の引退声明。

「Good bye boxing」非常にエモーショナルなことばを残して、グローブを吊るすパッキャオ。これが本当の引退なのかは誰にも(おそらくパッキャオ本人にも)今のところわかりませんが、これで伝説に終止符が打たれたことになります。

 

個人的には、寂しくもありますがやはり、ほっとした気持ちのほうが大きいです。

パッキャオを通じて、ボクシングの素晴らしさ、倒れても立ち上がることの尊さ、挑戦することの大切さ、数え上げればキリがないほどいろいろなものを教わった気がします。

既に始まっている第二の人生の幸運を心からお祈りいたします。

そしてこのパッキャオが正式な引退表明をしたこの日、偶然この記事を上げることになりました。以前から書いてはいたものの、出すタイミングが遅れてしまいました。

↓色々あったからなんですが。

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パッキャオが引退してしまって寂しい。。。そう思っている人も、そうでない人も、角海老宝石ジムのリトル・パッキャオ、福永亮次に注目してほしい。

日本、アジアの3冠王者にして、世界を伺う35歳が、帝拳ジム期待の若きホープ、梶颯を迎え撃つという一戦。

今回のブログでは、10/2(土)17:45開始予定のダイナミックグローブのプレビューです。

 

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10/2(土)ダイナミックグローブ

メインイベント

日本・OPBF東洋太平洋・WBOアジアパシフィック・スーパーフライ級タイトルマッチ

福永亮次(角海老宝石)14勝(14KO)4敗

vs

梶颯(帝拳)15勝(9KO)無敗

和製パッキャオ、またはリトルパッキャオと呼ばれる福永亮次というボクサーは、魅力に溢れています。

勝利の全てをノックアウトで飾ってきている福永の魅力は、多くを語らないその無骨なイメージとぴったりくるボクシングスタイルにある、と思っています。

 

2013年プロデビューの福永を最初に見たのは2016年の全日本新人王の時。このトーナメントを全てKOで勝ち上がってきた宮田ジムの福永というボクサーは、全日本新人王決定戦でも5RTKO勝利を上げ、見事全日本新人王に。

ちなみにこの年の全日本新人王決定戦、ひとつ下のフライ級では中谷潤人(M.T)と矢吹正道(当時薬師寺)というのちの世界王者対決が行われていた、ということも興味深いですね。

このとき、技能賞を受け取った福永でしたが、2013年、26歳でデビューした福永はすでに30歳、既に年齢的にはボクサーとしては「若い」とは言えない選手でした。

 

その後、ユータ松尾、コンファー・CPフレッシュマートに連敗を喫したのち、角海老宝石ジムに移籍。

角海老宝石ジムに移籍して初戦は2019年5月なので、1986年8月生まれの福永は33歳(あと3ヶ月で34歳)という年齢。

しかしこの角海老宝石ジムは本気のボクサーたちが集まり、切磋琢磨している環境。

おそらく非常に練習熱心で、やりきる力のある福永が成長をしないはずがありません。

移籍2戦目で世界挑戦経験者、フローイラン・サルダール(フィリピン)の持つWBOアジアパシフィック・スーパーフライ級タイトルへの挑戦。

この下馬評圧倒不利の一戦を、見事TKOで勝利、地域タイトルを初戴冠。前半効かされ、それを歯を食いしばって耐えたあとにチャンスをものにする、という非常に劇的なTKO勝利。たまたま別のボクサーの応援で後楽園ホールに行っていた私は、この一戦でこの福永の虜になりました。

 

続くコロナ渦中の一戦では、日本王者、中川健太(三迫)との統一戦。ここに空位のOPBF王座の決定戦もくっついて、3冠統一戦となりました。

これは非常に予想が難しく、そして中川もドラマのあるボクサーであり、本当にどちらを応援するかも悩むような至高の一戦。

「死闘」という言葉がふさわしいこの大激闘は、ともに相手を倒し切るパンチを持つ者同士のスリリングな一戦であるとともに、ハートの強さを競い合うかのようなハードパンチの応戦でもありました。

ポイントは前半から福永が優位に進めたものの、福永にもポイント差ほどの余裕はありませんでした。この死闘を、10RTKOで乗り切った福永は、サルダール戦よりも強い福永を見せてもくれました。

 

そして2021年6月、藤井貴博(金子)を8RTKOで退けた試合は、曲者・藤井に対してほとんど何もさせず、パンチングパワー、フィジカルの強さだけでなくテクニックも十分に披露。

サルダール戦後の福永の充実ぶりは見ていて恐ろしいくらいであり、35歳にして非常にフレッシュで、どんどんとボクシングを吸収しているように見えます。

対して梶は2015年、17歳でプロデビュー。もともとキックボクシングをはじめて16歳でボクシングに転向。アマチュアで数戦のキャリアがありますが、ほぼ叩き上げです。

2015年度の全日本新人王を獲得した梶は、その後はなかなか日本人の対戦相手に恵まれません。外国人選手を相手にキャリアを積み、A級に上がってから既に11戦も経験しています。

 

もっとポンポンとチャレンジさせるのかと思っていましたが、意外と慎重に育てられた感のある梶は、既に24歳となりました。

ここで3冠を獲得することで雌伏のときを飛び出し、大きく飛躍するきっかけとしたいのでしょう。

思慮深い帝拳陣営が送り出す、梶颯は、福永にとっても危険な相手であり、福永は「梶くんに勝てば胸を張って世界へ、といえる」とまでコメントしています。

梶は、国内でなかなか対戦相手が見つからないまでも、ジムの力を借りてコンスタントに試合を消化。初期の頃は豪快な倒し方が目立った梶ですが、徐々に上がっていく対戦相手のレベルにあわせて、ここ4戦はすべて判定勝利。

この判定勝利を、フルラウンド(8回戦)の経験を4度も得た、とするのか、それとも倒し屋としての本能を忘れてしまったのか。

 

ここ数戦の結果が、こと「タイトルマッチ」に際してさほど意味をなさない、というのは、ここ数戦の世界タイトルマッチで嫌というほど見てきたことです。

この3冠戦、梶にとっても大チャンス、名を売る絶好の機会であり、勝てば大きく飛躍できる一戦に際しては、きっと今までの何倍も強くなってリングに立つのでしょう。

その評価の高い、最強の挑戦者を退けることができれば、きっと福永はもう世界に挑んでも良いのだと思います。

ただし、スーパーフライ級は現在大激戦区。

先日も、田中恒成(畑中)vs石田匠(井岡)という素晴らしいサバイバルマッチが発表されたばかり。

3冠王者とはいえ、一筋縄ではいかないこの階級、日本、アジアの覇権を握るのはどちらのボクサーか。私は、リトルパッキャオを全身全霊を込めて応援したいと思います。

 

セミファイナル

日本バンタム級挑戦者決定戦

田村亮一(JBスポーツ)14勝(7KO)5敗1分

vs

久我勇作(ワタナベ)19勝(13KO)5敗1分

さて、そんなメインを彩るセミファイナルは、これで3度目の対戦となる田村亮一vs久我勇作。過去2度は久我が勝利しているため、久我サイドとしてこの試合自体にやる意味はないでしょうが、しかし日本タイトル再戴冠を目指す久我にとっては、この挑戦者決定戦は近道です。そして田村も同様に、日本タイトル再戴冠を目指し、リベンジ戦に臨みます。

1度目は久我が日本王者の時、2017年7月29日。2度目は決定戦で王者となった田村に、久我が挑んだ2019年5月18日。

いずれも大激闘、両試合ともにおそらく下馬評では久我が優位だったかと思いますが、試合自体はほぼ互角の展開であり、超打撃戦。

 

差は大きくはありませんが、僅かな部分で総合的に上回った久我が勝利を手にした、という印象です。

とりわけ、一発の破壊力という点において、久我の方が勝っており、ファイターっ気の強い田村にとってはまずこのパンチの芯を外し、逆に攻め込まなければいけませんが、近い距離になるとクリーンヒットは免れません。

両者は既に後楽園ホールのリングで、合計20ラウンズも本気の殴り合いを敢行しており、今回もタフさを競うような打撃戦となることが必至。

田村にとっては3度目の正直なるか、久我にとっては2度あることは3度ある、となるか。

ここで問題になってくることは、久我勇作のタフネス。

2019年の大晦日、ステップアップを目指して挑んだWBOアジアパシフィックタイトル戦、ジョンリエル・ラモナル(フィリピン)に1RKO負けを喫してしまった久我は、続く2021年1月の防衛戦で古橋岳也(川崎新田)に9RTKO負け。

2戦連続のストップ負けという事実は、結果だけ見れば久我の耐久力が以前ほどではない、ということを示しているのかもしれません。

 

久我は激闘が多く、ここ最近は負けっぷりも派手。見ていて非常に面白いボクサーではありますが、やや心配にもなります。

田村vs久我、ともに30代となり、もしかするとどちらかの最後の試合、となるのかもしれません。

そして勝てば王者に挑戦できますが、負ければかなり大きい後退を余儀なくされます。

現王者の古橋には、田村は挑戦者決定戦で、久我は日本タイトルマッチで敗北し、それぞれがリベンジを目指し、それぞれがベルト奪還を目指します。

 

ベテランたちのサバイバルマッチ、このセミファイナルも必見ですね。

その他には4回戦を4試合予定。全6試合です。

コロナに負けず、この全6試合が挙行されてくれることを切に願います。ちなみに、生中継されませんでしたが前回のダイナミックグローブは結局たった2試合になってしまいましたから。。。

 

11/27、勅使河原弘晶vsマーロン・タパレス!!勝って難攻不落、アフマダリエフへ挑め!

先に言っておきますが、正式発表ではありません。

しかし、sanman promotionsというフィリピンのプロモーターが9/21(火)に(たぶん)第一報を報じ、9/28(火)に世界で最も権威あるボクシング情報誌、リング・マガジンが第二報を報じました。

IBF世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦、勅使河原弘晶(三迫)vsマーロン・タパレス(フィリピン)。

個人的には待ちに待った試合です。正式発表を待たずに記事を書いてしまいます。

長くIBFでは3位というトップコンテンダー(1位と2位は空位)という位置をキープし続けた「てっしー」こと勅使河原弘晶が、元王者、マーロン・タパレスと挑戦者決定戦=IBF1位決定戦を行い、勝利すれば指名挑戦者としてIBF王者、(WBAスーパータイトルも保持する)ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)への挑戦権を得ることになります。

 

IBFはこの指名挑戦権について非常に厳格であり、他の団体と違って指名挑戦者が無視されることは少なく、この一戦に勝てばほぼ間違いなく、世界タイトルに挑戦できることになります。

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sanman promotion Facebookより

《金色夜叉》“Crushboy”勅使河原「てっしー」弘晶

↓このブログを始めたころに書いた、てっしーについての記事。

boxingcafe.hatenablog.com

 

ちなみに私は、実はワンツーをきれいに打てるボクサー、いわゆる基本に忠実なオーセンティックなボクサーを好みます。

しかし、てっしーは真逆と言わないまでも無手勝流に近い。

それでも何故か惹かれてしまうのは、リングの上を誰よりも楽しそうに動き回り、誰よりも楽しそうに殴り合う、その姿なのだと思います。

あの四角いリングの上で衆目を浴びれば、その人の人となりが浮かんでくるものだと思います。ボクサーを好きになるのはそのボクシングスタイルというだけでなく、そのボクサーが戦う姿に感動したり、楽しくなったり、共感したりと様々であり、そこからさらにその人のことを知ろうと思ってバックボーンを調べたり、推察したり。

これまで専門誌やネットでのインタビューを見て、私はどんどんとてっしーに惹かれ、ブログも愛読してそのマインドを知り、一生懸命英語の勉強をしているてっしーも知っています。

 

ameblo.jp

英語の勉強=海外で勝負をかけるつもりか、と短絡的に思ってはみたものの、これはあながち間違いでもありませんでしたね笑

さて、これまで多くの国内外の強豪と戦い続け、ここまで上り詰めてきたてっしーですが、私的ベストバウトは世界挑戦経験者の元日本王者、先日引退式を執り行った大森将平(Woz)戦。あの将来を嘱望された大森将平に、見事な最終回TKO勝利を飾ったのはもう2年以上前になりますね。

その後、川島翔平(真正)、河村真吾(ミツキ)を相手に現在保持するOPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王座をKO防衛、都合4度の連続KO防衛を成し遂げています。

 

今の所のベストパフォーマンスは、前戦の川村真吾戦。試合の度に成長を感じます。

そういえばこの王座は返上するのでしょうか??

王座決定戦を含めて5連続KO中と勢いにのり、前戦、河村戦では三迫ジム移籍後初戦となりましたが、進化した姿を見せてくれました。

↓河村戦の観戦記

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特に進化していると感じたのは、そのステップとバランス。

三迫ジムに移籍したことで、身近に手本とすべき世界王者、寺地拳四朗(BMB)がいたことと、加藤トレーナーに見てもらっていることが大きいと思います。

非常に距離感を大切にしたステップ、強振してもくずれないバランス、はっきりと、世界の強豪と渡り合えるボクシングがそこに見えました。

荒々しい殴り合いから、ワイルドかつ洗練されたボクシング、これが非常に魅力的で、入場時のパフォーマンス、リングコスチューム、すべてに華のあるボクサーです。

「マランディング・ナイトメア」マーロン・タパレス

しかし、対戦相手のマーロン・タパレスは間違いなく世界的強豪のひとり。因みに、マランディングというのはフィリピンの地名のようです。

 

2019年12月に、IBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦で岩佐亮佑(セレス)に敗れてから音沙汰なし、と思っていましたが、調べたら2020年11月に2RTKOで再起していましたね。

34勝中KOは17(3敗)なのですが、ここ10戦(2014年6月以降)は9勝(8KO)1敗ととんでもないKO率を誇っているサウスポーの強打者です。

 

前述した大森にはIBFの挑戦者決定戦で2RTKO勝利、その後獲得したIBF世界バンタム級王座の防衛戦で11RTKO勝利を挙げています。ただ、この防衛戦の時に体重超過してタイトルは剥奪されていますが。

今のところ、スーパーバンタム級リミットでのウェイトオーバーは聞いていないですが、ここのところはちゃんと整えてきてもらいたいものです。

さて、翻って岩佐戦、これはなかなかのシーソーゲーム。岩佐が上手く戦った、という感じはありましたし、試合を決めた左ストレートは見事なものでしたが、最後の最後まで気の抜けない戦いでもありました。

タパレスは7月からすでにアメリカでトレーニングに入っており、アメリカのリングにも慣れています。

 

対しててっしーは、初のアメリカのリング。このあたりはディスアドバンテージとなってしまう可能性はあります。

但し、てっしーには、そのメンタルの強さというものも特筆すべきものがあります。「赤鬼」赤穂亮(横浜光)にも一歩も退かず互角に打ち合った姿を思い起こすと、相手が誰で、どの場所で、いつ試合をしようとも、きっと揺るがないはず。

このタパレス戦は、問題なく乗り切ってくれると信じています。(楽勝とは言っていませんが、気持ちてきには圧勝を期待しています。)

どちらかというと問題はそのあと、スーパーバンタム級最強と目される、ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)。

 

挑戦者決定戦に勝ったら最強王者へ挑戦!

このアフマダリエフの強さといったら、はっきり言って破格です。リング・マガジンのスーパーバンタム級ランキングでも、勿論1位。(2位にダニエル・ローマン)

わずか8戦目で、当時スーパーバンタム級最強と目されていたダニエル・ローマンを撃破し、WBAスーパー・IBF王座を同時に獲得。

正直、ダニエル・ローマン(アメリカ)から2冠を奪ったときは、その強さは難攻不落とまでは思いませんでした。しかし、あのローマンを相手に、超接戦をものにした強さは本物でした。いや、「本物」と言って余りあるほど。

初防衛戦では日本の期待を背負った岩佐亮佑(セレス)の挑戦を受け、岩佐に何もさせずに圧倒的な力で撃破。

 

↓アフマダリエフvs岩佐の観戦記

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巧くて強い。とにかく穴がないうえに、ジャブの精度は良く、オーバーハンドは殺人級。それでいてフィジカルも驚異的に強い。

岩佐は、コロナショック以前からフィジカルに重点を置き鍛えていたものの、アフマダリエフのフィジカルには遠く及びませんでした。

アフマダリエフのパワージャブは、ガードの上からでももらえば危険。

 

ここは距離で外し、上体の動き等々でかく乱し、アフマダリエフの渾身の一撃にカウンターを合わせる、そんなボクシングが必要ではないか、と思います。

WBC王者、ブランドン・フィゲロア(アメリカ)のような戦い方では、潰されてしまう気がします。

WBO王者、スティーブン・フルトン(アメリカ)であれば、可能性がないでもない、そんな気がします。

そしててっしー、ここはかなり高い壁。

アフマダリエフvsてっしーが決まれば、オッズは大きくアフマダリエフに傾くのでしょう。

それでも尚、期待せずにはおれません。

 

そのころには、てっしーは拳四朗のボクシングを吸収し、絶対的な距離感を身に着けているはずです。

そうすれば、ローマンとも、岩佐とも違うタイプのボクシングで、アフマダリエフの意外な弱点が露呈することだって考えられますし、もしかすると意外と打たれ脆いかもしれません(これは願望)。

ともあれ、大切なのは次戦、タパレス戦。

ここで圧勝し、日本のボクシングファンに大きな期待を抱かせる、そんな戦いを期待しています。

本当は現地に行きたい。どうあがいても無理そうですが。

 

ところでこの一戦、Showtimeの放送には乗っかっていないようです。通常、Showtimeの放送は全3試合、この日はスティーブン・フルトンvsブランドン・フィゲロアをメインに、ライース・アリームvsエドゥアルド・バエス、ゲイリー・アントニオ・ラッセルJr.vsアレクサンドロ・サンティアゴの3試合が放映予定。

その前の試合、アンダーカードとなりそうなこの勅使河原vsタパレスは、どのような形でか放送されるのでしょうか。きっと撮影はしているはずなので、WOWOWが放映権を買い取って放送してくれることを切に願います。

とりあえず有給申請だけして、吉報を待ちたいと思います。あ、その前に正式発表を待ちましょう。

 

12/28、村田諒太vsゲンナディ・ゴロフキン合意のニュースを受けて、アンダーカードを妄想。

いよいよ、アンソニー・ジョシュアvsオレクサンドル・ウシクのWBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一タイトルマッチ!!アンダーカードも楽しみですね!

DAZNでの配信は9/26(日)AM2:00〜、メインはAM5:45頃開始とのことです。もうまもなくですね。早く寝ないと笑

土日とも仕事で、練習もあるので、メインだけはリアルタイムで見て、あとは日曜日、帰ってきてから見ようかな、と思っています。

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

↓アンダーカードも

boxingcafe.hatenablog.com

 

さてさて、海外では続々とビッグマッチが行われていますが、我々日本のボクシングファンにとってこの上ないビッグマッチに進展がありましたね。

WBAスーパー・IBF世界ミドル級統一タイトルマッチ、村田諒太(帝拳)vsゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)!

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10月初旬に正式発表という噂ですが、場所は神戸のノエビア・スタジアムが有力。(以前の情報ではさいたまスーパーアリーナだったかな?)収容人数は30,132人ということなので、日本で行われる、日本人ボクサーがメインを張るボクシングイベントとしては過去最大のものになりそうです。

以前から噂のあったこの一戦は、海外メディアからの発表があり、帝拳プロモーションの本田会長も交渉中であることを認めた、とのこと。

両者、陣営は合意に達しており、あとはDAZNが試合を承認するのを待っている、という状態だそうです。アジア、日本への進出を企てるDAZNにとっても、集客力のある村田諒太と、未だにミドル級最強とも言われるゴロフキンとの一戦は、魅力的なものではないか、と思います。

↓以前の記事。

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結局両者は一戦も挟むことなく、ダイレクトに対戦することになりそうですが、村田のブランクはまる2年、ゴロフキンはまる1年。

その一戦については正式発表後にふれるとして、今回のブログでは日本最大級のボクシングイベントとなりうる、この村田vsGGGのアンダーカードを考えてみたいと思います。

まず、これだけのボクシングイベントにおいて、村田vsGGGの世界戦のみ、ということは考えづらいので、やはりセミファイナル、もしくはダブルメインとして相応のマッチアップを持ってくるであろう、というところ。

 

井上尚弥は登場するか?

井上尚弥は、かねてからノニト・ドネア、もしくはジョンリエル・カシメロとの王座統一戦を熱望していました。

しかし、ドネアはWBCから暫定王者、レイマート・ガバリョ(フィリピン)との団体内王座統一戦をオーダーされ、普通に考えるとこれを無視すれば王座は剥奪。

↓その時の記事

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その後、WBOもそれに乗っかったのかカシメロにも指名挑戦者、ポール・バトラー(イギリス)戦をオーダー。これにより、井上尚弥の王座統一戦は大きく遠のいた、と言って良いでしょう。

王座統一戦が叶わなかった場合に、井上陣営が上げていた名前はゲイリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)、ラウシー・ウォーレン(アメリカ)、ギジェルモ・リゴンドー(キューバ)。この中でラッセルは11/27にShowtime登場が決まっており、よほどのことがない限りはウォーレンになりそうです。(リゴンドーはカシメロ戦のこともあって誰も試合したいとは思わないでしょうから)

今年中にもう一試合したい井上としては、年末というのはベストなタイミングにも思えます。しかし、井上vsウォーレンがこのアンダーカードになり得るか、というとこれは難しい。

 

井上は、日本での試合はトップランクに干渉されない代わりに、フジテレビという呪縛があるのです。

そうすると、フジテレビ側が村田、井上という大スターふたりを、せっかく生中継できるのにDAZNに差し出すとは考えづらい。

可能性はゼロではありませんが、ここはなかなか高いハードルのような気がします。

 

ほかの世界王者たちはどうか?

WBO世界フライ級王者、井岡一翔(志成)も年内にもう一戦したい、とは思いますが、ここもあり得ません。

TBSの年末ボクシングの顔である井岡も、井上と同様の理由でTBSが黒船・DAZNに貸し出すことは考えられません。非常に残念ではありますが。

京口紘人(ワタナベ)はプラットフォームのひとつとしてDAZNという選択肢があるため、可能性はゼロではありません。

しかし、対抗王者で統一戦の話のあったWBO王者、エルウィン・ソト(メキシコ)、一度団体内統一戦をオーダーされたWBAレギュラー王者のエステバン・ベルムデス(メキシコ)はともに10月に防衛戦を予定しており、もし試合が組み込まれたとしても統一戦とはならなそうですね。

 

ワタナベジムは国内ではTBSですが、最近は希薄な気もしますし、ここはワンチャンありそうで、だとすれば元暫定王者のダニエル・マテヨン(パナマ)との指名戦が話に上がっても良さそうです。

WBC同級王者、矢吹正道(緑)はしがらみはなさそうですが、先日のあの大激闘からたった3ヶ月では苦しい。

寺地拳四朗が矢吹に勝利していれば、喜び勇んでこのイベントに出そうなものですが初黒星、それとともに右瞼の傷は深そうで、もし復帰となってもある程度の時間を空けた方が良いでしょうね。(不祥事以降フジボクシングに登場していないため、その辺りのしがらみはないと思われます)

ちなみに、矢吹のオプション興行権は未だ拳四朗側が握っており、拳四朗サイドが無理にと言えば試合を組むことはできるかもしれません。

 

ただ、矢吹の進退も定まっていないこの状況で、そんな鬼のような所業は普通はやらないと思いますが、どうなんでしょうか。

そして最後に、最も可能性として高いのはWBO世界フライ級王者、中谷潤人(M.T)。

これはかなりの高確率でアンダーに組み込まれてくると思います。

中谷をプロモートするのは帝拳プロモーション、そして本人も年内にもう一戦やりたい、と言っています。

更に、前戦のアンヘル・アコスタ戦を無傷で終え、もしかすると早々に統一戦が組まれるかもしれません。

村田vsゴロフキンのアンダーに、中谷vsマルティネスなんかが組まれてしまった日には、なんとしても神戸に行かなければなりません。

 

というか既に神戸に行く方法と、ノエビアスタジアムの場所、そして有給休暇申請は記入してそっとデスクにしまってあり、妻の承諾も得ました。

あと可能性があるとすれば、IBF世界スーパーフェザー級王座決定戦として開催されるはずの、尾川堅一(帝拳)vsアジンガ・フジレ(南アフリカ)でしょうか。

シャフカッツ・ラキモフ(ロシア)が回避したがために行われるこの一戦は、本来であれば2019年に挑戦者決定戦として行われるはずだったもの。確か場所は後楽園ホールで、フジレ陣営が日本に来るのが嫌だ、となって破談になったように記憶していますが(違いましたっけ?)、果たしてビッグマネーを詰めばフジレは日本に来てくれるのか。

 

なので、セミセミに尾川vsフジレ、セミに中谷vsマルティネスの統一戦、メインに村田vsGGG。そして更に、中谷正義かホルヘ・リナレスの復帰戦を挟めばもう最高でしょう。豊嶋亮太の防衛戦でも良い。

その他にもB級でプロテストを受けて、その後音沙汰のないスーパーホープたちにもこぞって出場してもらいたい。

一日中ボクシングをやっているようなイベントを期待したいですね。

ともあれ、全てはコロナ次第。

おそらく今後、緊急事態宣言が解除され、そのうちにまた感染爆発、なんてことにならないといいですが。

ということで、12/28、国内最大級のビッグイベント、妄想しながら続報を待ちましょう。

 

ジョシュアvsウシクのアンダーカード、ローレンス・オコリー、カラム・スミスが登場!【プレビュー】

9月はメキシコの独立記念日があり、毎年結構ビッグマッチに恵まれる月なんですが、その独立記念日にあわせて開催予定だったカネロvsプラントはまとまらず、そしてフルトンvsフィゲロアはフィゲロアのコロナ罹患により延期に。

カネロvsプラントにしろ、フルトンvsフィゲロアにしろ11月に延期ということで、11月の興行がとんでもないことになっていますね。

そして昨日のブログでも書きましたが、ティム・チューの次戦も決定、相手はなんと日本の井上岳志。11月は追いきれないかもしれません。。。

↓突然発表された、チューvs井上!

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個人的にも後楽園ホールでの現地観戦を予定している月でもありますので、これはなかなか大変そうです。

さて、本来であればたくさんあった9月の海外興行、フルトンvsフィゲロアのほかに、サニー・エドワーズも登場予定でしたがこちらは負傷で延期。

結局9月の注目の海外戦は、超微妙な結末になってしまったララvsウォーリントン、こちらも超微妙な結末になってしまったバルデスvsコンセイサンがメインの2興行と、来週末に控えるジョシュアvsウシクのみ。

以前のブログでジョシュアvsウシクには触れました。

boxingcafe.hatenablog.com

そして今回のブログでは、そのジョシュアvsウシクという一大イベントに華を添える、こちらも大注目のアンダーカードについてです。

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9/25(日本時間9/26)

メインはアンソニー・ジョシュアvsオレクサンドル・ウシクのWBAスーパー・IBF・WBO統一世界ヘビー級タイトルマッチです。

そしてセミファイナルはこちら!!

WBO世界クルーザー級タイトルマッチ

ローレンス・オコリー(イギリス)16勝(13KO)無敗

vs

ディラン・プラソビッチ(モンテネグロ)15勝(12KO)無敗

オコリーは身体能力が高く、身長196cmリーチ210cmというサイズを活かし、鋭いパンチを遠くからでも振り回すパンチャーです。

ややディフェンスに甘い所があるものの、ワイルドに繰り出すパンチはすべてが必殺。

現在6連続KO中、前戦では元王者の強豪、クリストフ・グロワキ(ポーランド)を相手にも無類の強さを発揮、最終的にはワンパンチ・ノックアウトを決めてみせました。

 

この王者は、ただのパワーパンチャーではなく、パンチを当てる技術も持っています。グロワキに対してもほとんど左一本でコントロールし、最後は右を決めてしまうというまさに横綱相撲。

このKOパンチャーは、非常にスペクタクルなノックアウトを演出することができるので、さながらクルーザー級のデオンテイ・ワイルダー。

しかし、先にも述べた通りディフェンス、特にブロッキングに甘さがあり、もし中に入られて乱打された場合がどうなるのか、というのは未知数。そして、身長が高い分、その身体は線が細いように思え、実際そのタフネスは試されていませんが、打たれて強くはなさそうです。

 

28歳、これから油が乗ってくるであろうこの王者は、クルーザー級最注目ボクサーです。

今回の挑戦者はディラン・プラソビッチ。モンテネグロ、バルカン半島に位置する人口62万人程度の小国で、旧ユーゴスラビアのようです。

15戦して12KO勝利、無敗と素晴らしい戦績を誇りますが、未だ世界的な強豪との対戦はありません。クルーザー級という階級がゆえに、アジアまで聞こえてきていないだけかもしれませんが。

26歳という年齢でここまで登ってきたことを思えば、きっと母国、もしくはヨーロッパのあの辺りでは期待のホープなのかもしれませんね。

 

Youtubeのいくつかの映像を見ましたが、左フックにかなりの威力があるボクサーに見えます。思い切りパンチを打ち込むタイプのパンチャーで、なるほどKO率80%も大いに納得できます。

サイズ的には、BoxRecに載っていないのでわかりませんが、かなりのガッチリ体型のため、身長はあまり高くなさそうです。

モンテネグロ、広義では東欧に部類されるようですが、なるほどあのあたりのボクサーの特徴であるフィジカルの強さは持ち合わせています。踏み込みも鋭く、連打の際のガードはこちらも甘いものの、強烈なブローを続けざまに打つことのできるボクサーですね。

もし、オコリーのジャブを突破し、自分の距離に持ち込むことができれば、まさかの一発を当てられる展開になるのかもしれません。

 

ただ、もしその距離を突破できないとすれば、オコリーとしては、中間距離、自分のパンチだけが当たる距離で戦い、今回も横綱相撲的ボクシングを見せられるかもしれません。

私にとっては、このプラソビッチは、読み方もよくわからない未知の強豪です。(スペルはDilan Prasovic)この未知のボクサーというのはワクワクしますね。

オコリーがまた強さを見せてくれることに期待しています。

カラム・スミス(イギリス)27勝(19KO)1敗

vs

レニン・カスティーリョ(ドミニカ共和国)21勝(16KO)3敗1分

カラム・スミスはそういえばWBSSファースト・シーズン、スパーミドル級の覇者です。

191cmという長身、198cmというリーチに恵まれたボクサーは、初戦でWBCダイアモンド王座(謎)を、決勝でジョージ・グローブス(イギリス)を破りWBAスーパー王座を獲得、統一王者となりました。

WBSSの1stシーズンといえば、オレクサンドル・ウシクがクルーザー級で優勝、4団体を統一し大いに盛り上がったトーナメントでしたね。

 

スミスはというと4冠統一とはいかず、WBAスーパー、WBCダイアモンドという2つのタイトルを獲得、初防衛戦の相手がアッサン・エンダム(フランス)というのは非常に微妙ですが3RTKO勝利で難なく勝利、そしてその後の防衛戦では、ジョン・ライダーに大苦戦。

これで一気に評価を落としたスミスでしたが、ここにカネロが目をつけます。

身長175cmのライダーに大苦戦した様を見て、与しやすしと思ったのか身長173cmのカネロはスミスとの統一戦に臨みます。ここで謎のWBCダイアモンド王座は消滅、WBAスーパー王座とWBCの正規王座の決定戦という形でこの一戦が挙行(カネロは当時、WBAレギュラー王者)され、とにかく為す術なくカネロに敗退。

さて、スミスはそのカネロ戦からの復帰戦、1年9ヶ月ぶりのリングとなりますね。

対戦相手のレニン・カスティーリョは、かつてドミトリー・ビボルの持つWBA世界ライトヘビー級王座に挑戦経験(ほぼフルマークの判定負け)のあるボクサーです。

 

パワーはなかなかに感じられるボクサーで、サイズも身長188cm、リーチ193cmとスミスと比べても遜色はありません。

しかし、どちらかというとスピードや回転力に乏しく、とりわけアウトボクサーとは相性がよくないイメージです。

おそらくスミスにとっては戦いやすく、苦手(?)な低身長なボクサーでもないため、安牌の相手として選んだボクサーなのかもしれません。

このカスティーリョはもしかするとスーパーミドル級初戦となるのではないでしょうか。ライトヘビー級で戦っていたパワーを、この階級に持ち込むことができ、そして更にスミスにそのパワーパンチが当たれば番狂わせを起こす可能性はあります。

 

しかし、スミスとしては大切な復帰戦、ホームといえる英国での試合、あのカネロに(精神的に)壊されていなければ勝利は固いでしょう。

この他、IBFインターナショナル・ウェルター級タイトルマッチで、マキシム・プロダン(ルーマニア)vsフロリアン・マルク(アルバニア)のウェルター級無敗対決が行われ、かつてロブ・ブラント(アメリカ)に挑んだカサン・バイサングロフ(ロシア)が無敗のクリストファー・オスリー(アメリカ)とWBAインターコンチネンタル・ミドル級王座決定戦に臨みます。

そして、リッキー・ハットン2世、キャンベル・ハットンはプロ4戦目。

ということでアンダーカードも注目試合だらけで超豪華、特にセミファイナルのオコリーは非常に注目です。

そしてこのたった2週間後、フューリーvsワイルダー3というヘビー級ビッグマッチが開催されます。果たして勝者同士の対戦はあるのでしょうか。楽しみですね!

 

【プレビュー】アンソニー・ジョシュアvsオレクサンドル・ウシク!見たいのはウシクの奇跡!

10月、11月の海外戦が次々と発表され、非常に楽しみですね。

最近になってやっと発表されたのは現地時間で10/4のテオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソスJr.、10/15のエマニュエル・ナバレッテvsジョエ・ゴンザレス、そして11/20のテレンス・クロフォードvsショーン・ポーター。

すでに発表されていたカードも、フューリーvsワイルダー3やヘリングvsシャクール、カネロvsプラント等々とビッグマッチ揃いで、この秋、ボクシング界は大いに盛り上がること請け合いです。どうかどうか、コロナに邪魔されないでもらいたいです。

 

コロナといえば、エストラーダvsロマゴンやフルトンvsフィゲロアもまだ日程がペンディング状態であり、この秋に組み込まれる可能性は大きい。

国内でも注目興行が盛り沢山、ということで、果たして身体が持つか心配です笑

さてさて、10月に入る前に、国内での注目興行は何といっても寺地拳四朗vs矢吹正道のWBC世界ライトフライ級タイトルマッチ。

カンテレドーガLIVEで生配信、そしてなんとWOWOWで後日録画放送(9/27月21:00のレギュラー放送)ということで、これは珍しい。地上波での放送がない、というのは何とも奇妙なものですが、WOWOWの解説陣が日本人同士の試合を解説することもレアなので、楽しみです。

さて、前置きが長くなりました。

 

この試合を見ずして10月には入れません。今回のブログでは、アンソニー・ジョシュア(イギリス)vsオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)、WBAスーパー・IBF・WBO世界統一ヘビー級タイトルマッチのプレビューです。

↓アンダーカードはこちら

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9/25(日本時間9/26)DAZN

WBAスーパー・IBF・WBO世界統一ヘビー級タイトルマッチ

アンソニー・ジョシュア(イギリス)24勝(22KO)1敗

vs

オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)18勝(13KO)無敗

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ロンドン五輪、スーパーヘビー級の金メダリストで、現3冠王者のアンソニー・ジョシュア。身長198cm、リーチ208cmという恵まれた体躯を持ち、非常にスタンダードなボクシングをする優等生的なボクサーです。

作り込まれた彫刻のように見事にビルドアップされた肉体は、まさに超合金。

ボクシングを始めたのは意外と遅く、2007年、18歳だそうです。その後アマではロンドンオリンピックの金メダルを獲得(決勝はドロー、優勢点での優勝)し、2013年にマッチルームと契約し、プロデビュー。

 

デビュー以来は連戦連勝、そしてそのすべてをノックアウトで勝ち上がっていくという、破格の快進撃を続けていきます。

地域タイトルを獲得し、それを防衛しつつキャリアを重ね、世界へ挑んだのは2016年、IBF世界タイトルマッチ、当時無敗のチャールズ・マーティン(アメリカ)戦。マーティンは、タイソン・フューリーが剥奪され、空いた王座を決定戦で勝ち取ったラッキーな王者だったかもしれませんが、とにかく無敗の世界王者、マーティンをたった2Rで粉砕、見事世界初戴冠を果たします。

圧倒的なKO劇を見せたジョシュアの躍進はまだまだ続き、初防衛戦ではドミニク・ブリーズエール(アメリカ)を7RTKO、続いてエリック・モリナ(アメリカ)を3RTKOと勢いに乗ります。

 

そして迎えた3度目の防衛戦の相手は、前3団体統一王者、ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)。前戦でタイソン・フューリー(イギリス)に敗れて無冠となったものの、それまでのクリチコはWBA8度、IBF18度、WBO14度を連続防衛した超がつくほどの名王者。

クリチコに勝利し、一夜にして時の人となったフューリーはその後こころに支障をきたし、戦線離脱を余儀なくされていました。

この、ジョシュアにとってIBF王座3度目の防衛戦は、WBAスーパー王座の決定戦にも位置づけられ、2冠戦として開催。

ウェンブリー・スタジアムで行われたこの一戦は、なんと観客が9万人、そして試合内容も素晴らしいものでした。

5Rにダウンを奪ったジョシュアでしたが、そのラウンド後半にはクリチコに逆に攻め込まれ、翌6Rに倒し返されます。ダメージの残るジョシュアは7、8Rをなんとかエスケープし回復、9、10Rに盛り返したジョシュアは、とうとう11Rにクリチコを倒し切る、という非常に劇的な勝利。

 

ヘビー級の新旧対決はここに極まり、フューリーがクリチコを攻略した時よりも明確に、そして劇的に完全な世代交代を告げてみせたのです。

ヘビー級史に残る激闘を制したジョシュアは、WBAスーパー、IBFの2冠をカルロス・タカム(カメルーン)を相手に防衛、その後はWBO王者ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)との統一戦に臨むこととなりました。

「無敗の王者同士の統一戦」というのは、非常に興味をそそるものですが、体格、パワーに勝るジョシュアのプレッシャーに、パーカーは思い切って攻め込むことができず、ほぼフルマークの大差判定負け。ジョシュアは何も特別なことはせず、普通に戦った、という感じでしたね。

 

ともあれ、ここがジョシュアの初の判定勝利。

これで3冠王者となったジョシュアはその後、古豪、アレクサンドル・ポヴェトキン(ロシア)を7RTKOで降して3冠タイトルの防衛に成功しています。

そして迎えた2019年6月1日、伏兵・アンディ・ルイス(アメリカ)にまさかの7RTKO負けを喫して積み上げてきた世界タイトルをすべて失ってしまうことになってしまったのです。

ジョシュアは当時22戦全勝(21KO)という驚異的な戦績を誇り、スーパースターとなっていました。迎えたアンディ・ルイスはぽっちゃり体型、無名のボクサーということで、誰もこんな結末を予想していませんでした。

序盤からもちろんジョシュアが優勢に試合を進め、3Rにダウンを奪取。しかし、ダウンしてからのルイスは覚醒したかのようにジョシュアに襲いかかり、ジョシュアからダウンを奪い返し、終盤にもまたもダウンを奪うという猛攻。

ついには7R、ジョシュアはまた2度のダウンを奪われて、レフェリーストップ敗け。

 

この敗北により、「脆さ」が浮き彫りになり、パーフェクトファイターではなくなったジョシュア。かねてからその指摘はありましたが、ここで明確になったと言って良いでしょう。

無名の相手に対して、やや油断もあっただろうジョシュアは同年12月、リマッチでルイスに勝利。しかしここはルイスの強打を警戒し、おそらく前回のKO敗けが頭をよぎったこともあるのでしょう、初回から最終回まで丁寧なアウトボクシング。いわゆる「塩」に徹し、ほぼフルマークでの判定勝利を得ました。

ポイントは完全シャットアウトという大差判定ですが、ジョシュアのこころとしては余裕はなかったと思います。

こうして3冠を取り戻したジョシュアは、2020年12月にクブラト・プレフ(ブルガリア)を余裕で倒し、自信を取り戻した戦いぶり。

 

↓観戦記

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その後、WBC王者のタイソン・フューリー(イギリス)とのメガファイトが対戦合意に至ったというニュースが流れますが、これはデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)から再戦条項がある、との横槍が入りいったん消滅。

今回は、WBOの指名挑戦者であるオレクサンドル・ウシクの挑戦を受けることになりました。

↓対戦合意のときの記事

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↓フューリーはワイルダーとの3戦目に臨むことに。(7/24からは延期になっています。)

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そしてそのオレクサンドル・ウシク。このボクサーは、クルーザー級から上がってきたボクサーで、まず明らかに体格面でジョシュアに劣ります。

身長は191cm、リーチは198cmと、ともに10cmほどのビハインド。

しかしこのボクサーは、もちろん侮れません。

アマチュア時代からヨーロッパ選手権、世界選手権等でしっかりと実績を残し、2012年のロンドン五輪では優勝候補として戦い、見事ヘビー級で金メダル。

2013年にプロデビューし、5戦目でWBOインターコンチネンタルクルーザー級王座を獲得、この王座を4度防衛しますが、ここまではすべてKO勝利。

2016年、10戦目でWBO世界クルーザー級王者だったクリストフ・グロワキ(ポーランド)に挑戦、初の判定勝利をもって世界を初戴冠。この王座の初防衛戦はタビソ・マヌク(南アフリカ)を9RKO、マイケル・ハンター(アメリカ)に判定勝利、盤石の強さを見せます。

 

しかし、この頃のウシクは残念ながらメジャーな王者ではなく、ファイトマネーも1000万円ほど。

そんなウシクの置かれている状況を変えたのは、2017年にシーズン1が開催された、WBSS(World Boxing Super Series)。リチャード・シェイファーがたちあげた、団体やプロモーターの垣根を超えたこのトーナメントは、今でこそ日本でも有名ですが、当時のシーズン1に注目していた日本人は、重量級までしっかりと目を通すコアなファン層のみだったでしょう。

そのWBSSシーズン1はクルーザー級とスーパーミドル級という、人気階級に近い階級で、さほど人気のない階級で開催されました。今はスーパーミドル級は人気ですけどね。カネロがいるので。

このクルーザー級とスーパーミドル級という絶妙なチョイスは、欧米で人気の高い中重量級の中でも、ファイトマネーが安かったので成功した、とも言えるでしょう。その後のWBSSの軌跡については色々とありましたが、現在のように「統一戦志向」という流れを作ってくれたことには感謝ですね。シーズン3も開催してもらいたい。

 

さて、そのWBSS初戦として行われたのは、このオレクサンドル・ウシクと、過去WBO世界クルーザー級王座を13度も防衛したマルコ・フック(ドイツ)。

ここを10RTKOで勝ち残ったウシクは、準決勝で当時のWBC王者(現在はIBF王者)であったマイリス・ブリエディス(ラトビア)との統一戦に臨みます。この一戦は、ブリエディスのパワー、フィジカルに手を焼きつつも、ウシクが判定勝利。ジャッジの一人はドローでしたが、2-0。ドローはないだろう。。。と思いますが、そもそもウシクはフック戦はドイツで、ブリエディス戦はラトビアで戦っているグローブ・トロッター。

ともあれWBC王座を吸収し、WBSS決勝に進出したウシクは、同じくこのトーナメントでWBAスーパー・IBF世界クルーザー級統一王者となったムラト・ガシエフ(ロシア)との4団体統一戦に臨むこととなります。

ウシクの怪我で延期もあったこの決勝は、2018年7月、ロシアで開催。

 

当時はワイルドなパンチャーであるガシエフを応援していたのですが、ウシクの技巧に完全に空転、正直、虚しさで胸がいっぱいになりました。ガシエフ、危険なパンチを持っていますが、純粋すぎました。

ウシクは非常に運動量が多く、そして速く、巧い。

優勝賞金が1,000万ドルという触れ込みだったこのトーナメント(実際無事にもらえたのだろうか。。。)を制し、史上4人目の4団体統一王者となったウシクは、ヘビー級転向とともにDAZNと契約。

そしてヘビー級でのテストマッチを2戦、戦っています。

 

クルーザー級リミットの200lbs(約90.72kg)から、15〜17lbs(7kg前後)増量したウシクですが、それよりも更に10kg〜15kgほど重いヘビー級ボクサーと戦った2連戦は、技術の差はあるもののパワー差が顕著、圧倒的なパフォーマンスは見せられていません。

ジョシュアも、240lbs(約98kg)ほどでリングに上がることが多いので、当日の体重差は約10kgくらいになりそう。

しかし、しかしです。

ヘビー級で2戦、そろそろヘビー級との戦いに、身体に慣れてくる頃でしょう。

そして、ウシクの俊敏性、運動量を持ってすれば、ジョシュアのパンチをもらわずに済むかもしれません。

とりわけ序盤、距離も遠いジョシュアのパワーパンチを気をつけて回避し、その後もジョシュアのプレッシャーに屈することなく、出入りを繰り返すことができれば、「まさか」の事態は起こりえる、と思っています。

 

勿論、ジョシュアも油断はないでしょう。自身の油断(ルイス戦の敗因の一つだと私は思っています)から手痛いしっぺ返しを食ったジョシュア、その後は学んでいるはずです。非常に余裕を持って戦ったプレフ戦、自らノックアウト勝利を引き延ばしているようにも見えましたが、もしかするとあれは慎重に戦っていただけなのかもしれません。ノックアウトを目指してガンガン距離を詰めていけば、その分リスクも大きくなります。

ジョシュアがリスク回避してチャンスにもあまり攻め込まない、となると、多角的なステップワークと運動量やその技巧の他に、ボクシングIQも高いウシクが対策を練れる時間が出てくるかもしれません。

ジョシュアには、一発で試合を終わらせるパワーパンチがあるかわりに、ともすれば一発で試合を終わらせられてしまうグラスジョーもあります。

 

そしてウシクは体格面で大きなビハインドを持っていますが、培ったボクシングIQ、そして敵地で戦い続けるハートの強さを持っています。

もしかすると、早々に決着がついてしまう戦いなのかもしれません。

それでも尚、個人的にはウシクの奇跡を期待せずにはおれないのです。

ウシクのヘビー級転向2戦とは、別人の姿を見せてもらいたい。

本当は、ジョシュアが勝った方がヘビー級4団体統一戦に向かう機運が高まるのはわかっています。おそらくウシクでは注目度が大きく下がり、金銭的に開催は困難になるのかもしれません。

しかし、成るか成らないか、先のことを考えるよりも、この試合のみを楽しみたいと思います。ということで、ガンバレウシク!

。。。長くなりすぎてしまいました。注目のアンダーカードは、また次回。。。

あ、この興行はDAZNで生配信。見るっきゃない!

DAZNはこちらから!!

DAZN

 

【プレビュー】週末〜来週にかけての国内戦!9月後半は、敗者復活戦祭り!!!

今週末、9/19(日)は国内興行が非常に多いです。

中日本vs西部日本の新人王対抗戦(sakanaさんのYoutubeで生配信)をはじめ、西日本新人王決勝が2部制で開催(11:45〜、14:15〜)され、更にその後17:45〜井岡弘樹ジムとグリーンツダジムが合同開催するCHAMP FIGHTがエディオンアリーナで開催される予定となっています。

この日、中日本vs西部日本で勝ち残った勝者と、同日に行われる西日本新人王決勝で勝ち残った勝者が、西軍代表決定戦で雌雄を決し、後楽園ホールに乗り込んでくることになります。

私は新人王戦を追えていませんが、これまでの中日本新人王戦については、ボクシング選手名鑑管理人、せきちゃんのブログが詳しいです。

boxinglib.com

 

ちなみに東日本の方は、9/27、9/28に新人王戦の準々決勝が開催され、順調にスケジュールをこなしてきていますね。

今年の新人王戦も楽しみです。

さて、本日のブログでは今週末、そして翌週に控える国内興行(新人王戦除く)のプレビュー記事です。

 

9/19(日)CHAMP FIGHT

ミドル級6回戦

中田勝浩(井岡弘樹)6勝(4KO)無敗

vs

友松藍(ワタナベ)1勝1敗

2020年度の全日本新人王、中田と、元アマエリートの友松の一戦。

中田は長身から打ち下ろすストレート、そして右アッパーに非常に威力がありますね。

↓全日本新人王決勝の観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

 

スピード、技術で上回る友松がどのようにそのプレスをかわし、かきまわして自らのパンチを当てるか、というところが見ものですね。

叩き上げvs全日本優勝のアマエリート、日本最重量級の未来を担う一戦となるのかもしれません。

アンダーカードには、2020年度の西日本新人王、神埼靖浩(倉敷守安)も登場。非常に技術の高いボクサーで、全日本新人王決勝でも三迫ジム期待のホープ、宝珠山晃と完全に互角の内容でした。この神崎というボクサーは、きっと上に上がってくるボクサーだと思っています。

↓観戦記

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9/22(水)WATANABE&DANGAN

スーパーフェザー級8回戦

源大輝(ワタナベ)16勝(13KO)7敗1分

vs

草野慎悟(三迫)13勝(5KO)9敗1分

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本来のメインは三代大訓vs西谷和宏でしたが、延期となり、セミだったこの一戦がメインに格上げ。

元日本フェザー級王者、源大輝は前戦で中川兼玄(三迫)に敗北してからの再起戦。減量苦から2度防衛した日本フェザー級タイトルを返上、スーパーフェザー級に上げてからは渡邉卓也(DANGAN AOKI)との日本王座挑戦者決定戦での敗北からの前戦、ということで2連敗を喫しています。

源に勝利した渡邉は敗れはしたもののチャンピオン・カーニバルで日本王座に挑戦、そして前戦で源に勝利した中川は次戦が挑戦者決定戦となっています。

 

源はここで負ければ後がない、という状況です。

さて、対戦相手の草野も、前戦は敗戦です。

2020年8月、はじめの一歩フェザー級トーナメント決勝で渡部大介(ワタナベ)に判定負けを喫してからの再起戦。

こちらもフェザー級あがりのボクサーですが、今回が転級初戦、勝てば日本ランクが手に入るという重要な一戦となります。

かなり厳しいサバイバルマッチ。とりわけ、源にとってはここで負ければ虎の子の日本ランクを奪われる格好となります。

源の日本タイトル戴冠戦は非常に感動的なものでした。また這い上がってもらいたいものです。

セミファイナルには女子の元世界王者、宮尾綾香(ワタナベ)が登場、日本女子アトム級王者、長井香織(真正)との47.0kg契約8回戦に臨みます。

 

前戦で痛烈なKO負けを喫してしまった宮尾は少し心配ですね。2018年11月を最後に勝ち星に恵まれていません。

対して長井は5連勝中と勢いにのり、ここで元世界王者を喰えば世界戦線に名乗りを挙げられます。モチベーションは高いでしょうね。この試合もまた、激闘必至。

この興行は、BoxingRaiseで録画配信。

↓世界戦がずれて、日程がかぶってしまいましたね。。。

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9/23(木)Keep Fighting

ライト級8回戦

竹中関汰(姫路木下)7勝(2KO)6敗1分

vs

福井貫太(寝屋川石田)7勝(5KO)4敗1分

先日は永野佑樹と別府優樹のユウキ対決がありましたが、今度はカンタ対決。

竹中は湯場海樹(ワタナベ)、ジロリアン陸(フラッシュ赤羽)と実力者に連敗中で、ここで負けると星が五分となってしまう瀬戸際。

一方の福井は前戦でフィリピンでキャリアをスタートさせた保坂剛(三迫)の日本プロデビュー戦の相手を務め、僅差のスプリットでの判定負け。

互いに復帰戦で互いに7勝同士。ランク入りを目指すなら、ここは落とせません。熱戦が期待できますね。

この興行はメインも含め全6試合、12名のボクサーが登場しますが、そのうち6名がデビュー戦を戦います。非常にフレッシュな興行ですね。

 

9/26(日)CHAMPIONS ROAD

60.5kg契約8回戦

大里拳(大鵬)16勝(4KO)4敗1分

vs

小西帝士(井岡弘樹)6勝(4KO)4敗

大鵬ジムの日本ランカー、大里兄弟が登場の予定でしたが、セミファイナルに登場予定だった弟、大里登の対戦相手が棄権、試合が中止となってしまいました。殿本恭平(勝輝)とのエキシビジョンが組み込まれているようです。

兄・拳は2018年、2019年に当時の日本スーパーフェザー級王者、末吉大(帝拳)に挑むも敗北。1度目はTKO負けでしたが、2度目は2-0という際どい判定負け、日本王座まであと一歩、いや半歩というところを見せつけました。

その後再起を飾るも、2019年12月に現在の日本スーパーフェザー級トップコンテンダー、中川兼玄(三迫)に僅差の判定負け、ここでまた足踏みしてしまいます。

その敗戦から1年半ぶりのリング、ここは順当に勝って先に進みたい所ですね。

 

一方の小西は、2018年12月に6回戦で2勝目をあげてA級ボクサーとなりましたが、日本ユース王座決定トーナメントで湯場海樹(ワタナベ)に敗北、その後に組まれた福井貫太(寝屋川石田)との6回戦でも敗戦、連敗を喫します。

そして今回が初の8回戦となりますが、いきなり上位の日本ランカー。

もしここに勝つことができれば、大きく道が開けますね。実績、キャリアとしてはアンダードッグ、しかも相手ジムの興行。しかしボクシングは何が起こるか分かりません。

こういう状況のボクサーは、実力以上のものを発揮できるかもしれません。こういう一戦もまた、興味深いですね。

この3つの興行、メインイベントに登場する合計6名のボクサーは、全員が再起戦。敗北を知り、連敗を受け、それでも尚立ち上がるボクサーたちの戦いは、うなるようなボクシングテクニックはないかもしれませんし、タイトルがかかった戦いでもありません。

しかし、やはりこういった戦いの中で名勝負が生まれ、ボクシングを生身で感じられるということも事実。たとえ勝ち星が少なくても、たとえKO率が低くても、そのボクサーを知れば知るほどボクシングはおもしろくなります。本当は、時間の許す限り全部見たい。

と、プレビュー記事を書いては見たものの、今のところ、この興行の中で見れるのはDANGAN興行ぐらいです。(BoxingRaiseで)

東日本新人王戦、西日本新人王戦は同じくBoxingRaiseで、中日本vs西部日本新人王戦はsakanaさんのYoutubeチャンネルで配信。

新人王トーナメント、私は正直追いきれませんが、興味のある方は是非!

関西圏の興行については、真正ジムさんがYoutubeで生配信してくれることがありますが、それも全てではありません。関西圏のボクサーたちが知名度を上げるとすれば、動画配信はうってつけだと思うので、どこかで見られるようになれば良いですね。

↓中日本vs西部日本新人王戦の配信はこちら

www.youtube.com

DANGAN興行、東日本、西日本新人王戦はこちら(月額980円)

boxingraise.com

 

 

【プレビュー】ダイナミックグローブ!日本LF級TM、芝力人vs岩田翔吉!永野祐樹vs別府優樹!

本来9/10(金)の予定だった寺地拳四朗vs矢吹正道のWBC世界ライトフライ級タイトルマッチは、拳四朗のコロナ罹患により9/22(水)に延期。

2週間足らずの延期で、拳四朗は9/6(月)に練習再開とのことだったので、コンディションに注目が集まりますね。

もともと、地力が上の拳四朗優位の見方が強く、ただ矢吹には一発がある。。という感じでしたが、この短期間での調整という懸念事項が入ってきて、予想がより難しくなった、というイメージです。

↓プレビュー記事

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対して矢吹は、もともとかなり体が絞れている方なので、減量の苦しい時期が伸びた。。。このふたりのウェイトコントロールも含めて、この2週間足らずの延期がどのように響くのか。

まずは両ボクサーが万全の状態でリングに上がれることを望みます。

 

私は現地観戦の予定がありませんでしたが、現地観戦する予定で遠方から行く場合、水曜日の夜というのは結構キツくないか。会場の都合もあり、致し方のないことながら、これによるチケットのキャンセル等々が出て選手に負担がかかることも大変なものでしょう。

ともあれ、今月はこの寺地vs矢吹をはじめ、中谷潤人vsアンヘル・アコスタのWBO世界フライ級タイトルマッチ等、軽量級の注目試合がもりだくさん。

中谷vsアコスタ(メインはバルデスvsコンセイサン)の試合が日本時間9/11(土)。

こちらはWOWOWで生中継。

↓プレビュー記事

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そして同日の夜、後楽園ホールでも軽量級の注目試合が行われます。

今回のブログでは、9/11(土)に行われるダイナミックグローブ、日本ライトフライ級王座決定戦のプレビュー記事です。

 

9/11(土)ダイナミックグローブ

日本ライトフライ級王座決定戦

芝力人(真正)5勝(3KO)1敗

vs

岩田翔吉(帝拳)6勝(4KO)無敗

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アマ強豪、南京都高校(現京都廣学館)から近畿大学ボクシング部では主将を務め、RK蒲田ジムからB級デビューした芝。

関西のアマエリート街道を突き進み、3戦目で日本ユースタイトルを獲得しています。

その王座を1度防衛、5戦目で日本ライトフライ級挑戦者決定戦に出場しますが、相手が矢吹正道。

のちに日本王者となり、世界に挑戦する矢吹の強打を浴び、4Rにマットに沈みました。

その後心機一転、真正ジムへ移籍して2021年6月に再起戦をKO勝利で飾っています。

アマチュアでしっかりと経験を積み、軽量級らしいスピードとキレを持つ、小気味よく動くボクシングをしますね。非常にバランスのとれたボクサーだと思います。

 

一方の岩田翔吉は、U-15、インターハイで優勝経験を持つアマエリート。

2018年にアメリカデビュー、名門帝拳ジム期待のホープでもあります。

2019年12月の興行で、村田諒太(帝拳)が自身の後継王者として「翔吉!」とリング上から名指ししたことは記憶に新しい。

その期待に応えるためには、ここは何としてでも初タイトルを戴冠したいところです。

ともに好戦的なタイプで、軽量級らしくスピードとキレのあるボクシングをします。豊富なアマ経験から、ボクシングのレベルも高い。

 

ただ、芝の前戦はノーランカーの渡邉秀行(DANGAN郡山)を相手に大苦戦。岩田の前戦はベテラン大内淳雅(姫路木下)から初回にダウンを奪い、見事なボクシングで完封。

前戦の出来のみを見れば、岩田の勝利が固いような気もします。

ただ、この「日本タイトルマッチ」という特別な試合は、ボクサーにとって大きく成長を促すタイミングともなり得ます。

どちらのボクサーも、素晴らしいポテンシャルを持ち、それでもまだ、圧倒的なパフォーマンスは見せられていない、と個人的には思います。この一戦で、どちらかのボクサーに大化けしてもらい。

 

日本ウェルター級挑戦者決定戦

永野祐樹(帝拳)18勝(14KO)3敗

vs

別府優樹(久留米櫛間&別府優樹)21勝(20KO)2敗1分

この試合は、2018年10月以来の再戦です。

奇しくも3年前、日本タイトルへの挑戦権をかけた挑戦者決定戦という舞台で拳を交えた両者が、同じ挑戦者決定戦で相まみえます。

2018年の第一戦は、別府の地元、福岡圏久留米市で行われ、永野が得意の左ストレートを決めて2Rにダウンを奪取、そのまま押し切りました。

 

その勢いを駆って(正確に言うとその前戦の長濱陸戦からの勢いで)日本王座へと駆け上がった永野は、2度目の防衛戦で最強挑戦者、小原佳太(三迫)を迎えて王座陥落。

対して別府は、永野に初黒星をつけられた後、復調して2019年に矢田良太(グリーンツダ)とのWBOアジアパシフィック・王座決定戦を制して初戴冠。

このタイトルは、初防衛戦兼OPBF王者・豊嶋亮太(帝拳)との王座統一戦で敗北、無冠に。

ともに王座を経験し、更に強くなったところで組まれた挑戦者決定戦ですが、ここで負ければ後がない、とも言えます。

勝てば王者、小原への挑戦権を得て、負ければどちらのボクサーにも引退という文字がちらつく一戦。

 

ともにハードパンチを持ち、前戦では序盤、動きの固かった永野が先に当て、ペースをつかんだような試合ないようだったがために、先に当たったもの勝ち、といっても良いでしょう。

超がつくほどの大激闘となることが予測されるこの一戦、間違いなく意地と意地がぶつかり合う、好試合になることは間違いなし。

日本ウェルター級、最大のサバイバルマッチ。

メインよりも楽しみな一戦です。

 

この興行のセミセミには、大阪帝拳ジム所属の辰吉寿以輝が出場でしたが、怪我のためキャンセル。なんだかんだと試合の機会を棒に振ってしまう(前戦は2020年11月、2Rで負傷ドロー)辰吉、少し心配ですね。怪我も多いイメージ。

デビューからはや6年が経過し、日本王座挑戦圏内に上がってきてはいるものの、未だ強豪との対戦経験は少なく、大切に育てられている感じは拭えません。(とはいえ、ビッグネームを喰ってやろうという血気盛んな対戦者たちをしっかりと退けてきたのは事実。)

 

我々世代、いや日本のボクシングファンにとって、「神」レベルであがめられる父、「浪速のジョー」と比べてはいけないかもしれませんが、やはり並のボクサーで終わってほしくはありません。どうにか奮起してもらいたいものです。

さて、この興行のもう一つの注目試合は、第一試合、赤井英五郎(帝拳)のデビュー戦。こちらは「浪速のロッキー」の息子で、ボクシングを始めたのは20歳頃だったように記憶しています。

アマの社会人選手権優勝という実績を持ちますが、東京五輪には届かず、プロ転向。

うまくいけばジョーの息子とロッキーの息子、ふたりの2世ボクサーが競演を果たす、というところだったんですね。いつか、見たい。

 

さて、この赤井のデビュー戦は、東日本新人王トーナメントです。

対戦相手は八王子中屋ジムの岡村弥徳。

日本最重量級であるミドル級のトーナメントは、6名しかエントリーされておらず、アマで実績のある赤井はプロでの実績がなくとも優勝候補の一人として数えられるでしょう。相手の岡村がどのようなボクサーかわかりませんが、ここは快勝でデビュー戦を飾ってほしいものです。

 

このダイナミックグローブは、日テレG+で録画放送。

録画放送とはいっても、数日後のディレイ放送ではなく、当日深夜、9/12(日)のAM0:00~(9/11土曜日の24:00~)です。

情報遮断して楽しみたいと思います。(放送時間は9/12日曜日のAM4:00なので、日曜日も仕事の私にはつらいですが。。。)

 

【プレビュー】寺地拳四朗vs矢吹正道!9/22京都決戦、勝利の女神はどちらに微笑む?

WBC世界ライトフライ級王者、寺地拳四朗(BMB)のコロナ陽性反応により、延期となっていた一戦がはやくも日程決定。

9/10(金)から9/22(水)に日程を移し、場所、アンダーカードはそのままで行われます。

第一報の時から、すでに「9月中」という延期日程の予定だったそうなので、ある意味予想通りではあります。

コロナ罹患とはいえ、症状はなかったのでしょう、拳四朗は自宅での健康観察期間を経て9/6(月)から練習再開。日程が早急に決まったことはよかったですが、両者、そしてアンダーカードに出場する各ボクサーたちの調整具合が気になるところです。

さて、本日のブログでは、9/22(水)にリスケジュールされた、寺地拳四朗vs矢吹正道の、WBC世界ライトフライ級タイトルマッチをプレビューです。

 

9/22(水)

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ

寺地拳四朗(BMB)18勝(10KO)

vs

矢吹正道(緑)12勝(11KO)3敗

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2014年にプロデビュー、2015年にWBCのユース王座、日本タイトル、2016年にOPBF王座を獲得し、2017年にWBC世界ライトフライ級王座を獲得した寺地拳四朗。

このころは抜群の距離感こそ持っていたものの、攻撃力にはやや乏しいボクサーでした。しかし、アマ時代、どファイターだったという拳四朗は、このプロでのスタイルチェンジに成功し、今やインでもアウトでも力を発揮する穴の少ないボクサーに成長しています。

 

その素晴らしいボクシングが開花したのは、世界王者になってからのこと。

2-0、僅差の判定でガニガン・ロペス(メキシコ)を攻略し、WBC世界ライトフライ級王者となった拳四朗は、初防衛戦で元王者、ペドロ・ゲバラ(メキシコ)を迎えて2-0の判定で薄氷の勝利。

しかし圧巻なのはここからで、ヒルベルト・ペドロサ(パナマ)を4RTKOで沈めると、3度目の防衛戦では元世界王者ガニガン・ロペスとの再戦に臨み、2RKO勝利。その後も元王者ミラン・メリンド(フィリピン)を7RTKO勝利で退け、3連続KO防衛。

5度目の防衛戦ではタフなサウル・フアレス(メキシコ)を倒し損ねますがほぼフルマークの判定勝利、6度目、7度目の防衛線ではそれぞれジョナサン・タコニン、ランディ・ペタルコリンというフィリピン人挑戦者を4Rで一蹴。

 

圧倒的な強さをもって、具志堅用高の持つ日本人最多防衛記録、「13」を塗り替えると公言しています。

迎えた8度目の防衛戦の前に、泥酔して車を傷つけるという事件を起こし、様々な思いの中で初の日本人挑戦者、久田哲也(ハラダ)に3-0の判定勝ち。この一戦、決して拳四朗の出来はよくなかったものの、久田も京口戦ほどの仕上がりはなく、ダウンを奪っての判定勝利でした。序盤、かなり固さの見えた拳四朗を見て、やはり彼もヒトだと思ったものでしたが、終わってみれば圧巻の勝利。

そこから時がたち、SNS等もある程度更新している中で、この精神的なプレッシャーからは以前よりも開放されてきたようにも思います。

 

対して、矢吹正道。

2016年にプロデビュー、デビューから3戦はすべて1RKOという破竹の連勝で全日本新人王決定戦に臨みます。

東日本から上がってきたのは、現世界王者、中谷潤人(M.T)。この中谷に序盤は良い戦いを見せるも、後半追い上げられての判定負けを喫して初黒星を味わいました。

その後も3連続KO、早い回で倒すハードパンチャーぶりを見せつけますが、2018年、現日本フライ級王者、ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)とのハードパンチャー対決では逆に1RTKO負け。またも試練が訪れます。

 

その後も世界ランカーに挑戦したダニエル・マテヨン(のちのWBA世界暫定王者/キューバ)で判定負けを喫する等、挫折を経験し、待ち望んだ日本タイトル戦も待ちに待たされたものの、挑戦者決定戦を4RTKO、王座決定戦を初回KOで決めてタイトル初戴冠。

矢吹は、この未曾有のコロナショックがはじまる2019年12月に挑戦者決定戦に勝ち、あとは日本タイトルへの挑戦を待つ状態でした。しかし、春に始まったコロナショックで待たされた挙げ句、王者だった高橋悠斗が引退。その後2020年7月に王座決定戦を戦っています。

2020年12月の初防衛戦では指名挑戦者、大内淳雅(姫路木下)とフルラウンドを戦ってほぼフルマークの完勝。その後は挑戦者は現れず、その年の春頃、拳四朗vs久田哲也の後には拳四朗と交渉中、というニュースが出ていたと思います。

そして今回も、拳四朗のコロナ陽性反応により待たされた結果となりましたが、この待たされ続けた怒りを、ここでぶつけられるか。

ともにベースとなるのは距離感を大切にしたボクシング。

 

リズミカルに、また豊富な運動量で動き回る拳四朗(久田戦は割とどっしり構えていましたが)は、普段の構えからグローブの位置は柔軟に、リラックスした状態からパンチを放ちます。

矢吹は比較的どっしりと構え、キレ味鋭いジャブを得意としています。

まずはこの空中戦、ジャブの差し合いをどちらが先に制するのか。

ハンドスピード自体に差はないように思いますが、動き回る拳四朗のほうが多角的に攻撃できそうな感じもします。

そしてともにカウンターが得意であり、特に矢吹のカウンター、そしてそこからの詰めという部分においては非常に定評があります。

 

絶対にチャンスを逃さない、そんな獰猛さも持ち合わせている矢吹の一発が当たれば、そのまま試合を決めてしまっても何らおかしくはありません。

逆に拳四朗は、チャンスにも冷静で、おそらく相手が弱り切ったところでしかラッシュをしかける場面はありません。このあたりの考え方、性格の違いも、この一戦に反映されるのかもしれませんね。

未知数な部分は拳四朗のタフネスの部分ですが、拳四朗のキャリアの中でも、矢吹ほどのハードパンチャーとの対戦経験がない、というのも事実。

個人的には、どちらも応援しているボクサーで甲乙つけがたい部分があり、非常に困っています。拳四朗の世界王座防衛記録の樹立に期待したい気持ちもありますし、とはいえこの昭和の香りを残す矢吹正道に、強い王者を倒したうえで世界王者になってほしい、という願望もあります。

 

どっちつかず。。。。

普通に考えれば、拳四朗優位は動かない気がします。

ただ、拳四朗のコロナ陽性→健康観察期間を経ての練習再開、から約2週間での試合、というのはコンディション面において何かしらデメリットが発生しているかもしれません。もともと捉えどころがないので、本人のコンディショニングは外からではわかりませんが。陣営、本人もこの日程でOKを出したということは、自信があるということなのでしょうが。

普段の体重は結構ありそうなので、この自宅での健康観察期間、身体を動かせていないとウェイトは結構きつくなってくるのではないでしょうか。

矢吹は、というと、減量は大変なのでしょうが、もともと絞った体つきをしており、SNSでの反応を見る限り、さほど動じていないようにも見えます。どちらかというと日程が変更したことによる、チケットの払い戻しやチケット返送というのが大変そうで、ここは矢吹からチケットを買ったファンも迅速な対応で協力してもらいたいところですね。

拳四朗のコロナ陽性反応を受け、両者にあった少しの「差」がまた少し、縮まったようにも思います。コンディショニング、運も含めてボクシング。

 

2度目の防衛戦以降、安定的な強さを見せる拳四朗は、コロナの不確定要素とともに、過去最強の挑戦者を迎えるといっても良いと思います。

好試合に期待したいです。

ところで、試合の中継はどうなっているのでしょうか。また一週間前くらいにサラっと発表があるんですかね。前回はカンテレドーガ、おそらく今回も。。。と思ったら、拳四朗のドキュメンタリーはMBS(毎日放送)が放映とのこと(9/7火曜日深夜)。どうなるんでしょうか。

ちなみにこのドキュメンタリーは、放送後7日間、TVerで見逃し配信があるそうです。

www.mbs.jp

 

アンダーカードは、真正ジムのYoutubeチャンネル、「BOXING REAL」で生配信。

セミファイナル 日本ユース・フライ級王座決定戦

森青葉(泉北)vs井上夕雅(真正)

A級初戦となる森(21歳・7勝1KO2敗1分)と、2017年の全日本ミニマム級新人王、井上(22歳・11勝2KO2敗1分)のユース王座戦。

若くして10戦以上を経験している両者、ともに初タイトルを目指しますが、キャリアは強豪と戦い続ける井上に分がありそうです。

 

名試合が多いユース戦、今回も熱戦を期待しています。

セミセミには世界挑戦経験者、大沢宏晋(オール)が登場。RK鎌田の高林良幸との58.0kg契約8回戦。

2021年5月に試合を予定していた大沢ですが、対戦相手のウェイトオーバーにより試合が流れ、今回2019年10月以来のリングに上がります。当時WBA1位にランクされていましたが、試合枯れが続きランクを落とし、今やランク外。上手くいかないものです。

そのほかにも、第一試合では15歳でプロデビュー(JBC外)した山口楽人(陽光アダチ)がJBC2戦目。

第二試合では前戦で青木勝も真っ青の「よそ見パンチ」を披露したイケメン、与那覇勇気(真正)も登場です。

アンダーカードも注目ですね。

メイン開始が18:00頃ということなので、仕事終わりで間に合わなそうですね。。。ほんの少し、情報遮断してみることになるか。。。

 

SNSで話題、サニー・エドワーズの初防衛戦は来日経験者のジェイソン・ママ!【プレビュー】

オスカル・バルデス(メキシコ)がやらかしたニュースを真っ向から批判しているボクサーがいます。

否が応にも注目してしまうボクサー、その名はサニー・エドワーズ(イギリス)。

現IBF世界フライ級王者、サニー・エドワーズは、イギリス人の特性(?)であるシニシズムを活かして、現在オスカル・バルデスはじめチーム・レイノソをディスりまくっています。

これはなかなかパンチがある。いや、彼自身にはパンチはないんですけど、Twitter上では、ある。

 

ここにきて(SNS上で)思わぬ強さを見せ、私の中でかなり注目を集めているサニー・エドワーズは、Twitterに時間を割いている場合ではなく、そしてハーブティーを飲んでいる場合ではありません。(本当はしっかり練習しているとは思いますが。)

ということで今回は、書く予定ではなかったものの、気になりすぎたのでサニー・エドワーズvsジェイソン・ママのIBF世界フライ級タイトルマッチをプレビュー。

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※9/7追記

サニー・エドワーズ、足首負傷により試合は延期。

9/11(日本時間9/12)

IBF世界フライ級タイトルマッチ

サニー・エドワーズ(イギリス)16勝(4KO)無敗

vs

ジェイソン・ママ(フィリピン)16勝(9KO)無敗

ちなみに、このMTKグローバルの興行は、日本はおろかアメリカでも放映の予定はありません(9/4現在)。イギリスではBTスポーツが中継するので、今後、可能性があるとするならばアメリカではESPNがぶっこんでくれば、日本ではFITE.TVがそのESPNから引っ張ってくる形でPPV放送をしてくれる可能性はゼロとは言えません。

それでもこのサニー・エドワーズ、気になってしまったんですよね。もともと私はイギリスという国、その文化、国民性というものが大好きで、若い頃はモッズカルチャーにはまり、今でも好きなミュージシャンはビートルズ、ストーンズ、フー、キンクス、デヴィッド・ボウイ等々の60年代〜70年代、もちろんその後の年代のブリティッシュ・ロックも聴きまくっているくらい好き。とまあ、ここを書き始めると1記事の中の1文では全く足りないので、ここまでにしておきます。

 

話が逸れましたが、このPED問題に対するサニー・エドワーズのシニカルなアンサーは非常に好みです。

さて、このエドワーズ、兄は元WBC世界フライ級王者であるチャーリー・エドワーズ。

兄に遅れること2年、2021年4月30日に安定王者、モルティ・ムザラネ(南アフリカ)から王座を奪取。これは番狂わせともいえる勝利でした。

しかし、試合内容としては、ことごとくムザラネの硬質なパンチを空転させ、走りに走ってムザラネを攻略。前後左右の素早いステップを踏み、老雄ムザラネを撹乱、ジャブを突き右ボディを差し込み、そして頻繁にスイッチしてまた撹乱。

とにかくこの運動量にムザラネはついていけずに敗退、新王者となったエドワーズは無敗のフィリピン人、ママを迎えて初防衛戦に臨みます。

 

このエドワーズの特徴は、体全体のスピードを活かした徹底したアウトボクシングにあり、そこからのカウンター。上体の動きもやわらかく、ステップやスイッチを含めてディフェンスは非常に秀でています。

集中力さえ保てば、かなり攻略しづらい王者ではあるものの、KO率が示す通りにパワーレス。

特に打ち込む時でさえ、しっかりとナックルを握っていないように見えますし、フック系のパンチはオープン気味、相手にダメージを与えられるボクサーではありません。

 

ジェイソン・ママは逆に、一発一発をしっかりと打つ、パンチャータイプのボクサー。ただ、フィリピン人によくいる上体の柔らかさを活かしたディフェンスというのは不得手のようで、打つ際は上体が立っていて隙も多いという印象です。

ちなみにこのママは田中恒成(畑中)のスパーリングパートナーとして来日経験もあります。世界王者の防衛戦に向けてのトレーニングに呼ばれる強豪であり、現在IBFの最上位である3位(1位と2位は空位)にランキングされています。

ややアップライト気味で、軸をぶらさずに打つ分、強打を連打することができ、この連打につかまってしまうと非常に怖いボクサーです。

ママが打ちまくっている時はある意味チャンスではありますが、エドワーズがここに付き合う事はないでしょう。

なので、エドワーズとしては、ママにつかまらないということが第一。

 

パワーのあるママに捕まってしまっては、ガードしていても危険といえます。

ムザラネ戦のように、脚をつかって撹乱し、空転させ、時に距離を潰してクリンチ、そして焦って出てきたママにカウンター、というのが理想だと思われます。

しかし、ママがエドワーズ追い方をわかっており、鋭い踏み込みとエドワーズの進路を塞ぐようなステップをトレーニングして、それが試合でできるのであれば勝負はわかりません。

動くエドワーズが軽くでもパンチを当ててポイントをピックアップし、判定で逃げ切るのか、どこかでママが捕まえて、そのまま試合を終わらせる所まで持っていけるのか。

 

持っている技術、ボクシングIQ、そしてホームの利、を考えると、エドワーズ優位は動きません。しかし、いわゆる鬼門の初防衛戦、そしてママは指名挑戦者。勝負がひっくりかえるものを持っています。

先にも書きましたが、残念ながらこの興味深い一戦、日本で見る術は今の所ありません。

もし今後、注意深く調べる中で、映像の視聴方法を発見しましたら9月の配信/放送スケジュールの記事の中に追記しておきます。

boxingcafe.hatenablog.com

 

ちなみに、セミファイナルにはアルツール・ベテルビエフ(ロシア)に挑戦経験のあるカラム・ジョンソン(イギリス/19勝14KO1敗)が登場。ベテルビエフ戦から復帰後2連勝中で、自身の保持するWBOグローバル・ライトヘビー級王座の防衛戦に臨みます。

バルデスのドーピング事件以後、そのボクシング以上にSNSでの発信が気になってしまったサニー・エドワーズ。こういうところから興味が湧くこともあるんですね。この試合、何とか見れないものか。。。

 

【プレビュー】バルデスvsコンセイサン、中谷潤人vsアンヘル・アコスタ、注目のTR興行!

ここ1週間ほどのバタバタ劇は、ボクシングファンにとってメンタル面において大きな打撃を与えた、と思います。

寺地拳四朗vs矢吹正道は、拳四朗のコロナ陽性反応により延期。延期の日程は9月中ということですが、まだ正式なアナウンスは流れていません。

これは仕方のないことですし、何より矢吹本人が何の不満も漏らさず、集まるファンを心配する声明をあげていることもあり、周りが色々ということは無粋です。SNSというのは、取材とは違って、このように何気ない一言から本人の人間性が垣間見れることは素晴らしい。その逆に、言葉足らずで勘違いを生むことは恐ろしいものですが。

 

そしてもう一つ、こっちが大問題でWBC世界スーパーフェザー級王者、オスカル・バルデスのVADA検査陽性の報。

A検体でフェンテルミン(肥満治療の薬のようです)という物質が検出され、B検体でもアウト。本人(陣営?)はハーブティーに入っていたとのエクスキューズをしておりますが、この辺りは不勉強なので控えておきます。

そして9/2(日本時間9/3)、コミッションからもゴーサインが出て、結局この試合は挙行されることとなりました。

このメインが飛ぶと、セミに控える中谷潤人戦も飛んでしまうであろうこの興行はこれをもって何とか成立、よかったのか悪かったのか。

倫理的にいえば当然、良くない。VADAが禁止薬物としてピックアップしているフェンテルミンを使用していた、という事実は、故意であろうがなかろうが、バルデスにとって悪いイメージであり、ひいてはエディ・レイノソに対して更に暗い影を落とす。

そして、メキシカンビーフの時を同じく、「ハーブティーが」で許される前例を作ってしまった、ということにもなります。

 

ちなみに、WADA(世界アンチ・ドーピング協会)ではこのフェンテルミンはリストに載っていないそうです。ただ、WBCのクリーンプログラムはVADA(ボランタリー・アンチ・ドーピング協会※ボランタリーは自発的な、という意味)を根本においているので、当然違反は違反。試合を行う事はあってはならないことです。

ただ、やはり個人的には中谷潤人vsアンヘル・アコスタという楽しみな一戦が挙行されてくれることが嬉しい、という気持ちが勝ってしまいます。。。感情的には、良かった。

そして結局バルデスvsコンセイサンもしっかりと見てしまうという、どうしようもない私。。。

ということで、今回のブログでは、本当はもっと早くに出そうと思っていたプレビュー記事、9/10(日本時間9/11)のトップランク興行のプレビューです。

(本当は8/31の夜に出そうと思って事前に書いた記事。加筆、修正していますがおかしかったらすみません。)

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9/10(日本時間9/11)

WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ

オスカル・バルデス(メキシコ)29勝(23KO)無敗

vs

ロブソン・コンセイサン(ブラジル)16勝(8KO)無敗

この興行は、このバルデスがVADAテストで出場できなかった場合、興行自体が中止になる、という危険性をはらんでいました。そのことも、今回コミッションがこの試合を行う、としたことの要因にもなっているのかもしれません。大人の事情です。

 

今回の一戦は、バルデスの凱旋試合といっても過言ではない試合なのです。

この興行が行われるアリゾナ州ツーソンという場所は、メキシコからの国境ほど近い場所です。チケットは完売、おそらく多くのメキシコ人たちが応援団を組んで乗り込んでくるのでしょう。

そんな人気者、オスカル・バルデス。

とりあえず薬物使用疑惑の件は置いておくと、元WBO世界フェザー級王者であり、前戦で階級最強の呼び声も高かったミゲル・ベルチェルト(メキシコ)をアウトボックスでコントロール、そして最後は残忍な左フックを決めてノックアウト。

自身のハイライトにも数えられる素晴らしい試合で2階級制覇を達したボクサーの、初防衛戦です。

 

このバルデス、ベルチェルト戦前のスーパーフェザー級でのテストマッチに際し、格下相手にあまり冴えない試合をしていたこともあり、ベルチェルトは厳しいだろう、と個人的には思っていました。(私はベルチェルトを応援していたのもあるかもしれません。)

しかし、試合はバルデスが最高のボクシングを披露、ジャブ、ステップワーク、ボディムーブを駆使してカウンターパンチを浴びせ、これまでのベストバウトを更新した戦いぶり。最後の左フックに至っては、今年のノックアウト・オブ・ザ・イヤーへのノミネートは確定と言って良いほど、素晴らしいものだったと思います。

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素晴らしい試合の後、ベルチェルトに駆け寄って膝を突き、目線を同じにして検討をたたえるバルガス。。。何て美しい終わり方だ、と感動を覚えました。(が、、、以下はやめておきます)

さて、対戦相手のロブソン・コンセイサン。

コンセイサンというのはWOWOWの表記に合わせてあります。スペルはConceicao。

北京、ロンドン、リオと3大会連続でオリンピックに出場したアマエリートで、リオオリンピックではライト級で見事金メダルを獲得。ブラジルで初めてのボクシング競技での金メダリスト、とのことで、405勝15敗というとんでもない戦績を持っています。

 

現在32歳のコンセイサン、プロキャリア17戦目で大きなチャンスを掴みました。

しかし、プロ入り後、まだ強豪との対戦経験はなく、試されていない部分が多いというのも現状です。

2020年10月に行われたルイス・コリア(アメリカ)戦はダウンを奪われての僅差の判定、あわや敗北か、と思われるような一戦でもありました。

 

今回はバルデスの凱旋試合の色が濃く、バルデスにとって危険と思われないからこそ選ばれた、ともいえますね。

このコンセイサンの良いところは、ハイライトを見る限りでは、チャンスが訪れた時のパンチの回転力、そのアングルとセレクトが素晴らしいところでしょうか。パンチの反応も良く、やはり長く競技をやっているだけに避け方、攻撃の仕方に関してはスキルがあり、自身のボクシングが完成されている、とも感じます。

 

パンチは強く打つタイプのコンビネーションなので、あれに巻き込まれるとなかなか難儀。ただ、連打の最中はかなりガードがルーズになり、遠心力を使って強いパンチを打ち込んでいるものの、あまり相手に効いていない感じがして、打ち合いにはあまり適さないような気がします。

前戦だけの情報を頼りにするのは良くない、と井岡戦で学んだものの、あのベルチェルトをあの倒し方をしたバルデスの勝利は固いように感じます。

 

そして、この興行のアンダーカードで、最も注目なのはこちらの試合。

WBO世界フライ級タイトルマッチ

中谷潤人(M.T)21勝(16KO)無敗

vs

アンヘル・アコスタ(プエルトリコ)22勝(21KO)2敗

日本ボクシング界の次代を担う、中谷潤人の初防衛戦にして、アメリカデビュー戦。

中谷の歩んできた道のりは、本当に素晴らしい。新人王からユース王者、そして日本王者を経て世界王者を戴冠。一歩一歩、着実に道のりを歩んできて、そして少しずつ強くなってきたボクサーは、まるで少年漫画の主人公のようです。

↓こちらは世界戴冠前の記事

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↓世界戴冠時の記事

boxingcafe.hatenablog.com

 

初防衛戦だから、とか、アメリカ初戦だから、とかでメンタルが揺らぐボクサーでないことは明白ながら、そうは言っても鬼門と言われる初防衛戦であり、日本国外で戦うこと自体が初めての経験である中谷。

そんな状態で迎える挑戦者が、強豪、アンヘル・アコスタというのはこれまた難しい。

WBOの王座決定戦で戴冠した中谷は、この初防衛戦で選択試合ではなく、指名試合を受けなければなりません。

今回は日本開催が難しく、たまたまアメリカでの一戦になったということで、アメリカから望まれて、またはこちらから望んで行ったわけではありません。

ただ、中谷は中学卒業後、単身渡米してロサンゼルスでルディ・エルナンデスに師事しており、これまでもアメリカの媒体でもプロスペクトとして紹介されていたり、とコアなボクシングファンはこの中谷のことを知ってくれているのではないか、と期待しています。

 

ちなみに、A-SIGNのYoutubeで伊藤雅雪が言っていましたが、数年間のアメリカ生活にも関わらず、中谷は英語が話せない、とのこと。これはとんでもないメンタルの強さ。普通、言葉が通じないということは相当なストレスを感じることであり、それをなんとかしようと多少なりとも勉強しよう、というのが常。

井上尚弥ですら、「交通機関」や「宿泊時」に困るから、英語を勉強しようとしています。

そのエピソードを聞くと、やはりこの中谷は人智を超えた存在に思えてしまいます。彼もまた、モンスター。

そして初防衛戦の相手、アンヘル・アコスタは、来日経験(田中恒成の王座に挑戦)もあり、日本でもメジャーな元王者。

 

とてつもない破壊力を持った左右は、22勝中21KOを記録、唯一判定勝利を挙げたのはフライ級を超える113lbs契約ウェイトで戦った(フライ級リミットは112lbs)前戦のみ。

愛称はプエルトリコの英雄、フェリックス・トリニダードと同じ「ティト」。我々世代には本当に特別なニックネームですが、あの思い切りの良い左フック、獰猛な詰め方を見れば個人的には違和感はあまり感じません。

ということで、大好きなボクサーの1人。

しかし、このアコスタ相手に、中谷は下馬評で優位に立ってしまうボクサーです。

長身サウスポーの中谷は、当たり前のように距離を支配することに優れ、大きなボラードのようなパンチも、真っ直ぐのストレートもお手の物。

 

まずはジャブを突いて、相手の出てくるところに合わせてストレート、ロングフックやロングアッパーで牽制していれば、相手はパンチの当たる距離に入ることさえできないかもしれません。

さらに、近づかれてもアッパーや外側から回すボディフック等、近接戦闘でも全くもって打ち負けない技術と、あの体躯からは想像できない強いフィジカルを持っています。

しかも、あの身長で、あの近い距離で、うまくダッキングやウィービングが使える選手というのも非常に少ない。

もう一つは、接近戦でも使うあのサイドステップ。細かなサイドステップで位置を調整し、自分のパンチが当たるところから素晴らしいアングルをセレクトして、パンチをコネクトする技術。あの距離でのあの冷静さは、今風(?)に言うなら「多分、ボクサー人生2周目」です。

 

ということで、全く穴が見えない中谷ですが、後は耐久力。

離れて戦えば安全ではありますが、キャリアのあるアコスタも何かしらを仕掛けてくることでしょう。そうなった時に、気の強い中谷は、接近戦を受けて立つということも考えられます。12Rにわたり、アコスタのプレスをかわし続けるという試合はしないでしょう。

これまでも、どんなハードパンチにも臆せず向かって行った中谷ではありますが、効かされた場面がなかったか、というとそうではありません。一番記憶にあるのは矢吹正道戦か。

 

接近戦となった場合には、多少の被弾は避けられず、そのパンチは22勝中21KOというハードパンチ。

アコスタには、ぜひ中谷のポテンシャルを引き出してもらいたい、と思っています。

アコスタは大好きなボクサーの1人ですが、中谷は超大好きなボクサーの1人です。

この試合で、アメリカにインパクトを残し、今度は「呼ばれる側」でアメリカのリングに立って欲しい、そう思っています。そして、大きな期待を寄せています。

みなさんも、WOWOWで応援しましょう!!

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そしてその他のアンダーカードには、同じくスーパーフェザー級のプロスペクトであるガブリエル・フローレスJr(アメリカ)かと思います。(この試合がセミファイナルのようです。)21歳というこの若きプロスペクトは、これまで20勝(7KO)無敗というレコードを残しています。

前戦では、ベルチェルトvsバルガスのアンダーカードでジェイソン・バエス(プエルトリコ)を倒し切って実力をアピール、その後もそうですがバルデスへの挑戦をアピールしていますので、今回の結果次第では、次の挑戦者となる可能性もあります。

対戦相手はメキシコのルイス・アルベルト・ロペス・バルガス。22勝(12KO)2敗というボクサーで、ナバレッテに挑んだルーベン・ビラ(アメリカ)に負けています。

 

他にも、ザンダー・ザヤス、レイモンド・ムラタヤといったトップランク所属の注目ホープが次々登場する興行ですが、おそらくWOWOWの放送は中谷潤人から。

この興行はアメリカではESPN+のみで放送なので、きっと他の試合も流してくれるでしょう。(ESPN+の放送は、日本時間9/11のAM6:30からとなっていました。)

 

もしWOWOWを契約していない、という方がいれば、FITE.TVのPPVで見れます。が、これはAM10:00からなので、WOWOWと同じ、おそらくセミセミの中谷潤人vsアンヘル・アコスタから。

FITE.TVは1.220円です。開始時間については、当日いきなり変更になる可能性もありますし、一応FITE.TVのサイトには全試合書かれているので、どこまで放送になるのかはわかりませんが、いずれにしろ自己責任でお願いします。

FITE.TVのリンクはこちら。違う「Oscar」を買わないように注意してください笑

 

 

 

 

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